農耕と牧畜の開始(文明への始り)農耕開始の最も重要な点は、人類が穀物の大量生産により食物を貯蔵・保管できるようになったという点にある。これにより、日々の食物獲得に追われる生活から解放される人々がでてきて、文明を築き上げていくことになる。 野生動物の家畜化は、狩猟民によってなされたとする説と、農耕民によってなされたとする説があるが、遊牧の開始は農耕のはじまりよりも遅いものと考えられるようになってきている。 【農耕と牧畜の発生地】 従来、農耕はメソポタミアで始まり、そこから世界へ広がっていったという一元説が唱えられてきましたが、現在は、いくつかの地域で独自に農耕が始まったという説があり、この方が妥当性があるように思われます。なお、「 」は、中尾佐助氏が名付けている名前です。 |
1 東南アジア「根栽農耕文化」 サトウキビ、タロイモ、ヤムイモ、バナナ |
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2 メソポタミア「地中海農耕文化」 大麦、エンドウ、ビート、小麦 |
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3 メソアメリカ「新大陸農耕文化」 ジャガイモ、菜豆、カボチャ、トウモロコシ |
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4 西アフリカ「サバンナ農耕文化」 ササゲ、シコクビエ、ヒョウタン、ゴマ |
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【農耕の発展】 従来、農耕は大河のほとりで始まったとされてきましたが、メソポタミアの研究では、まず北イラクの山麓地帯(ザクロス山脈やレバノン山脈の西側)で雨水を利用してはじまり、ジャルモ、ハッスーナ、ハラーフ、サッマラ、エリドゥと伝わり、しだいに南下して、やがてティグリス、ユウフラテス川下流の大規模な灌漑農耕へ発展していったと考えられます。 大河の水を利用した大規模な灌漑農耕が、豊かな収穫を可能にし、大量の余剰生産物を生みだしました。これが、文明の発生へとつながっていった。したがって、農耕=文明ではないのであって、大規模灌漑農耕が文明を生む基盤となりました。 【農耕の伝搬】 |
パレスチナ(BC9000年頃) → メソポタミア( 帯文土器の伝搬により後付けられる(チャイルドの研究) |
メソポタミア → エジプト(BC4500年頃) → 北アフリカ → イベリア半島 → 西欧 → 北欧 エジプトに発する巨石文化の移動と同じ |
メソポタミア → スーサ → シジスターン → インダス流域(モヘンジョダロ・ハラッパ)(BC3500年頃) エジプトに発する巨石文化の移動と同じ |
メソポタミア → スーサ → アナウ → トルファン → 蘭州 → 仰韶 彩色土器の系統を追跡(アンデルソンの研究) |
他の農耕文化の伝搬についても、研究が進んでいる。 【日本の農耕と牧畜】 縄文時代中期ころ、狩猟や採集と並んでアワ、ヒエ、豆類、根菜類を焼畑方式で栽培していたと考えられる。 日本における牧畜は、農耕と結びついた形で発達してきたと考えられる。 KYODO NEWS ≫ 稲作伝来、500年早い 歴民博が放射性炭素測定で 国立歴史民俗博物館 ≫ 弥生時代の開始年代について 正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現 ≫ 日本から朝鮮半島への米の伝播について・稲作の伝播のまとめ 〜個人のブログ。非常に説得力があるのですが、出典が「Yahoo!掲示板」となっています。どう扱ったらいいのやら。 参考文献 「文明の誕生」伊東俊太郎著、講談社学術文庫、1988年 「日本大百科全書 2001」小学館 から「農耕文化」中尾佐助著、1987年 「世界歴史大事典」(株)教育出版センター から「農耕」および「牧畜」、1991年 安田火災海上保険株式会社 ≫ 環境公開講座 ≫ 1998.10.13講義 「環境と文明」の2農業革命(講師:伊東俊太郎氏)〜この文献を基に、一部見え消しで修正 MSN Encarta(UK) ≫ Reference ≫ Agriculture (Page 2 of 3)〜この文献を基に、一部見え消しで修正 のぶさんのアジア通信 ≫ 第二部 資料編 詳細目次 ≫ 第二部 資料編 第2章 照葉樹林文化 第3節 農耕文化 第7項 稲作 KYODO NEWS ≫ 稲作伝来、500年早い 歴民博が放射性炭素測定で 国立歴史民俗博物館 ≫ 弥生時代の開始年代について 更新 2012/10/23 |