イエメンの情報ノート

(2000年7月)

ビザ

イエメンに入国するにはビザが必要です。日本で申請する場合はイエメン共和国大使館へ行って申請書と一緒にパスポートと英文日程表、写真を提出して、翌々日には発給されます。受け取り時に5000円を支払います。ついでに治安状勢を聞いたり、観光パンフレットももらっておきましょう。
日程表には英文でイエメンでの滞在地と日付、ホテル等の連絡先、出入国のフライト、氏名、日本の住所などを書いておきます。

言葉

イエメンの公用語はアラビア語です。観光客が利用するようなホテル、タクシーでは英語もそれなりに通じますが、それ以外の場所ではほとんど通じません。 文字や数字もアラビア語でしか書かれていないことがほとんどです。アラブ諸国を旅するにはやはり数字と挨拶ぐらいは覚えておいた方が助かります。

通貨

イエメンの通貨の単位はイエメンリアル(YR)、通常はリアルといいます。 2000年7月のドルからリアルへの交換レートは サナアの空港内の銀行で 1USドル=150リアル、 市内の両替所で 1USドル=156〜162リアルでした。リアルからドルへの両替も可能です。
ホテルや土産物屋ではドル払いが可能なところもあります。サナア市内には両替所が何軒もありますが、小さな地方都市では両替所はほとんど見かけないので注意が必要です。 国際線でサナアの空港に到着した場合はパスポートコントロールカウンタの左手前に銀行があります。レートは町中より良くありませんが必要な分だけ両替しておきましょう。

治安

イエメンは外務省から渡航延期勧告(危険度3)が出されました。危険度が下がるまでは行かない方がいいでしょう。こうした状況でどうしても旅行するというならある程度のリスクは考えなければなりません。部族間紛争の起きている地方には立ち入りが許可されないし、誘拐事件などが起こりそうな場所では護衛が付くなどするのでほとんどの人は無事に帰って来れるし、実際に旅してみるとヨーロッパより安全だと思えるくらいですが、それは運良く安全に旅が出来た場合に言えることです。だれも100%の身の安全など保障してくれませんから自己責任で行動して下さい。
旅行者が普通に行ける地域であればイエメンの人たちは親切な人が多く、いい人ばかりに見えてしまうのですが基本的な注意は怠らないでください。
状況は常に変わりやすくテロ事件や誘拐事件も実際に起きているので渡航前と現地に着いてからの情報収集は必ず行ってください。

交通

イエメンの交通事情はその時の治安状況によって制限されることがあります。
2000年7月の時点ではサナアからハジャラ、シバーム、コーカバン、マーリブ、アムラン、ハッジャなどの他の町へ行く場合、観光省の許可証がないとサナアから郊外に出る幹線道路にあるポリスのチェックポイントで通してもらえませんでした。
サナアからマーリブ、アムラン、ハッジャ方面へ行く場合は旅行者の車はまとまって機関砲やパトカーの護衛付きでの移動になります。
乗り合いタクシーやバスで行くことが出来れば数百円程度で行けてしまうところですが、これらの交通機関では許可証を発行してくれないのでタクシーをチャーターするか旅行会社のツアーに参加するかして許可証を発行してもらう事になります。許可証なしで乗り合いタクシーの乗り場に行っても乗せてもらえませんでした。
サナア市内ならばダッバーブという乗り合いのワゴン車を利用するとタクシーより安くあがります。
ハドラマウト地方ではサユーンからシバーム、タリムなどの町への移動には乗り合いタクシーが利用出来ます。サユーンからシバームまでが70リアル、サユーンからタリムまでが120リアルです。ある程度人数が集まらないと出発しませんがスペシャルと言うと貸し切りになります。
サナアからハドラマウト地方へ行く陸路のルートは治安が度々悪くなるので空路がお薦めです。サナアからサユーンへのフライトはイエメニア航空で片道79USドル(40%ディスカウントらしいです) でした。サユーン行きのフライトでは右の窓際のシートに座ると砂漠の摩天楼シバームの町が眼下に見えます。

お薦めタクシードライバー

モハメドとその息子のイシャームポリスのチェックが厳しい時期であったという事情もあってサナアを起点にした観光にはタクシーをチャーターして廻りました。この時ドライバー兼ガイドをしてくれたモハメド・アローリーさんは途中で買ったミネラルウォーターや茶、時には食事代まで出してくれたり、護衛の人にいくらかチップを払っても後で料金に加算して要求したりもせず、安全運転で、英語も話すイエメンの中でもお薦めのタクシードライバーです。
料金は1日貸し切りで60USドル(マーリブ往復は80USドル)でした。旅行会社で同じようなツアーを頼んでもやはりそれくらいかかるので、イエメンの物価からすれば贅沢になりますが、快適さや自由度、効率を考えるとかなり快適なサービスを提供してくれると思います。



宿

GOLDEN DAAR TOURIST HOTEL趣のあるサナア旧市街の中には伝統的なイエメンスタイルの家を改装したホテルが何件かあります。どこの家にもマフラージと呼ばれる展望室とテラスがあって、ここからはとてもすばらしい旧市街を眺めることが出来ます。
ただ、旧市街の中にあるこれらのホテルは少し高めな割には清潔好きの人には快適とは言い難い所も多く、テラスからの眺めとは裏腹に、ひとりでいると滅入ってしまうような部屋だったりするところもあります。そんな中で部屋も比較的綺麗で居心地が良かったのはGOLDEN DAAR TOURIST HOTELです。(バス・トイレ共同、朝食付き、シングル16USドル)バーバルヤマンから旧市街の中を通ってこのホテルにたどり着くのは道が迷路のようになっていてかなり分かりにくいので道路になっている枯れ川の方から入って行ってください。他のホテルの屋上からの眺めも捨てがたいものがあるので何軒か部屋を見せてもらうついでに屋上も見せてもらうといいかも知れません。中級クラスの宿は旧市街の外になりますがSINBAD TOURISM HOTELが清潔で眺めも良く便利な場所にあります。ただ、通りに面した部屋は車やバイクの音がちょっとうるさいのが難点です。部屋によって冷蔵庫があったり無かったりと値段や設備も多少異なってます。(バス・トイレ、テレビ、朝食付き、シングル25USドル)
ハドラマウト地方の観光の拠点になるサユーンでは王宮近くのRAYBOON TOURIST HOTELが値段も手頃で比較的きれいでお薦めです。(バス・トイレ、エアコン、テレビ付き、1500リアル)

カート

イエメンではカートと呼ばれる植物が嗜好品として欠かせない物となっています。 軽い覚醒作用があると言われ他の国では禁止されているところもあるのですが、アルコールほど酔うものでもなく、これでラリっている人も見たことはありません。カートは普通みんなが集まってのんびり話しながら葉っぱを噛んでそのエキスをすいながら噛みかすを片方のほっぺたがパンパンになるまでためていきます。何度かカートを噛む機会がありましたが、ただ葉っぱを噛んでいるという感じで感覚的には何も変わったことはありませんでした。カートは酔うことが目的というよりは、みんなでくつろぐ場を持たせる社交の手段という意味合いの方が強いみたいです。


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