「こんな所まで、じぇりーずが」
指先で突っついて、目の前の宙に浮くクラゲ"じぇりーず"の感触を楽しむ希亜。
ここは男子寮の廊下、その天井付近で逆さまの希亜は、同じく宙に浮いているじぇりーずを突っついている。
「ぷにぷにしてて、柔らかい〜」
今度は手で触れてみる。
「冷たくて気持ちいい〜」
そして…
「誰だ、俺のじぇりーずを捕まえている奴は」
魔樹はじぇりーずを通して、先ほどから何かにのしかかられているような、そうでないような妙な感覚を覚えていた。
そんな彼がじぇりーずの元へと、寮に入る。
「こっちか?」
階段を上った先には。
「すーすーすー…」
ふよふよと浮いているじぇりーずを、クッションにでもするかのように、希亜は同じくふよふよと浮いたまま、うたた寝の中に…
「ええい起きろ!! 俺のじぇりーずを枕にするな!!」
「あと五分…」
うたた寝のままに返事を返した希亜に、魔樹はじぇりーずを手元に呼び寄せる。 が、まるで紐で括り付けているかのように希亜もついてくる。
「ええい 起きろ!」
眠そうな希亜の碧眼が開き、一度目を細める
ごそごそと眼鏡を取りだし掛けると、魔樹の方を向き。
「あ、隼さん」
「あじゃない! はやく俺のじぇりーずから離れろ!」
「はひ!」
魔樹の剣幕に驚いたのか、希亜は飛び退くようにさっとじぇりーずから離れる。
「全く」
「でも、冷たくて気持ちよかったです」
そう言った希亜に、魔樹の刺すような視線が向けられる。
「ごめんなさい」
しゅんとして深々と頭を下げる希亜に魔樹は。
「次からは、気を付けてくれよ」
そう言うと、じぇりーずを伴って行ってしまった。
誰もいなくなった廊下で希亜は。
「ウォータークッション、欲しいな」
そんな事を呟いて、この場から離れて行った。
そんな訳で(どんな訳だ?)突発ショートショートLの二つ目です
いや 本当に唐突に浮かんだネタで 短いのを書く と言う程度の物ですけどね
キャスト(登場順)
じぇりーず
隼 魔樹