くわえて今回は白髪の長髪の一派による乱入モードが入っていたため BLEAD氏より外伝扱いを受けた
よって このデータが本編である「黙示録 エヴァンゲリオン」に合致しない事を前提に読んでいただきたい
前提条件をのまれない方には当方は一切の責任を回避するものとする
それによって受けるショックなどにも当方は一切の責任を負わないものとする
さて・・・
ともかく主役はやっぱり朝霧君なのだけど・・・
ま こまかいことはこの辺りにして・・・
行ってみよぉーっ!
黙示録エヴァンゲリオン Buried Daily 外伝
第三新東京の日常 或いは平穏な日々 の3
「番外変」 雪の降る街に乾杯 改
ユウロスと言う名の人物
Act One "あ ひゅーじえなじーぽいんと いず あぷろーちんぐふぁーすと."
それは彼らが混沌と呼ぶ空間より浮上した
混沌の大きさに比べれば無に等しい大きさのそれは
そこに浮上したのだった
それはもう20年以上前の出来事であった・・・
小学生だろうか 彼は走っていた 彼を追いかけるもの数名 いずれも高校生ぐらいだろうか その欧米人の様な青い瞳の色に「一方的に因縁をつけられた」らしい
その追いかけてくるグループを破壊する事など造作もないことだが そんなことで自分の手を汚すようなプライドは持ち合わせていないらしく 手段として逃亡を選んでいた
路地裏に入り込み
(次は・・・)(右へ)
思考の中に違和感を感じながら小学生は路地を右へ入る 彼らは土地鑑があるらしく先ほどから距離は開いていない むしろ距離を縮められていた
(このままでは・・・いかんな)(まっすぐだ)
ふたたび思考の中に違和感を感じたが そのまままっすぐに路地から空き地へと走り抜けた
一瞬 だが長い時間目を奪われた
そこにいたのは とても異質な存在 北欧系の顔つきに吸い込まれるような緑色の瞳 リボンで括っている足元まで届こうかという薄っすらと緑みを帯びた白い髪 そして白い白衣のようなものを着ていた
その人物は時間の止まっている彼に
「私の後ろへ」
そう言った 彼は言われたとおりにその人物の後ろに回る
(華奢な体つきだ 少なくとも年齢は17ぐらいだろうか 性別は・・・ 声からすれば女性?)
そんな事を考えている間に先ほどの高校生らしいグループに取り囲まれた にもかかわらずその人物は表情一つ変えることなく
「こんな 子供をいじめるのは関心せんな おとなしく手を引けばよし そうでなければ 私が相手をしよう」
さらりと言ってのけた
(なんなんだこいつは 見た感じ弱そうだが しかし言葉からはおびえは感じられない どう言うことか・・・)
そして彼らが二人にじりじりと近づいてくる その人物は小学生に
「悪いが 今は戦う時だ だが殺すなよ」
そう言って白衣の様なもののポケットに手を入れ 刃の部分をゴム製樹脂で覆ったような短めの竹刀を模したような物を取り出す それが合図になり 始まった・・・
結果が出るのに時間は要らなかった 一見華奢なその体が 信じられないくらい速く動く 絶望的な挫折感すら感じさせるほどに
そして 彼は放心している小学生に
「大丈夫かい? ・・・これは失礼した 私の名はユウロス・ノジール ユウロスと呼んでくれれば良い 君は?」
その人物 いやユウロスは先ほどまで手にしていた剣を模した物をどう見てもそれが入りきらない普通のポケットにしまいこみながら 彼に言った
(何で入るんだろう)
そんな疑問をキャンセルし 自己紹介をする
「私は西野辺小学校6年2組の朝霧 健夫と言います その 助けてくれてありがとうございます」
不思議そうな瞳を向けられてユウロスは 擦り傷だろうか 少し怪我をしている朝霧を見て
「家に来ると良い 手当てをしよう」
「でも・・・」
「大丈夫 すぐそこだから」
と彼は半ば強引に彼の手を引っ張って行く
始めは引きずられるようにしていたが さすがにずっとそのままというわけには行かず今は並んで歩いている
ユウロス そう名乗った者の背は160と一寸ぐらいだろうか
「あの なんで助けてくれたんですか?」
「似ているんだよ 私の幼い頃とな それでは理由にはならんか・・・」
「いえ わかるような気がします」
「そうか・・・ 着いたよ 入っておいで」
定休日で閉っている模型店の隣の比較的大きな洋風の一軒屋 門の郵便受けの上にある表札には 片仮名で「ナッキャ・ストラフィーネ」と書かれている
それらを横目にユウロスの後に続いて門を抜け彼によって開けられた玄関の中へ
「バル 救急箱を持って来てくれ」
そのユウロスの声に奥の方から返事が聞こえた 程なく中からシンプルなエプロンドレスとでも言うような服装 白いエプロンにとても澄んだ藍の色で染め抜いたようなドレスの・・・ 空色の女性
「朝霧君 こちらはバルキリー・ディ・ハルシオーネ」
「「始めまして」」
言葉が重なった 彼女はそのまま
「今 手当てをしますね」
そう言って救急箱を開く
「じゃあ 手当てが終わったら お茶の時間にしよう客人もね」
「はい マスター」
その返事を聞いて彼は奥のほうへ入っていった 朝霧の脳裏に大きなわだかまりを残して
そんなことは関係なく 消毒液が傷口にしみる
「・・・ すみません」
「いいえ 困ったときはお互い様です」
「そう言っていただけると助かります」
若干の沈黙の後
「小学生・・・ ですか?」
「はい 今で6年になります」
「その かなり背伸びをして話すんですね?」
一瞬目が合う 青い瞳と空色の瞳が そのまま朝霧は返す
「色々とありますから」
「そうですか」
程なく傷の手当てが終わり 奥に ダイニングに通された
「ええと・・・」
既に何と言葉を発して良いか 少なくとも一般の日本家屋ではないのだ 装飾や調度品こそ少なく質素なものの この部屋は西洋の貴族的な食堂の雰囲気が在るというべきか
まあ経験もなく知識も乏しい朝霧にはここまでしか分かりようもなかったのだが ただ玄関付近はいわゆる一般の日本家屋のものだったことを付け加えておく
「どうぞこちらへ」
先ほど傷の手当てをしてくれた 空色の女性・・・ バルキリーと言ったろうか 彼女がひとつの椅子のそばでそう言ったのが耳に届く
「あ はい」
生返事を返し言われるままに席に着く朝霧は思わず彼女をじっと見てしまう その色合いの違いからか・・・
「あ あの 私に何か」
不思議そうにそう返すバルキリー
「・・・ なぜ ユウロスさんのことをマスターと呼ぶのですか?」
彼女は一瞬口篭もり答える
「あだ名なんです もともとはアリス・マイスターだったんですけど 短縮してマスターってなったんです」
「(何かを隠しているな でも他人の事情に深くかかわるものではないな) そうですか その格好がまるで使用人みたいですから どうも勘違いしていたみたいですね」
「ふふっ でもこの格好 これでも動きやすいんですよ」
そう言ってその場でくるっと回って見せる
「そうみたいですね ご自分でデザインなさったんですか?」
「ええ 昔読んだ本の中に出てくる主人公の服にあこがれて」
そこそこに弾む話の中 ユウロスがケーキと紅茶を持って食堂に入ってくる 彼は四人分をテーブルに用意しながら
「今日はチーズケーキを作ってみた ただお茶のほうがダージリンしか残っていなかったから後で取りに行かないとな」
最後のほうはつぶやきだったが テーブルに一通り並べると彼はそう言って再び食堂から出ていった
少しして再び戻ってきた彼の後に 赤毛のボーイッシュな女性が入ってくる 背は先に入ってきたユウロスより少し高いみたい
「おじゃましてます」
反射的にそう言った朝霧に
「いらっしゃい 朝霧君ね 私はナッキャ・ストラフィーネ ユウロスの妻です よろしく」
別に威圧的なわけではないが 思わず差し出された手に握手してしまう朝霧 その手が放れると彼女は
「さ 食べましょう」
と席に着いた
「いっただっきまぁーす」
いつの間にか朝霧の横に座っていたバルキリーが食べ始める とても美味しそうに よく見るとチーズケーキが他の皿より一切れ多く入っている その食べざまにあっけにとらわれていると
「どうしたんだい?」
「え? いえ いただきます・・・」
そんな返事を返しながらフォークで切り分け口に運ぶ・・・
「美味しい」
呟くようにその言葉は自然と口から漏れた
「ありがとう そう言っていただけると私もうれしいよ」
返事を受け取った彼はそのままゆっくりと味わい 最後に紅茶を飲み干し
「紅茶ですよね?」
カップを見ながら言った彼に ユウロスは
「ええ インパクトで紅茶の味も変わったみたいだからね それはインパクト前の最高級のものを使ってみたんだ どうだった?」
「・・・ 紅茶はあまり飲まないもので でも飲みやすかったです」
「そうか それは良かった」
それぞれに朝霧を囲みとりとめのない話をする まるで時間など気にしないように
とはいえ それらの時間とて 有限のものであるのだ
「さて そろそろ行こうか朝霧君 車で送って行ってあげるよ」
「でも・・・」
「なに 私も買い物に行くから そのついでにだ 気にすることはないよ」
「は はあ・・・」
そんなこんなで走っている車内 助手席に座っている朝霧は
「あの・・・ ユウロスさん」
「ん?」
「何歳なんですか?」
「言っちゃあなんだが忘れた 書類を見れば分かるんだがな まあ二十歳は超えている そう思ってくれればいい ・・・ そうそう うちの隣に模型店があったろう」
「はい」
「あそこは 妻のナッキャが経営している たまには寄ってやってくれ歓迎するよ」
「でも ご迷惑ではないのですか?」
「いや そんな事はないよ避難警報でも発令されなければな」
「そうですか・・・」
「所で 西野辺小学校とは反対側の山裾になんの用だったんだい?」
「え? ええ 湖の公園に行こうと思ってたのですけど 高校生に絡まれまして」
「そうか・・・」
「あ そこで結構です」
「良いのか?」
「はい」
ユウロスは車を止め
「じゃあ気をつけて」
「ありがとうございました」
言いながら 朝霧は車を降り ドアを閉める
彼が車から少し離れたのを確認して ユウロスの運転する車は走り出した 走行する車内で彼は一人呟く
「あれが 適格候補者の一人か・・・ あんな子供に頼るとはな・・・ まあいいエヴァンゲリオンに使徒 ここは刺激に満ちあふれている まずは喜ぶべき事かな いるであろうこの空の神に・・・」
翌日 昼 ジオフロント
『〜 revolution ノートに 書きとめたー 言葉・・・ 〜』
SDADから流れてくる曲に聴き入りながら 新聞に目を通していた 記事の一角にそれはあった「怪盗また出現」と
『〜 明日を 遮る壁 乗り越えて 行くこと 〜』
(現実は小説より奇なり か)
記事を読む 今回盗まれたのは松代にある博物館の倉庫の中に保管されていた 磁器のように白く細長い刃物の様なもの 近日中に成分組成を調べるはずだったとの事
(確か前は どこかの研究所のデータが被害にあったと聞いたな ・・まあいい)
彼はSDADと思考をうち切り 新聞をホルダーに戻すと訓練に向かうべくその場を離れた