はず・・・
よって このデータが本編である「黙示録 エヴァンゲリオン」に合致しなくとも
当方は一切の責任を負わないものとする
たぶん・・・
あ 合致しないときは消去されるだけかぁ・・・
なお表記は全部日本語を基にしていますが気にしないで下さい
あははははは(乾笑)
そして今回もしまぷ(う)の限界を路程?
事実・・・(沈黙)
いってみよぉー
彼女の日常 或いは平和な日々
ジェノア・ニルヴァーノと言う名のmono
でぃびじょん.2
アメリカ中部の片田舎にある教会に 彼女はいた
既に両親は他界し 唯一の肉親である祖母はこの教会で住み込みの手伝いをしている
その教会を見下ろすことのできる丘の上にワタシはいる
ふと振り向くと 祖母がいた
ワタシとは違う黒髪 でも髪の毛はもう年のせいか白髪混じりになっている
麓の教会に一台の車がやってくる それが道の向こうに見えた
祖母はワタシに何か言うと ワタシの手を握り何か難しいことを言った
二人で丘を下った
なにか 金属音が 聞こえる
金属音・・・
あ
そうだ 目覚まし時計の音・・・
起きなきゃ
起きて 訓練に行かないと・・・
お祖母ちゃんの・・・
お祖母ちゃん?・・・ あれ?
ベッドの上にうつぶせになっていた彼女は ムクリと身体を起こす 未だその目は開かれていないが 彼女は器用に目覚まし時計の方に頭を向け手探りで目覚まし時計を探す
指先が目覚まし時計を弾いた
「あっ」
慣れた感触だったのか思わず声を上げる 倒れた目覚まし時計をつかみ 反対側の手でスイッチを止めた
部屋が沈黙に戻る
一度目をこすり ようやくの思いで瞼を開け 辺りを見渡す ぼやけた視界の向こうにあるのは見慣れない部屋だ
(あれ ここは どこ?)
違和感に襲われた彼女はもう一度目をこする
「そっか 本部に引っ越したんだ」
部屋におかれている家具が全て自分の物だと理解すると 昨夜遅くに到着しそのまま寝入ってしまったことを思い出した
「今日は 確か 教官に呼ばれていたような」
ベッドから出るとそのまま机の上のメモに目を通し 時間を確認し 未だ眠りの井戸に落ちようとする頭を覚醒させるためにシャワーを浴びるべく浴室へと足を進めた
「失礼します ジェノア・ニルヴァーノ出頭しました」
尾上は彼女を一瞥し 時間を確認し
「早かったわね これから学校に向かいます 外で待っていなさい」
「はい 失礼します」
オフィスから出て行く彼女の後ろ姿を気にかけるでもなく 尾上は学校へ行くべく準備を始めるのだった
約2分後
「ジェノアさん こっちよ」
扉が開くなり尾上から呼ばれた そのままに返事を返し後に続く
「教科書やノートは持っているわね?」
「はい 部屋に届けられていましたので」
「日本語の方は?」
「向こうの教官には日常会話をこなす程度はある と言われました」
「そう」
無言のまま二人は歩く
「あの 質問よろしいでしょうか?」
「どうぞ 私で答えられる範囲のことならね」
「マナさんは どちらにいらっしゃるのですか?」
「彼女なら 今日は別行動で学校に行くわ」
「そうですか」
ちょっと心細い・・・
電車の中で尾上は 学校での注意事項等を簡潔に説明してくれた
学校に着くとすぐに職員室にワタシは通された
「あ ジェノア」
「マナさん」
少しほっとする自分に気がついた
職員会議事体はあまり時間もかからずに終わり 尾上がこちらにやってくる
「着いてきなさい 教室に向かいます」
感情を押し殺すことに慣れた声 そんなトーンで彼女の声が耳に届き ワタシはマナさんと一緒に廊下に出て 尾上の後に続いた
階段を上がり教室が連なる廊下を歩き ある扉の前で 彼女の足が止まった
「ここで待っていなさい」
そう言って尾上は教室に入って行った
程なく教室の中から
「二人、転校生が居ます……入って」
と 声がかかる
行かないと と思い視線をマナさんの方へ 少なくとも今までマナさんのいた方へ視線を向けた
「霧島マナ、ただ今無事帰還いたしましたぁっ!!」
教室からそんな声が聞こえ 教室は騒動に包まれる
「・・・ はぁ」
ため息と共に緊張している自分に気づく
少しして尾上の声が
「・・・ ジェノアさん 入って」
「はい」
ほとんど反射的に身体か教室の中へ入っていく 実感できる不安と恐れに近い漠然とした不安が心の中に同居する
クラスの視線が私に・・・ 自己紹介 しないと・・・
「 ジェノア・Nilvana ・・・です(緊張して 上手く日本語になっていないみたい・・・) えっと その米州の 訓練所から来ました その」
あれ? 一人寝ている人がいますね
「はい いいわジェノアさん そっちの方は改めて紹介するから」
「は はい」
この後の休み時間には クラスのみんなに質問攻めにされて ちょっと怖かったな でも日本語って難しいです
でもその日はお昼には・・・
数日後 朝
プラットホームに停車している地上行きの電車に乗って 本を読む 本といっても小型端末でデジタルブックデータを開いてそれを読んでいるのですが・・・
「お早う ジェノアさん」
そう言われてふと顔を上げる
「お早うございます マユミさん」
返事を返しワタシは 携帯端末に視線を戻した
「何を読んでいるの?」
「え? ええと THE DAY AFTERですけど・・・」
視線を動かさずにワタシは答える
いくつかマユミさんが私に会話を持とうと話しかけてくる
電車が動き始める
「あ ノベルライブラリーのアドレスを教えておきますね ネルフ内専用だけどいろいろそろっているから便利ですよ」
携帯端末にデータが入ってくる
「ありがとう」
そう答えはしたけれど それから特に会話もなく学校に着くのでした
夕刻 芦ノ湖湖畔
ワタシは走っている 芦ノ湖に面した公園を 体を動かしていれば他のことを考えなくて済むから・・・
ここはあなたのいばしょ?
翌日
「お早う」
転校生 クラスメイト・・・ それ以外に特に思うところもなかったので そう挨拶をして 私は彼女の前を横切り少し離れたシートに座った 程なく地上行きの電車が発車する
『〜 笑顔で悩み全て 吹き飛ぶ感じ 〜』
インパクト前の歌をSDADで聴きながら ふと視線を入ったばかりのトンネルの暗闇から 彼女の方に向ける
小型携帯端末に視線を落としている 何かを読みふけっているようだ
豪奢な金髪 そこから覗く彼女の表情はあまり思わしくないように彼には思えた
『〜 今 限りなく 青く透き通る 心が 空よりも鮮やか 〜』
だからといって 彼は彼女に干渉するでもなく 視線をトンネルの闇に向け 思考を自らの混沌へと沈めた
昼休み
彼は久しく作っていなかったお弁当を広げ 箸を動かしていた
ふと放たれた 冗談半分のクラスメイトの質問に
「私の料理を 食べてもらいたい人が いたからね」
そう答えると そのクラスメイトは所在なさそうに彼の前を離れていった
「いたからね ・・・か」
心の中に広がった虚無を意識もせず そう呟き 彼はクラスを見渡す 彼の席は廊下側の一番後ろにあり視界内にほとんどクラス全体が入るのだが ただ見渡すのではなく ゆっくりとその瞳の色を深くしたままに
鈴原が洞木に説教されてる 週番だったな彼は どうも未だにお茶を持ってきていないことに業を煮やしたらしい・・・
大和は今日もパンか
やはり女子は弁当を持ってくる率が高いな・・・
ふむ ・・・パン食か
振り切ろうとしたが つらい出来事を 思い出してしまう・・・
彼は宗谷 裕美が他界した時 教官の許可の下2日ほど訓練に出なかった 先にカウンセリングを受けた結果なのだが とても不安定な状態にあったとのことだ その時クラスメイトには
「身内に不幸があったから」
と だけ伝えていた だから誰も彼最愛の人物が亡くなったなどと 知る由もなかったはずだったが
ただ一人 如月だけは 今思えば気付いていたのではないかと そう思えるような振る舞いをしていた
「やれやれ」
いつの間にか食べ終えていた弁当を片づけ しばしの惰眠をむさぼるのだった
放課後
掃除当番だったので 教室の前の廊下を掃除している 硬く絞ったモップで拭き掃除 一通り拭き終わったらモップを洗っておしまい・・・
モップを片づけた後 ふと窓から外に目をやる 正門から下校している生徒が見える 独り正門を出る転校生の姿も
「独り か ・・・あまり良い傾向では ないなぁ」
呟き 階段を下りる
あなたのこころはどこにあるの?
翌日
夢を見た アメリカの教会にいた頃の夢を
シスター高木が私に話しかける
「どうしたのジェノア 怖い夢でも見たの?」
「・・・・・・・・」
幼いワタシがシスターに何か話す
「大丈夫よ 主はついでも私達の側にいて見てくれているわ だから怖がらないで」
幼いワタシは何か彼女に対して抗議しているのだろうか でも 声はここまで届いていない
「そうね ごめんなさい」
そう言ってシスターはワタシを抱きしめる
「・・・・」
その時のシスターの呟きは とても大切な言葉だった気がした・・・
「ワタシは どうして ここにいるんだろう」
頭からシャワーを浴びながら ふと呟いた声に気が付く 言葉を思い出すように 自分に届くように もう一度繰り返す
「ワタシは どうして ここにいるんだろう」
それから少しして
「教官に 聞いてみよう・・・」
そんな結論に達した
その日 訓練を終えたワタシは適格者及び候補生の誘いを断り 教官の下を訪ねたが 返ってきた答えはとても合理的で 機械的だった
ワタシはここにいなければならないの?
もう おばぁちゃんもいない ワタシに なにが?・・・
四号機に乗ることも無いのに・・・
その日の夜も夢を見た
なにもない見渡す限りの大草原だった ぼうっとその景色を眺めていたワタシの視界に 光を放つ何かが入ってくる
それは ワタシに呼びかけた
『どうして 独りでいるの?』
「独りでいたいから」
『どうして?』
「分からない」
『みんなといるのが怖いの?』
「分からない」
『そう・・・』
光りを放つ何かは
ワタシの周りをくるりと一回りし
目の前で静止する 光りの中に見えるのは 妖精?
『なにを 怯えているの?』
「分からない」
『優しさに触れるのが怖いの?』
「分からない」
『温もりを恐れるの?』
「分からない」
『優しいのは嫌い?』
「分からない」
『じゃあ お祖母ちゃんは好き?』
「・・・ 好き・・・ お祖母ちゃん・・・」
妖精がワタシに向かって微笑む
目覚まし時計のけたたましい音が耳に入るのはこのすく後のことだった
地上への電車の中 ワタシは"夢から覚めた夢"を読みながら 今朝の夢のことを考えていた
(どうして あんな夢を見たんだろう ワタシはほとんど毎日夢を見ている でも今朝の夢は変だった どうして あんな夢を・・・)
学校に着く 下駄箱の中の紙屑を気にすることなく靴だけを取りだし履き替え 教室へと体が動いている
ワタシ変だ・・・
現実がまるで本を読んでいるみたいに 目の前で流れて行く
どうして?
授業が始まり 授業が終わる 学校も終わり 寮によった後 訓練に出る
視線をノートパソコンの画面から 金髪のほうへと向ける
「(孤立しているな・・・) さてさて どうしたものかな」
「なにがだ朝霧」
「いや こっちの話だ」
「程々にしとけよ?」
「何をだ?」
「ものかきだよ」
「こればかりはな・・・」
大和にそう返し 視線を沈める
「たしかに(このままでは いけないな)」
寮ジェノアの部屋
「やっぱり 少しはこちらの人とうち解ける努力をしなくてはいけませんよね」
姿見に映る制服姿の自分にそう言い聞かせ 共通の話題をと 少し考える
視線が小型携帯端末を捉える
「そうですね マユミさんに教えてもらったアドレスがありましたね」
早速 電源を入れアドレスを確認し 学校で使うノートパソコンを立ち上げネルフのネットワークに繋ぐ
ブラウザを立ち上げアドレスを入力しEnterキーを押した
表示されるページには注意書きが書かれている それを読み順序に従ってリンクをたどりユーザー登録をする
ユーザー登録作業自体は希望するIDとパスワードそれに自己のデータを入力する簡単なものだった
登録作業終了と共に ソフトのダウンロードが始まるがダウンロード自体あっと言う間に終わり そのままインストールされブラウザ内にソフトが立ち上がり日本語と英語で"最新のリストをダウンロードしますか"と表示される
彼女は"YES"をクリックし ダウンロードを始める
かなり時間がかかるようなので 一度パソコンの前から離れ着替え始めるのだった
着替え終え髪を櫛で解いているとダウンロードが終わった ブラウザ内の表示が切り替わる
「初めての方へ ・・・」
初心者への説明を読む 最後の方に聞いたような 人物の名前があった
「朝霧 健夫 ? ノベルライブラリー マスター 朝霧 健夫」
誰だったか 思い出すのにしばらく考えていたが 教室廊下側一番後ろの席に座る暗い人物が頭の中をよぎる
「あの タケオなのでしょうか・・・」
ふと 時計を見る
「あ そろそろ行かないと」
そう言って彼女は 準備をして訓練へと部屋を出て行くのだった
翌日 学校 昼休みにて
視線がさらさらの髪質の小柄な男子生徒を捉える
今までに朝霧君のペンネーム候補が挙がったものの まだ10人以上候補がいて
「あ・・・(目が合ってしまいました 向こうは 気にしていないみたいですね・・・)」
今もまだちょっと 信じられません 朝霧君がああいうものを運営していたこと自体が まだ 少し
視線を外し 昨日読んだ短編「落ちてきた翼人」の作者名がふと頭の中に浮かんだ
先ほどまでにあげた候補の中にあり 他に手がかりもないのでその作者名の浅葱
桜を検索する ふとその検索結果の中に"浅葱桜"の表記が
「あさぎざくら?・・・」
(あ 日本には花と言えば桜を指した時代がありましたね ・・・そう言えばこの人の作品の最後にペンネームの由来を書いてありました たしか 好きな花である山桜と自分の名字をもじった物だって・・・ あれ? それではもしかして)
「先生が来るぞ」
彼の声だと気付いた直後 教官が教室に入ってきました
放課後
箒で教室を掃いている山岸さんをワタシは待っていました
程なく 掃除は終わりワタシは山岸さんと共に校門を出ました
「そういえばジェノアさん 今朝の朝霧君の問題 分かりました?」
「何となくですが・・・ 一つ候補があります」
「何て言うの?」
「浅葱 桜です」
「え でもあの人の作品と 朝霧君のイメージって合わないんだけど」
「そうなんですか?」
「うん 朝霧君てどこか浮世離れしたところがあるから」
「浮世離れ? って?」
「ちょっとずれてるって言うのかな 考え方とかが 何て言うのかな自分がそこにいても居ないように振る舞うタイプなんだと思うな」
「詳しいんですね」
「小学校からこのクラスだけはクラス替えがありませんでしたから 他には たとえば如月さんですけど 冷たそうに見えますが内面はあれでなかなか情熱的なんですよ・・・」
それから 彼女によるクラスメイトの説明が始まった
それはジェノアの質問も相まってジオフロントの駅に列車が着くまで続けられる
列車から折りたジェノアは 途切れた会話をつなげるように再び話しかける
「あの 山岸さん 山岸さんから見てワタシはどう見えますか?」
「そうですね・・・」
言いよどんだ 山岸
会話が途切れ 二人はそのまま寮へ
エレベーターに乗り それが二階で止まると
「では また訓練で」
そう言って 彼女は行ってしまう エレベーターの扉が閉まる
闘技場
(今日は 皆さんいらっしゃるんですね)
闘技場と呼ばれる格闘訓練の為の空間を見渡したワタシはそんな事を思いながら
(あれは・・・)
鈴原君と朝霧君が戦っているのを視界に捉える
(あれが 適格者の戦い方 なの?)
「ああ あの二人ね 朝霧君の戦い方が危険だから鈴原君や大和君ぐらいしか戦わせられないのよ それよりもジェノアさん」
「はい」
振り向いた先にいたのは教官 担任でもある尾上教官だった 彼女は視線を辺りに走らせながら言葉を続ける
「あなたの実力を見たいわ さっそくだけど そうね樺山さんお願いするわ」
「はい 教官(格闘は あまり得意では ないのですが・・・)」
初めての相手と戦う事も含めた少しの不安を抱きつつ ワタシは教官から離れる
アキさんと向かい合う ワタシよりも背が高い相手 ワタシも結構背が高い方だけど・・・
「(さて 始めましょう)アキさん」
「始めましょ ジェノアさん」
「・・・ ええ」
お互いに構えている いつ どう仕掛けるか
そんなことを考える前に
「初めて」
教官が放った言葉だと気付く間もなく 体が勝手に反応する スタートを切ったのはアキさんと同タイム・・・
繰り出されるアキさんの攻撃に殺気が感じられない おかしい
わたしはこれでも必死で戦っているはず
でも 体が勝手に動いているみたい・・・
「っは(あ あれ?!)」
それは 右足で薙ぐような蹴りを放った直後だった 左足から床の感触が消え 視界が
そこまで確認してようやく自分がバランスを崩したことに気付いた ついでアキさんの足が寸止めされていることも
(だから 成れなかったのかな適格者に・・・)
「勝負あったわね アキさんもう良いわ」
「はい教官 ジェノアさん立てる?」
そう言って手を差し出すアキ
「うん 大丈夫(一人で 立てる か ら)」
立ち上がったワタシは次の組み合わせが控えているのに気付きそこから離れ誰もいない壁際へ
壁にもたれて 深呼吸をし辺りを見渡す
次の組の試合が始まる その向こうで鈴原と朝霧の戦いが続けられていた
ワタシは・・・ どうしたいの?
数日後 商店街内某小物店
「あれ?ジェノアさんは?」
ふと洞木が店内を見渡して いっしょに来ていた転校生を探すが見当たらずにそう言った
「外で待ってるって」
答えたのは並んでいる商品を物色することに夢中な霧島
「ちょっと 見てくる」
「はーい」
クラスメイトのそんな返事を聞き流して洞木は店の外に出て 辺りを見渡す
「いない・・・」
急いで店内に戻り
「マナ ジェノアさんいなくなっちゃった」
「え?」
二人はそのままに店の外に出た
もともと 彼女にもっとこの街に親しんで欲しいとの事から 洞木が少しは彼女と交流のある霧島マナと共に商店街に引っ張ってきたのである
「どうしよう」
「迷子になっていなければ良いけど」
「それは大丈夫だと思うよ」
軽いままの口調の霧島に ため息をキャンセルして
「探してくる こんな事なら番号聞いておけば良かった」
そう言って洞木は 商店街の雑踏の中へと足早に入っていくのだった
「空だけは 変わらないんですね」
人気のない公園の滑り台の上で彼女は空を見上げていた
今までの記憶に 今抱えている悩みの答えを探そうとするが そこには答えはなく
どう表して良いのか分からない 心の固まりが 何か分からないけど何かを求めているような
でも どうしてこうなったのか
彼女自身行き場のない感情を抱えたまま 米州で見たものと同じ空を見上げる
「ワタシは・・・」
誰かが 公園の入り口を駆け抜け 滑り台の上の人物を見て立ち止まり 再び滑り台へと静かに歩き出す
「どうした こんな所で」
突然下から声をかけられた私は下にいる人物を見下ろし
「(どうして 独りにしてくれないの? 朝霧)タケオ どうして こんな所に?」
視線の先の彼は何か口ごもってから
「ああ 気分転換に散歩していたところだ と言いたいが・・・ 大丈夫か?」
「(何? この人)何が 『大丈夫』なの?」
「このような人気の少ない公園のその様なところで空を見上げているのだ 普通は何かあったと思うべきだろう」
嫌悪感よりも恐怖を感じたワタシは逃げたくて滑り台を滑り降り
「大丈夫です 何でもないですから」
そう相手をじっと見据えて言いました
でも彼は戸惑うと言った動作をまったく見せることなく ワタシの瞳 その奥を見透かすような視線を向けたまま口を開きました
「そうか ならば良い だがその心の内を分かってもらえる相手を見つけておくことだな それから洞・・・」
そう それはワタシの心を見透かすような そんな言葉だった
(どうして なんでワタシの心が分かるの なんで?)
そんな事が頭にあったまま ワタシの目に公園内をこっちに走ってきている 委員長の姿が
彼女はワタシの側まで来ると
「さっき朝霧君から連絡があって ・・・泣いているの? 朝霧君に何か言われたの?」
ワタシはハンカチであふれ出そうな涙を拭い
「朝霧君が・・・」
委員長の呟きにワタシは
「(では どうしてあの人はワタシの心に土足で入ってくるの? あんな)・・・あんな奴に何が分かるの」
そう返していた
それから一人で寮に戻り部屋に入ろうとした時だった
「ジェノアさん」
振り返る
「山岸さん」
言葉が続けられなかったワタシに 彼の女は
「お邪魔しても 良いですか?」
そう言った
この人になら 心のどこかでそう思ったのか ワタシは彼女を部屋に招き入れる
(でも どうしてだろうか 彼女と話しているのに・・・)
「どうしたんですかジェノアさん 話していても何か上の空のようですけど」
「あ ごめんなさい さっき朝霧君に言われたことがあったから」
気が動転してしまったのかは分かりませんが 思わず言ってしまいました
「朝霧君に 何を言われたんですか?」
「ごめんなさい」
そう言うなりうつむいてしまったジェノアにマユミはどう対処して良いのか困惑してしまい結局聞き出すことも出来ずに部屋に戻った
翌日 山辺中学
休み時間が過ぎて授業が始まると 一通のメールが届いていた 差出人は"山岸マユミ” 中には一つのデジタルブックデータが入っていた
退屈な授業なので時間つぶしにそれに目を通す タイトルは"その胸に抱くは トゥルーヴァージョン" 作者は"浅葱
桜"
かなり長かったが 4時限目の途中で読み終えた 残ったのは漠然とした不安 問答無用のやるせなさ
そしてあとがきに進んだとき ワタシは目を疑い もう一度あとがきを読み直した
そこに書かれたことは 今まで登場した人物は偽名で描かれてはいたが全部実在の人物だったこと この事件の詳細が今も出石の警察署に人知れず眠っていること 去年の年末に彼女が他界したこと そんな裏付けるデータが全てそろっていた事 全てがショックだった
その混乱のまま ワタシはあの人の言葉を読んだ それはある意味私の心に土足で踏み込んでくるものだったが それ以上にあの人がワタシのことを見ていてくれていたことが気にかかった
一人教室で昼食を終え 一人になりたくて静かな場所を探す 少し頭の中を 気持ちを整理しないと・・・
「男の風上にも置けない奴ね」
校舎裏 丁度この角を曲がった辺りから 聞いたような声が聞こえた
「でもどうして? 彼の理由が知りたいわ」
「理由なんてどうでも良いのよ あいつがジェノアを泣かせたのは事実なんだから」
(ワタシが・・・)
「来たわ」
角の向こうで足音が止まる
「何用か?!」
(朝霧君なの?)
「ジェノアを泣かせたのはあんたね」
「結果的にはな」
「責任 取ってもらうわよ」
(ちがう ワタシがワタシに耐えられなかったから だから泣いていたの だから)
「理由はそれだけか?」
(えっ?)
「何よ」
「それだけの理由で私に手を挙げるというのか? 惣流 ・・・もしそれだけの理由で私に手を挙げるのならば 死を覚悟してからにしろ それにこんな事をしても喜ばないだろうな あいつは」
(朝霧君・・・ どうしてワタシなんかに)
「朝霧君・・・」
「なんだい?」
「なぜ そこまでにジェノアさんにこだわるのですか?」
「そうだな・・・」
沈黙の後に 角の向こうから再び彼の声が届く
「そうだな 結果的には一目惚れ そう言って差し支えはないだろうな・・・
だが 今あいつは環境の変化から受けるとまどいと 何か過去のことが共鳴したのか 非常に不安定に見える 誰かが支えてやらねば自ら瓦解するやもしれん ・・・対抗策としてはあいつが不安をうち明けられるほどに心を通わせた人物が必要だ もっとも私が支える必要はない 残念だが 出来るならば同性の方が望ましいだろうな・・・ とは言え 相手の心を受け入れると言うことは 自らの心が傷つくことも受け入れなければならない それだけは知っておいてほしい それに 私は あいつの心の平安が得られるのならば 結果は問わん」
(朝霧君が ワタシに一目惚れ? ・・・
嘘 ワタシなんかを好きになる人なんて・・・
・・・
あの言葉のままに自分の居場所が欲しかっただけなのかな
でも ワタシも誰かにワタシを認めてもらいたい
ただ ワタシがここにいることだけで良いから・・・)
「Genoua・・・」
(え? あ 朝霧君 どうして? あ 皆さんも 気付いてしまったんですね・・・)
彼の瞳が ワタシの視線と合う
「聞いていたのか?」
ワタシは言葉で返事をするよりも先に 頷いていた
「では『その胸に抱くは』は読んだ?」
「読みました」
答えると同時に 思い出される感情
「そうか・・・ では改めて言うよ 私で良ければ 私に君を守らせてくれ 君が望むなら 私の心を 差し出そう」
恥ずかしがるでもなく そう言い切った朝霧にジェノアは
「でも ワタシなんか・・・」
「Genoua Nilvana 君でなくては嫌だ」
「ワタシの事を心配してくれるの?」
「ああ」
「でも 裕美さ・・・」
言いかけて はっと気が付く もしかしたら朝霧君の触れてはならないものに触れてしまうのではないかと でも・・・
「裕美が生きていても 私は同じ事をしただろう もし『放っておいた』なんて知れた方が恐怖だよ だが気になるのならば裕美のことは後で話そう」
まるで気にかけることすら忘れてしまったような口調 ワタシはその時に ああ やっぱりこの人も心が壊れているんだなと感じてしまいました だからかもしれません
「出来れば 返事を聞かせてもらえないかな?」
怖がることすら忘れてしまったような視線がワタシに向けられていました 以前いた教会でもこんな瞳を持った子供がいましたから
ワタシと同じなのかも知れない そう思い・・・
「お願いします」
そう返事をしました
朝霧君は私の事を 自分の居場所が見つけられない状態 と言い表しました
それはある意味間違いではなかったのでしょう
ワタシは四号機パイロットにはなれませんでした
なのに なぜか本部にいます
クラスの方も何人かはワタシの事をあまり良く思っていないようでしたから・・・
朝霧君は いえ タケオはワタシの事を少なからず心配していたようでした
タケオの口から語られたワタシの行動は その及ぼす影響と そして精神状態を考えていました 彼の静かに そして慎重に選びながら話す言葉の一つ一つが ワタシの事を気遣っているのが分かりました
タケオは あの時
初めて学校に行ったとき あの教室で寝ていたらしく ワタシの事を知らなかったそうです
クラスに転校生が来た事も タケオの言葉を借りるなら 日常という波のノイズ程度でしかなかったのかもしれません
具体的にいつ ワタシの事を意識し始めたのか聞いてみましたら
格闘訓練の時に自分を追いつめ立てていたワタシを見たとき
そう答えました
それまでは 自信のもてない自分では仮にだとしてもワタシを支えることは出来ない そう考えていたそうです
でも 今のタケオはワタシの事を真っ直ぐに見つめてくれます
未だあどけない子供のような面もちの中で 静かに
あまりにも純なタケオに 一つだけワタシは断りました ワタシの為に命を落とさないでと
ワタシは大勢の犠牲の上に今の命があります これは誇張ではあっても虚構ではありません
これ以上ワタシの為に誰も死んで欲しくないんです
きれい事かも知れません だとしても ワタシはワタシの為の死は望みません
だからワタシは タケオにはっきりと言いました 「ワタシの為に あなたの命を消すようなことはしないで」と
ワタシから見たタケオは既に耕す者もいない畑を守っている案山子の様に思えました
畑の名前は"宗谷 裕美"
彼はその好きな人をより大きな災厄から守るために ここに来たのでした
でも その為に その好きな人は他界しました
これは後日聞いた話なのですが それからしばらくのタケオは・・・
タケオも私に一つ 要求しました それは・・・
「私の事を決して『優しい』と言わないこと」でした 理由は 聞けませんでした
だって あんなに真剣でいて すがるような視線で見つめられたら
だからワタシは 言葉を発することも出来ずに 彼を抱きしめていました
砕け散ったクリスタルガラスの一欠片を慈しむように・・・
でも タケオはしばらくはワタシの腕の中で慌てていました どうも抱きつかれるのは慣れていないみたいですね
でも 日本はワタシのルーツのある国・・・ 国という言い方はもうしないのですが 國なら良いでしょうか
祖母の愛した人の國
そして ワタシはこの國を愛することが出来るのかなと
タケオにそう言ったら
あの人は ようこそ日出ずる国へ と仄かな笑みを浮かべて
ワタシにこの國のことを話してくれました
神話という物語 そこから続くある家系の物語を
インパクトで失われた物は多く だがそれ故に守るべき者を確認した者達もいた
人々の様々な思いの詰まった八百万の神々が住まう國 日本を・・・
ワタシは好きになれそう そう思うのでした
翌日
「お早うございます」
「ああ お早う 行こうか」
「はい」
二人は寮を出て ジオフロントから地上行きの電車の待つ駅へと 照葉樹の並木道を歩く
ジェノアは朝霧の表情を伺おうと見下ろす 身長差約頭一つ分・・・ 朝霧の頭が丁度ジェノアの口の辺りになる
キスするときにこの身長差が痛いのよねぇ・・・
「はぁ」
「ん? どうした? ため息など付いて」
無表情に近い けど口調はとても柔らかい 彼は壊れた後にがんばってここまで表現できるようになったという
「いえ その」
そんな事を言いながら ワタシがタケオの頭の上を見ていたのに気が付いたのか
「いや 身長ばかりは そう簡単には伸びないからねぇ たぶん176ぐらいにはなると思うよ 私の父親がそうだからね」
「でも この身長差は乙女にはつらいんですよ」
「ご ごめん」
「だから」
「?」
「早く大きくなって下さいね」
「善処します」
そう 彼女の目下の悩みは"朝霧より 格段に 背が高い"ことだった
とは言え 昨日まで悩んでいたことに比べれば 遙かに些細なことなんですけど・・・
今にして思えば ワタシも一目惚れだったのかなと 思わないでもなかったな・・・
経歴
南米生まれ 正確な生年月日は消失 暫定的に2001年8月30日を誕生日としている
消失した正確な生年月日は2001年10月13日
両親祖父母と共に内戦をさけるため北アメリカへと避難の途中 激戦地となった現在のホンジュラス近辺で両親と祖父を失う
それからメキシコを経てアメリカに入り アメリカ中部のとある教会に祖母と共に引き取られ そこで候補者になる
祖母を慕ってはいたが祖母の方はそうではなかったため さらに物心着いた頃には既に両親を失っていたために 親の愛情をほぼ全く知らず 愛に飢えていると言える
彼女の戦闘時の冷徹さは幼い頃の過酷な体験がそうさせていると推測される
通常は内向的で温厚な性格の持ち主 若干引っ込み思案であるものの気の合う間では口数も多い
だがエヴァに乗ると「何か嫌なことでもあったのか?」と思わせるような攻撃的で冷徹な性格に変わると言う二面性を持つこの点はシミュレーターでも同じであった
格闘戦はそこそこだが 射撃 特に動体射撃と射程距離外命中率が鬼
例えば 誰かが近接格闘中でも一瞬のすきを逃さずターゲットに当てる たとえ味方の背中からでも味方の隙間を通して
学校成績
日本語の知識(新聞が満足に読める程度)があるからか日本語と英語の成績はよい 国の違いもあり他の教科はまちまち
イメージ
クラスメイトの中では背は高い方 日系6世辺りのラテンアメリカ系の体格で華奢な体つきをしている
腰まで届くしなやかなストレートの金髪の持ち主だが 当人は日本人の黒髪にあこがれている
目は欧米人のような青い瞳 肌の色は黄色と白色の中間ぐらい
なぜか日本語は非情に丁寧でだいたいは敬語を使って喋る
日本文化に深く関心を持ち結構なじんでいる・・・
服装など
ラフで派手な服装が多い 制服は嫌いなようだ
備考
趣味は読書 初めは一人でいることからの逃避行動としていたが 現在ではただの趣味
幼少からの経験からか他人には人一倍警戒心を抱く 逆に一度得た信頼を裏切ることはしない
手と目ともに右利き 基本的に扱う銃はオートマチックタイプ
朝にとても弱い
敬虔なキリスト教徒であるが現実と信仰がぶつかる場合は現実を選択する 因みにイエズス会です
おまけ
Ex Genoua Nilvana
「あの そう言えば私のキャラクターの元になったのは どなたなのですか?」
「それを説明するには 君というキャラクターの作られた経緯を説明する必要があるな」
「はあ お願いします」
「まずはじめに BLEAD氏が まだキャラを募集しているとの事に気が付いた私は もう一人作ろうと どんなキャラクターが良いか考えはじめた とりあえず一人目は男性だったので 二人目は女性に決めた 次ぎに決まったのは 不幸な生い立ちを背負わせること 関連して現実主義的な考えを基本的に持っている人物と考えた そこから生まれたのがEVAの中等の攻撃的な性格だ」
「は 初めから あの性格が決まっていたなんて・・・」
「まあそう言うな それで外観だが」
「はあ」
「容姿は まったく考えていなかった」
「・・・。(この人はぁ・・・)」
「で経歴を参考に作成
南米生まれの日系6世ぐらい 遺伝情報はだいたいラテン系
若干の顔の作りと流れるような髪質を祖母の系列から引き継いでいるとし 豪奢なナチュラルストレートな金髪となる
実はこの時KAZU殿の好みの話が持ち上がっており膝ぐらいのストレートな髪というのは決まっていたんだ
その後金髪の人っていないなと思い起こし 金髪に決定した 本人は黒髪に憧れているとしてね
その理由の一端が市松人形の艶やかさというのはBLEAD殿の追加設定だ」
「はぁ そう言えば遺伝的に金髪の人ってメインキャストではいませんよね」
「ああ 赤木は染めだしな」
「そう言えば あの緑みの髪の方も髪が長いですね」
「ああ 女性的な外観を持つ男性 という考えで書いている 理由は鉄腕アトムと同じ様なものだがな さらに彼の伴侶はその対になっており ボーイッシュな外観をもつ だが彼女は男性に間違われることも・・・ ただ かわいそうに彼女はAAなんだ」
「・・・ ! 洗濯板」
「ほぅ よくそんな言葉を知っているな」
「いや まあ その・・・」
「だか お前さんのそのへんのデータは無いんだ」
「?」
「いやラテン系の人の平均サイズなんて 知らないしな どのくらいが良い?」
「そ そんな急に言われても」
「そうか ではダイスを振ってと ・・・Bでいいか?」
「は はぁ(複雑な心境)」
「Bは嫌か ではもう一度 ・・・ AAって出たんですけど どうします?」
「び Bで良いですう(洗濯板は嫌ぁーーーーーーーーーーーーっ!)」
「分かった それから全体的な容姿は平均値以上としておくよ KAZU殿の話ではクラスの女子自体がそう言うことになっているようだし」
「そういえば そんな事も書いてありますね」
「それから 最近になって気が付いたのだが・・・」
「なんでしょうか?」
「"ゆうな"という某キャラに似ているんだよねぇ よく考えたら 豪奢な金髪とか甘えている時のイメージが 重なるんだよねぇそれから瞳の色は朝霧と同じ碧眼ね」
「・・・」
「まぁ 今回はこの辺りだな」
「はぁ・・・」
おまけ
Ex Genoua Nilvana 続き か?
「心って難しいなぁ 書き直しも楽じゃないし・・・」
「書き加えの間違いだろう」
「浅葱か 所でこのキャラも金髪で背が高いのでな 明るい方の彼女はこれを参考にして書いてみようかと」
「ああ このキャラか しかしジェノアは八重歯ではないぞ ポニーテールは似合うかもしれんが」
「何が似ているかって 浅葱に対して感情をストレートに表現するところかな」
「抱きついたり キスする事も含めてか?」
「もちろん そのたびに慌ててしまう朝霧の条件反射も楽しいけどね」
「しくしく」
「話は変わるが単純に考えて近接破壊能力に長ける朝霧と射撃能力Ex-Sなジェノア この二人のペアって結構相手にするのって嫌なんじゃないかな シミュレーターなんか特に」
「この前対戦したら蜂の巣にされたし・・・ おかげでシミュレーターも最短時間記録保持者になってしまったよ あれではサバイバルゲームでも森でない限り勝つ自信はない」
「あははは 何せ射撃能力Ex-Sの設定だから 今度高精度のエアガンでもプレゼントしたら?」
「エアガンって そう言われてもね あの人結構銃器にはうるさい方だから」
「お前が刃物にうるさいように か?」
「違いない」
「ああそれから」
「なんだ?」
「朝霧君は山守な狩人で それとジェノアさんはガンマンなシスターで良いかな?」
「何?」
「まぁ いいじゃないか」
「なんだ それ」