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#1700
バラージ 2018/03/25 22:16
Y(諭吉)の悲劇
映画徒然草の感想の続きです。
『福沢諭吉』
今に到るまで観てはいないんですが、公開前に映画館でポスターが貼られているのを見かけた記憶があります。映画という趣味にハマった大学時代で、当時そのポスターを見た時に思ったのは、「うわ〜、地味で退屈そ〜」というもの。偉人の伝記ってだいたい退屈なものだし、福沢については通りいっぺんの知識しかなかったんですが、福沢の生涯って劇場の大画面で2時間映すくらい画になるのかなあ? テレビの2時間スペシャルで十分なんじゃ?と思っちゃったんですよね。演じるのが柴田恭兵ってのもイメージ的にちょっと……。まあ大河で上杉謙信とか演じてましたが、当時はなんといっても『あぶない刑事(デカ)』でしたから(そういや仲村トオルも出てたな)。柴田さんもそういうイメージの固定化を嫌って、こういう役をやろうとしたのかもしれないけど。
そしてもう1つ驚いたのが監督が澤井信一郎ということ。僕はその数年前までは山田洋次や黒澤明など超有名な一部の人を除けば日本の映画監督をほとんど知らなかったんですが、映画にハマるようになって映画の本などを読むうちに、「へぇー、この映画もこの監督だったんだ」と認識した監督の1人が澤井信一郎。澤井監督は松田聖子の主演デビュー映画『野菊の墓』で遅咲きの監督デビューをし、以後は薬師丸ひろ子主演『Wの悲劇』、原田知世主演『早春物語』、石原真理子主演『めぞん一刻』、河合美智子主演『恋人たちの時刻』、後藤久美子主演『ラブ・ストーリーを君に』と、もっぱらアイドル映画、というより若手女優による女性青春映画を80年代に撮ってきた人です。そんな監督が福沢諭吉なんてどう考えても畑違いなんじゃないかと。CMや自主映画出身者が多くなった当時には珍しく澤井監督は撮影所出身だったそうなんで、あるいはひょっとしたら職人監督として来た仕事を受けただけなのかもしれないけど、それにしてもあまりに方向性が真逆というか。
ちなみに僕は上記作品のうち『Wの悲劇』をそれ以前にテレビで観てこの頃にビデオでまた観返した他、『ラブ・ストーリーを君に』もやはりこの頃ビデオで観ています。いずれも非常にウェルメイドな佳作でした。特に『Wの悲劇』は薬師丸ひろ子を大人の女優へと脱皮させた80年代を代表する名作の1つと言っていいでしょう。「私がおじいさまを殺してしまった!」「顔はぶたないで! 私、女優なんだから!」という台詞は流行語にもなりましたね。これら80年代の作品群に比べると、90年代以降の澤井監督の作品は今一つパッとしない印象。やはり澤井監督の最盛期は、少女から大人になりゆく女性を描いた青春映画を撮り続けた80年代だったんではないでしょうか。
>ガンダムシリーズ
僕は『Z』派で他に『∀』や『V』も好きという人間なんで、アムロやシャアにそれほど思い入れはありません(ファーストも好きではありますが)。富野ガンダム派と言った方がいいかな? 富野ガンダム以外で観たのは『X』『0083』と、『SEED』を途中まで。
好きな順番は、『Z』>『∀』≧『逆襲のシャア』>『V』≧ファースト≧『ZZ』>『X』>『F91』=『レコンギスタ』=『SEED』>『0083』って感じですかね。
#1699
バラージ 2018/03/22 20:32
80年代ジャッキー
改めて更新&リニューアルご苦労様です。今回追加された中で僕が観た映画は『サンダーアーム 龍兄虎弟』『プロジェクトA2 史上最大の標的』『カンフー・ヨガ』『ジョーズ』『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』。そのうち『カンフー・ヨガ』と『最後のジェダイ』についてはもう書いたんで、それ以外の映画についてざっと感想を。『サンダーアーム』『プロジェクトA2』についても#1674でもうある程度書いてますが、映画徒然草を読んで追加で書きたくなったことがありまして。
『サンダーアーム 龍兄虎弟』
僕がジャッキー映画を映画館で初めて観たのは『プロジェクトA』だったんで既にこの頃は大ファンだったんですが、頭蓋骨骨折の重傷というニュースを新聞の夕刊で見た時は本当にびっくりしましたね。当初の監督だったエリック・ツァン(香港映画ではお馴染みの俳優でジャッキーの近作『スキップ・トレース』『カンフー・ヨガ』にも出演)の指示でジャッキーは珍しく短髪にしたんですが、撮影再開後は頭のケガの跡を隠すために長髪に戻っちゃったんだとか。よって短髪のところがケガ以前のツァン監督パート、長髪のところが撮影再開後のジャッキー監督パートとなります。またメイ役を演じてるのは『スパルタンX』でヒロインだったスペインのローラ・フォルネルなんですが、当初演じる予定だったのはシンシア・ラスロックという香港映画で活躍してた米国出身のアクション女優だそうで、もしかしたらメイも当初はアクションしまくる役柄だったのかも。ロザムンド・クワンとWヒロイン状態がなんだか余計に感じたし、正直ラスロックってアクション抜きじゃちょっと……って女優なんですよね。出てるのもB級アクションばっかだし。
撮影してた場所がユーゴスラビアだったのも意外でした。「えっ! 社会主義国で撮影できるんだ」と。まあ1984年にはサラエボで冬季五輪やってましたが、当時は国際社会でのユーゴの独特な立ち位置もまだ知りませんでしたし。ジャッキー出演映画で最初に海外ロケをしたのはサモ・ハン監督『スパルタンX』のスペインロケ。狭い香港で撮影することに限界を感じていたサモが提案し、ジャッキーもその意見に同意したとのことで、以後は本作や『プロジェクト・イーグル』『ポリス・ストーリー3』と海外ロケ作品が増えていき、90年代後半になると『レッド・ブロンクス』『デッドヒート』『ファイナル・プロジェクト』『ナイスガイ』『WHO AM T?』とほとんどが海外ロケ作品となります。
『プロジェクトA2 史上最大の標的』
ジャッキーは、もともとは自作の続編に否定的だったが大ケガをしたことで心境の変化があったみたいなことを言ってますね。それと映画を当てる必要性から自身最大のヒット作の続編をということになったんではないかと。
本作撮影時にサモ・ハンとユン・ピョウが撮影してた映画はサモ監督&主演、ユン・ピョウ共演の『イースタン・コンドル』というベトナム戦争直後が舞台のアクション映画(僕は未見ですが多分『ランボー 怒りの脱出』みたいな作品)で、全編フィリピンロケだったためゲスト出演も不可能だったそうです。サモはユン・ピョウ以外にもユン・ワー(『サイクロンZ』『ポリス・ストーリー2 九龍の眼』のラスボス)とコリー・ユン(監督として著名)の弟弟子たちに、ディック・ウェイ(『プロジェクトA』のラスボス)、ユエン・ウーピン(アクション指導として著名)、ラム・チェンイン(『霊幻道士』の道士さま)、倉田保昭などアクション俳優をたくさん引き連れていったそうで(『キリング・フィールド』のハイン・S・ニョールも出てる)、『プロジェクトA2』のアクションがやや薄いのはそのせいもあるのかも。
もともとサモは弟弟子のジャッキーが自分以上の人気アクションスターになったことに複雑な感情があったようで、ライバル意識も強かったとのこと。京劇学校時代には一番年上の兄弟子で兄貴風を吹かせるサモにジャッキーは反抗的で、派手なケンカを繰り広げたこともあったそうですし、映画界入りした後はそれぞれ『燃えよデブゴン』『酔拳』で同時期にブレイクしてライバル関係のようになり、周囲にお互いの悪口を吹き込むやつがいたこともあって不仲になった時期もあったそうですが、直接会って話すうちに和解。サモ監督&主演『五福星』にジャッキーがゲスト出演し、ジャッキー監督&主演『プロジェクトA』にサモが出演。以後『スパルタンX』『ファースト・ミッション』『大福星』『七福星』『サイクロンZ』(いずれも監督はサモ)と共演が続きますが、上記の通りサモがジャッキーの下風に立つことを望まず、徐々に別々の道を歩むことになったようです。
京劇学校で一番年下だったユン・ピョウはサモにもジャッキーにも可愛がられ、サモ監督『モンキー・フィスト 猿拳』で主演デビューし、ジャッキー監督&主演『ヤングマスター 師弟出馬』にも助演など、以前から2人と個別には共演してました。
『プロジェクトA2』の話に戻ると、中盤のマギー・チャンの家にいろんな人が来て鉢合わせしないようにかくれんぼ合戦になるところが抱腹絶倒に面白かったんですが、あそこはマルクス兄弟の映画からヒントを得たそうです。もともとジャッキーはサイレント時代の喜劇映画が好きで、終盤の巨大看板が倒れてくるシーンも『キートンの蒸気船』からのいただきですし、前作の有名な時計台シーンも『ロイドの要心無用』のいただきなのは有名な話。
『ジョーズ』
昔テレビの地上波(日本語吹替)で観ました。多分1回しか観てないような気がするんだけど何回か観たかなあ? どっちにしろ最後に観たのはずいぶん昔なんですが、結構細かく記憶にあります。面白かったですね。あのサメが近づいてくる時の音楽とサメの背びれはいろんなコントやマンガや映画なんかでパロディにされました。
シリーズは『2』と『3』も同じくテレビで観てまして、僕は『2』も第1作ほどではないにしても結構面白かったんですよ。ただ『3』はつまらなかったなあ。やっぱりロイ・シャイダーが出てこなかったからだろうか?
あともう1作、僕は観てないんですけど『福沢諭吉』についてもちょっと書きたいことがあるんですが、長くなっちゃうんでまた次回に。
#1698
つね 2018/03/21 21:22
SW感想からの連想
いつの間にか更新されてますね。お疲れ様です。
「最後のジェダイ」については、かなり私の感想に近いものになっています。
まあさらに言えば、ルークとレイって師弟関係と言えるほどに通じ合えなかったように思うんですよね。「3つ教える」と言いつつ2つだけだったし。あくまでネット情報ですが、未収録映像では、ルークが「3つ目の教えだ」とレイをからかって、レイが呆れて星を出ていくというストーリーだというし。ルークの見せ場もレイがみんなが行き止まりになったところに現れて救出しなければ無意味だったし。どこか見せ場を作ってからストーリーを考えているように思える点がところどころあります。ローズが特攻して「愛する人を救う」みたいなこと言ってキスしている背後で、基地の扉が破壊されて仲間を危機に陥れているのは、狙ったシーンなんでしょうが、共感は得られんでしょう。ローズの評価はジャー・ジャー・ビンクスなみという噂もありますが、脚本の犠牲者でしょう。
で、ここからが本題で(笑)、今回の場合、専門家と素人の評価の差が気になりました。専門家も素人も高く評価するのが「名作」、専門家は高く評価するが素人は低評価なのが「芸術作品」または「実験作」とか「前衛的」、逆が「娯楽作」、どちらも低評価が「駄作」ということなのかな。先ほど思いついたのですが、当たらじといえども遠からずでは。まあ今作は素人も賛否両論で、みんなが低評価ではありませんが。
もう一つは、「スカイウォーカー家の話」ではなくなってきたこと。私はナンバリング作品+ローグ・ワンを一通り見ているとは言え、そこまで思い入れがあるわけではないと思っていましたが、寂しく思っている部分はあります。「世代交代」として評価する面もあるようですが、前述のとおり、あまり師弟関係なさそうだったし。ルークとカイロ・レンのほうが師弟関係だけど、壊れたまま終わったし。「ガンダム」なんかでもアムロとシャアの話でなくなると興味失っているからなあ。そんなに原理主義でもないつもりなのですが。ただ「ガンダム」の場合、「Z」や「ZZ」でそれぞれ主人公は出てきているのですが、使い捨てにしてしまったので思い入れがファースト登場人物どまりになってしまったというのもあると思います。それでも新世代のガンダムファンは旧作を見返すでしょうし、SWもそうなるのかな。
あ、別サイトですけど、索引楽しみにしています。
#1697
バラージ 2018/03/20 01:10
更新ご苦労様です。
感想については後でゆっくり書き込みませていただきますが、誤記の指摘を一か所だけ。
『プロジェクトA2』のサブタイトルは正しくは「史上最大の標的」です。
#1696
徹夜城(支配人) 2018/03/19 23:45
久々に更新しました。
とっくにお気づきの方も多いでしょうが(なんだかんだで結構アクセスありますね)、「栄耀映画徒然草」を久々に更新。実はだいぶ前に書いたもの、あるいは長らく途中放置だったものをまとめて10本アップしただけで、最近見たものは半分くらいかな…と。
最近見たものだとあと数本は書かなきゃいけないんですが、それでなくてもズルズル更新が遅れてますからね、とりあえず「ジョーズ」書いたところでアップしました。今後はもう少しコンスタントな更新を心がけたいですね…ってそんなこと十何年言ってたりして(汗)。
ついでといってはなんですが、この伝言板の過去ログも一つ増やしております。
あとは「歴史映像名画座」ですが、実は以前から懸案だった「索引システム」を構築中。いろいろ試して、これならいけるかな…というのをチビチビと進めております。作品追加と同時に公開する予定。
#1695
バラージ 2018/03/16 18:11
あれから“まだ”7年
DVDで『彼女の人生は間違いじゃない』という映画を観ました。去年地元の映画館で公開されたんですが、1週間だけの上映だったので観に行き損ねてしまった映画です。
福島県出身の廣木隆一監督が自らの処女小説を映画化した作品で、福島県いわき市の20代の女性市役所職員が主人公。震災で母親を失い、田んぼが汚染されて農業ができなくなった父親は補償金でパチンコ浸りの日々。彼女は週末になると深夜バスで東京に向かい、渋谷でデリヘル嬢をしている。あの時から止まったままの時間、どこにもやり場のない気持ち。デリヘルのマネージャー、別れた恋人、仮設住宅の隣人たち。痛みを抱えたまま出口の見えない日常の中で同じところを回り続ける人々。廣木監督の描き出す震災後の風景はどこまでもリアルで、どこまでも痛切な痛みに満ちています。
主人公の設定は廣木監督『さよなら歌舞伎町』の登場人物のうち女の子2人の設定を組み合わせたような感じで、なんといっても主演の瀧内公美が素晴らしい。故郷を失い、自分でもどうしようもない行き場のない気持ちを抱えた女性の姿を見事に演じきっていました。全然知らない女優さんでしたが、フルヌードも辞さない熱演に魅了されましたね。本当に素晴らしかった。そしてその脇を固める光石研、高良健吾、柄本時生、蓮佛美沙子らもいずれも好演。
これはやはり映画館で観るべき映画だったなあ。とても良かったです。
>その他に観て面白かった映画
『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』
2014年に公開された犬童一心監督の映画で、当時は犬童監督作とはいえなんか若い女性向けのベタな恋愛ものっぽいなあと思って、迷った末観に行かなかったし、DVDになってもレンタルする気が起きなかったんですが、WOWOWで放送されたんでタダならと思って観てみました。
そしたらこれが予想外に面白かった。紛れもない犬童流のちょっとファンタジー風味を含んだ恋愛映画で、テイストというか雰囲気は同監督の『グーグーだって猫である』(映画版&テレビドラマ版)にちょっと似た感じ。内容的には、僕の好きな『恋しくて』や『欲望の翼』と同じ片想いの連鎖というある意味王道パターンの恋愛もので、主演の嵐の相葉くんも意外とハマり役で好演。そしてヒロインの榮倉奈々とハン・ヒョジュがなんといっても超絶可愛い。さらに脇役の小市慢太郎さんがこれまたいい味出してます。さすが犬童監督、いい役者そろえたなあ。これもやっぱり映画館で観るべきでした。
犬童監督はこの映画の後は『グーグーだって猫である』『夢を与える』などWOWOWドラマの監督や、処女小説『我が名は、カモン』の執筆、そして毎年末の市川準映画祭の企画など、映画監督からは遠のいていたんですが、今年久々に『猫は抱くもの』という新作映画が公開されるとのことで、楽しみにしています。
#1694
バラージ 2018/03/05 19:42
大人の入り口で立ち止まる少女
『星空』という台湾映画を観ました。
台湾の国民的人気絵本作家ジミー(幾米)の原作絵本を『九月に降る風』『百日告別』のトム・リン監督が映画化した2011年の作品で、日本では2012年に映画祭で上映され好評を博したにも関わらず、その後日本での版権の所在がわからなくなっていたとのこと。
13歳の中学生の少女が主人公。両親の不仲もあって孤独な魂を抱える彼女は、影のある転校生の少年に直感的にシンパシーを感じ、2人はあるきっかけから仲良くなる。やがて少女が慕う田舎の祖父が亡くなり、両親も離婚することに。孤独感を深めた少女は自らの居場所を求めるかのように、幼い頃に暮らした祖父の家へと少年とともに向かう。そこには祖父と見上げた満天の星空の思い出があった……というストーリー。
いやぁ〜〜〜、いい映画でした。台湾の青春映画には時々こういう当たり映画があります。主人公が13歳という年齢なんで内容的には児童文学の雰囲気に近く、青春映画というよりも児童映画、もしくは思春期映画とでも言うべき作品かな。13歳ぐらいの子を主人公にした映画って案外少ないんですよね。高校生を主人公にした青春映画はやたら多いんですが。ジミーの絵本の映画化作品は香港の恋愛映画『恋の風景』を観てますが、静かで切なく、暗く悲しい雰囲気がこの映画とよく似ています。ジミーの絵本は読んだことないんですが、そういう作風の作品なのかもしれません。
主人公の少女役のシュー・チャオと少年役のリン・フイミンもすごくいい。7年も前の映画なんで、2人とも今ではすっかり大人になっちゃっただろうけど。そして最後に大人になった主人公役で特別出演しているグイ・ルンメイ。相変わらずお美しい。彼女が出てくるだけでパッとスクリーンに惹き付けられる華があります。やっぱり映画は女優で観るもんだよなあ。
#1693
バラージ 2018/02/02 17:19
人は誰もが伊藤くん
『伊藤くん A to E』という映画を観ました。原作は柚木麻子の小説(未読)で、去年テレビドラマ版が放送され、当初からドラマと映画がほぼ同時進行のメディアミックスとして製作された作品です。
ドラマ版のストーリーは、数年前に大ヒットドラマを手がけたがその後はスランプに陥り書けなくなった落ち目の独身アラサー女性脚本家(E・木村文乃)を狂言まわしに、彼女が開いた恋愛相談イベントに来た4人の女性(A・佐々木希、B・志田未来、C・池田エライザ、D・夏帆)の悩みの種がいずれも「伊藤」というクズ男だったことから始まります(原作はA〜Eが順に書かれた連作短編らしい)。伊藤と5年も付き合いながら性的関係に到らず恋人扱いもされないA、恋愛に興味がないのに伊藤にストーカーまがいの行為をされるB、男とすぐ寝るが関係が長く続かず、伊藤との恋がうまくいきそうな親友から寝取ってしまうC、その親友でずっと伊藤に片想いしながら処女の重さゆえにフラれるD。復活するための新作のネタになると踏んだ脚本家は、心の中で「この馬鹿女ども」と毒づきながら自らの脚本のネタになるように彼女たちをけしかけるが、やがてそれぞれの伊藤が全員同一人物だとわかり、しかもそれが脚本家主催のドラマ研究会の生徒(岡田将生)だったことが判明。以前から口先だけの薄っぺらい男と伊藤を内心軽蔑していた脚本家だが、やがて彼女自身も伊藤によって追いつめられ傷つけられて、自らも目を背けてきた過去の傷と向き合うことになる……。
4人の女性の語る相談内容を脚本家が頭の中で再現する形でドラマが進行していき、脚本家が見知らぬ伊藤に身の回りの男性を当てはめ、その再現の中に脚本家自身も観察者として登場しツッコミを入れるなど凝った構成となっています。AからEの女たちはそれぞれ伊藤というクズ男に傷つけられズタボロにされるんですが、彼と決別することによって自らの人生を覆っていた闇から抜け出し、新たな世界へと一歩を踏み出していきます。伊藤との出会いがなければそれもなかったわけで、そう考えると伊藤は(彼自身は決してそれを意図していたわけではないものの)単純に悪とも言いがたい複雑なキャラクターであり、一種のトリックスターと言えるかもしれません。
ドラマはオムニバス的な4つのストーリーが見事に絡み合っていく構成が上手い。CMで廣木隆一が監督と知り観てみたんですが、期待にたがわぬ出来でした(正確には廣木は1〜2話(Aの話)の監督と全体の総監督)。5人の女優陣がいずれも素晴らしく、女性たちが闇から抜け出していく形で話が終わるのも良かった。
一方、映画版は、「なるほどね〜、こう来たかぁ。さすが廣木隆一監督」という感じ。ドラマ版とは視点を変えて同じ話の表と裏、あるいはA面とB面という物語に仕立てています。
ドラマ版では伊藤の正体がなかなか明らかにならず、ちょっとミステリー要素を含んだ作品でした。主演は木村文乃で、実質的主人公は4人の女性たち。伊藤を演じる岡田将生は終盤まで登場しなかったんですが、映画では4人の女性たちは後景に退き、あくまでも伊藤の物語になっているのが興味深い。映画ではドラマで使っていたようなギミックを排し、同じ話でありながら最初から伊藤を主人公としたストレートな物語となっています(岡田と木村のダブル主演)。
ドラマの伊藤は同一人物でありながらA、B、C、Dが上手く1人の人物像に重ならない多重人格的というか悪魔的で一種の非リアルなトリックスター的人物像として描かれてました。それに対して映画は、同じ話にも関わらず見事に1人の人物像に集約された、よりリアルな人間としての伊藤が描かれています(岡田将生好演!)。ドラマでは複数の役者が演じ、映画では岡田1人が演じているのも明らかにそれが狙いの1つだと思われ、ドラマは4人の女性の話を脚本家が脳内再生した伊藤で、映画の伊藤がそのままの実像とも言えるでしょう。
映画を観て意外だったのは、伊藤はドラマ同様の“痛男”ではあるもののドラマに比べると全面的なクズには描かれていないこと。むしろ場面によっては「伊藤、意外といいやつじゃん」というシーンすらあります(原作の柚木麻子もパンフに寄せたコメントで「驚いた」と語っている)。その一方で劇中の伊藤を観ていて、自分にも伊藤に似てる部分があると気付かされる場面が所々にあり、胸に刺さるというか何とも形容しがたい不快感を感じないわけにはいきませんでした。そういう意味でも深く感じ入らずにはいられない映画でした。終盤の伊藤と脚本家が自らの考えをぶつけ合うシーンは圧巻。伊藤の語る「リングに上がらない。戦わない。だから負けない」という人生指針にはちょっと説得されそうになりましたね。映画はまさに「伊藤くんの物語」でした。
伊藤もダメ男なら彼に引っかかる女たちもダメ女。ドラマ・映画ともに出てくる人がみんなダメというのは、廣木監督の『さよなら歌舞伎町』と同じで、雰囲気がよく似ています。人間なんて結局はみんなダメなやつなんじゃないのか? 結局人間は大なり小なりみんな伊藤くんなのだ。廣木監督はそう言いたかったんじゃないか。僕としてはそう思いたいですね。
>録画で観て面白かった映画
『おかあさん』
成瀬巳喜男監督の1952年の映画。全国児童作文集が原案で、田中絹代演じるおかあさんを中心に、東京郊外でクリーニング店を営むある庶民の家庭を描いています。野外ロケを多用した作品で、当時の街並みを今観ると「へえ〜、戦後7年の東京郊外ってこんなだったんだ」とすごく新鮮。もちろん当時は現代劇だったんでしょうが、今となっては一種の記録映画になっています。おかあさんの妹が戦災未亡人など戦争の傷あとが残る一方で、長女がデートに行くピクニックや遊園地など新たな時代の社会風俗、いつの時代も変わらぬ大人と若者のジェネレーションギャップなど、当時の人々のリアルな姿もこれまた新鮮。長男や夫(おとうさん)の死、養女にもらわれていく次女など悲しいエピソードも多いんですが、暗くなりすぎないように描かれ、いつの時代もつらいことはあるけれど前を向いてがんばっていこうという未来への希望を込めた作品になっています。いやぁ面白かった。あと長女役の若き日(10代?)の香川京子さんがめちゃくちゃ可愛い。お茶目な香川さんのテヘペロが見れます(笑)。
>『カンフー・ヨガ』追記
さすがに上映もほとんど終わりましたかね。使う必要のないところで使ってると文句をつけたCGの使い方についてもうちょっとだけくわしく書くと、冒頭でゲームの『三國無双』みたいなシーンが数分続いた時はどうなることかと思いました。俺、ジャッキー映画観に来たんだよね?と(笑)。車の後部座席のライオンも意味不明だよなあ。もとの持ち主は危なくなかったのか? スタンリー・トン監督は90年代の『ポリス・ストーリー3』『レッド・ブロンクス』『ファイナル・プロジェクト』は面白かったんですが、21世紀に入ってからの『THE MYTH 神話』や本作はいまいち。スタントマン出身だけにスタントアクション映画は得意ですが、CGの使い方は上手くないですねえ。
#1692
徹夜城(支配人) 2018/01/14 23:21
「カンフーヨガ」観てきました。
今年最初の劇場鑑賞映画は「カンフーヨガ」になりました。僕も吹き替え版で見ることになりましたが、これは時間の都合で。いつも利用してる近場のシネコンでは字幕版もやってるんですが、なぜかそっちは夜以降でして、昼間に見る僕としては他に選択肢がなかったです。
それでもこういうアクション系は吹き替えの方が疲れなくていい、という気はしますね。声はやっぱり石丸博也さん。実写映画の吹き替え声優さんは「担当」が決まっていることが少なくないですが、石丸ジャッキーほど「他の声がイメージできない」という例はなかなかないんじゃないかと。
なお、「カンフーヨガ」につきましては現在久々に「映画日記」の文章にしてます。それ以外の最近見たもろもろも併せて、少しはこちらのコーナーも再整備しないと、と動き出しております。
>SW8
もう見ようという人はだいだい見たころですよね。ざっとネット上を眺めてもかなり賛否が分かれる作品ではあるようで。でもなんだかんだで「祭り」になってるのはやはりスター・ウォーズ。
今回の話の「グダグダ感」は僕も感じました。敵味方双方でやってることに無駄が多い、というか、無駄になっちゃうというか。壮大な宇宙戦争のはずなのに妙に狭い争いに見えてしまうところも…まぁ、それは以前からそうだったかな。
思ったんですが、この「グダグダ感」、昨年の「ダンケルク」にも通じるなぁ、と。そこを評価する人とできない人とが分かれてるのも共通するようですし。アメリカでも批評家に好評が多く、一般ファンにブーイングが多い、という話もあるようでして。
それにしても「9」はどうしめる気なんだか。それで「8」の評価も変わるのかもしれません。「帝国の逆襲」だって当時は酷評も結構あったと聞きますしね。
#1691
バラージ 2018/01/06 19:46
吹替ジャッキー
正月休みにジャッキー・チェンの『カンフー・ヨガ』を観ました。地元では吹替版しか上映してないんで、他県まで観に行くか、吹替で我慢するか、DVDが出るまで我慢するか、非常に迷ったんですが、結局吹替で観ることに。本当はファーストインパクトが吹替だと印象が悪くなるから嫌なんだよなあ。『レイルロード・タイガー』も吹替版のみだっんで仕方なく吹替で観たんですが(♯1678では書き忘れてた)、DVDで字幕で観直したら吹替で観た時より面白かったんですよね。しかしやはりさすがに県外まで観に行く気力はなかった。DVDになったらまた字幕で観直します。
映画の感想ですが良い意味でも悪い意味でも80〜90年代の香港映画のノリでした。『THE MYTH 神話』と同じ考古学者を主人公とした中国・インド合作映画で、古代インドの秘宝をめぐってチベットの崑崙山脈から中東のドバイ、そしてインドへと展開していくアドベンチャー映画。世界各地を舞台にワールドワイドに物語が展開するのは80年代後半から90年代のジャッキー映画に顕著な特徴でしたが、そういう意味では懐かしかったし楽しかった一方で、一昔前の香港映画によくあったような細かいところにこだわらない大味な展開やコテコテなシーンも多く、そういうところがどうにもちょっと古臭い。あとCGの使い方(質ではなく)がなあ。なんか必ずしも使う必要がないような余計なところで使っているような。インド人女優2人と中国人女優3人がそれぞれ顔が似てて区別がつきづらいのもマイナスです。
全体的にはまあまあってところかな。『レイルロード・タイガー』や『スキップ・トレース』よりはちょっと落ちるってくらい。もっとも吹替だったんで、字幕で観たらやはりまた違う感想になるかもしれませんが。
あ、歴史ネタも少しだけあって、古代インドの秘宝というのがヴァルダナ朝(劇中ではマガダ国と呼称)で反乱を起こしたアルジュナが奪った財宝を唐の使節の王玄策が奪い返し、その後行方不明になったものという設定。僕はアルジュナや王玄策という人物を初めて知りました。
そして『スター・ウォーズ8 最後のジェダイ』も2D字幕版で観ました。予想してたより面白かったですね。三部作の真ん中って途中から始まって途中で終わるんでいまいちなことが多いんですが(『帝国の逆襲』もそうだった)、今回はむしろ『7』より面白かったような。マーク・ハミルはハリソン・フォードと違ってほとんど一発屋だったから(まあキャリー・フィッシャーもそうだけど)不安要素だったんですが、これも意外と悪くなかったですね。
ただ2時間半はさすがにちょっと長すぎかなあ。中盤ちょっと飽きが来たし、終盤もこれで終わりかと思ったら何度もまだ続くんでそこはちょっとしんどかった。あと序盤でアジア人美女が意外な活躍をして、また中国向け対策か?と思ったら、途中から出てきた妹の英語がネイティブにペラペラだったんでアジア系米国人だとわかったんですが(姉はベトナム出身、妹はベトナム系米国人らしい)、米国映画で活躍するアジア系女優ってどうしてあんなブスばっかなんだろ?(笑)。
それにしてもキャリー・フィッシャーが死んでレイア姫どうするんでしょうか? あの流れじゃ9でフェードアウトさせるわけにもいかないだろうし。
#1690
つね 2018/01/03 18:53
SW感想
ようやく見ました。
確かにネタバレ避けると書きにくいですね。
ただ残念ながら、私としては敵も味方も無能すぎてグダグダ感が漂いました。現実はうまくいかないことの連続でしょうが、歴史ものではない映画で見せつけられると疲れる。終わってみると「最初から話しておけば」とか「結局、意味なかったじゃん」という行動ばかり。特に敵の最高指導者に対しては思いっきり「バーカ!」と言ってやりたい。まあ次回作見ないと最終評価は下せませんが。
とりあえずルークお疲れ!(軽い)
キャリー・フィッシャーさんは遺作ですね。これだと脚本は変更なかったのかな。
#1689
バラージ 2017/12/31 19:11
キン・フー!
1960〜70年代に活躍した香港武侠アクション時代劇映画の巨匠キン・フー監督の特集をWOWOWでやってたんですが、デジタル修復版が今年初めに公開されDVD&ブルーレイ化されたらしく、レンタル店にはないんでこれはチャンスと録画して観ました。『大酔侠』『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』『侠女』『迎春閣之風波』の4本で、歴史映像名画座に掲載されてる『忠烈図』は残念ながらデジタル修復の選に漏れたようです。
いやぁ面白かった。さすがブルース・リー以前に一大ブームを巻き起こしただけあります。アン・リーやチャン・イーモウが自作映画の中でオマージュ(『グリーン・デスティニー』『LOVERS』)したり、ツイ・ハークがリメイクしたりする(『ドラゴン・イン』『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣とまぼろしの秘宝』)のもうなずけますね。どの映画でも必ず女剣士が出てきて活躍するのも特徴で、チェン・ペイペイ(『大酔侠』。『グリーン〜』でチャン・ツィイーを唆す悪婆さんをやってた人)、シャンカン・リンフォン(『血斗竜門の宿』)、シュー・フォン(『侠女』『迎春閣之風波』。後にプロデューサーに転身し『さらば、わが愛 覇王別姫』などを製作)、アンジェラ・マオ(『迎春閣之風波』。『燃えよドラゴン』でリーの妹をやってた人)など、いずれも凛々しくカッコイイ。特にチェン・ペイペイの若き日の凛々しい女剣士ぶりは爽やかでした。キン・フー監督の作風は同時代に並び称されたチャン・ツェー(張徹)監督のやたら男臭い作風とは対照的だそうですが(名画座には『水滸伝』が掲載。僕はチャン・ツェーの映画は未見)、僕としてはキン・フーのほうが好みかな。
時代背景的には『大酔侠』は不明、『血斗竜門の宿』『侠女』は明末、『迎春閣之風波』は元末で、『侠女』は悪徳宦官・魏忠賢に処刑された忠臣・楊漣の娘をめぐる話、『迎春閣之風波』は朱元璋の戦略地図をめぐる朱元璋の密偵と元の密偵の戦いですが、あくまで背景であって史実とはあんまり関係ありません。
正月映画、ジャッキーの『カンフー・ヨガ』や『スター・ウォーズ8』は来年まわしでいいかな。今年のナンバー1映画はダントツで『リンキング・ラブ』でした。それではまた来年。
#1688
徹夜城(支配人) 2017/12/21 21:34
SW見てきました。
「スターウォーズ・最後のジェダイ」観てきました。ネタバレ避けると書けることが少ない(汗)。
まぁ、とにかくこれでもか、これでもか…と続くお話で、もう終わりだろうと思ったらもう一山、という僕の好みの展開で、料金分は十分に楽しませてもらいました。
ただ、前作から「原作者」であるルーカスの手を離れていることに複雑な気分もあります。一応「ルーカスフィルム」製作だしプロデューサーもルーカスフィルムの人が当たってますけど、以前の6作では隅々まで総指揮してたルーカスは一切タッチを許されてない。ルーカスが生み出した旧三部作の重要人物たちが年老いて………なことになったりするの、生みの親としては「勝手なことをするな」と言い出しそうで。実際以前「子供を奴隷商人に売ったような」と発言しちゃったこともありました。まぁ莫大な額で売っちゃったんだからしょうがないんですが、本人はもうちょっとは関わらせてもらえると思ってたみたいで。
ともあれ、エピソード8は「ルーク=マーク。ハミル大活躍!ということにはなりますね。映画では久々の花道になったと。
>バブル期映画
最近「マルサの女」2作を久々に見ましてねぇ。あれ、まさにバブルの頃の話なんですよね。2作目で地上げ問題が強烈に出てくるし(作り手の怒りが作品のバランスを欠いたようにも感じますが)。
今から思えばバブル崩壊期ですが、1991年末公開の「ゴジラVSキングギドラ」も、経済大国日本が未来にはアメリカ・ソビエト(!)をも上回る強国になってるとの設定が出てきて、これもバブル期の雰囲気が分からないと理解できません。
先日ディズニーが20世紀フォックスを買収した、とのニュースで20世紀フォックスが入っているビルが映り、これが「ダイ・ハード」第1作の「ナカトミビル」なんですよね。あれも日系企業がテロリストに狙われる、「我々は戦争では負けたが経済では勝った」とか言ってるところにバブル期の香りを感じます。
#1687
つね 2017/12/17 21:18
バブルの映画
バブルを対象にした映画なら「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」(2007年)があります。主演は広末涼子と阿部寛。その他、本人役で懐かしい人も出てきます。ネタバレは避けますが、タイトルからも想像できるように、こちらもタイムトラベルものです。史劇的伝言板で書いたような気がしたのですが、検索して見つからなかったので気のせいのようです。
#1686
バラージ 2017/11/25 19:42
バブルも歴史になりました
金子修介監督の『リンキング・ラブ』という映画を観ました。いやぁ、面白かった! さすがは金子監督。
ストーリーは、両親が離婚することになって落ち込む女子大生が、謎のランプから出てきた守護神(金子監督の『恋に唄えば♪』に出てた魔法使いそっくり)によって1991年に飛ばされてしまう。そこは主人公と同じ大学に両親が通っていたバブル経済末期の時代。恋人同士だがすれ違い気味の両親が将来離婚しないように主人公は奔走。アイドル冬の時代のアイドルオタクである父のため、母と女子大生たちにAKB48の完コピをさせて学園祭のアイドルASG16を結成する……といったお話。原作はネット小説とのことです。
91年は僕の大学時代ドンピシャ。地方の貧乏学生だったからバブルの浮かれた世相なんてテレビの中の出来事でしたが、それでも映画に出てくる様々な流行や社会風俗は「あー、あったあった」と思い出すものばかりだし、あの頃を知る人にはわかるという小ネタも多く、なんとも懐かしい。それらを戯画化しすぎない絶妙なさじ加減で散りばめていく手腕はさすが金子監督。そんな金子監督が91年に撮ったのが『就職戦線異状なし』で、これも劇中に出てきます。もうあの時代もそんな昔の話になったんだなぁ……。歴史の中の1ページになったってことなんですね。
また金子監督はアイドル好きとしても知られ、アイドル史についての著書まで出しているほどですが、この映画もまた一種のアイドル論になっていて、アイドル〈についての〉映画としても非常に優れたものになっています(このあたり男性アイドルを扱った金子監督の『卒業旅行 ニホンから来ました』もちょっと連想させる)。ASG16がAKBの曲を歌い踊るところはもうほとんどMV風。「エブリデイ、カチューシャ」「フライングゲット」「恋するフォーチュンクッキー」といった有名曲の他に、「制服が邪魔をする」というマニアックな曲もやってたんですが、これがまた良い曲です(AKBがブレイクする前の初期の曲で、金子監督が気に入って採用したらしい)。それにしても“アイドル冬の時代”ってのも今や懐かしいフレーズ。あの頃はまさかアイドル人気が再び大ブレイクする時代が来ようとは思ってもみませんでした。未来のことなんてほんとわからんもんです。
主演はAKB48の田野優花。AKBの中では目立たないというか、いぶし銀みたいなメンバーのようですが、コメディエンヌとしての才能をいかんなく発揮して好演しています。若き日の母親役の若手女優・石橋杏奈も魅力的だし(劇中でラムちゃんのコスプレまでしてくれる・笑)、ASG16メンバーとなる女子大生たちを演じた若手女優たちのがんばりも素晴らしい。女の子を可愛く撮る金子監督だけあって、とにかくみんな可愛い。全員がAKBの曲を完コピしてるのもびっくり(田野ちゃんは当然だけど)。そんなアイドル映画でありながら、王道のタイムスリップ・エンターテイメント映画としても楽しめるところにこの映画の魅力があり、まさに笑えて泣ける映画なのです。
これまたここまで書いた映画をごぼう抜きにして今年No.1の映画。少なくともエンターテイメントという基準で言えば間違いなくNo.1です。めっちゃ良かった。
>その他の面白かった映画
『世界は今日から君のもの』
引きこもりだった高校卒業後に始めた工場のバイトでうっかりケガをしてクビになった女の子が、少々頼りない父親が見つけてきた発売前のゲームにバグがないかを延々プレイしながら探すバイトにつく。ほとんど他人と口をきかずに済むその仕事で、ひょんなことから彼女はイラストの才能を見いだされ、新作ゲームのデザインを担当することになるが……。物事はそう簡単には上手く運ばず、その後も主人公が紆余曲折を繰り返し、ストーリーが安易な方向に流れないところが良かった。かといって暗い映画ではなく、ユーモアのある心暖まる映画。主人公が自分の生き方を見つけていく途中で様々な人と触れ合っていく話で、恋愛ものになっていかないのも良いですね。なんといっても主演の門脇麦が素晴らしい。人見知りで引っ込み思案でちょっと挙動不審だけど、どことなく可愛らしい女の子を好演しています。しゃべり方やちょっと猫背な姿勢、体の動き方とか歩き方もいちいち可愛い。門脇さんに惚れ込んだ監督による当て書きとのことで、まさにハマり役でした。
#1685
バラージ 2017/11/12 21:53
ビデオ・デイズ
去年の年末にAmazonで映画の中古ビデオテープを買いました。いずれもDVD化されてない映画で、今までさんざんいろんなところへDVD化やテレビ放送の要望を出してきたんですが、このままじゃ永久に観れないかもしれないなぁ、もういいや、中古のビデオテープを買って観ちゃおうと思いまして。
ただビデオデッキも持ってなかったんで(ちょうどデッキが壊れた時にブルーレイ&DVDレコーダーに買い換えた)、リサイクルショップで買おうとしたら1台もなくてびっくり。数年前には結構たくさんあったんですが、今はなぜかビデオデッキの人気があって、たまに1〜2台入ってきてもすぐ売れちゃうんだとか。
というわけで仕方がないので新品の再生専用ビデオデッキを4月頃にようやく通販で購入。中古ビデオをその後数ヶ月かけて観賞した次第です。
実は購入したビデオの半分以上が市川準監督の映画。それだけDVD化されてない市川映画が多いんだよなぁ。21作中1/3の7作がDVD化されていません。
市川準監督といえば、今年も東京の目黒シネマで12月に市川準監督特集が行われます。今年で4年目で、今年は映画館とWebで上映作品のリクエスト・アンケートを実施し、上位5作品を上映するという企画でした。アンケート結果は以下の通り。
1位『大阪物語』
2位『BU・SU』
3位『つぐみ』『トニー滝谷』
5位『ざわざわ下北沢』
6位『あしたの私のつくり方』
7位『トキワ荘の青春』
8位『病院で死ぬということ』
9位『東京夜曲』
10位『東京兄妹』
11位『東京マリーゴールド』
12位『あおげば尊し』
13位『会社物語』
14位『ノーライフキング』
15位『クレープ』
16位『たどんとちくわ』
17位『buy a suit スーツを買う』
18位『竜馬の妻とその夫と愛人』
19位 オムニバス映画『ご挨拶』「佳世さん」
20位 オムニバス映画『欽ちゃんのシネマジャック』「きっと、来るさ」
21位『TOKYOレンダリング詞集』
5位の『ざわざわ下北沢』はそんなに人気がある映画って感じじゃないんでちょっとびっくり。1位の『大阪物語』ともどもDVD化されてない映画で、両作品ともそれで投票が集まった可能性もありますが。『大阪物語』は池脇千鶴さんのデビュー作で主演した映画なんでそういう人気もあるかも。
その2作を除いた7位までは納得の5本。僕の市川準映画ベスト5そのままです。やっぱりその5本が人気があるんだなぁ。ちなみに僕の順位は『つぐみ』『BU・SU』『トキワ荘の青春』『あしたの私のつくり方』『トニー滝谷』の順番でした。
#1684
徹夜城(支配人) 2017/11/03 00:18
ブレードランナー2049
久々に書き込んでます。しばらくぶりで劇場まで出かけたもので。
見てきたのはタイトルの通り、あの名作SF映画の続編です。監督はリドリー=スコットではありませんけどストーリーや製作にはタッチしていて、世界観はそう矛盾は感じません。「名作の続編」というのはいろいろキビしいことになるのが多いのですが、これはまぁまぁ及第点というところじゃないでしょうか。
もっとも「前作」の大ファンである僕みたいな者ですと、そもそも続編なんて作ってくれるな。という気分もあるんですよね。作っちゃったんならちゃんと作ってね、とは思いますし、それについてはちゃんとやってくれたかな、と。
主役は変更になりましたが、前作の主役ハリソン=フォード演じるデッカード本人も後半で再登場。「スターウォーズ」同様、30年ぶりくらいの再出演でそのまんま老けた当人が演じるわけです。最近この人そんなのばっかりのような気も…
ストーリーはネタバレなしで書くのはほぼ不可能なんで書きません。前作見てないとわかんないところも多々あり、いきなり初見者が見ちゃダメなんじゃないかと。
アメリカでは興行的に失敗…と奉じられてますが、前作もそうでしたからねぇ。前作の場合は観客の期待するものと実際の内容に齟齬があったとも言われますが、今度の場合はどういう内容かは察しがついて行くでしょうから、劇場まで足w運んでみるには「重い」とみなされたかも。ああ、あと2時間40分くらいでしたっけ、けっこう長時間なんですよね。正直なところ奥も中盤で意識がもうろうとしてました(汗)。
あとこれ、絶対さらなる続編作る気ですね。そういう終わり方になってます。一部で噂されるのは、リドリー=スコット監督、「エイリアン」シリーズとの統合を狙ってるんじゃないかってな話が…
前作は一部に日本語や日本文化が混じって来るのが印象的でしたが、今回もチラチラとありますね。「データはハカイされています」(ハにアクセントあり)というのが頭に残ってしまいました。
#1683
バラージ 2017/10/29 21:30
さまざまな、愛
最近観た映画2本の感想を。
『ユリゴコロ』
いやぁ……凄かった。簡単には感想を言葉にできない映画です。
ストーリーは、結婚を約束した恋人が突然失踪した失意のレストランオーナーが、末期癌の父親を実家に訪ねた際、押し入れから1冊のあるノートを見つける。そのノートには、過敏すぎる感覚を持つが故に言葉では表現できない生きづらさを抱え、そんな自らの心の拠り所を殺人という行為の中にしか見出だせないある女の、人生における一連の殺人の告白が書き連ねられていた。果たしてそれは創作なのか? 事実なのか? やがて明かされる衝撃の真実とは……といったもの。原作は沼田まほかるの同名ミステリー小説だそうですが、原作とはかなり変えてあるとのこと。ノートの中の女の告白をメインストーリーとし、それを読む男の話がサブストーリーとなって、やがてその2つがつながっていくんですが……重い。重すぎる。観ててぐったり疲れる、それでいて決して目が離せなくなる。
俳優陣も、吉高由里子・松山ケンイチ・松坂桃李を初め、佐津川愛美・清野菜名・木村多江・清原果耶と演技派や曲者がずらりと顔をそろえ、誰も彼もが素晴らしい。とにかく凄かった。『散歩する侵略者』を今年No.1と書いたばかりですが、それを軽々と超えていきました。
『ナラタージュ』
島本理生のベストセラー恋愛小説を行定勲が有村架純と松本潤主演で映画化した恋愛映画。
主人公の女子大生が高校の時に想いを寄せた演劇部顧問の教師に卒業公演の助っ人を頼まれる。かつては想いを言い出せぬまま別れた2人だったが、彼を忘れられなかった彼女の気持ちはそれをきっかけに再燃する……というストーリー。
ほのかに暗く、ほのかに重く、切なく、悲しい映画です。静かに、ある意味淡々と話が進んでいきます。変わった人が出てくるのでもなければ、特別なことが起こるわけでもありません。これぞまさに純文学の映画。音楽が少ないことが静謐さを際立たせ、曇りか雨か夜のシーンがほとんどなことが映画の暗さと重さを象徴しています。特に雨のシーンがとても印象に残ります。とてもとてもいい映画でした。またもで申し訳ないけど、上記『ユリゴコロ』を上回って今年ここまでのNo.1です。
そして有村架純が本当に素晴らしい。決して特殊ではない、ある意味普通の女性の、ある意味普通の、しかし炎のように静かに燃える恋愛を微妙な表情と台詞回しで繊細に演じていく姿に見入ってしまいました。朝ドラ『ひよっこ』や去年の『夏美のホタル』でも好演でしたが、この娘は名女優になっていくかも。
#1682
バラージ 2017/09/27 13:15
隣の宇宙人
なんか僕ばっかり書き込んじゃってすいません。
『散歩する侵略者』という日本映画を観ました。
いや〜、面白かったです。これぞSF。特撮は終盤までほとんど必要最小限にしか使われてないんですが、それでいてちゃんとSFになっているのが良い。物語のテイストも、ウルトラQというか、ウルトラマンの出てこない初期ウルトラシリーズというか、やっぱり僕はこういう日常の隣にあるようなSFを描いた作品が好きなんですね。SFであって必ずしもSFではない世界とでも言いますか。
黒沢清監督の演出も冴えまくってて、舞台の映画化なのに舞台臭さが全くないのもいいし、役者陣もみんな良くて、主演の長澤まさみさんはやっぱり上手いし、松田龍平さんの無機質な感じも宇宙人役にすごくハマってたし、他の2人の宇宙人役の若い子もこれまた予想外に良かったし、長谷川博己さんら他の役者もみんな良くて、一流の俳優がこれだけそろって特撮のほとんどないSF映画を演じると、SFというより純粋なドラマ映画としてこれだけ楽しめるという見本のような映画でした。今年ここまで観た映画で一番かな。
パンフレットは残念ながら売り切れ。どうも最近このパターンが多いんだよなあ。
#1681
バラージ 2017/09/08 00:20
ジャッキー最新映画、再び
またもジャッキーの新作『スキップ・トレース』を観てきました。
ハリウッド映画だし、レニー・ハーリン監督はいつも「まあまあ面白いけどちょっと大味な映画」ばっかりなんで、あんまり期待してなかったんですが、これが意外と面白かったです。よくよく調べたら米・中・香合作で、俳優も7割方が中華勢。米国勢で主要キャストはダブル主演のジョニー・ノックスヴィルぐらい。舞台も香港・マカオ・ロシア・モンゴル・中国で、米国は一切舞台になってません。内容はバディ・ムービー&ロード・ムービーといった感じで、アクションは全盛期に比べるとさすがに見劣りするんですが、よくよく考えたら還暦すぎてあれだけできるのはすごいことなんですよね。ジャッキーとノックスヴィルのコンビの相性が良く、エリック・ツァンやリチャード・ンなど懐かしい顔ぶれもうれしく、ファン・ビンビンにシー・シーという綺麗どころは目の保養。中国人同士が英語でしゃべったり中国語でしゃべったりという変なところもありますが、全体としてはなかなか面白い娯楽アクション映画でした。
>ジャッキー映画の感想2010年代編。
『ベスト・キッド』……油断して確認もせずに映画館に行ったら地元では吹替版のみでした(後でDVDで字幕で観直した)。80年代のヒット映画(未見)を、舞台を中国に変えてリメイク。ウィル・スミス夫妻が製作で主演はその息子。ジャッキーはその師匠(旧作のミヤギさん)役です。オリジナルは未見なもののその珍妙な日本描写については見聞きしてたのでどうなのかな?と思ってたんですが、非常に丁寧に作られた良作でした。
『ラスト・ソルジャー』……脱カンフー後のジャッキーには珍しい時代もの。そのためもあってかアクションはやや抑えめにしてドラマ性で見せていく作品ですが、師匠役やノー・アクションという変化球的な作品が続いてたんで、旧来のジャッキー映画に近いテイストの作品で面白かったですね。ハリウッドで経験したバディ・ムービー風味も取り入れてますが、『香港国際警察』のころからジャッキーは後進の育成も意識してる節があります。
『ダブル・ミッション』……地元では半年遅れで公開。ハリウッドのファミリー向けスパイ・コメディで、たいして期待してなかったんですが、予想してたよりは幾分ましな出来でした。とはいえ面白いかと言われたら、それほどでもない凡作。悪役がロシア人なんですが、今時ちょっと珍しいくらい極端な戯画化がされていて、米国もなんか余裕をなくしてるのかな?と思っちゃいましたね。
『新少林寺 SHAORIN』……アンディ・ラウ主演のアクション・ドラマ映画に特別出演。タイトルに「新」とついてますが、少林寺を舞台としてる以外、旧作『少林寺』と共通点はなし。辛亥革命後の軍閥割拠時代が舞台で、仏教感漂うシリアスなストーリー。なかなか面白かったです。ジャッキーはカンフーの心得はない厨房の料理人役ですが、意外な活躍をします。別に期待してなかったら意外と出番が多く見せ場もあってうれしかった。
『1911』……史劇的伝言板の#8969に記述。
『ライジング・ドラゴン』……#1401に記述。
『ポリス・ストーリー レジェンド』……#1457に記述。
『ドラゴン・ブレイド』……史劇的伝言板の#10098に記述。
>その他の最近観て面白かった映画
『君の膵臓をたべたい』
あの『世界の中心で、愛をさけぶ』が公開された時、あまりの大ヒットぶりにへそ曲がりを発揮して観に行かず、後でビデオ(かDVDかテレビ)で観たら面白くて後悔したということがあります。なのでこの映画は絶対観に行こうと。で、この映画もなかなか良い映画でした。基本的にはストレートな難病ものですが、お涙頂戴にしない抑えた穏やかな作風と非常に丁寧な作りが好感を持てます。しかしこの手の映画の重要なポイントはやはり登場人物の人物像と配役でしょう。ヒロインの、難病にも暗くならずそれでいてどこか影があるような謎めいたキャラクターが絶妙に魅力的で秀逸だったし、浜辺美波ちゃんが意外に難しいその役柄を見事に演じていて、とにかくめちゃくちゃ魅力的で可愛い。さすがは東宝シンデレラ。彼女には今後も良い女優に成長していってほしいと切に願う次第です。
#1680
バラージ 2017/08/25 21:42
ジャッキー映画C
ジャッキー映画の感想2000年代編ですが、今回は本数の関係で2001年〜2009年まで。前半はハリウッド進出期ですが、個人的には最もジャッキーから心が離れた時期でした。
『ラッシュアワー2』……アクションは前作に毛の生えたようなもんなんですが、悪役のジョン・ローンとチャン・ツィイーのおかげで、ジャッキー映画というより普通のアクション映画としてまあまあ楽しめます。役者って大事ですね。ジャッキーとクリス・タッカーのコンビネーションも前作よりずっとこなれてます。
『アクシデンタル・スパイ』……ハリウッド映画が空振り続きなんで、久々の香港映画と喜んでたらなんと地元では公開されず。ジャッキー人気の低下を実感し、かなりのショックでした。ビデオで観ましたが、残念ながらつまらなくて二重のがっかり。ジャッキーがただのセールスマンなのにいつもの超絶スタントをするのが不自然極まりありません。
『タキシード』……地元では吹替版のみで、ハリウッド作だし観に行かずビデオ視聴。スピルバーグの誘いで出た、初めてCGを使った映画。しかし出来は最悪。CG使いすぎでジャッキーじゃなくてもいいような映画だし、50歳を越えたジャッキーに若者風の役をやらせるのもミスキャスト。主人公の強さが終始タキシードのおかげなのも面白くありません。
『シャンハイ・ナイト』……これも地元では公開されず。僕ももうハリウッド製ジャッキー映画には期待しなくなってましたね。ドニー・イェンとの対決だけをわずかな楽しみにしてたら、これがあっさり終わってしまい拍子抜け。なぜかジャッキーより妹役の女優のほうがアクションが多いし、作風も前作より全体的に悪ノリ気味です。
『メダリオン』……地元では公開されず。香港・米国合作ですが、内容的にはハリウッド寄りの作品で、またもCGバリバリ映画。途中で死んだ主人公のジャッキーが不思議なメダルの力で生き返り、ナイフで刺されようが銃で撃たれようが死なない不死身の体になってしまうので、アクションに全然緊張感がなくなってしまう駄作。
『80デイズ』……地元では吹替版のみでビデオ視聴。ベルヌ原作『八十日間世界一周』の映画化ですが、内容は大幅に変えられてます。ジャッキーは従者パスパルトゥー役で実質ダブル主演。退屈なハリウッド大作ですが、中国のシーンだけは香港勢がアクションを担当したようでまあまあ楽しめます。この頃はもうジャッキーから心が離れかけてましたね。
『失われた龍の系譜 トレース・オブ・ア・ドラゴン』……地元では公開されず。メイベル・チャン監督がジャッキーの依頼でジャッキーの父親にインタビューし、激動の近現代中国史を背景とした両親の半生を描いたドキュメンタリー映画。ジャッキー父の話はほんとかよと思うような話なんですが、真偽は別として抱腹絶倒に面白いのも確かです。
『香港国際警察 NEW PORICE STORY』……ハリウッドに嫌気がさしたジャッキー久々の香港映画で、地元でも限定公開ながら久々に字幕版が公開されました。前評判を聞いて楽しみにしてましたが、期待にたがわぬ面白さ。以前よりもドラマ性を重視しながらスタントアクションも交え、『ゴージャス』同様にジャッキーも大人の男をシブく演じています。
『THE MYTH 神話』……再び地元では公開されず。史劇風時代劇+輪廻転生もので韓国女優とインド女優がヒロインのあたり、武侠映画や韓流やボリウッドの流行に目配りした感じです。ハリウッドで経験したCGも取り入れてますが、それほど不自然さはありません。ただ盛り上がりにはやや欠け、まあまあの出来といったところ。
『プロジェクトBB』……ようやく地元でも通常公開に復帰。いやぁ、長かった。ただ映画の出来自体はちょっと……。ジャッキーが初めて悪人役に挑戦という触れ込みでしたが、ふたを開けてみるとそれほど悪人でもなく期待外れ。演出に香港映画らしいいい加減さが見られ、どうにもいまいちの作品でした。
『ラッシュアワー3』……香港で鬱憤を晴らしたのか再びハリウッドに舞い戻りシリーズ3作目に出演。今回は真田広之と工藤夕貴の日本勢が敵役で、CGも使われてますが不自然さはありません。ようやくハリウッドがジャッキーのテイストを受け入れてきたと感じた佳作でした。あえて難を言えば『2』と構成が似すぎてるかな。
『ドラゴン・キングダム』……ジャッキーとジェット・リーがハリウッドでついに共演した中華ファンタジー。主人公は米国人少年で、2人は彼を導く導師役。おそらく監督はかなりのカンフー映画&中華ファンタジー映画オタクと思われ、香港映画ファンなら思わずニヤリとするようなシーンや設定が多く、ハリウッド作品では一番のおすすめ。
『新宿インシデント』……ジャッキー・アクションを封印して挑んだ社会派バイオレンス映画。日本の新宿歌舞伎町を舞台に、出稼ぎ労働や密入国や裏社会などを描いたハードでシリアスな作品で、ジャッキー映画初のR15指定となりました。実はアクションがあるんじゃないかと疑ってましたが、ほんとにドラマで勝負してて、衝撃の傑作でしたね。2009年に観た面白かった映画第2位でした(1位は日本映画『おっぱいバレー』、3位は日本映画『空気人形』)。
#1679
バラージ 2017/08/11 11:06
ジャッキー映画B
ジャッキー映画の感想、90年代編。ジャッキー映画の人気は、大ブレイクした80年代をピークに90年代は徐々に下降していきます。個人的にはこの時代も面白い映画は多かったんですが。
『プロジェクト・イーグル』……『サンダーアーム』に続く「アジアの鷹」シリーズ第2作。スケールが大きな作品でなかなか面白かったですね。狭い香港では撮り尽くしたのか、この映画のように90年代は海外ロケ作品が増えていくことに。ジャッキーはこの作品を最後にいったん監督兼業をやめています。
『ツイン・ドラゴン』……ビデオ視聴。香港の映画監督協会の主導で作られた映画で、監督はツイ・ハークとリンゴ・ラム。アクション演出はジャッキーがやったらしく、船頭多くして船山に登ったかどうにも散漫な出来。ジャッキーの二役の合成が稚拙で、同時期の『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』とは雲泥の差でした。
『炎の大捜査線』……ビデオ視聴。ジミー・ウォングに借りを返す映画パート2。レオン・カーフェイ、サモ・ハン、アンディ・ラウ、ジャッキーの4人が主演で監獄島からの脱獄ものですが、まったくつまらない。4人とも仕方なくやってるのがありありとわかり、ジャッキーもアクション・シーンをほとんど適当に演じてます。
『ポリス・ストーリー3』……シリーズ第3作は舞台が中国本土から東南アジアまでスケールアップ。一時引退していたミシェール・ヨーの復帰作で、彼女がジャッキー顔負けの凄まじいスタントに挑んでます。もちろんジャッキーもそれ以上のスタントで応えており、大興奮の傑作に仕上がっています。
『シティーハンター』……北条司の人気漫画を、持ち味が異なるジャッキーで映画化するという無謀としか思えない作品。いざ、ふたを開けてみると原作ともジャッキーともテイストの違うバリー・ウォン監督のナンセンス・コメディ映画で、原作ファンもジャッキーファンも満足できないという困った作品。
『新ポリス・ストーリー』……邦題が勝手につけられただけで『ポリス〜』シリーズとは無関係。1990年に実際に起きた誘拐事件を映画化したとのことで全編シリアスなんですが、その割にはいつもの壮絶なジャッキー・スタントもあり、かなりリアリティーを損ねてます。おかげでただの暗いジャッキー映画で、いまいち面白くありません。
『酔拳2』……#1574に記述。
『レッド・ブロンクス』……#1589に記述。
『デッドヒート』……ジャッキーの車好きが高じて作ってしまったカー・アクション映画。カー・アクションなら別にジャッキーじゃなくても……と思っちゃうし、その割にはやっぱり肉体アクションも入ってるし、舞台の半分は日本なんだけど相変わらずの勘違い日本ぶりがひどいしで、どうにもこうにもいまいちな作品。
『ファイナル・プロジェクト』……邦題は変わってますが『ポリス〜』シリーズ第4作。序盤のスキー場からアクションのつるべ打ちで面白いんだけど、終盤のアクションがちょっとだけ物足りなくて、オチがちょっと弱かったかな。ポスターに「ジャッキー最後の香港映画」とあり、「なんで?」と思ったら香港が中国に返還されるからというオチでした(笑)。
『ナイスガイ』……久々のサモ・ハン監督作なんですが、ジャッキーがただのコック役なのになんであんなに強いの?とか、証拠のビデオ映像が映画の映像そのままで犯人がばっちりカメラ目線とか、細かいツッコミどころが多すぎ。細かいところに目が行き届かないサモの悪い癖が出ちゃってます。アクションは相変わらずすごいんだけど。
『ラッシュアワー』……ジャッキーがついにハリウッド進出成功と聞いて感慨深く、喜び勇んで観に行ったら、ジャッキー映画のいいところをすべて無くしたような駄作で愕然とした作品。駄作は香港時代にも結構ありますが、この映画は次元が違うというか、いわゆるジャッキーらしさが全くのゼロ。大いに落胆して帰ったのを覚えています。
『WHO AM T?』……『ラッシュアワー』より前の香港作品ですが、日本での公開は後回しに。『ラッシュ〜』の出来に落胆してたんですが、本作はハリウッド進出前の置き土産ともいうべき傑作でした。大規模海外ロケと命がけスタントという90年代ジャッキー映画の集大成ともいうべき作品で、文句なしの面白さ。
『ゴージャス』……当初、ジャッキーはプロデュースのみの予定が、紆余曲折の末に主演もすることになった作品。どっちかというとラブコメディ映画で、前半はほぼスー・チーが主人公なんですが、初めて見た彼女がほんと魅力的ですっかりファンになってしまいました。もちろんジャッキーと敵(悪人ではない)とのすさまじい格闘もある快作です。
『シャンハイ・ヌーン』……ハリウッド進出成功第2作で、今度は「カンフーヒーロー、西部を行く」という作品。西部劇はジャッキーの念願だったらしいんですが、『ラッシュ〜』ほどではないにしてもアクションはスローモーだしお話も陳腐なつまらない作品。ヒロインがルーシー・リューってのも個人的にはちょっと……。
#1678
バラージ 2017/08/04 01:01
ジャッキー最新映画
ジャッキー映画の感想が途中ですが、さすがに長いんでちょっと一休み。ジャッキーの新作『レイルロード・タイガー』を観たんでそっちの感想を書きます。
日中戦争下を舞台としたアクション・コメディで、1950年代の抗日娯楽小説『鉄道遊撃隊』の同名映画化作品のリメイク的映画とのこと。ディン・シェン監督は『ラスト・ソルジャー』『ポリス・ストーリー レジェンド』がいずれも面白かったんで期待してたんですが、今回はお話のテンポが悪くアクションとしてもコメディとしても中途半端な出来で、アクションはやや単調だしギャグもことごとく滑ってて、残念ながら期待外れでした。9月公開の『スキップ・トレース』に期待です。
>DVDやテレビ録画で観た映画
『誘拐捜査』
こちらもディン・シェン監督の映画で、2004年に実際に起こった俳優誘拐事件の映画化。被害者・犯人グループ・警察の群像を実録サスペンス・タッチで描いていく社会派ドラマで、こちらはスピーディーなタッチの小気味いい展開にあっという間に引き込まれてしまう快作でした。日本では劇場公開されずDVDスルーだったみたいですが、非常にもったいない。
『初体験 リッジモント・ハイ』
米国のハイスクールを舞台とした1982年の青春映画。公開当時はフィービー・ケイツのトップレスが話題になったらしいけどフィービーは準主演で、主演はショーン・ペンとジェニファー・ジェーソン・リー。ただし数多くの登場人物のエピソードが並行して描かれる群像劇で、ショーン・ペンとジェニファー&フィービーは最後まで絡みません。他にも若き日のジャッジ・ラインホルド、フォレスト・ウィテカー、エリック・ストルツ、アンソニー・エドワーズ、ニコラス・ケイジなんかも出演してます。
当時弱冠22歳のキャメロン・クロウが高校に潜入入学して書いた小説を自ら脚本化し、28歳のエイミー・ヘッカリングが監督した作品で、70年代を代表する青春群像劇『アメリカン・グラフィティ』に続く、80年代青春映画の幕開けを告げる作品と言っていいでしょう。『アメグラ』同様今でも全く古びていないのがすごいですね。面白かったです。
>ホラー映画
僕もホラー映画はほとんど観ませんねえ。苦手とか嫌いというわけではないんですが、あんまり興味がないというか……。『オーメン』は昔テレビで第3作の『最後の闘争』を観て、その後にやはりテレビ放送で『2』を観ましたが、最初のは未だに観ていません。『最後の闘争』は全くの駄作でしたが、『2』はまあまあでした。
『エイリアン』については何度か書いてますが、僕は『2』のほうが好みです(観たのは『3』まで)。でも『2』はホラーというよりアクション映画ですね。
#1677
徹夜城(支配人) 2017/08/02 00:17
怖いのは苦手で…(汗)
>ダンさん
遊園地の絶叫マシーンのたぐいもダメな僕でして、映画でもホラーは敬遠気味です。小学生の時にクラスの子が持ち込んだ楳図かずおの恐怖短編集がおもいっきりトラウマになったりしてますし(笑)。
ただ、「エイリアン」は一作目のみではありますが見ています。SFホラーの古典で、やはりよくできていたからこその原点ですよね。リドリー=スコット監督にとっても出世作となりました。
他でホラーもので見てるのはキューブリック監督の「シャイニング」くらいでしょうか。でもあれってホラーといっても監督の解釈では主人公の発狂・妄想ということなんじゃないかと。実際、原作者のスティーブン=キングはオカンムリで今も断固として認めてないそうですし。
ホラー映画とは言われないもので「怖い」ということではヒッチコックのもいくつか。
あと「ゼロ・グラビティ」を見たとき、「宇宙に放り出される」という状態ほど怖い体験ってないんじゃないかと思ったものです。
#1676
ダン 2017/07/31 23:33
ホラーはいかがですか?
「エイリアン」は何回観ても古臭い感じは無いですね。
歴史ネタ?っというかアンチキリスト要素が強い「オーメン」はホラー映画の音楽でアカデミー賞に輝いたオカルトホラーの金字塔ですなあ…
グレゴリー、ペックという歴史ネタ映画では「マッカーサー」をカッコ良く演じた大スターをホラー映画に起用した所がこの映画を単なるオカルトホラーにしてないですもの。ホラーが苦手な人はちょっと向かないでしょうが、暑い時期にはピッタリでしょうか!?
#1675
エリアス 2017/07/31 23:26
ポルターガイスト
#1674
バラージ 2017/07/05 01:17
ジャッキー映画A
ジャッキー映画の感想、80年代編。
僕が映画館で観たのは『プロジェクトA』からなんですが、ジャッキー映画ってビデオ時代は日本公開版が収録されていたと思うんですが、DVDからは国際版が収録されてるんですよね。編集の違いが結構あるんで、作品によっては「う〜ん」となっちゃうことがよくあります。ファンの要望も多かったと思われ、近年は販売版ブルーレイの特典映像扱いで日本公開版が収録されています。
『ヤング・マスター 師弟出馬』……テレビ視聴。ゴールデンハーベスト移籍第1作で、ジャッキーが自らのカンフー映画集大成として作った映画。全体の出来はまあまあってとこですが、ラストバトルは確かに迫力があります。
『バトルクリーク・ブロー』……ビデオかDVDで視聴。ジャッキーのハリウッド初進出作ですが、アクションはスローモーだしストーリーも面白くない全くの駄作。
『キャノンボール』『キャノンボール2』……テレビ視聴。ジャッキーがハリウッド・スター大集合映画に出演と騙された人も多いのでは? 当時はピークの過ぎた人ばっかりですし、ジャッキーは脇役。スター大集合映画の御多分に漏れずの大味な映画で退屈。
『ドラゴンロード』……ビデオかDVDで視聴。スポーツ・カンフーアクション映画で、前半に出てくるラグビーもどきやセパタクローもどきは面白いんだけど、なぜかその方向性は前半だけで終わってしまい、後半は普通のカンフー映画になってしまう中途半端な作品。
『ドラゴン特攻隊』……テレビ視聴。ヤクザが絡んだロー・ウェイとのトラブルを解決してもらったヤクザに顔の利くジミー・ウォングに恩義を返すために出演した無国籍アクション。途中からゲスト的に出てきたジャッキーが、実はラスボスだった主人公のジミーを倒してめでたしめでたしというめちゃくちゃな作品。
『五福星』『大福星』『七福星』……#1665に記述。
『プロジェクトA』……初めて映画館で見たジャッキー映画で、この傑作でジャッキーにハマりました。ジャッキーのカンフーから現代アクションへの転換点で、命がけスタントの始まりなどアクション映画史的にも1つの金字塔と言っていいでしょう。コメディ映画としても絶品で、映画館は爆笑の連続でした。これ以後は基本的にすべて映画館で観ています。
『スパルタンX』……スペインを舞台とした映画で、ジャッキーとベニー・ユキーデの格闘はベスト・バトルですが、映画全体の出来は『プロジェクトA』に比べるとやや落ちるかな。面白いことは面白いですけどね。
『プロテクター』……再びのハリウッド進出作ですが、これまたいまいちの出来。ジャッキーが香港でアクション・シーンの撮り直しやストーリー部分の追加撮影をしたそうなので、それでも多少ましになっているようです。
『ファースト・ミッション』……刑事の弟をジャッキーが、その知的障害の兄をサモが演じた兄弟愛のヒューマンドラマです。香港での興行成績が悪かったため、日本公開版はアクション・シーンを大幅に追加撮影したとのことで、わりと面白い作品になってます。
『ポリス・ストーリー 香港国際警察』……『プロジェクトA』と並ぶジャッキーの最高傑作。これまたアクション映画の歴史に残る傑作と言ってもいいでしょうね。この映画は特に国際版と日本公開版の違いが著しいんですが、日本公開版のほうが圧倒的に出来が良いです。でもビデオまでは日本公開版だったのにDVDでは国際版になっちゃったんですよね。販売版ブルーレイの映像特典という形でようやく収録されましたが、2度目のブルーレイ化からなんで注意が必要です。
『サンダーアーム 龍兄虎弟』……ユーゴスラビアで撮影中にジャッキーが頭部骨折の大けがをした映画。新聞の夕刊で第1報を見たときには本当にびっくりしました。映画自体はいまいちかなあ。最後に戦うのが女性黒人戦士4人なんですが、やっぱり女性を殴るのはちょっとね。
『プロジェクトA2 史上最大の標的』……前作には及びませんが、まあまあ面白かったかな。中盤のいろんな人がマギー・チャンの家を訪ねてくるコメディ・シーンが秀逸。ちなみに前作で海上警察長官役だった俳優が亡くなったため(遺作だった)、前作ではいじめ役の陸上警察長官役だった俳優が海上警察長官役に変わってます。
『サイクロンZ』……再びジャッキー、サモ、ユン・ピョウそろい踏みですが、これはいまいち。ジャッキーが弁護士なのに拳で解決するのはどうかと思うし、法廷シーンも無理がありすぎ。再出演のベニー・ユキーデもキレがありません。
『ポリス・ストーリー2 九龍の眼』(旧題:九龍の眼 クーロンズ・アイ)……これも前作には及ばないいまいちの出来。脚本が直前に変更になって撮り直しをしたとかで、ストーリーが混乱気味です。
『奇蹟(ミラクル)』……30年代香港を舞台にフランク・キャプラ監督の『ポケット一杯の幸福』を(無断で)リメイクした作品。よってアクションよりもストーリーやコメディ部分に重点を置いた映画ですが、それだけ物語がきちんとしていて面白かったですね。登場人物のキャラクター付けも上手い。もちろんアクションもきちんとあります。
#1673
バラージ 2017/06/19 23:12
ジャッキー映画@
ジャッキー・チェンの新作が東京では公開ってことで、長年のジャッキー・ファンとして僕が観た歴代ジャッキー映画の感想でも書きたいと思います。
最初に観たジャッキー映画は吹き替えでテレビ放送された『酔拳』でした。映画館で初めて観たのは『プロジェクトA』で、これで大ファンになり今に至るまでほとんどの映画を観ています。
今回は1970年代の作品の感想を。
『レッド・ドラゴン 新・怒りの鉄拳』……ビデオかDVDで視聴。ブルース・リー主演『ドラゴン怒りの鉄拳』の続編ですが、前作には及びもつかない駄作。殺陣が古臭くなってるし、勘違い日本描写もひどくなってるし、何より映画としてまったくつまらない。ジャッキーは整形前なんで、目がまだ一重です。
『少林寺木人拳』……テレビ視聴。登場人物がやたらと多い群像劇的な映画で、シリアス時代のジャッキー映画ではなかなか面白かった作品。木人は中盤の免許皆伝のための試練なんですが、学校で木人ごっこが流行りましたね(笑)。ジャッキーは口のきけない役で終盤近くまで表情だけで芝居してますが、意外とこの頃から芝居が上手いことがわかります。目はまだ一重。
『ファイナル・ドラゴン』(旧題:キラー・ドラゴン 流星拳)……ビデオかDVDで視聴。2作連続でこけたためスターにくっつけてジャッキーを売り出そうとした映画で、主演はジミー・ウォング。ジャッキーは依頼主だが実は悪ボスという役どころで、武侠小説家として著名な古龍脚本の武侠映画なんですが、話がかなり支離滅裂。ここから二重に。
『成龍拳』……ビデオかDVDで視聴。これもスターにくっつけてジャッキーを売り出そうとした映画で、アクション女優シュー・フォンとのダブル主演。やはり古龍脚本の武侠映画ですが、『ファイナル・ドラゴン』以上に支離滅裂でまったくつまらない作品。
『蛇鶴八拳』……テレビ視聴。これも『木人拳』と似てて、登場人物がやたら多い群像劇的な作品。ローが監督から外れたため、シリアス一辺倒だったそれまでの作品と違ってちょっとだけコミカル風味が入ってます(基本はシリアス作品ですが)。これも『木人拳』同様になかなか面白い映画ですが、ラストの対決がちょっと長すぎ。ブルース・リー映画のヒロインだったノラ・ミャオとはこの映画の他に『レッド・ドラゴン』『龍拳』で共演してますが、この映画のミャオが一番きれい。
『カンニング・モンキー 天中拳』……ビデオかDVDで視聴。ローから離れたジャッキーが若い同世代スタッフと好き放題作ったコメディ・カンフー映画。とにかく最初から最後までふざけてるような映画で、ジャッキーのそれまでの欲求不満がよくわかります(笑)。映画としての出来はまあまあ。
『拳精』……テレビ視聴。『天中拳』を見て激怒し、お蔵入りにしたローが作ったコメディ映画。稚拙な特撮で表現されるタイツを着た拳法の精霊は面白いけど、コメディとシリアスが混在してて、それまでのコメディ調からクライマックスでいきなりシリアス調に変わったりする変な映画。
『ジャッキー・チェンの飛龍神拳』(旧題:ヤング・ボディガード)……テレビ視聴。『ファイナル・ドラゴン』『成龍拳』同様に古龍脚本の武侠映画ですが、意味もなく何度もどんでん返しを繰り返してるうちに話のつじつまが合わなくなり、支離滅裂になって何が何だか訳が分からなくなる怪作。
『龍拳』……ビデオかDVDで視聴。師匠の仇討の対象が過去を悔い改心してたため仇討をやめるが、今度はその男を狙う悪人が現れ……という変わった展開の映画ですが、とにかく気が滅入るような暗い映画で、しかも面白くありません。
『スネーキー・モンキー 蛇拳』……ビデオかDVDで視聴。ジャッキー初の大ヒット映画。日本では『酔拳』に続いて2本目の公開作でした。『酔拳』みたいなコメディ映画かと思いきや、最初の方はお涙頂戴物のような展開でいまいち。途中から徐々にコメディになってくんですが、やはり『酔拳』のほうが面白い。そっちを先に日本公開して正解だったと思います。
『ドランク・モンキー 酔拳』……テレビ視聴。最初に観たジャッキー映画です。もちろん面白い映画ではあるんですが、同じくテレビで観てたブルース・リー映画のほうが当時は面白かったですね。僕がジャッキー・ファンになったのは、後に『プロジェクトA』を映画館で観てからでした。
『クレージー・モンキー 笑拳』……ビデオかDVDで視聴。ロー・ウェイ時代の最後の作品。ジャッキーの初監督作ですが、残念ながらいまいちの出来。ストーリーがわかりにくくテンポが悪い上に、感情表現拳法というのもなんかいまいちでした。
『醒拳』(別題:新クレージー・モンキー 大笑拳)……ビデオかDVDで視聴。ゴールデンハーベストに移籍しようとしてロー・ウェイと契約問題でもめたジャッキーが、ローに強制的に出演させられた映画。わずかしか撮影されず、『笑拳』の没フィルムやジャッキーのそっくりさんを使ってローが無理矢理完成させましたが、もちろんまったく面白くありません。
#1672
バラージ 2017/06/02 15:52
途方もなく壮大なホラ話
チャン・イーモウ監督がハリウッドに進出して作った中米合作映画『グレートウォール』を観ました。約1000年前の宋の時代を舞台としたファンタジー・アクション時代劇で、3D映画ですが僕の地元では2D字幕版のみの公開でした。
幻の黒色火薬を求めて砂漠の果ての万里の長城にたどり着いた2人のヨーロッパ人傭兵。彼らはそこで実は万里の長城が60年に1度現れる怪物・饕餮(とうてつ)の群れを防ぐためのものだと知る。早く火薬を盗んでずらかろうと言う相棒に対して、主人公は怪物の群れと戦う宋の武人たちを見ているうちに、自分もここに残って彼らとともに戦うことを選択する……というストーリー。
いやあ、面白かったです。しかしよくもまあこんな途方もないホラ話を思いつくよなあ。そして実際に作りあげちゃうよなあ。CG使いまくりで、饕餮の群れとかもうほとんど『ロード・オブ・ザ・リング』の世界でした。宋軍の兵器も笑っちゃうくらい奇想天外というか奇天烈なやつばっかりですが、よくよく考えればイーモウはキャリア初期の20世紀前半を舞台としたアート映画『紅いコーリャン』『菊豆』『紅夢』のころからこういう途方もない嘘道具をいっぱい出してたんだった。そういうのが得意なんでしょうねえ。
そんなわけで主人公たちと怪物軍団の合戦映画的大バトル・アクションが展開されるわけですが、まさに手に汗握る興奮の展開でした。米国では酷評されて大コケしたらしいけど、米国人の感覚ってちょっと違うのかなあ? まあ、イーモウも米国の観客のことなんかまったく考えず、ハリウッドの巨額の製作費を使ってやりたい放題やってます(笑)。欧米俳優も主演含めて3人(マット・デイモン、ペドロ・パスカル、ウィレム・デフォー)ぐらいで、他はオール中国人。撮影もほぼ全編中国でされたようです。イーモウはいい意味で完全にハリウッドをなめてますな(笑)。あと、ヒロインの女将軍役のジン・ティエン(ジャッキーの『ポリス・ストーリー レジェンド』にも出てた)が作り物かと思うくらいの美人でした(日本で言うと北川景子・佐々木希タイプ)。
・その他の最近観て面白かった映画
『百日告別』
映画館で観賞。大規模事故で婚約者を失った女性と妻を失った男性が、それぞれに苦しみと喪失の日々を経て百日の法要の後に再び前を向き立ち上がっていくまでを描いた台湾のヒューマン映画。妻を亡くしたトム・リン監督の実体験を反映した作品で、過剰な泣かせに走ることなく淡々とエピソードを重ね、簡単には癒えない大事な人を失った深い悲しみを静かに描いていく映画でした。好きな女優の1人カリーナ・ラムが主演で、彼女の出産・育児による休養からの復帰作。
#1671
バラージ 2017/05/27 02:52
追悼ロジャー・ムーア
リアルタイムで観た映画はありませんが、中高生のころにテレビで007をよく観てました。『黄金銃を持つ男』『私を愛したスパイ』『ムーンレイカー』『美しき獲物たち』を観ましたが、特に『私を愛したスパイ』はマイ・ベスト007映画です。ムーアの出演作で他に観たのは『キャノンボール』くらいでしょうか。もう89歳だったんですねえ。ご冥福をお祈りいたします。
>ジェームズ・キャメロン監督
『ターミネーター』2作以外で観たのは、『T1』『T2』の間の『エイリアン2』『アビス』と、『T2』より後の『トゥルー・ライズ』『タイタニック』。
『エイリアン2』は『ターミネーター』の成功で抜擢された作品ですが、サスペンス・ホラーだった1作目とは異なるテイストのSFアクションに見事に仕立て上げて、とても面白かったです。僕は『2』のほうが好きですね。アンドロイド役のランス・ヘンリクセンがいい味出してます。後に「完全版」も観ましたが、これはさらに良かった。
『アビス』は前2作とは打って変わって友好的エイリアンを描いたヒューマンドラマSF。海底が舞台で、水の特撮がとにかく素晴らしい。これが『T2』の液体ターミネーターに応用されました。これまた面白かった。こちらも確か完全版が出たんじゃなかったかな。
『トゥルー・ライズ』はSFではなくシュワ主演のアクション大作ですが、面白いことは面白いけどちょっと大味。この頃から徐々にシュワが失速し始めます。
『タイタニック』は過去にも書きましたが、企画を聞いたときは、今さらタイタニック?しかもラブストーリー?と思ったんですが、観てみたら確かによくできてました。個人的にはそれほど好きなテイストではないけれど、面白いのは確か。
#1670
バラージ 2017/05/20 16:18
も一度ターミネーター
ついでなんで、『ターミネーター』の第1作と『2』についての話も。
第1作は公開から何年後かにテレビ放映で観ましたが、低予算ながらアイデア賞もので面白かったですねえ。特に最後のほうのなかなか死なない(というか壊れない)ターミネーターが良かった。アクション映画のセオリー通りなんですが、ハラハラドキドキさせられて面白かったです。
『2』は映画館で観ましたが、これまた面白かった。ジェームズ・キャメロンもシュワルツェネッガーもすっかり大物になって、1作目とは比べ物にならない巨額の製作費がぶちこまれた大作ですが、期待にたがわぬ作品でした。なんといっても液体ターミネーターのアイデアと特撮がすごい。キャメロンの前作『アビス』における特撮の応用ですが、ほんと秀逸でした。
そういえば『3』を観たら、「“審判の日”は回避されたわけではなく延期されただけ」という苦しい言い訳から話が始まってて、それを観て「ああ、そういやそんな設定あったっけ」と思い出したんですが、その“審判の日”は第1作では1999年、『2』では1997年(第1作のおかげで歴史が変わったという設定)だそうです。つまりこのシリーズもまた「世紀末的終末世界」を設定に含んだ映画だったんですね。だからこそ21世紀になってからの『3』以降の作品は今一つピンと来ないのかもしれません。
・ダイ・ハードの原作
僕はいずれも未読なんですが、第1作はロデリック・ソープの小説『Nothing Lasts Forever』(邦題『ダイ・ハード』)が原作。『The Detective』(未邦訳)という小説の続編だそうです。一方、『2』はウォルター・ウェイジャーの小説『58minutes』(邦題『テキサス空港着陸不能』。後に映画公開に合わせて『ダイ・ハード2』と改題)が原作で、映画の内容は原作から大きく改変されているとのこと。
・最近観て面白かった映画
『聖の青春』
DVD視聴。29歳の若さで世を去った棋士・村山聖を描いた伝記映画。非常に丁寧な作りの映画で、文字通り命をかけて将棋を指す村山を松山ケンイチが20キロも増量して熱演しています(村山は病気のせいでかなり太っていた)。牛丼は吉野家というこだわりを持ち、少女マンガ『イタズラなkiss』が大好きという村山のキャラクターも面白い。脇を固める俳優陣もみな良かった。
『ボディ・スナッチャー 恐怖の街』
BS放送を録画視聴。同じ原作の2度目の映画化『SFボディ・スナッチャー』は昔ビデオで観てて、そっちもなかなか面白かった記憶がありますが、僕は最初の映画化であるこっちのほうが好きですね。じわじわ迫るようなリアルな怖さがあります。多分、特撮がほとんどなくモノクロというのが大きいんじゃないかなぁ。予算と時代のせいという偶然の産物ですが、おかげでリアルな悪夢を見てるような気分にさせられます。
『私の少女時代』
映画館で観賞。仕事も恋も冴えない日々を送る30代女性が回想する90年代の高校生時代を描いた台湾の青春恋愛映画。まあ、ベタと言えばベタなストーリーなんですが、脚本と演出をきめ細かく作ればこれだけ面白くなるという見本のような映画ですね。90年代も今でもアンディは大スターというのが物語のスパイスになっていて、アンディ自身が製作総指揮の他に特別出演もしています。アンディは今年1月に落馬事故で骨盤骨折と脊椎損傷の重傷を負い、今年中の復帰は絶望的と言われてますが、またスクリーンに姿を見せてほしいものです。
#1669
バラージ 2017/05/09 23:41
ターミネーターとダイ・ハード
今季の連ドラ『フランケンシュタインの恋』がめちゃくちゃ面白く、久々にドラマにハマっている今日この頃です。
『ターミネーター3』『4』に続いて、最新作『ターミネーター 新起動/ジェニシス』も観ました。
ふーむ、なるほどこういうパターンなのか、という感じでしたね。リメイクではなく、旧シリーズ4作まとめてのリブートってやつなんですな。まあ、いろいろ難しい条件が多い中ではベストな出来だったんじゃないかなあ。僕はまあまあ楽しめました。少なくとも『4』よりは良かったですし、『3』と同じくらいかな。ま、さすがに第1作や『2』には到底及びませんが。それにしてもCGによる特撮の進歩はすげえなあと感じたんですが、その一方で低予算だった1作目の素朴な特撮が懐かしくもあったりなんかして。
僕は前に書いた通り、『ダイ・ハード』は3までしか観てません。
前にも書いたことと重複になりますが、僕も第1作は普段アクション映画を評価しない評論家たちがやたらとほめてキネ旬ベストワンにもしてることに、長年のジャッキー・ファンとしてカチンとくるところがあったんですが、実際テレビ放送で観てみるとジャッキー映画や(『ダイ・ハード』よりちょっと前に観た)『リーサル・ウェポン』などとの比較はともかくとして、確かに非常に面白いアクション映画でした。大筋では原作小説(1979年の作品。邦訳あり)通りらしいんですが、悪役テロリストの目的は原作では政治的目的だったものを、映画のトーンが暗くなるのを嫌ったジョン・マクティアナン監督が「単なる金目当て」に変更したんだそうです(この辺はwiki参照)。
『2』は映画館で観ましたが、確かにこちらも面白いものの第1作に比べると大味な感じがしてやや落ちる出来でしたね。見せ場優先主義のハッタリズムと言いますか。どうもそれがレニー・ハーリン監督の持ち味のようで、その後の『カットスロート・アイランド』『ロングキス・グッドナイト』『ドリヴン』『ザ・ヘラクレス』など、いずれも「まあまあ面白いけど大味な映画」でした。
『3』は再びマクティアナン監督で1作目の面白さが戻るかと思いきや全くの凡作。これは『2』の時もちょっと思ったんですが、もともと第1作の面白さは、ちょっと強いだけの普通の刑事が火事場の馬鹿力で危機を乗り切っていくところだったと思うんです。それがスタ&シュワ風のスーパー刑事になっちゃってるのがちょっとなあと。ちなみにマクティアナンは第1作前後の『プレデター』『レッド・オクトーバーを追え』も面白かったんですが、『3』の前あたりの『ラスト・アクション・ヒーロー』は空虚なアクション大作といった感じでいまいちでした。
#1668
黒駒 2017/05/09 22:37
一箇所訂正
>「ダイ・ハードの悪役が純粋に金目当てで好き」
これは「ダイ・ハード」一作目でなく、全作通じての印象です。だいたい後半になると、どうせまた今回もまた結局はカネ目当てだろうとわかってきます(笑)。いいですね。下手に本気でシリアスな動機を語るより、悪役として純真です。
#1667
徹夜城(支配人) 2017/05/07 23:09
ダイ・ハードな話
黒駒さんに便乗(?)して僕も「ダイ・ハード」シリーズの話なぞ。前にも書いたネタがたぶん混じります。
僕は弟一作はテレビで見たんですよ。日曜洋画劇場、淀川さんが「男の裸、裸!」と何やら力説してたの覚えてます(笑)。ブルース=ウィリスの声は野沢那智だったはず。
当時特にアクション映画好きというわけでもなかったんですが、新聞の映画番組紹介欄でえらい褒められようでしてねぇ…それで見たわけです。ビル内の限られた空間での戦いが面白いとは思ったけど、正直それほどのめりこまなかったんですよ。ただ繰り返し見ていると、これ、なるほどシナリオがよくできてるんですよね。原作小説があるんだそうですが。
当時ブルース=ウィリスといえば「こちらブルーム―ン探偵社」の二枚目半のサブ主人公で、その軽妙なやりとり(「次の場組があるんだからあと五分で解決するよ」の名セリフ!)の印象が強かったですから、こんな筋肉系ハードアクションに出てきたことが以外でもありました。まぁ当初からスタローンやシュワちゃんとはちがう路線でしたけどね。
黒駒さんも書いておられたテロリストのボス「ハンス」を演じたのは故アラン=リックマン。その後「ハリー・ポッター」でもレギュラーで出た名優です。僕にとってこの人のベスト(?)は「ギャラクシー・クエスト」での、「元シェークスピア俳優なんだけどトカゲ頭の宇宙人役をいやいややっている俳優」の役(「スタートレック」のミスタースポック)でした。どうもご本人も印象がかぶる俳優さんだったみたいで。「マイケル・コリンズ」ではアイルランド初代大統領役でもありました。
そして「ダイ・ハード2」は映画館で見ました(思えば「2」を公開するのに合わせて前作のTV放映をしたのかな)。実はこっちの方が気に入っちゃって(笑)。
アクションものとして見た場合いろいろ欠点もありますし、全体構造が前作のパロディ、ってところもあるんですが、面白かったのは「敵」の設定でしょう。明らかにパナマのノリエガがモデルの「将軍」と、その奪回をはかるアメリカ右翼元軍人たち、という、当時生々しいパナマ侵攻ネタに絡めてアメリカのご都合外交を皮肉っているわけで。前作に比べて敵が容赦なく狂暴なのも意図したシナリオなんだと思います。
どんでん返しの多いシナリオも子のみではありました。まぁ今見返すと終盤の展開はやりすぎという気もしますけど、当時映画館では「おお、そうきたか!」って大受けしたんですよ。
で、「ダイ・ハード3」ですが、これはもともと全く別の企画の脚本を「ダイ・ハード」用に流用したものだそうで、スケールはアップしたけど「ダイ・ハード」っぽくない作品という印象です。これもシナリオは練りに練った…んでしょうけど、ラストがなんだか唐突で。どうするか作り手も迷ってて数パターン撮ってあった(ハリウッドではよくあるそうですが)というんですが、それでいいんかい、という終わり方で。
そしてえらく間を置いた「4」(4.0だっけ)。これを見るとアクション映画世界もIT革命前と後でえらく変わってしまった、というのを実感しますね。作り手がシリーズのマニアということもあってか「3」よりは高評価を僕はしてますけど、特に本作は「相棒」がてんでだらしないパソコンオタクというあたりがかえってハラハラにつながるという発見がありました。
で、「5」はまだ見てなかったりして。
#1666
黒駒 2017/05/06 22:06
ダイ・ハードなど
ダイ・ハードは「ラストデイ」だけ残してすべて見ているのですが「4」はハッカー集団の話でしたね。ハイテクハッカー集団vs、ハッカー青年と組んだコンピューターは苦手なジョン・マクレーンという構図でした。
ダニエル・クレイグの007の三作目「スカイフォール」も似たような話でしたね。アクション映画なども最近はすっかりサイバー社会を描くようになっているでしょうし、類型化してるのかもしれませんね。現実はどちらかと言えば、ハイテクな超大国がローテクなテロリストに手を焼いている世界なのですが。
ところでダイ・ハードの悪役が潔くて好きです。政治的理念とか復讐とか高尚なことを言うのですが、結局のところ目的は純粋に金であるという(笑)。
#1665
バラージ 2017/04/09 00:48
昔の映画たち
福星シリーズは、『五福星』をテレビ放映で、『大福星』を映画館で、『七福星』をレンタルビデオで観ました。
もともと『五福星』はサモ・ハンがオールスター映画として作った旧正月映画らしいんで、そういうスター大集合映画としてヒットしたんじゃないかと思います。その手の映画の常としてストーリーが弱いのは仕方ないんでしょうね。日本ロケがあったのは『大福星』で、富士急ハイランドで戦ってましたね。女性ボディビルダーの西脇美智子さんが悪役として出てました。『七福星』はタイのパタヤビーチが舞台だったそうですが、どんな映画だったかもう全然覚えてないなあ。
ミュージカル映画は僕もあんまり観ないんですが、『ウェストサイドストーリー』は観てて、なかなか面白かったですね。
僕は最近テレビ録画で『ターミネーター』の『3』『4』を観ました。『2』までは観てたんですが、21世紀になってからの『3』以降はなんだか興味を失っちゃいまして今まで観てなかったんですよね。でも一昨年に観た『ミッション・インポッシブル』の最新作『ローグ・ネイション』が面白くて、その後テレビ録画でやはりそれまで観てなかった21世紀以降の『3』と『ゴースト・プロトコル』を観たらこれまた結構面白かったんで、もし機会があったら同様に21世紀になってから観なくなってしまった『ターミネーター』シリーズや『ダイ・ハード』シリーズの新しめの作品も観てみようかなあと思ってたんですよ。
『3』は『1』『2』のような衝撃や新味こそないものの安定した娯楽アクション映画って感じでわりと面白かったです。ただ、最初に設定した近未来に現実の時間がだんだん近づいてきちゃったなあとも感じました。そのためかいったんこの作品でシリーズとしては完結させちゃってます。
『4』は番外編というか『ターミネーター0(ゼロ)』みたいな話(原題は『Terminator Salvation』)。全編近未来だし、当時知事だったシュワルツェネッガーはCGによる特別出演だけだしで、あんまりターミネーターっぽくありません。まあ面白いっちゃあ面白いんですが。
#1664
エリアス 2017/04/06 00:28
ジェリー、ゴールドスミス
ジェリー、ゴールドスミスが音楽を手がけた歴史、戦争映画
「トラ!トラ!トラ!」「パットン大戦車軍団」「マッカーサー」
「ブルーマックス」「ライオンハート」「風とライオン」等があります。
どれも印象深い音楽でした。
#1663
エリアス 2017/04/06 00:13
今年は〇〇から何周年
今年はスターウォーズ公開から40周年になるんですね!!
スターウォーズは旧3部作は何度も観てますが、新3部作(99年ー2005年)
は全部観ましたが、あまり覚えてません。歴史映画にも縁が深い作曲家のジェリー、ゴールドスミスとエルマー、バーンスタインが亡くなって13回忌になるんですね。ジェリー、ゴールドスミスは歴史映像名画座でも取り上げられてる映画に多く関わっています。
#1662
エリアス 2017/04/06 00:05
今年は〇〇から何周年
#1661
徹夜城(支配人) 2017/04/05 23:38
こちらこそはじめまして
>エリアスさん
こちらこそはじめまして。映画マニア同士、今後ともよろしくお願いします。
ご紹介の「ブルーマックス」のほうは存在自体は知ってましたが未見でした。「トンネル」は元ネタの史実の方は知ってるけど映画は知らなかった、という。
「歴史映像名画座」があるのでどうしても歴史映画・戦争映画に情報が偏りますが、他のジャンルの映画についても記事を増やしたいとは思ってるんですよね。
最近は劇場に行ってなくて、もっぱらBSで放送した者の録画鑑賞。
「サウンド・オブ・ミュージック」は超有名作ですが初めて先日鑑賞しました。これ、十分に歴史映画扱いもできるなあと思いました(史実関係はいろいろ問題ありでしょうが)。旧西ドイツでも同じネタで二部作作ってるそうなんでうがね。「サウンド〜」はミュージカル仕立てで、ミュージカル映画は苦手(というか食わず嫌いか)の僕ですが、意外とヘンにも感じず素直に楽しめました。「ああ、この曲って、これが出典なんだ!」と知って驚いたのもいくつか。「ドレミの歌」は知ってたんですけどね。
あとサモハン・キンポー主演・監督の「五福星」も。豪華メンバーでの大ヒット作なんだそうですが、話にとりとめがない印象も。個々のシーンはギャグ連発で面白いと言えば面白いんですけどね。香港映画ってその場その場のアイデアでどんどん作っちゃう、なんて話を聞きますが特にこれは納得しちゃうような。ジャッキー=チェンはここでもよく動き回ってますけど保筋にあまり絡んでこないんだよな。
ずいぶん前にレンタルビデオで続編「七複製」を見た記憶があります。東京が舞台になってたような。オープニングでスペースシャトル打ち上げの映像が入りナレーションで「だがこの映画には何の関係もない」とやる冒頭ギャグだけはよく覚えてます(タイトル違うかも…)
#1660
エリアス 2017/04/04 22:46
はじめまして映画マニアです。
歴史映画や戦争映画が多く扱われてると聞きました。
さて、オタクとしては「トンネル」や「ブルーマックス」が無かったのでオススメします。「トンネル」は冷戦下のベルリンを舞台にトンネルを掘って亡命に挑んだ人々の実話を描いた映画です。一方の「ブルーマックス」は第一次大戦を描いたスカイアクション映画です。CGの無い時代によく作った!!と言える映画でした。管理人さんの趣味に合えばいいと思いますが…いかがでしょうか?
#1658
バラージ 2017/03/28 01:33
CGの海
>最近DVDで観た映画
『西遊記 孫悟空vs白骨夫人』
西遊記を題材とした香港・中国合作映画。好きな女優のコン・リーが出演してるから観たんですが、序盤の展開がなんかちょっと駆け足だなあと思ったら、『モンキー・マジック 孫悟空誕生』という映画の続編だったようです。香港映画によくあることですが、シリーズなのに邦題が全然違うのやめてほしいよなあ(逆にシリーズじゃないのにシリーズに見せかけた邦題も困りものですが)。前作は悟空が岩山に封印されるまでの話だったらしく、本作で三蔵法師らが登場して天竺への旅が始まり、三蔵を狙う白骨夫人(コン・リー)という妖怪が登場して、悟空たちと戦いを繰り広げるファンタジー・アクション映画。
最近の香港映画・中国映画で大流行の、とにかくCGとワイヤーワークをしこたまぶち込んだ3D大作映画で、もうほとんど全編CGを観てるような感じでした。まあ、この映画に関しては元がファンタジーなためか、あるいは監督の力量なのか、そこまでは気にならず、むしろ面白かったんですが。『指輪物語』や『ホビット』みたいなもんですね。
それにしても最近の中華圏3D大作におけるCGの氾濫には少々目に余るものがあります。『画皮 あやかしの恋』『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣とまぼろしの秘宝』『妖魔伝 レザレクション』(『画皮』の続編)『西遊記 はじまりのはじまり』『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』(『王朝の陰謀』の前日譚)といったあたりが僕が観たその手の映画ですが、新しいものほどCGてんこ盛りの映画になっています。ファンタジー系の作品が多いからってのもありますが(『ドラゴンゲート』のみ非ファンタジー系。『王朝の陰謀』も非ファンタジー系だが、前日譚の『ライズ〜』はすっかりファンタジーになってしまってた)、なんかもう3DのためにCG(とワイヤー)を使ってるという感じ。
まあ、『ドラゴンゲート』はすごく面白かったし、『画皮』『王朝の陰謀』『はじまりのはじまり』もまあまあ面白かったんで使い方次第なんでしょうけど、そういうのばっかり続けざまに見せられると絵が飽きてきちゃうんですよねえ。
現在公開中の史劇スペクタクル『楊貴妃 Lady Of The Dynasty』や、まもなく公開されるチャン・イーモウ監督の米中合作アクション史劇『グレートウォール』もやはりCG大量のようで、どうなんだろなあ。
#1657
バラージ 2017/02/25 10:04
テレビドラマの話
最近観たい映画がなくて、あまり映画館で映画を観ていません。去年の11月は『デスノート』の新作だけ(いまいちだった)、12月は全く観てなくて、1月も『ローグ・ワン』だけでした。2月もまだ1本も観てません(録画やDVDは別ですが)。
そんなわけで映画ではなく、ここ数年で特に面白かったテレビドラマの話を。
『植物男子ベランダー』……NHK-BSプレミアムで放送された連続ドラマ。原作はいとうせいこうのエッセイ『ボタニカル・ライフ 植物生活』『自己流園芸ベランダ派』で、主演は田口トモロヲ。自宅マンションのベランダで植物を育てることを趣味とし、庭で植物を育てるガーデナーに対し自らを「ベランダー」と称する中年フリーライター「俺」の植物をめぐる一喜一憂を描いたコメディドラマです。僕は2013年のパイロット版を観て、それが面白くてそれ以来、連ドラ・season2・ウィンタースペシャル・season3とすべて観ています。原作は未読ですが、何しろエッセイなんでそのままドラマ化できるはずもなく、どちらかというと原案に近いものでしょう。実際観てるとそういうエピソード満載だし、でも面白ければすべて良し!ってな感じ。田口トモロヲもハマり役で好演です。ドラマ本編の間に様々なミニコーナーが挟まれるのも特徴で、BSだけに好き放題作ってるというか、BSでなければ作れないようなドラマ。ただ、このドラマ、人気作なのに今まで全くDVD化されないんですよね。使ってる音楽がかなり有名な洋楽が多いんで著作権の関係なんだろうか?
『グーグーだって猫である』……WOWOWで放送された連続ドラマ。原作は漫画家の大島弓子の同名エッセイマンガで、ドラマの監督はそれ以前に映画版も監督している犬童一心。犬童監督は大の大島ファンでそれ以前にも大島マンガを2度映画化しているとのこと。原作はグーグーをはじめとする大島の飼い猫たちとの日常を描いたものですが(これも未読)、映画・ドラマでは主人公を大島がモデルの小島麻子という漫画家にして、かなり自由にというかほとんどオリジナルの物語を展開しています。そういうわけでこちらも実質的には原案でしょう。ちなみに映画とドラマもストーリーは全く別物です。映画のほうもそれなりに面白かったんですが(主演は小泉今日子)、やはり連ドラのほうがずっと面白い。犬童監督も連ドラ化の時に「映画の撮影終盤になってようやく撮り方がわかってきたところだった」と語ってました。ドラマ版の主演は宮沢りえで、第1シリーズは映画版のファンタジックさと、同じ犬童監督の映画『ジョゼと虎と魚たち』の切なさに通じる雰囲気の作品でした。それに対して『2』はややコミカルな風味が強くなってましたね。
>動画配信
最近偶然知ったんですが、DVD化されていない映画でもネットで動画配信はされているものがあるんですね。市川準監督の『ノーライフキング』はビデオ化のみでDVD化されていないんですが、先日TSUTAYAで動画配信されているのを知りまして。前に紹介した歴史関係映画でDVD化されてない作品だと『富士に立つ若武者』『曽我兄弟 富士の夜襲』がDMMで動画配信されておりました。
>追悼・鈴木清順
実は監督映画は1本も観たことがないんですが、なぜか出演作品のほうをちょくちょく見かけておりました。ご冥福をお祈りいたします。
#1656
バラージ 2017/01/26 22:19
いろいろ
『ターミネーター』はジェームズ・キャメロンが『殺人魚フライングキラー』(未見)に次いで撮った2本目の監督作ですからね。これで一気にブレイクして、『エイリアン2』『アビス』を経ての『ターミネーター2』ですが、シリーズのキャメロン監督作はここまで。監督が変わった『3』以降は(それが理由ってわけではないけど)僕も観てません。
>訃報
神山繁さんというと脇役でいろいろ出てましたが、いざ何に出てたかといわれると脇役が多かったせいもあってパッと思いつかないんですよね。大河ドラマだと『葵 徳川三代』で本多正信を演じてたのが印象に残ってます。
松方弘樹さんはやはり代表作というと『仁義なき戦い』になるんでしょうが、個人的には『天才たけしの元気が出るテレビ』がファーストインパクトだったんだよなあ。
#1655
徹夜城(支配人) 2017/01/24 13:09
ここんとこ映画三昧
今の時期、ちょっと暇があるんですよね(直後に地獄が来ますが)。それでこのところ大急ぎでいろいろ映画を見てます。映画館も行き、録画溜めも処理、といった調子で。
映画館では「この世界の片隅に」。ようやく見られました。キネ旬一位ということもあって客は時間帯にしては結構いましたね。なるほど、実にまとまりもよく、細かく手の入った一本です。感想は近いうちにちゃんと書こうかと。
録画溜めではずいぶん前に放送してた「ラッシュアワー」三部作やら「ターミネーター」1作目やら。「ターミネーター」、初見ではないんですけど、さすがに1984年作品、今見るとチャチさも目立ってしまいます…まぁもともと予算的にもB級作品で、意外に当たったという一本であるわけですが。「2」になって一気にブレイクするんですけど、僕は「3」以降は見てないんです。
>また訃報
今度は松方弘樹さん。映画代表作ではやはり「仁義なき戦い」が挙げられてますねぇ。1作目では実質的主役(菅原文太が本来やる役だった)、4作目で肺病病みのヤクザ幹部、5作目ではうってかわって野望ギラギラの武闘派ヤクザ、といずれも殺されてしまいます。「仁義なき戦い」は同じ俳優が何食わぬ顔で別の役で出てくるんが名物のシリーズですが、松方さんは5作中の3作、いずれも重要な役でしたからねぇ。
#1654
バラージ 2017/01/21 22:54
キラキラひかる
1号前の『キネマ旬報』で「キラキラ青春映画」という特集をやってました。「キラキラ青春映画」とは近年急増してる10代から20代前半の女性をターゲットにした女子向け青春映画にたいするキネ旬記事の命名で、登場人物は高校生のことが多く、恋愛の比重が圧倒的大きく、壁ドンに象徴されるようなドS男子が登場すことも多いなどがその特徴。簡単に言うと少女漫画的(もしくは少女文学的)青春映画ということになります。
実は僕もこの手の映画がここ数年やたらめったら増えたなあと前から思ってたんですよね。僕は青春映画好きではありますが、この手の女子向け青春映画にはさすがに興味がありません。「キラキラ青春映画」にはそれまで映画観客層ではなかった若い女性層を映画館に呼び寄せたという功績もあるらしく、それが流行ること自体は別に悪いことではないんですが、その影響か僕の好きなタイプの青春映画がここ最近減っているような気がするんですよねえ。そこがちょっと困っちゃうところでして。
>ドニー・イェンとチアン・ウェン
僕はこの2人が並んでるのを見てなんか既視感があるなと感じたら、「ああ、映画『関羽』だ」と思い出しました。ドニーが関羽を、チアン・ウェンが曹操を演じてるんですよね。ドニーは主演映画だと俺様的自己陶酔感が強くて個人的にはいまいちなんですが、『関羽』では彼の硬質な芝居が関羽の融通の利かない堅さと奇跡的にマッチングし、チアン・ウェン演じる曹操の底知れぬ懐の深さと好対照をなしておりました。
#1653
つね 2017/01/14 20:51
スター・ウォーズ
管理人さんもご覧になったということで遠慮なく。
主人公が女性ということは、私も「時代の流れ」を感じたのですが、考えるとエピソードZの時点で女性(レイ)+黒人男性(でも女性の印象が圧倒的に感じました)が主人公なので今更かなあと思ったり。エピソード[、\もレイが主人公なのでしょうが、彼女はフォースの力も人格もルークやアナキンと比較すると完成してるので、むしろ成長の余地ある(ありすぎる)カイロ・レン君が「光の誘惑」に負ける成長物語になる可能性が高い気もします。
「ローグ・ワン」のレイア姫は実はお札の樋口一葉のような違和感を感じました。皺がないというか「不気味の谷」というか。ターキン提督はそうでもなかったのですが。
ハン・ソロのスピン・オフはチューバッカとかジャバ・ザ・ハットとかもしかしたらボバ・フェットとの馴れ初めが描かれるのではないかと期待。ハン・ソロはあれだけキャラクターが決まった人物を誰が演じるのか。ハリソン・フォードも無理だろうし。今度こそCG俳優?
#1652
徹夜城(支配人) 2017/01/12 23:04
今年最初の映画館
こちらの伝言板では、いまさらではありますが謹画新年です。
さて今年最初の映画館での鑑賞は「ローグ・ワン」とあいなりました。いつものことですが12月公開の「正月映画」は正月明けに見ることになります。こちらにあった感想の書き込みもなるべく目を通さずに鑑賞、ようやくさっき読ませていただいたところです。
ドニー=イエンが出てるから、ってわけでもないんでしょうが、僕は見ていて「孫文の義士団」を思い起こしていました。孫文暗殺を阻止するために各種達人たちがそれぞれに活躍するという「チームもの」でもありまして…どうも構造がよく似ていたように思います。ラストへの展開が特に。まぁ「よくある話」といえばそうなんでしょうけどね。
時間設定が「エピソード4」の直前だから当たり前ですが、CGで再現した登場人物や背景のセット、メカなど実に「4」を彷彿とさせます。その一方ですでにバラージさんもお書きのように主人公が女性、ついにアジア系俳優も登場など、時代の流れを感じさせるところもあります。
さっき町山智浩さんの感想の音声を聞いたんですが、アメリカの劇場で見たら中盤観客がダレちゃって子供は走るはスマホを見る客はいるは…になっちゃったんだけど終盤一気に盛り上がりの大逆転で観客大喝采で終わったとか。うむ、わかる気はします。白状すると僕も中盤眠気が…(昨日の睡眠時間が少なかったせいもあるけど)。
ドニ=イエンの役は「座頭市」だよなぁ…などとも思っちゃいましたね。それとラストカットは偶然にも追悼カットになってしまい、ちょっと泣けます。他にも「4」の矛盾点というか気になってたところが解決されちゃってるのもシリーズファンとしては嬉しいところでしょう。
次に作るスピンオフはハン=ソロのもっと若いころ、との話ですよね。作り方がより難しそうな気がします。
>CG役者の話
CG役者に演じさせちゃえば俳優いらないじゃん、って話は、そのむかしNHK「新・電子立国」の第一回で(当時の)最新映画事情を取り上げる中でも出て来てましたね。メインの話は「アポロ13」の打ち上げシーンにNASA関係者までが実写とだまされたという話なんですが。「バットマン」シリーズのどれだかでCGのバットマンがビルから飛び降りて地面に着地、そのまま悠然と歩いていく…というカットが、俳優組合側からの要請で最後の歩く所だけ切られた、という紹介をしてました。
最近ではCGアニメと実写の垣根がますます怪しくなってきてるところ。そうそう、今日劇場で実写版「美女と野獣」予告編を見ていてもそんなことを思いました。
#1651
バラージ 2017/01/09 23:13
時の流れに身をまかせ
今更ですが、あけましておめでとうございます。
三が日に『ローグ・ワン』を観てきました。実は特に『スター・ウォーズ』ファンてわけではないんでいまいち乗り気ではなかったんですが、ドニー・イェンとチアン・ウェンが出てるなら観てみるかと。
『スター・ウォーズ7』の時もそうだったんですが、作品内の描写に時代の流れを感じましたね。また主人公が女性だし、なにより反乱軍を全面的な善玉に描いてないところがなんとも現代的。最初の三部作のころは娯楽映画における善悪はもっと単純でしたが、内戦とテロの現在ではそうはできないんでしょうね。おかげで娯楽映画としては前半どうにもすっきりしないんですが、後半からクライマックスになるとさすがになかなか盛り上がりました。今までの作品を知らなくても、独立した作品として楽しめるように思います。
とはいえ中華圏映画ファンとしてはやっぱりドニー・イェンとチアン・ウェン。この2人だけまとってる空気が違うんだよなあ。この2人が出てくると他の役者たちを完全に食っちゃってました。まあ、もともとこの2人はハリウッド格付け的に脇役になっちゃってるだけで、本来主演級ですからね。必ずしも出てくる必然性がない役のような気もしましたが中国市場対策なのかなあ。しかしスター・ウォーズのメインキャストに中華スターが2人もいるのはなんとも感慨深い。
あと、エンドロール見たらジミー・スミッツっていう俳優の名前が出てて、「おお、ドラマ『七人の弁護士』の人。懐かし〜」と思っちゃいました。どの役か全然わかんなかったけど。
#1650
つね 2017/01/02 23:33
VFX
明けましておめでとうございます。
あまり映画は見ないのですが、今年もよろしくお願いします。
すでに話題になっているとはいえ、年明けからなんですが、キャリー・フィッシャーさん亡くなってしまいました。少しネタバレすると「ローグ・ワン」ではエピソードW当時のレイア姫が出てきますが、似た感じの俳優さんに顔だけCG加工したものらしいです。他にもそんな人はいるのですが、ダース・ヴェイダーはそうではなかったようです(笑)。エピソード[もCG出演でストーリー変えられそうですが、ハン・ソロに続いて、となってしまうのでしょうか。それも自然な感じもしますが。
他にもCG効果はこんなことも。
「ゲーム・オブ・スローンズ シーズン6」のメイキング(私はこのドラマ未見なのですが)
https://www.youtube.com/watch?v=HBAc9Bldeg0
「映画の背景合成」
https://www.youtube.com/watch?v=sQR2dECu_5Q
先入観なのか、大軍シーンはまだまだ「戦争と平和」や「ワーテルロー」が上と思ってしまいますし(遠景シーンがそうなのかな)、「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズに出演しているトム・ハンクスは「このシリーズに出演するおいしいところは、いろんな名所に行けることなんだ」と言っていたようなので、すべてが合成ではありませんが、こうなってくると、「ジュラシック・パーク」のころから言われきた、肖像権さえクリアするとスタッフのスタジオでの演技にCG付ければ役者さんいらなくなってきますね。
#1649
2016/12/31 20:05
年の瀬に訃報があついいで
…まぁ毎年そんなもんかもしれないな、と思いつつ。
キャリー=フィッシャーに続いてその母親のデビー=レイノルズまで後を追うように亡くなってしまいました。
大半の訃報記事が、「レイア役の母親」になってしまいましたが(前日に娘さんが亡くなってるからでもありますが)、僕の親世代だとやはり「デビー=レイノルズ」の名の方がビッグでした。芸能一家であることは僕も知識としては持ってましたけど、出演作は全然見てなくて名前だけ知ってる、という程度でした。
キャリー=フィッシャーの方は結局「レイア姫」以外では有名作はないに等しいですしねぇ。その晩年にSW新作に出演してまた日の目を見たような感じではありました。
それと根津甚八さんの訃報。「太平記」など大河の話は史劇的伝言板に書いたので、こちらでは映画の話を。
僕が見た中ではやはり「乱」の印象が強いかな。そして「影武者」。「影武者」はプロアマを越えて出演者オーディションをやってますが、根津さんは確かオーディション組だったはず。すでに大河で五右衛門をやったあとだったんですけどね。当時「その後の仁義なき戦い」(「仁義なき戦い」番外編で未見)に主演していて、撮影中にオーディション合格の知らせが入り、工藤栄一監督らから祝福されたというエピソードを何かで読んだか聞いたような。
「影武者」といえば勝新太郎の降板騒ぎがありましたが、東宝で出した黒澤全集DVDの特典映像でその時の目撃談(勝新が楽屋に血相を変えて戻って来てかつら・衣装を投げ捨てていった)を根津さんが語っている映像がありました。
あと、「パトレイバー」の劇場版2作目で敵ボスの声なんかもやっておられましたよね。
正月三が日くらい何本か映画をみようかな…といっても劇場まで足を伸ばす気力はないので(笑)。自宅でためこんでるのをあれこれ見ることになると思います。
先日、「史点」のジョン=グレン追悼記事ために「ライトスタッフ」をちょっと見始めたらついつい引き込まれて三時間も長いのを一気に見ちゃいました。ずいぶん前に見てるんですが、かなり忘れていてビックリ。宇宙開発ばなしは好きで「アポロ13」と立て続けに見たくなる作品ですね。
#1648
バラージ 2016/12/31 19:35
20世紀ノスタルジア
といっても広末涼子の初主演デビュー映画のことではありません。
『若葉のころ』という台湾の青春恋愛映画をDVDで観ました。
交通事故で植物状態になった母親が事故数日前に偶然見かけていた高校時代の初恋相手へ書いた未送信メールを見つけた女子高生が主人公。彼女と1982年の母親、それぞれの17歳の初恋模様を描いたさわやかな青春映画でした。ビージーズの「若葉のころ(原題:First of May、中国語題:五月一号)」が物語のポイントとして使われていて、映画の現代も『五月一号』です。
いや〜、良かったです。現在(2013年)の主人公の初恋相手と親友の三角関係や、母と離婚して上海にいる父との微妙な関係。若い頃(1982年)の母の初恋相手とそれを取り巻く人々の群像。そしてその時の心の傷を今も引きずる現在の母とその初恋相手。交錯するそれらのエピソードが丁寧に描かれ、いずれも胸に迫ります。特に過去の青春時代の初恋を今も引きずる現在の母とその初恋相手が、今の自分の年齢的というか状況的なこともあって心をとらえるものがありました。
ハリウッド・エンタメ化が著しい近年の中国&香港映画に対して、台湾映画は近年青春映画が多く(予算的な事情が大きいようではありますが)、中でも80〜90年代回顧的なノスタルジックな青春映画が目につきます(『九月に降る風』『あの頃、君を追いかけた』『GF*BF』など)。もはや20世紀全体がノスタルジーの対象になってしまったのかもしれません。もっともこの映画に関しては1982年という時代的なものはあまりなく(台湾人から見たらあるのかもしれないけど)、一般的な青春映画回顧という側面の強い映画となっています。
主人公と1982年の母親を二役で演じる若手女優のルゥルゥ・チェンも素晴らしかった。中華圏女優もグイ・ルンメイが三十路に突入したのに下の世代がなかなか出てきませんが、がんばってほしいもんです。
今年は突出してすごく面白かったとまで言える映画はありませんでしたが、面白かったのは順不同で『顔のないヒトラーたち』『ヒトラー暗殺、13分の誤算』『消えた声が、その名を呼ぶ』『黒衣の刺客』『女が眠る時』『夏美のホタル』『トランボ』、そして上記の『若葉のころ』といったあたりでした。
では、良いお年を。
#1647
徹夜城(支配人) 2016/12/29 00:49
映画のレビューがなかなか書けない
どうも、こちらではご無沙汰です。最近は映画も録画だめしてるやつをいろいろ見てるだけで劇場まで足を運んでる暇がありません。映画日記も書こう書こうとしてるんだけどズルズルと書けずにたまっていってしまうという(汗)
今年終盤の話題作、いずれもまだ見られなくて歯がゆいばかり。「君の名は。」「この世界の片隅で」「ローグワン」と、年内には見れそうにありません。
>スターウォーズがらみ
…といえば、なんといってもレイア姫役のキャリー・フィッシャーッシャーの急逝。SWレギュラーではR2D2役の方に続く逝去となりました。旧三部作(4〜7)のレギュラー出演者たちもみんな追悼コメントだしてますね(「言葉がない」というコメントが多いようですが)。
亡くなる直前には「エピソード4」撮影時にハリソン・フォードと不倫関係があったことを暴露したりしておりましたが…「8」の分も撮影してあると聞くんですが、こうなるとストーリー上に影響が出そうな気がします。
>春日太一さんのこと
ずいぶん遅れたレスで申し訳ない。春日太一さんについては最近僕は本も何冊か読みましたし、youtubeにアップされてる各種映画談義も面白く聞きました。特に京都の時代劇業界に自ら飛び込んで徹底的に取材した豊富な情報をもとにまとめられた「時代劇は死なず!」「天災・勝新太郎」は読みごたえがありましたよ。
最近は大物ベテランへのインタビューも多く、石坂浩二さんや仲代達矢さんへのインタビュー記事は映画史の知られざる逸話にあふれていて楽しめます。ご本人のもともとの知識もさることながら、ご自身も言ってるように「聞き上手」なんでしょうね。
#1646
つね 2016/12/24 17:39
ローグワン
見てきました。
ネタバレを避けて印象を。
スピンオフと言っても、「エピソードWの10分前までを描く」のだから、本編に深く繋がっていて、「エピソード3.9」と言ってもいいくらいです。
本編の登場人物もかなり重要な役どころで出ていました。
皆勤賞組はサービスでしたが。ダース・ヴェイダーはポスターで映されているほどの出番はないのですが、ラスト5分の圧倒的な存在感は「卑怯!」と思ってしまうほど。
後付けなのでしょうが、「なんであの超兵器にそんな弱点があるんだよ」という疑問も回収してました。ファンなら知っていたのでしょうか。
「エピソードW」にうまく繋がっていて、また見たくなりました。スター・ウォーズ鑑賞はW→X→Y→T→U→V→Zと来ているのですが、今回のスピンオフも含めて永久ループできそうです。
気づいたら今年最初の映画鑑賞も「エピソードZ」でした(公開は昨年末)。来年末にはエピソード[らしいし、その翌年には若きハン・ソロを描くスピンオフ第二弾があるらしいし、毎年祭りというのは楽しみですが、ダレないかとも気になります。寅さんやゴジラも毎年やってましたし。
#1645
バラージ 2016/12/09 23:06
黒駒さんへ
僕も洋画というか米国映画(やヨーロッパ映画)の全体的動向はよくわかりません。そもそも外国映画にそこまで注意が向いてないんですよね(香港・中国・台湾の中華圏映画は除く)。『バードマン』も未見でして。
春日太一という人は初耳です。市川崑や五社英雄の映画はあんまり見てないんですよねえ。市川崑の映画は『犬神家の一族』(1976年版)『帰ってきた木枯し紋次郎』『どら平太』の3本しか観てません。五社にいたっては1本も観てないんです。『極道の妻(おんな)たち』はテレビでちらっと観た気もしますが、シリーズのどの作品だったか覚えていませんし(五社監督作は第1作のみ)、『鬼龍院花子の生涯』はあの有名な「なめたらいかんぜよ!」という夏目雅子さんの台詞のシーンだけはテレビ番組の名場面集みたいなので何度も観てるんですが、映画自体は観たことがないんですよね。
#1644
黒駒 2016/12/04 16:44
最近の洋画
>バラージさん
私も映画をあまり見ていないので最近の洋画の動向がまるでわかりません。でもスーパーヒーローものの流れなどはありますし、去年はマッドマックスからスターウォーズに至るアクション・SF映画のリバイバル続編の連続という妙な現象がありましたね。
最近「バードマン」を見て非常に面白かったのですが、「バードマン」の中年の主人公が往年のスーパーヒーローのイメージと、いま自分がやりたいカーヴァー原作のような文芸ものの高尚な路線との間で揺れているような傾向が、ハリウッド全体にもあるのかなとちょっと思いました。最近の洋画の傾向、誰か教えてください(笑)。
>映画本など
ちょっと話題を投下してみます。最近、日本映画・時代劇研究家である春日太一氏の本がよく目につきます。「鬼才五社英雄」「あかんやつら」「市川崑と犬神家の一族」など、けっこうこの掲示板の関心対象そのものだなぁと思います。私は興味はありつつもまだ読んだことがないのですが、如何でしょうか?
#1643
バラージ 2016/11/28 22:45
洋画離れ
なんかまた僕の書き込みばかりになっちゃいますが……最近雑誌か何かで読んだんですが、映画観客の洋画離れがかなり深刻とのこと。特に若い女性の中にはそもそも洋画を観たことのない人もいるそうです。僕の若いころ(80〜90年代)から考えるとなんとも隔世の感がありますが、考えてみると僕もここ数年は外国映画よりも日本映画のほうを多く見ているような気がします。僕は昔から比較的日本映画も観てましたが、確かに個人的にも近年(21世紀に入ったあたりから)は面白そうな外国映画、特にハリウッド大作が目に見えて減っているように思います。まあ個人的には面白ければ別にどこの国の映画だっていいし、昔は昔で実写邦画の危機とか言われてたんだから必ずしも悪いことでもないんじゃないかとも思いますが、20年前にこういう時代が来ると言われても絶対信じなかっただろうなあ。先のことなんてわからんもんですね。
#1642
バラージ 2016/11/15 22:35
平成(以後)ゴジラ
ゴジラシリーズの感想、平成シリーズ編(ミレニアムシリーズというやつも含む)。すべてビデオ視聴でリアルタイムではありません。そもそもなぜ平成ゴジラを観たかというとやや記憶が曖昧なんですが、多分@平成ガメラが面白かったんで平成ゴジラも観てみたくなった。Aなにか日本のSF映画が観たくなったが、日本のSF映画で最近のやつがゴジラしかなかった。のどちらか、もしくは両方だったんではないかと思います。でもまあ結局半分くらいしか観てないんですが。
『ゴジラ』(1984年)……未見。なぜこれを飛ばしたかというと、僕が平成シリーズを観ようとした90年代半ばには冷戦は終結、核兵器より原発がホットな核問題で現実とのズレが大きく、どうにも興味が持てなかったんですよね。もともと「ゴジラよりウルトラマン派」なこともあって、怪獣対決のほうが観たかったというのもあります。
『ゴジラVSビオランテ』……平成シリーズでは一番面白かったかな。ゴジラシリーズ初の植物怪獣ってのも新鮮でした(ウルトラシリーズにはわりとあったんですが)。ビオランテを作っちゃった博士が最後に人類への警句を発したのには「お前が言うなよ」と突っ込んじゃいましたが(笑)。あと、これは平成シリーズ通してなんですが、ゴジラを悪と設定しちゃったため、「ゴジラが負ける(というか勝たない)けど死なない」という無理を繰り返さなきゃならないんですよね。その無理を最初に観たこの映画で早くも感じてしまいました。
『ゴジラVSキングギドラ』……未来人ていうのは今までにないアイデアで面白かったんですが、やっぱりタイムパラドックスがどうにも気になっちゃいます。キングギドラの設定も昭和ギドラがなじみ深かったんで個人的に違和感がありました(メカギドラのデザインもかっこ悪い)。しかし何より敵ボスがチャック・ウィルソンていうのがねえ……。最初に出てくるのもケント・ギルバートとダニエル・カールだし、はっきり言って大根演技で見てられないっす。
『ゴジラVSモスラ』……これもどうにもこうにもつまらない。当初、「モスラVSバトラ」で企画されてたためもあってゴジラが話に絡んでくる必然性が希薄なんですよね。しかもバトラが最初は悪モスラとして出てきたのに、もともとの悪役であるゴジラがいるため、結局モスラに説得されてゴジラと戦う正義怪獣になっちゃう。モスラ対悪モスラじゃなかったのかよという。
『ゴジラVSメカゴジラ』……ストーリーはともかくとして、ゴジラ・ラドン・メカゴジラ三つどもえのアクション映画としてはまあまあ楽しめました。ストーリーはほんとにどうでもいいんですが(笑)。キングギドラと並ぶ悪役怪獣だったメカゴジラは以後すっかり人類の対ゴジラ兵器になっちゃいますが、もともとロボットなんでギドラほどの違和感は感じませんでしたね。
『ゴジラVSスペースゴジラ』『ゴジラVSデストロイア』……未見。前作までの出来が期待したほどじゃなかったのと、スペースゴジラがあまりにかっこ悪かったんで観る気が失せて、以後リタイアです。
『モスラ2』……平成ゴジラとミレニアムゴジラの間に作られていた平成モスラの第2作。テレビでちらっと観ました。チャンネルを回したら偶然やってたんですが、好きな女優の1人である野波麻帆さん(第4回東宝シンデレラグランプリ)のデビュー作なんでそのまま観てみました。それまでのモスラとは設定が違い、低年齢向けのファンタジー映画っぽい作風でしたね。大人が観るにはちょっとなあという感じ。
『ゴジラ』ハリウッド版(1998年)……これは例外的に映画館まで観に行きました。正直迷ったんですが、ハリウッド製で日本製とは違う可能性があったのと、何か映画が観たいけど他に観たいものがなかったんでしょう。でも不安も大きかった。そしてその不安が当たり、まったくの駄作でした。単純に映画としても全く面白くないんですが、ゴジラが火を吐かないのは百歩譲って許せるにしても、潜水艦の魚雷一発でやられちゃうなんて弱い奴は怪獣とも呼べません。
『ゴジラ2000』『ゴジラ×メガギラス』……未見。観る気なしがまだ続く。
『ゴジラ モスラ キングギドラ』……#1313も参照。平成ガメラの金子修介監督がついに念願のゴジラ映画を監督!と聞いて観ました(とはいえ映画館まで観に行った平成ガメラと違ってビデオ視聴ですが)。う〜ん、残念ながら期待外れ。やはりガメラと違ってゴジラではあまりに過去作と違うオリジナルな設定は違和感が強かったですね。特にキングギドラがゴジラから地球を守る守護怪獣っていうのがなあ……。モスラが海の守護怪獣ってのも変(モスラに海要素はないし、ギドラのほうがまだ海っぽい)。それとミレニアムシリーズはすべて2作目以降はなかったものとして、第1作の直接の続編という設定で作られてるんですね。平成シリーズで「ゴジラは勝たないけど死なない」が毎回続く無理があったためだと思うんだけど、予備知識なしに観ちゃうと理解ができずやっぱり戸惑います。
『ゴジラ×メカゴジラ』……未見。再び観る気なし。
『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ』……ミレニアムシリーズで唯一前作の続編。前作を観てないのになぜ観たかというと、小美人役の長澤まさみ&大塚ちひろ(現:大塚千弘)の第5回東宝シンデレラコンビ(グランプリ&審査員特別賞)が観たかっただけという甚だ不純な動機です(笑)。作品自体はよほど印象が薄かったのか、内容についてはほとんど覚えておりません。
『ゴジラ ファイナル・ウォーズ』……待望のガイガン&X星人再登場ってのと、北村龍平監督の『あずみ』が面白いアクション映画だったんで期待して観た作品。これは見事に当たりでした。ゴジラがかかってくる怪獣どもをちぎっては投げちぎっては投げ無敵の69連勝とでもいう感じの、ゴジラ版ブルース・リーみたいな作品です(笑)。まあ細かいことを言えば、キングシーサーが凶暴怪獣とか、ヘドラがただの雑魚とか、せっかくのガイガン再登場なのにやっぱラスボスはおまえかよ(笑)とか、ちょこちょこ不満はありますが、平成以後のシリーズでは一番面白かったかな。
#1641
黒駒 2016/11/10 00:26
映画日記
こっそりとエールを送りますが「映画日記」の更新も期待してます。私はまったく映画マニアではないので、次に何を見ようかと参考にしている部分もありますので(笑)。
#1640
バラージ 2016/11/04 00:15
彼女の夏
なんか僕ばっかり書き込んじゃってすいません。
『夏美のホタル』という映画を観ました。廣木隆一監督、有村架純主演の青春映画です。原作は『津軽百年食堂』の森沢明夫。
将来に迷う大学の写真科の女子学生が、亡き父親との思い出がある自然豊かな田舎町で脚の不自由な雑貨や店主とその母親に出会う。主人公と彼ら親子、主人公を追いかけてきた優しいけれど煮え切らない恋人、店の常連の小学生兄妹、偏屈な仏像彫師といった人々のひと夏の交流を描いた物語です。
いやぁ、良かったです。今年ようやく文句なしに良いと言える青春映画でした。間違いなく今年ここまでのベスト3に入る出来。まず画が良い。主人公が父の形見のバイクで走る姿、豊かな自然の情景、フィルムカメラで撮影されていく写真、有村架純の伸びやかな肢体、いずれもまさに映画的な画で、それぞれ見入ってしまいます。そして虫の鳴き声などの自然音が良い。ナチュラルな台詞回しが良い。緩やかな時間の流れの中で、微妙な表情の変化で描かれる繊細な感情表現が良い。廣木監督は『さよなら歌舞伎町』などのようなエロス描写が濃厚な映画を撮る一方で、少女や若い女性を主人公とした青春映画も多く撮っていて、『恋する日曜日 私。恋した』など秀作も多いんですよね。
そして有村架純が良い。特に好きな女優というわけではないんですが、この映画の彼女は素晴らしかったです。若手女優として着実に成長してますね。それ以上に良かったのが雑貨屋店店主役の、顔はよく見かけるけど名前はなかなか出てこない光石研。素晴らしい名演でした。仏像彫師役の小林薫もこれまた良くて、2人ともさすがはベテランの演技。
パンフレットが入荷なしで買えず残念。最近このパターが多いなあ。
#1639
バラージ 2016/10/08 01:26
80年代回顧
最近、キネマ旬報ムック『1980年代の映画には僕たちの青春がある』(キネマ旬報社)という本を読んだんですが、これが面白かった。80年代の外国映画(アメリカ映画・ヨーロッパ映画・アジア映画)や日本映画が様々なジャンルと切り口で語られている他、ミニシアター・ブームやビデオの登場、テレビの洋画劇場など作品外の映画媒体をめぐる80年代の映画環境についても詳述されているのが非常に興味深かったです。僕の子供時代〜青春時代なんでやたら懐かしかったですね。10年くらい前に出た『80sグラフィティ』(東京リッジモンド・ハイ監修、ブルース・インターアクションズ)っていう本(こっちは洋画オンリー)も面白い本でした。
最近、諸方面で80年代ブームみたいなのが来ていますが、そのうち今度は90年代回顧みたいなのも来るんでしょうねえ。僕の青春時代は正確には80年代後半〜90年代前半というアラウンド1990年なんで、そっちのほうも楽しみにしています。
>映画紹介
過去に書いた映画紹介シリーズで書き漏らしてて、ああ、あれもあったなと思い出した2作品をご紹介。
・アクション編
『インファナル・アフェア』三部作
マフィアに潜入した刑事と警察に潜入したギャングを主人公としたサスペンス・アクション映画の三部作。この手の香港ノワールにはあまり興味がなかったんですが、あまりに評判が良かったので観ました。いやあ傑作でした。ストーリーも役者も素晴らしい。特に1作目が最高で、2作目の前日譚『無間序曲』も面白かったんですが、3作目で1の続きの『終極無間』はちょっと出来が落ちました。
・サスペンス編
『誘拐』
誘拐事件の犯人が身代金の運び役に大企業の重役を次々に指名し、さらに受け渡しのテレビ中継を要求。そんな犯人の真意不明な要求と行動に振り回され翻弄される警察だが、犯人の要求の裏には意外な事実が隠されていた……。冒頭から緊迫のサスペンスが展開して引き込まれ、一転して後半は感動の社会派ヒューマン映画に。刑事役の渡哲也と永瀬正敏が素晴らしい熱演です。
#1638
バラージ 2016/09/23 01:32
アイドル映画だと侮ることなかれ、再び
映画館で『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』を、DVDで『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』と『尾崎支配人が泣いた夜 DOCUMENTARY of HKT48』を観ました。いずれもAKB48グループのドキュメンタリー映画で、NMB48は大阪の、HKT48は福岡の姉妹グループです。
『存在する理由』はAKB48のドキュメンタリー第5作目。監督の石原真が、あまり面白くなかったSKE48版ドキュメンタリー『アイドルの涙』(#1557参照)の監督なので不安だったんですが、まあまあの作品にはなってました。あえて有名メンバーではなく、まだ若手の無名メンバーや、やめて起業や結婚・出産など別の道に進んだ子、海外姉妹グループで外タレとして成功した子、つんくやももクロなどライバルグループのプロデューサー、芸能スキャンダルを追っかけるマスコミなど、多様な人々にインタビューして、AKB48という一種の巨大な社会現象を多角的な視点から描いています。ただ、第2作『少女たちは傷つきながら、夢を見る』(#1360)の東日本大震災や、第3作『少女たちは涙の後に何を見る?』(#1379)の前田敦子卒業のような物語の核になるようなエピソードに欠けているので、どうしても映画全体の印象は散漫なものになってしまっているのが残念でした。
『道頓堀よ、泣かせてくれ!』は、社会派ドキュメンタリー映画や劇映画を多数手がけている舩橋淳が監督。舩橋はアイドルのことを全く知らなかったためもあってか、NMBを知らない観客向けに映画の中でかなり丁寧な説明しています。ドキュメンタリーとしてオーソドックスな作りで、全体的に重く暗い雰囲気の映画に仕上がっているのが特徴で、取り上げるメンバーを少数に絞り、アイドルグループを現代の格差社会・競争社会の象徴として位置づけ、その中で苦闘する少女たちの姿を描いています。
一方、『尾崎支配人が泣いた夜』は、なんとグループのリーダーである指原莉乃が監督。彼女はもともとモーニング娘のファンだったこともあって、どちらかというとファン向けのアイドル映画としてオーソドックスな作りです。何らかの形でメンバー全員が登場しているのが特徴で、指原自身が担当するナレーションがオーディオ・コメンタリーに近く、箸休めシーンでバラエティ的な演出を挟み込むなどドキュメンタリーと言っていいのかやや疑問な部分もありますが、映画自体はなかなか面白く仕上がっているのも事実。
両作の共通点としては、1つは中心テーマがメンバー間の人気格差だということ。グループの中心となり全国区の人気となるメンバーに対して、加入後数年を経ても下積みにとどまる者もいます。それでも踏みとどまる者、別の道へ進むものなど様々なメンバーの姿が描かれますが、そこでもHKTの映画ではある種のハッピーエンドに終わらせ、暗くなりすぎないように注意しているのに対して、NMBの映画では「1つの闘いが終わっても、また新たな闘いが続いていく」というような締め方になっているのが印象的でした。
もう1つの共通点は、それまでのAKBグループ・ドキュメンタリーでは取り上げられていなかった「ファン」の姿が描かれていること。考えてみればファンというのは不思議な存在で、応援しているものがどうなろうと別に実質的には損も得もないはずなんですが、それでも応援せずにはいられない。誰だって何かのファンなわけで、映画で描かれているアイドル・ファンの姿は実はスポーツ・ファンなどと何も変わりません。映画ファンとしての我が身を振り返ってみても、なかなか考えさせられるところがありました。
これでAKB48グループのドキュメンタリー映画も各グループを一回りして一段落。面白さの順としては、『少女たちは傷つきながら、夢を見る』(AKB第2作)>『少女たちは涙の後に何を見る?』(AKB第3作)>『悲しみの忘れ方』(乃木坂)>『道頓堀よ、泣かせてくれ!』(NMB)=『尾崎支配人が泣いた夜』(HKT)>『存在する理由』(AKB第5作)>『少女たちは、今、その背中に何を想う?』(AKB第4作)>『アイドルの涙』(SKE)>『10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』(AKB第1作)といった感じです。
#1637
バラージ 2016/09/19 22:42
最近DVDで観た映画
『デスノート』前後編
10年前に大ヒットした映画ですが、原作漫画も読んでないし大ヒット映画に対する天邪鬼もあって今まで観てなかったんですよね。でも新作も公開されるし金子修介監督だしやっぱり観てみるか、と思い直して今頃になって観ました。いや面白かったです。さすが金子監督。ストーリー展開が非常によくできてて先が読めないし、最後まで物語に引き付けられます。主演の藤原竜也の演劇的な芝居がちょっとクサくて時々気になるんですが、漫画原作ということもあってかクライマックスでは特にハマっていたし、これが出世作となった松山ケンイチも素晴らしかったです。
『人狼ゲーム クレイジーフォックス』
『人狼ゲーム』シリーズの第3作で、前2作は未見なんですがこの作品は主演の高月彩良ちゃんが気になりまして……(笑)。人狼ゲームという犯人探しゲームみたいな遊びを12人の高校生が何者かに実際に命をかけてやらされるという、『バトルロワイヤル』系みたいなお話。先が読めない展開とそれぞれの高校生の人物描写がよくできてて、なかなか面白かったです。若手俳優たちがみんな演技が上手くてびっくり。
『リアル鬼ごっこ』(2015年版)
原作小説は過去に5作ほど映画化されてますがすべて未読未見。監督の園子温も同様に未読未見だそうで、タイトルにインスパイアされて作った実質オリジナル作品とのことです。序盤のシュールな展開に最初「?」となるんですが、そういう映画だとわかってくると、「なるほどそう来たか。園監督、やりたい放題やってるなあ(笑)」となります。なんというかシュールで不条理な悪夢みたいな映画でした。しかしまあ、これだけ原作も前作も無視して好き放題作っちゃうってすごいよなあ。製作側もよく許したもんだ。面白かったですけどね。
『弾丸と共に去りぬ 暗黒街の逃亡者』
『鬼が来た!』『さらば復讐の狼たちよ』のチアン・ウェン監督・主演による中国映画。なんというかものすごく変な映画です。変と言ってもストーリーは普通というかわかりやすいんですが、場面描写や表現が全体的にシュールというか「なんだこれ?」というシーンの連続です。かといってつまらないわけではなくそれなりに面白い。そういう意味では森田芳光監督の『そろばんずく』なんかに近い作風。一言でいうと才人が才に溺れた怪作ですな。
>ゴジラ以外の昭和特撮映画
ゴジラの平成シリーズ以後のは半分くらいしか観てないんですが、僕も感想を書くのはまた後でと思ってました。アンギラスが第2期にゴジラの相方になったのは、ピアノ線で吊って操る必要のあるラドンやモスラが予算や時間的に無理になったためらしいですね。
では今回はゴジラ以外の昭和特撮映画の感想を。
『空の大怪獣ラドン』……#1383
『大怪獣バラン』……大学時代にビデオ視聴。なんというか山奥に怪獣が出て、それが防衛軍(自衛隊?)に退治されるというそれだけの映画ですね。それ以上の物語を生み出せなかった凡作で退屈でした。バランのデザインもラドンやモスラに比べてキャラが立っておらず、そのせいか後の作品にもほぼ登場しませんでしたね。
『海底軍艦』……多分大学時代にビデオ視聴。これもなあ、お話がどうにもこうにも。日本軍の生き残りが、あんな超兵器開発できちゃうって無理がありすぎ。だったら日本負けねえだろっていう(笑)。ムー帝国のセットや衣装は豪華だったけど。海底人ものだと、傑作と名高い『ウルトラセブン』の「ノンマルトの使者」には到底かないませんな。
#1636
徹夜城(支配人) 2016/09/11 00:23
ゴジラもまだまだ見てないのがある
「徒然草」で「シン・ゴジラ」をいい加減書こうと始めてるところですが、他にもいろいろ書きかけのがありまして、そっちこっちに手を付けてます。
さて、バラージさんが昭和期の歴代ゴジラシリーズにコメントを書かれてましたので、僕もちょこっと書いてみます。ただし見てないのがぽつぽつとありまして。
※「ゴジラ」
…これ、僕の父親が公開翌年くらいに劇場で見ていて、その衝撃を聞かされて育っております(笑)。今回の「シン・ゴジラ」も衝撃度という点でも一作目を彷彿とさせます。
※「ゴジラの逆襲」
…二作目で早くも怪獣対決路線。アンギラ巣は以後ゴジラの子分扱いに。
※「キングコング対ゴジラ」
…確かシリーズ歴代最高動員数のはず。コメディのノリが当時の日本映画の雰囲気を感じさせます。
※「モスラ対ゴジラ」
…「シン・ゴジラ」便乗(?)で先日NHK-BSで放映してて、久しぶりに鑑賞しました。結構込み入った話なのにテンポよく進んで社会派的感覚もしっかり入ってる驚異のシナリオと演出。ゴジラが純然たる悪役だったのはここまででしたね。
※「三大怪獣地球最大の決戦」
…悪役専門キングギドラ登場でゴジラのヒーロー化が始まることになった作品で、その点に関して好き嫌いが分かれますね。ストーリーがこれまた入り組んだ話が見事に交通整理されてて凄い。「ローマの休日」が入ってますよね。「幻魔大戦」冒頭への影響も噂されてます。
※「怪獣大戦争」
…ゴジラ、ついに宇宙へ。東宝特撮の宇宙ものシリーズとの融合でした。水野久美さんに尽きるかな。そうそう「シェー」も忘れちゃいけない。
※「南海の大決闘」
…ゴジラと若大将シリーズの融合(笑)。
※「ゴジラの息子」「怪獣総進撃」「オール怪獣大進撃」
…この3本連続で未見。たぶん「ミニラ」が嫌なんだろうと(笑)。
※「ゴジラ対ヘドラ」
…多くの人が語ってますが、これ、傑作。そりゃまぁゴジラが空を飛んだりしちゃいますけど。なんでも坂野監督はそのせいで田中友幸からゴジラ監督を禁じられたとか。で、なぜかゴジラの「3D映像権」のようなものを坂野監督が持っていたため、2014年の米産ゴジラに名前がクレジットされてしまいました。
※「ゴジラ対ガイガン」「ゴジラ対メガロ」
…ここも続けて見てません。ガイガンのデザインは好きなんですけどね。「メガロ」は以前ゴジラ専門誌のファン投票で見事全作品中最下位をとった(しかも「予想通り」と書かれた)一本であります。
※「ゴジラ対メカゴジラ」
…ゴジラが町を破壊することに人間たちが「なぜ?」と言ってしまうような事態に(笑)。沖縄の守護神のくせに「キング」という英語がかぶってるあたり、深読みすると…
※「メカゴジラの逆襲」
…未見です。これ、本多猪四郎監督の最後の監督映画ではなかったかな?
1984年版から平成シリーズについては、また間を置きまして。そもそも「徒然草」で全部書こうという計画もあるにはあるんですよね。
#1635
バラージ 2016/09/04 18:16
昭和ゴジラ2
前回の続き、昭和シリーズ第2期ゴジラの感想でございます。この時期の作品の特徴としては、なんかウルトラ第2期シリーズ(『帰ってきたウルトラマン』〜『ウルトラマンレオ』)に作品の雰囲気が似てるんですよね。全体的に怪獣云々よりこの時代の社会風俗が今となっては興味深い作品が多いです。時間が90分弱という短さなんで気楽に観れるのもいいところ。
『オール怪獣大進撃』……今回観ました。『怪獣総進撃』の予想外のヒットでシリーズ続行となって作られた作品。フィルムの使いまわしが行われているため評価が低いんですが、僕は順番バラバラに観たし昔の記憶もあいまいなため気になりませんでしたね。少年の夢(妄想?)の中の話というストーリーも個人的には割と面白かったですし、団地とか鍵っ子というのも時代を感じて興味深かったですね。
『ゴジラ対ヘドラ』……大学時代にビデオ視聴。これは後期の傑作。公害という当時の時代を反映した怪獣ヘドラの存在と造形も傑作ですし、「♪水銀、コバルト、カドミウム〜」というディスコでかかるサイケなミュージックもやたらと耳に残ります。ヘドラはキングギドラやメカゴジラとはまた違った大物悪役怪獣で、まさにこの時代を象徴する存在ですが、それだけに時代が変わると登場する機会がなくなっちゃいましたね(笑)。
『ゴジラ対ガイガン』……今回観ました。この作品は特にウルトラ第2期シリーズに似た作風。ガイガンらが破壊する街のセットがウルトラシリーズに出てくるミニチュアにそっくりなんですよね。ミニチュアビルが破壊される一方で、避難民は全く出てこないんですが(笑)。主人公グループの中にヒッピー風の男がいるのも時代だなあ。個人的にガイガンはゴジラ怪獣の中で一番秀逸なデザインだと思うんですが、映画はあんまり面白くありません。せっかくの怪獣バトルがなんかいまいち。
『ゴジラ対メガロ』……大学時代にビデオ視聴。昭和ゴジラで最も評価が低い作品で、「おう、だったら観てやろうじゃねえかよう」と天邪鬼な気持ちで観たんですが、評価通りの駄作でした(笑)。支離滅裂な設定とストーリー、デパート屋上の怪獣ショーのような怪獣バトル。ウルトラシリーズのほうがよっぽどよくできてます。
『ゴジラ対メカゴジラ』……子供の頃にテレビ視聴。ゴジラが街を破壊し仲間のアンギラスを倒すことに人々が戸惑っているともう1匹ゴジラが登場。放射能火炎を最初のゴジラに浴びせると偽の皮が剥がれていってメカゴジラ登場、という冒頭のシークエンスが秀逸です(ま、初期ゴジラから考えると変なんですが・笑)。ゴジラが1回敗退した後に登場するお助け怪獣キングシーサーがトリッキーな戦い方で意外にメカゴジラを翻弄するのも面白かった。
『メカゴジラの逆襲』……今回観ました。ついにタイトルまでがメカゴジラになりましたが、内容的にはメインはチタノザウルスで、メカゴジラは添え物。ドラマが大人向けでなかなかよくできてて面白いんですが、時代が現代に近くなったためか当時の風俗描写はあんまり感じませんでしたね。
#1634
バラージ 2016/08/30 21:59
昭和ゴジラ
ゴジラの話題が出たのでついでに昔のゴジラの感想を。
WOWOWで毎年年末にゴジラ全作品一挙放映というのをやってまして、去年の年末にこれを機会に全部観ちゃおうかなと録画しようとしたんですが、観てないのが思いのほか多かったんで昭和ゴジラに絞って今まで観てなかった5作品を録画。それをちまちまと観て3ヶ月くらい前にようやく見終わったのです。
僕が観た昭和ゴジラには、子供の頃にリバイバル上映やテレビ放送で観た作品、大学時代に一挙ビデオ化された際にやはり全部観ようとした作品(あっさり挫折)、そして今回の作品があります。
『ゴジラ』……#1308に記述。
『ゴジラの逆襲』……大学時代にビデオ視聴。いかにも1作目が思わず当たっちゃったんで2匹目のドジョウを狙った映画。戦争ネタも特攻隊の生き残りとか灯火管制とかで1作目のような重さがなく、せっかく出てきたアンギラスは中盤で死んで後は1作目と同じような展開だし、ゴジラの倒し方もしょぼい上にシリーズ化を狙ってはっきり死なせないなど、いろんな意味でいまいちな映画。
『キングコング対ゴジラ』……#1308に記述。
『モスラ対ゴジラ』……子供の頃にテレビ視聴。全部観たかは覚えてません。初代『モスラ』の名場面集みたいなのとごっちゃになってるかも。観たときは子供だったんで、ゴジラが負けちゃうのが納得できなかったことを覚えています。
『三大怪獣地球最大の決戦』……今回観ました。キングギドラ初登場ということでなかなか盛り上がるんですが、モスラが怪獣語(?)でゴジラとラドンを説得してそれを小美人が人間に通訳するシーンはやっぱりなんか笑っちゃいますね。あと、ラストが「おい! それでいいのか!?」と突っ込んじゃいました。ゴジラが倒されない初の映画でもあります。
『怪獣大戦争』……子供の頃にリバイバル上映orテレビ放映で観ました(どっちかよく覚えてない)。過去に観た映画で唯一今回また観たんですが、やっぱりこれゴジラ映画の最高傑作ですよ。『宇宙大戦争』『地球防衛軍』とかの東宝特撮映画にゴジラらを登場させたような映画で怪獣たちは超兵器扱い。メインはX星人の女性と地球人男性の恋愛エピソードなんですが、子供心にもそこが1番印象に残ってました。僕はもともと「ゴジラよりウルトラマン派」なんで、こういう宇宙人が出てくるエピソードが好きなんですよね。
『南海の大決闘』……大学時代にビデオ視聴。舞台・悪の組織・怪獣、すべてが前作より大きくスケールダウン。それもそのはずもともとはキングコングで進んでいた企画で、米国との交渉が不調に終わったためゴジラに置き換えたという作品です。昔の少年南洋冒険ものという感じでいかにも子供向け。
『ゴジラの息子』……今回観ました。前作と同じく南海の島だけを舞台にした作品ですが、SF巨大生物の島といった雰囲気。ゴジラパパと子供ゴジラの父子関係を人間たちが観察するという感じの映画で、前作ほど子供向けではなくまあまあ楽しめます。
『怪獣総進撃』……子供の頃にテレビ視聴。これでゴジラシリーズをいったん終わりにしようとしてた作品で、『怪獣大戦争』と『ゴジラの息子』を合わせたような話ですが出来はいまいち。怪獣同士の戦いは宇宙人のコントロールが解けた10匹以上の怪獣たちがキングギドラを袋叩きにするだけで、なんか盛り上がりませんでしたね。操られたゴロザウルスが凱旋門を破壊するシーンでアナウンサーが、「お〜っと、凱旋門が破壊されましたあ!」と言うシーンがプロレス中継みたいで吹き出してしまったことを覚えています。
思いのほか長くなっちゃったんで、昭和シリーズ第2期の作品はまた後で。
#1633
バラージ 2016/08/25 23:12
シミュレーションよりもドラマを!
『シン・ゴジラ』を観ました。実を言うとほんとはあまり観る気がなかったんですよね。理由の1つは監督がかの駄作『進撃の巨人』の樋口真嗣だったからですが(まあ総監督は庵野秀明だけど)、もう1つはここを含めた各所から漏れ聞こえてくる映画の内容がどうも僕の好むようなものではなかったからでして……。しかしよく行く映画館のタダ券の期限が迫って他に観たい映画もなかったんで、よっしゃいっちょ観に行くか!と無理やりテンションを上げて観てきたというわけで。
観た結果としては、残念ながらやはり予想通りでした。要するにこの映画はもし現実にゴジラが現れたら?というシミュレーション映画ですね。そのためストーリー性が甚だ希薄で物語がありません。そういうのが好きな人は面白いのかもしれませんが、僕はシミュレーションなんてどうでもいいから物語を見せろよと思う人間なので、始まって30分くらいでかなりうんざりしてしまいました。
ただまあ第1作を含めた過去作をなかったことにして怪獣対決もなしに作れば、こういう映画にせざるを得ないということもわかります。今さら第1作のように第二次大戦の傷跡を描くわけにもいきませんし。
樋口監督の演出は『進撃〜』の時ほどひどくはありませんでしたが(上に庵野総監督がいたからかもしれませんが)、それでも時々役者の演技というか演出に苦笑させられるところがあります。この人根本的に役者に芝居つけるの下手なんじゃないかなあ? ちなみに出演者にも長谷川博己と石原さとみをはじめ、國村隼やピエール瀧など『進撃〜』からのスライド組が目立ちます。
ただ特撮はさすがでした。特撮を担当した平成ガメラ三部作をほうふつとさせるもので素晴らしかったです。
#1632
徹夜城(支配人) 2016/08/11 22:32
やれやれ、やっと観てきました。
何を、って、「シン・ゴジラ」です。もう公開直後からネット上あっちゃこっちゃで話題にされてて、ネタバレ回避の努力を重ねる日々が続きました。仕事が休みに入ったんで、昨日になってようやく鑑賞してきましたよ。
ネタバレはやっぱりここには書かない方がいいんだろうな…そのうち「栄耀映画徒然草」でネタバレのを書くことにしようかと。
ここに書ける範囲のことを書きますと、まず公開前から持っていた予想で、当たったなと思ったのが1984年版「ゴジラ」のと相似です。しばらく製作しなかったシリーズを久々に製作する、それも原点回帰を目指して恐怖の対象としてのゴジラに戻す、というわけで企画時点でそもそも立ち位置が似るであろうことは予想してました。
僕はいわゆる平成ゴジラシリーズ(VSシリーズとも)でゴジラにハマったんですが、怪獣対決には食傷気味にもなってました。いつか「人間対ゴジラ」に徹底した作品がみたいな、と思っていたんですが、今回それが思い切りかなえられた感があります。そしてそうした路線でやろうとすると「実際にゴジラが出てきたらどうなるか」というシミュレーションな内容になるはずで、それで1984年版とどうしても似てくるわけです。
ついさっき1984年版を再鑑賞したんですが、これ、今になると「シン・ゴジラ」の影響である程度再評価されそうな気がします。主人公たち人間ドラマが希薄すぎる、展開に無理がある、といった欠点は多々ありますが、小林桂樹演じる総理をはじめとする結構重厚な布陣の政府関係者の面々、冷戦末期の米ソの思惑による核使用の危機(この点も…おっと)などなど引き込まれる部分は確かにあるんですね。
全く新しい設定の「ゴジラ」とはいえ、シリーズ過去作を連想させるところは多い。弟一作はもちろんのこと、1984年版、「VSビオランテ」「VSデストロイヤ」さらにはアメリカ版まで、念頭に置いてるなと思うところがチラホラありました。あと深読み化もしれないけど韓国の「グエムル・漢江の怪物」もちょこっと。
あとこれも多くの指摘がすでにありますが「パトレイバー」劇場版も元ネタになってますよね。
#1631
つね 2016/07/30 18:57
シン・ゴジラ
田舎だとヒトラーはまだ来ず、かつ映画館で予約が簡単に取れたので見てきました。結局、半分くらいの入りだったかな。夏休みが終わるまで無理かと思っていたのですが。
この映画はこれから見る人もいるでしょうから、ネタバレを避けておきますが、対人間路線では、リアリティがありました。会議の場面ばかりで子ども向けではないかも。迫力もあり、絶望感は極限。子どもは泣くかも。初代をリスペクトしているのが分かります。初代、84年版、98年ハリウッド版、(未見ですが)VSデストロイヤーの影響が窺えます。
ゴジラの造形は日本の「怪獣」というより、ハリウッド製の「クリーチャー」路線っぽく感じられ、好き嫌いは分かれるかもしれません。あと個人的には石原さとみのキャラクターが少し難を感じました。演技に問題があるわけではなく、確かにかわいらしいのですが。
一度は映画館で見るのをお勧めします。
#1630
バラージ 2016/07/19 00:00
角川映画
先日、コンビニでよく売ってるムック『昭和40年男』シリーズの「俺たちの角川映画」を読みました。世代的には僕は『昭和40年男』よりはちょっと下なんで、全盛期の角川映画はもっぱらテレビで観てたか、もしくはずっと後になってからビデオやDVDで観たんですが、それでも読んでて懐かしくなかなか面白かったですね。
1976〜86年の映画を「アイドル映画」「大作映画」「ハードボイルド映画」「その他の映画」に分類していましたが、アイドル映画はもちろん薬師丸ひろ子・渡辺典子・原田知世の角川三人娘。読んでみたら僕は薬師丸ひろ子主演の映画はほとんど観てたんですが、渡辺典子・原田知世の主演映画は全然観てませんでした。
『ねらわれた学園』『セーラー服と機関銃』は昔テレビで観て、『探偵物語』『メインテーマ』はずっと後になってから観ました。『Wの悲劇』は確かテレビでも観て、後になってから観直したんだったかな。こうしてみると薬師丸は、大林宣彦・相米慎二・根岸吉太郎・森田芳光・澤井信一郎といった当時新進気鋭の監督たちの作品に出ていたんですね(原田・渡辺も同様で、他に井筒和幸や崔洋一なども監督している)。角川春樹は撮影に入ったら現場に口出ししなかったそうですし、監督たちもアイドル映画を作っている気はなかったと言っています。
『Wの悲劇』は夏樹静子の原作を劇中劇にして、それを演じる若手女優の話にしています(脚本は澤井と荒井晴彦)。ミステリーは映画向きではないといろんな監督に断られ、最後に引き受けた澤井がそういう筋立てにすることを条件にして引き受けたそうなんですが、これが見事に当たって映画は大成功し、薬師丸も大人の女優に脱皮しました。『メインテーマ』も原作は片岡義男ですが内容はほぼ森田のオリジナルだそうで、森田はそれ以前の(角川映画ではない)『家族ゲーム』『ときめきに死す』もほとんど原作とは異なるオリジナル作品にしており、やはりそれで成功しています。原作ファンには複雑なところでしょうが、でも何より映画が成功することが第一ですからねえ。
大作映画はアイドル映画に比べるとそれほど観ておらず、『犬神家の一族』『魔界転生』『里見八犬伝』をテレビで観て、『野生の証明』をずっと後になってから観ました。そういや『野生〜』『里見〜』も薬師丸ひろ子が出てるな。
ハードボイルド映画は全く観ていません。
意外に観ているのがその他の映画で、『麻雀放浪記』『悪霊島』『蒲田行進曲』『火の鳥 鳳凰編』をテレビで観て、『スローなブギにしてくれ』『カムイの剣』をずっと後になってから観てます。
ちなみに今季の連ドラに『時をかける少女』があって、何度も映画化・テレビドラマ化されている作品ですが僕はこれが初見。主演の黒島結菜ちゃんの好演もあってなかなかさわやかな青春ドラマに仕上がってます。
#1629
徹夜城(支配人) 2016/07/06 23:14
原作を映画のあとから読んで
そのむかし角川映画が「見てから読むか、読んでから見るか」とかやってたような。
その後「ロング・グッドバイ」の小説の方を読了。ああ、これ映画はずいぶん変えてるんですね。そうじゃないかと映画を見ていて感じましたし、実のところ小説の方がまとまりがよく、映画→小説の順で特に問題は生じませんでした。結末がずいぶん違ってるんですよ。
大筋では確かに同じ話になってるんだけど、まるっきり別物、という不思議なつくり。映画化したのはロバート=アルトマンという名匠ですけど、それだけに原作そのまんまにはできないと考えたのかもしれません。見た方にだけ分かるように言うと猫と犬ばかりが記憶に残ります(笑)。
原作小説と映画ということでは前にも書いたように横溝正史「八つ墓村」の松竹・野村芳太郎監督&橋本忍脚本版は物語の時代設定を終戦直後から公開当時の時代に変更、原作は一応科学的に説明のつくトリックばなしをオカルト怪談に仕立ててしまうという大改変をほどこした例が思い出されます。「八つ墓村」は何度も映像化されてますが一番評判を呼んだのはなんだかんだでこの松竹版なんですけど、僕は原作を最初に読んでえらく興奮した覚えがあり、映画のあの改変にはがっくりきたものです。
原作は実のところ犯人探しは簡単で、メインは洞窟迷路の宝探しなんですよね。松竹版は怪談要素をメインにしてヒットしたため後続の映像作品も似たような路線に行ってしまい、市川崑監督版もミステリに徹したけど松竹版ほど面白くなかったのは事実。ああいう宝探しネタは映画向きではないのかも…
>つねさん
遅くなりましたが、紹介どうも。ナポレオン、やっぱりかなりあるんですねぇ。ヒトラーは戦後しばらくは触れることさえはばかられた、という事情もあるのかもしれません。
#1628
つね 2016/06/29 19:25
ナポレオンを扱った作品
ややくどくなってしまいますが、ナポレオンのwikiの項に
「ギネスブックによると、歴史上の人物でもっとも多く映画に登場したのはナポレオンで、177回である。」と紹介されてました。いつのギネスかは分かりませんが、これならまだ抜かれてないかも。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%9D%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%8A%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%88#.E3.83.8A.E3.83.9D.E3.83.AC.E3.82.AA.E3.83.B3.E3.82.92.E6.89.B1.E3.81.A3.E3.81.9F.E4.BD.9C.E5.93.81
#1627
バラージ 2016/06/28 01:45
最近観た映画
『更年奇的な彼女』
韓国のクァク・ジェヨン監督が中国に招かれて撮ったラブコメ映画で、『猟奇的な彼女』、日本に招かれて撮った『僕の彼女はサイボーグ』に続く「彼女三部作」の完結編という触れ込み。26歳の若さで若年性更年期障害になった彼女と、そんな彼女に思いを寄せる男、彼女の親友の女性を巻き込んだ大騒動を描いており、なかなか面白かったです。とてもよくできたラブコメ映画でした。主演のジョウ・シュンはやっぱりいい女優だよなあ。
ただ、日本公開版はなぜか吹き替えのみで字幕版がありません。吹き替え自体はよくできてて違和感はなかったんですが、それでも吹き替えは吹き替え。テレビじゃないんだから。DVDになったらもう1回字幕で観ようかなあ。
『モヒカン故郷に帰る』
恋人の妊娠を報告するために故郷の瀬戸内海に帰った30歳のバンドマン。ところがその帰郷の最中に父親が末期ガンで倒れ……という沖田修一監督のコメディ映画。コメディというかヒューマンドラマというかなんともジャンル分けしにくいんですが、会話の間の妙で見せるとぼけた笑いが抱腹絶倒に面白く何度も場内爆笑の渦でした。それでいてほんの時折伝家の宝刀のごとく見せるシリアスなシーンが胸にぐっと迫るものがあり、個人的にちょっと身につまされるところもありましたね。
DVDで観た映画
『ストレイヤーズ・クロニクル』
去年映画館で見るか迷って結局見逃した日本映画。人体実験や遺伝子操作で産み出された超能力者の若者たちによる超能力バトルを描いたSFアクション映画で、特撮を駆使した超能力アクションも面白いし、ストーリーもよくできてました。若手演技派俳優が多数出演しているのも見どころで、脇を支えるベテラン勢も充実でしたね。
『Mr.ホームズ』は観ようかなと思ってるうちに見逃してしまいました。
ナポレオンはひょっとしたらサイレント時代の短編映画とかに頻繁に出てきたのかもしれませんね。よくは知らないけど。
『ロング・グッドバイ』は、僕は原作未読、映画も観てませんが、去年あたりにNHKでもテレビドラマ化されてましたね。これも観てはいませんが、当然出演者は全員日本人俳優でした。舞台も日本に置き換えたのかな?
そういや以前の書き込みでパンフレットを買わなくなったと書きましたが、正確には全く買わなくなったわけではなく観た映画全部で買うというようなことはなくなった、ということでして、今でも観た映画の4分の1ぐらいではパンフレットを買っております。
#1626
つね 2016/06/28 00:57
確かに今、集計すると違いそう
実は私も「作品名を挙げろ」と言われるとヒトラー出演作のほうが思い浮かびます。ナポレオンはあと「キング・オブ・キングス」でしょうか。
ヒトラーは「ワルキューレ」とか「パリは燃えているか」とか「わが弟子ヒトラー」(だったかな)、「アドルフの画集」・・・、やっぱり最近になって急増している感じがします。もっとも、日本の戦国三英傑みたいに、フランス映画・ドラマではナポレオンも常連扱いで、日本では知られていない可能性もありますが。
#1625
黒駒 2016/06/27 23:21
ヒトラーとチャンドラー
「ロング・グッドバイ」の映画版は私も見たのですが、エリオット・グールド演じるマーロウの雰囲気と、冒頭とラストシーン以外はあまり覚えてないです。ハンフリー・ボガートのマーロウも同様に。
村上訳の「ロング・グッドバイ」を読まれているのであれば解説部分で触れられていると思いますが、チャンドラーはミステリーとしての評価はあまり高くないように思われます。チャンドラー本人が編集者に「(ある小説に関して)結局この話の犯人は誰なんです?」と聞かれたら「私は知らない」と答えたという逸話もありますが(笑)。ヴォネガットをSF小説として読もうとすると肩透かし、みたいなものかもしれません。
村上氏もフィッツジェラルド・ドストエフスキーと並びチャンドラーをあげているのですが、ミステリー小説としてではなくて、文体とか登場人物の造形であるとか、そういう面であるようですね。
>ヒトラー
確かにヒトラーって映画で役者さんが演じると必ずといっていいほと本人に似てると言われているような印象もあります。やはり、本人は普通のドイツ人の中年男性の顔なのでしょうかね。
#1624
徹夜城(支配人) 2016/06/27 11:34
ナポレオンとヒトラー
>つねさん
そうですかぁ、ナポレオンも結構多く出てるとは思いますが…ヒトラーの方が多く映画に出てた印象がありますけどね。その文が書かれた時期の差もあるかもしれませんけど。
ナポレオンは無声映画時代に超大作があり(それでも彼の生涯の前半まで)、脇役で出てくるものでは「征服」や「戦争と平和」があり、「ワーテルロー」があり…シルエットだけ出たものとして「会議は踊る」といったあたりしか見てないんですが、知らないところで結構出てるのかも。未見のものとして「デジレ」とかありますし。
キューブリックも「ナポレオン」を企画していたそうですがねぇ。
ヒトラーというと、チャップリンの「独裁者」が第一号かな(笑)。本人がまだ健在の段階でのパロディですね。製作時期を考えるとチャップリン、かなり大胆なことをしてるんです。
僕が見たものではソ連戦争映画のソックリさんが強く印象に残ります。同じ俳優さんではないみたいだけど「ベルリン陥落」「ヨーロッパの解放」のソックリぶりは驚異的。一方でドイツでは長らくタブーとされたていて、「ヒトラー最期の十二日間」でブルーノ・ガンツが本格的に演じるまでドイツ語でしゃべるヒトラーはなかなか見られなかったとか。この映画、ネット上で「総統閣下シリーズ」としていじられまくって有名になってしまいましたが(笑)。
ちょこっと出たってだけならずいぶんあるんじゃないかなぁ。「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」でも1シーン出てましたねし、そういう例は多そう。
未見ですがアレック・ギネスもヒトラーを演じてるようですね。
#1623
つね 2016/06/26 13:57
映画登場歴史人物
かなり昔にチラ見した「映画で学ぶ世界史」みたいな本には、「ギネスブックではナポレオンが最も映像化された歴史上の人物である」となっていました。今もそうかは分かりませんが。
ヒトラーの場合、小柄な人物で黒髪を九一分けにしてちょび髭にすれば、それっぽくなりそう。
#1622
徹夜城(支配人) 2016/06/25 23:13
このところはHDDレコーダーの録画だめ処理鑑賞ばかり
しばらくぶりんで書き込みます。上記のようなわけでこのところ見ている映画は主にNHK衛星で放映されたものを録画したもの。「徒然草」でも書こうとは思っているのですが時間がなくって(汗)。そんなわけでちょこっとだけこっちに書いてみます。
「ロング・グッドバイ」
有名なハードボイルド探偵小説「長いお別れ」の映画化、といっても僕は原作未読なんですね。結局このロバート=アルトマン監督の映画版で初めて話を知ることになったんですが…
う〜ん、悪くはないんだろうけど、何か不完全燃焼のような後味。というわけで原作をいま読みだしたところ。村上春樹訳の「ロング・グッドバイ」で。
映画のほうは時代も公開当時の時期に変えてるんですよね。24時間のスーパーとかヨガブームとかその当時の風俗が印象的に使われてます。それが成功してるかどうかは…横溝正史「八つ墓村」のもっとも有名な映画化である野村芳太郎監督版も1970年代に時代を移していたのを思い出します。
「野火」
昨年の塚本晋也版のほうはまだ見逃してまして…そのうちにBSで市川崑版をやってましたので先日ようやく見ました。事前に、この話のポイントでもある部分がこちらではストレートにやるのは避けているとは知ってましたが、映画としてのまとまり具合はまずまずかと。
同じ市川監督の「ビルマの竪琴」を見た時も思いましたが、ロケはどこでやったんでしょ?
>つねさん
ルパン派の僕ですが、「Mrホームズ」も気にはなってます。しかしホームズ関連の映像作品は近頃途切れることなく続いてるような…ルパンは本国フランスでも2004年以降は動きがありません。
「帰ってきたヒトラー」は原作も話題になったてましたし、映画も気になるところ。予告編などでの映像ではヒトラーがソックリ。というか、ヒトラーって恐らく近現代史の人物で一番ソックリさんに演じられた人物じゃなかろうかと。
#1621
つね 2016/06/25 13:44
Mr.ホームズ
見てきました。今回は8名。前回の3名と比較すると3倍近い人手に確かなホームズ人気を再認識(笑)。
ホームズ・シリーズはワトソンとの友情物語と思っているので、30年近く前の回想の中でほんの少ししかワトソンが出てこないのが残念(しかも顔は映らない)。それでも自分がn回目(笑)の結婚でベーカー街を出た後の事件解決に失敗したホームズに1ヶ月も付き添い、事件のラストをハッピーエンドに変えて発表する優しさは健在。
ストーリーは、その30年前の事件について映画化されたものをホームズ(93才)が見て、ラストが真実と異なるのに気付くのですが、高齢者特有の症状のために真実を忘れていて思い出そうとする物語で、かなりもたついています。予告編はかなりミスリード。日本も出てくるのですが、ほとんど関連性はなく、バッサリ切り捨てても話は成立します。原作を読まないと確実なことは言えませんが。あと日本は戦後直後とは言え、どうにも東南アジアや香港系の少しズレた雰囲気が漂ってます。
とはいえ、映画全体の雰囲気は良く、ラストは落ち着いた明るさが感じられました。
次回は「帰ってきたヒトラー」を予定。これは「史劇的伝言板」向けかも。
#1620
つね 2016/05/21 08:49
映画館事情
>バラージさん
情報ありがとうございます。
実は、私が言及していた映画館は「ソレイユ」というところです(ウィキペディアに項目があるとは思わなかった)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%A6%E3%83%93%E3%83%AB
ここはバラージさんの紹介された例とは違っているようで、一度、閉館もされているようです
。個人営業の小売りが、大型ショッピングセンターに駆逐されるのと同じような状況のようです。個人的には「往年の名作」というのも上映されるようなので、目が離せませんが。
#1619
バラージ 2016/05/20 01:06
上質なミステリー映画
『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』という映画を観ました。人気脚本家の古沢良太のオリジナル脚本で、監督が金子修介、主演が野村萬斎のミステリー映画です。
主人公は物などに残った残留思念(人間の記憶や感情)を読み取ることができる超能力者。ある少女の依頼を受けたかつての漫才の相方に引っ張り出され、その能力を使って少女のピアノ教師である行方不明になった女性を探し出そうとする、というお話です。いやあ、面白かったです。脚本も演出も練りに練られていて、最後まで事件の真相や犯人がわからないようになっていて目が離せません。また、犯人探しだけが見どころではなく、人間ドラマの部分でも十分に魅せてくれます。久しぶりに上質のミステリードラマを見たという感じですね。
主演の野村萬斎をはじめ役者陣もみんな素晴らしく、相方の宮迫博之との息もぴったり。ヒロインの木村文乃の美しさ。繰り返し出てくる彼女のある台詞がすごく良くて聞いててすごくいい気持になっちゃうんですが、パンフを読んだら現場にいた男性スタッフもみんな同じだったみたいです(笑)。また、少女役の杉咲花もクライマックスの表情の演技が素晴らしい。いい女優になるでしょう。そして関ジャニ∞の安田章大が素晴らしい熱演を見せてくれます。
シリーズ化の含みも持たせてあったんで、ぜひ続編を期待したいですねえ。原作のないオリジナル脚本映画は今はなかなか企画が通らないらしいですが、ぜひともがんばってほしいところです。
>パンフレット
僕も昔は必ずと言っていいほど映画館で観た映画ではパンフレットを買っていたんですが、ある時期を境にあまり買わなくなりました。理由はまず値段がだんだん高くなってきたこと。昔は400円くらいだったと記憶してますが、今は700〜800円くらいしてしまいます。その値段なら文庫本が1冊買えちゃうし、パンフ2冊分で映画が1本観れちゃうと考えるとちょっとなあと。もちろんすごく面白かった映画のは買うし、歴史ものなど時代背景を知りたい映画も買う確率は高いんですが、たいして面白くなかった映画のパンフレットを買うのはなんかバカバカしくなっちゃいまして。
あと、特にエンタメ系では内容が薄くて買って損したと思うことが多いこともあります。1番頭にきたのはジャッキー・チェンの『ベスト・キッド』のパンフを買ったら、記事量こそ豊富なもののなんと内容が公式サイトと全く同じだったということがありました。昔はその映画の情報はパンフ以外は映画雑誌くらいしかありませんでしたが、今はインターネットが発達しちゃいましたからねえ。よっぽど気に入ったもの以外はまあいいかなという感じになっちゃいます。
>単館系映画館
僕の地方にも単館系映画館(一昔前はミニシアターと言った)がありますが、経営会社はもう一つ映画館を持ってまして、そちらのほうで比較的客の入る子供向けのアニメや特撮を上映して収支を合わせているようです。映画館の名前が全く違うんで注意しないと同じ経営会社だとはわかりませんが。
#1618
つね 2016/05/11 18:12
単館映画館
私の場合は田舎だったということも過疎に拍車をかけたようです。
しかしあの入りで元が取れているとは思えませんね。経費の一つであるフィルムレンタル料(?)ってどう決まっているんでしょうか。そもそも映画製作者と映画館の関係は、通常の製造業と小売業の関係と同じなのでしょうか。なんとなく単館映画館はお金がない→安い(人気がない)映画を上映する→人が入らないというスパイラルに陥っているような。人気の有無と映画の良し悪しは別だし、単館映画館にも頑張ってほしいのですが。
次回鑑賞予定も単館上映もので、ホームズが主役です。
#1617
徹夜城(支配人) 2016/05/10 14:33
栄耀映画徒然草もそのうちに
更新をまるでしておりませんが、「栄耀映画徒然草」も最近見た映画についてチビチビチ書いておりますので、そのうちまとめてアップします。アクセスを分析すると当サイトは映画タイトルごとにページを作ってるせいか、映画の題名でググると割と上位に入りやすいらしく(特にマイナー作)ちょこちょこ見ていく方がいるんですね。それを知るとやっぱり更新しないと、と申し訳なくもなるわけで。
>つねさん
さすがに僕の場合は平日でしたが、ある単館公開の映画で劇場内にいたのが僕ともう一人だけ、という状態になったことがあります。いや〜あれは僕がこれまで見てきた映画の中でもワースト1位か2位かというところでして…ルパンがらみでなければ絶対見に行ったりしなかったでしょうね。
>バラ―ジさん
劇場で見た映画のパンフレットはよほどのことがない限り買うようにしていますが、その中に何枚かチラシがはさまっていることはありますね。そのチェックをやったことはないんですがやってみると面白いかもしれません。
「スパイ・ゾルゲ」の脚本の間違いについては以前も指摘されましたが、ついついまだ直してません。今度アップするときにでも…と思ってると遅れちゃうんだな(汗)。他のページで書いたやつに加工して新ページにすることが多いんで、ついうっかり直し忘れたものでしょうね。
>黄金週間
そもそも「ゴールデンウイーク」というのは映画業界で生まれた言葉なんですよね。お盆と正月と、このゴールデンウィークが映画興行のヤマになるということのようで(確か「七人の侍」もGW公開)。しかし僕自身はこの時期に映画を見に行ったことはあまりないんですよねぇ。今年もテレビ放映されたもののの録画を見ただけでした。
それが五社英雄監督の「人斬り」と溝口健二監督の「雨月物語」。感想はいま書いてますんで、近日中にアップできれば…
#1616
バラージ 2016/05/08 22:12
消えていく映画
先日、家の物置を整理していたら、昔集めていた映画のチラシと前売り券の半券が出てきました。「懐かしー」と整理そっちのけで一枚一枚眺めてしまったんですが(整理あるある)、それと一緒に雑誌『ロードショー』の付録についていた1988〜1990各年の公開洋画チラシ全集も出てきました。これまた懐かしかったんですが、眺めてると今でも有名な映画、「あー、こんな映画あったな」という映画、「そういえばこんな映画あったような……」という映画とともに、見たことも聞いたこともないような知らないB級映画のチラシが結構たくさんあります。B級アクション、ホラー、ソフトポルノがほとんどなんですが、「こんな映画、劇場公開されてたのかよ! ビデオスルーじゃないのかよ!」と結構驚きます。それとともに「記録に残っている映画は実はほんの一部」という言葉がちょっと実感できましたね。まぁ時の流れとともに、残す価値のない作品が淘汰されていくのは当然と思ってるんで、別に惜しいとも何とも思わないんですが(笑)。
>栄耀栄華徒然草
『スパイ・ゾルゲ』の脚本家が間違ってますよ。歴史映像名画座のほうは正しく表記されているようですが。
#1615
つね 2016/05/07 18:14
独裁者と小さな孫
珍しく単館映画を見てきました。土曜日なのに3名。
国民を虐待してきた大統領に対するクーデターが生じて、家族はいち早く国外脱出するが、まだ事態を収拾できると見ていた大統領と、幼馴染の女の子と会いたい孫が取り残されて二人で逃亡するというストーリーです。冒頭のデモ隊と警備隊の衝突はアラブの春を彷彿とさせ、臨場感あふれる演出です。逃亡中に大統領が、困窮している国民や、兵士の堕落ぶりを通して自分がしてきた罪を突き付けられるというのはありがちなような気もしますが、孫がいるのが大きなポイント。生まれた時から権力者なので、事態を把握できずわがままで銀英伝のエルウィン・ヨーゼフ2世みたいだなあと思っていましたが、彼の場合、祖父という上位者しかいないので、祖父に叱られると泣き出しつつ言うことを聞きます。純真無垢で可愛くも見えてきます。終始、お荷物なのですが祖父も見捨てるわけにはいかない。
「衝撃のラスト」と宣伝されてますが、観客それぞれで結末は考えてね、という意図のようです。大統領は罪ありなので「許されざる者」だと思います。「ここで大統領を殺しても復讐の連鎖になるだけ」というのは理屈では分かりますが、そう簡単に割り切れるものでもないでしょう。殺しても解決しないのはアラブの春を見ても確かですが。
見ていて楽しい映画ではありませんでしたが、飽きさせることのない考えされられる映画でした。
大統領はヘリコプターの操縦からギターの演奏までこなし、なかなかの芸達者です。
#1614
バラージ 2016/03/13 14:42
妄想と現実の曖昧な境界線
ウェイン・ワン監督による日本映画『女が眠る時』を観ました。
ニューヨーカー誌に掲載されたスペインの小説家ハビエル・マリアスによる短編小説を、舞台を日本に置き換えて映画化した作品だそうです。
編集者の妻とリゾート地に滞在しているスランプ中の小説家が主人公。彼が宿泊中のホテルで見かけた初老の男と若い女性の奇妙なカップルに興味をひかれ、偶然から部屋をのぞき見したことで2人の異様な関係を知ることになる。男や女性と接しているうちに好奇心を抑えられなくなった小説家は、常軌を逸した行動に走り、妄想に取りつかれ、暴走していくが……というお話です。
後半になっていくほど小説家の夢や妄想のシーンが増えていき、どのシーンが現実でどのシーンが妄想なのか観てるこちらにもわからなくなっていきます。観終わった後もどこまでが妄想でどこまでが現実だったのかわからない、あえてすべてを説明せず観客に行間というか余白というか描かれていない部分を想像させる、そんな映画でしたね。観終わった後も「あれは何だったんだろう?」と考えて2度3度見たくなる不思議な映画でした。非常に面白かったです。
ウェイン・ワン監督は米国で活動する中国人監督で、僕はこれまで『ジョイ・ラック・クラブ』『スモーク』『チャイニーズ・ボックス』を観ましたが、どれも20世紀の作品で本作が久しぶりでした。
役者陣も、初老の男役のビートたけし、小説家役の西島秀俊、若い女性役の忽那汐里、妻役の小山田サユリとみんな抜群に素晴らしいです。忽那さんは『黒衣の刺客』『海難1890』に続く国際映画出演。オーストラリアの帰国子女で英語が堪能なのも理由の1つでしょうが、個人的に彼女はデビュー作のドラマ『3年B組金八先生』の時から印象に残ってたんですよね。立派な女優になったなあと感慨深いです。特別出演のリリー・フランキーもまたも怪演でした。
もう1本、故・森田芳光監督のデビュー作『の・ようなもの』の35年後の続編映画『の・ようなもの のようなもの』も観ました。森田没後も彼を慕う人々が妻でプロデューサーの三沢和子の家(つまり森田の家)に月に1度集まっており、そこで自然発生的に続編の話が生まれたんだそうです。監督は森田の助監督をずっと務めてきた杉山泰一。
『の・ようなもの』は森田の作風や若くしてのデビュー作ということもあり、ちょっと前衛的というかとんがったところのある作品でしたが、『の・ようなもの のようなもの』はどちらかというと森田の遺作となった『僕達急行』に近い雰囲気の、ほんわかとした感じの映画でした。まあまあ面白かったです。しかし松山ケンイチは落語も上手いなあ。何でもできちゃうのね。
#1613
バラージ 2016/02/28 00:27
ホウ・シャオシェンの武侠映画
『黒衣の刺客』を観てきました。地元ではDVD発売直前にやっと公開という(笑)。
やはり予想通り、いかにもホウ・シャオシェンという映画でしたね。たとえ武侠映画といえども、ホウ・シャオシェンはウォン・カーウァイと同じく独特の作風がずっと変わらない監督なので、おそらくカーウァイの『楽園の瑕』と同じようにいつもの作風のままの武侠映画なのだろうと思ってました。よって観る人を選ぶ映画だということは間違いありません。#1495でも書いたようにホウ・シャオシェンの映画は、「1シーン1ショットの長回しで、音楽はなく台詞も少ない上に俳優の話し声が小さい静謐な印象の映画」であり、「観る側にある種の集中力を要求するタイプの映画なんで、他人には無条件でオススメはしづらい」のです。あえて説明を排した、行間を読ませるとでも表現すべき映画と言いますか。でもそこにも書いたとおり、僕はハマったんですよねえ。この映画も、「うんうん、いかにもホウ・シャオシェンだよなあ」と懐かしく感じてしまいました。
そもそもホウ・シャオシェンの時代劇は珍しく、『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(1998年)と、1966年・1911年・2005年を舞台としたオムニバス映画『百年恋歌』(2005年)の1911年パートぐらい。去年ようやく観た『フラワーズ・オブ・シャンハイ』は、すべて室内撮影にスター俳優の起用など当時のホウ・シャオシェンとしてはやはり異色作という感じで、出来もやや不満の残るものでした。それに比べると本作はホウ・シャオシェンの作風にピタリとはまっています。
主演のスー・チー、相手役のチャン・チェンをはじめ、役者陣もみな一流の仕事ぶり。スー・チーは若いころ十八番にしてたマリリン・モンロー的役柄から、しっとりとした大人の女性の役柄へ本当に上手く移行しましたねえ。もちろん彼女の実力あってこそですが、『ミレニアム・マンボ』(2001年)、『百年恋歌』と新たなホウ・シャオシェンのミューズとなったことが、双方にとって非常にいい方向に作用したと言えるのかもしれません。
とにかく個人的には大満足でした。
#1612
黒駒 2016/02/02 00:11
ありがとうございます
管理人様。『用心棒』の解説ありがとうございます。私も見た当時はまったく博徒ものとして見ていませんでした。最近博徒史の最新研究の論文を読んだばかりですので、自分では博徒熱が高まっているので映像ものも見てみたいなと思っていたところでした。「用心棒」も再見しましょうかね。
上州の宿場で養蚕もやってるとなれば、もう完全に博徒史の世界ですね。八州廻り(関東取締出役)も出ていましたか。博徒のバックに造酒屋や絹問屋がいるというのも、これも最近の博徒史において指摘されるところです。博徒はたいてい、交通の要衝に分布して、流通などに深く関わっていましたし、黒駒勝蔵と清水次郎長の抗争の背景には富士川舟運の権益があったりしますよね。洋式銃は国定忠治も所持してますし、幕末史にはもう井伊直弼暗殺からして随所に出てきますから、出回っていたのでしょうね。
お話を伺って『用心棒』を思い出してみると、黒澤もよく調べているというか、股旅物というジャンルが時代劇のなかにあったわけですから、常識なのでしょうね。博徒はなにせ史料が僅少なので、最近研究が盛んといっても当時の博徒観を塗り替えるところまでは行っていないなとも思います。
#1611
徹夜城(支配人) 2016/01/31 00:14
「用心棒」について
どうも、ここんとこ時節柄忙しく(と同時に当サイトであれこれ没頭してる作業もあり)書き込みがおろそかになっております。
しかし「用心棒」の話が出てしまっては、反応せざるを得ません(笑)。
>黒駒さん
黒澤明の「用心棒」ですが、僕の大好きな一本です。実際個人的には黒沢映画のベスト1に挙げています。
まず内容に関して正確に補足しますと、おそらくは上州と思われる(明言はないけど絹の産地、八州廻り、空っ風といった道具立てで明らか)絹市の立つ宿場町を舞台に跡目争いから分裂した二つのヤクザ(博徒)集団が対立、そこへふらりとやってきた浪人の自称「桑畑三十郎」が双方に自分の腕前を売り込んで対立をエスカレートさせ、最終的に両者を壊滅させてしまう、そして三十郎はまたいずこかへ去ってゆく、ってな構造です。
さすがに黒澤、かなりヒーロー性の強い痛快娯楽時代劇なんですが、舞台となる町の時代・経済的考証はかなりしっかりしています。幕末に近い時代の上州で周辺の農家は絹を織り、あたりには桑畑が広がり養蚕が盛ん、そしてそういった農家のせがれは「太く短く生きる」とかぬかして博徒に仲間入り。実際国定忠治など上州博徒が出てくる背景にこういう事情があるんですよね。
また舞台となる町は天領と思われ、劇中に「八州廻り」がやってくるくだりが。「八州廻り」はしばしばFBIにたとえられ(岡本喜八の遺作「助太刀屋助六」でも同じ表現あり)、領地の入り組んだ上州などで支配管轄をまたにかけて捜査・摘発権をもつ警察組織で、劇中でも彼らが来るというだけで博徒たちは抗争をやめておとなしくしています。この辺、映画を製作したころは説明不要の事情だったのかもしれませんが、今見ると知らないと分かりにくいところですね。
博徒たちだけでなく、それぞれのバックに造り酒屋の絹問屋がいて政治的抗争をやってるところもストーリー的にはやや複雑だけどリアリティは感じます。リアリティということでは、チャンバラ表現に必ず二太刀切る、腕が飛ぶ、斬撃音がする、血が噴き出すといった演出が試みられていて(まだささやかですが)、日本時代劇史上の画期をなす一本でもあります。
といってリアリティばかり追求してるわけでもなく、仲代達矢演じる「卯之介」がピストルはもちろん首にマフラーを巻いている、という「遊び」も入ってます。まぁ時代設定が定かじゃないので本当の幕末期にもなるとピストルぐらいは入手できたのかな。首にマフラー巻かせたのは仲代さんの首が長いのが黒澤監督の気に入らず、苦肉の策だったらしいです。
とにかくこの「用心棒」はビデオで最初に見たとき、僕みたいな世代の人間でも衝撃を覚えましたねぇ。なんちゅうよくできた映画だ、と。すぐに二度目の鑑賞に入りましたもん。今でもほぼ全セリフ言える映画なんじゃないかな(笑)。
続編にあたる「椿三十郎」の方はあまり幕末チックではないんですよね。あれは一応山本周五郎の小説が下敷きだからかな。
#1610
黒駒 2016/01/29 23:18
書き忘れたのですが
私が博徒もので見た中で黒澤の「用心棒」を忘れてました。あれは痛快時代劇ですけど、なんだかリアリズムな近世後期の博徒もののようにも思えます。荒廃した農村と、拳銃が出てきますから時代は江戸後期でしょうね(博徒史においては国定忠治が拳銃を持っていたりします)。荒廃した農村で、養蚕をやっていたのか知りませんけど、民の中から成長してきた博徒集団と、没落した武士である桑畑三十郎が衝突する話かなと思います。もうずいぶん長いこと見てないので、また確認したいですけど。
#1609
バラージ 2016/01/29 20:35
猫に股旅(特に意味はない)
股旅物で僕が観たのは、映画『帰ってきた木枯し紋次郎』ぐらいですかね。もともとのテレビドラマ『木枯し紋次郎』は世代的に観てないんですが、『帰ってきた〜』は20年ぶりにスペシャルドラマとして作られたけどあまりの出来の良さに劇場公開されたとのことで、僕はビデオで観ましたが確かになかなか面白かったです。考えてみれば股旅物における『木枯し紋次郎』は、ヤクザ映画における『仁義なき戦い』と製作時期も作品の性格や位置付けも似てるような。まあ僕は股旅物もヤクザ映画もほとんど観ないんですが。
>3D映画
そういえば香港映画『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』も3D字幕で観てました(3Dしか上映してなかった)。これは面白かったですね。
#1608
黒駒 2016/01/26 00:35
博徒史映画
歴史のほうでやくざの話が出ているので少々。管理人様は戦後の実録ヤクザ映画にはかなりご造詣がありますが、股旅物など江戸の博徒映画?に関しては如何でしょうか?私も近年、博徒史にはまりつつあるので映像資料もと思っているのが、『次郎長三国志』くらいしか見たことないですね。
映画でもいいのですが、大河ドラマでは『龍馬伝』や『平清盛』で試みられた、ざらついた映像のなかに江戸後期の農村がばーんと映って、そこに博徒が闊歩して出入抗争を繰り広げてくれるような作品をいつか見てみたいものです。
#1607
つね 2016/01/17 17:38
SW感想
私もスター・ウォーズ見ました。ミーハーなので4DXで。
まあ大まかなストーリーは既にご指摘があるとおりエピソード4の焼き直しですが、敵役に魅力がなさすぎて。小物すぎ。3部作なのでまだ評価は早すぎると思いますが。ヒロイン(ヒーロー不在)は非常に魅力的でした。
4DXについては楽しめなくもなかったのですが、映像の迫力と比べるとおまけ扱い。映像に合わせた衝撃だと怪我人が出てしまいますが。射撃時の反動はいいと思うし、敵の銃弾がそばを通り過ぎるのを風で表現するのはいいのですが、戦闘機に乗ってる時も同じなのはちょっと興ざめ。まだ発展途上の技術だと思います。
エピソード9まで見ないと最終評価は保留です。単体でも欲を言わなければ楽しめました。
#1606
バラージ 2016/01/14 22:01
追悼 はやし・こば
作曲家の、はやし・こばさんが亡くなられました。市川準監督の『ノーライフキング』で音楽を担当した他、『BU・SU』『東京夜曲』『ざわざわ下北沢』では出演をされていた方です。『ざわざわ下北沢』は未見ですし『東京夜曲』の出演シーンもよく覚えていないのですが、『BU・SU』での富田靖子演じる主人公を見守る置屋の老人役はとても印象的でした。その他にはアニメ『千と千尋の神隠し』で声優をしていたそうです(こちらもしっかりとは観てないのでよくわからない)。ご冥福をお祈りします。
>3D映画
僕は3D版しか公開されない場合にしか3D映画は観ないんですよね。だから今まで数えたほどしか観たことがありません。記憶にあるのは『グリーン・ホーネット』『タイタンの戦い』『ホビット1』ぐらいですかね。
なぜ3D映画を見ないかというと、第1に料金が高いからですが(笑)、もう一つは僕の地方では3D吹替版と2D字幕版という上映形態になることが多いからです。僕は圧倒的に字幕派なので、2D版を観るという選択になってしまいます。以前は3D字幕版というのもあり、上記の『タイタンの戦い』『ホビット1』もそうだったんですが、3Dだと字幕が観にくいんですよね。
#1605
徹夜城(支配人) 2016/01/07 23:33
SW見てきました
本日、やっと「スター・ウォーズ フォースの覚醒」見てきました。迷ったんですが、結局安さ優先で2D版を。いつも使ってるシネコンでは4DX版、3D版、2D版と3パターンもやってます。
4DXもどんな感じなのか、興味はあるんですけどねぇ、お予算が倍になっちゃうくらいんで。日頃メンズデー利用の僕などには敷居が高い。
ただ今日の「SW」に関しては「3Dにした方がよかったかな?」とも。どっちでも印象が大して変わらない映画も多いですが、これはいくらか違うかな、と。これまで見た中で「3Dで見なきゃダメ」と思ったのは「ゼロ・グラビティ」くらいですね。
さて「フォースの覚醒」ですが、なるほど旧三部作の一作目「新たなる希望」のバージョンアップ版、という印象が強い。というか話の骨子が完全にそうなってて作り手が狙ってますよね。そこに旧シリーズの主役3人が年齢を重ねて登場するので新旧両方のファンにアピールできると。
「1」〜「3」公開時に比べると割と好意的感想が多いですね。「1」〜「3」も「3」までまとめて見るとそれなりによくまとまってできてるとは思うんですが、なにぶん結末の見えてる三部作というマイナス要素がありましたからね。今度の三部作はとりあえず「どうなるのかわからない」ですから楽しめそうです。
もっともルーカス自身はストーリー提案をしたもののディズニーには却下され、事前に予想されたほど関与できなかったみたいで、いささか不満も口にしてました。まぁ自分が売っちゃったんだからしょうがない、とも言ってますけど。
#1604
バラージ 2016/01/04 16:37
あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします。
今年の映画1発目は『スター・ウォーズ フォースの覚醒』でした。面白いことは面白かったんですが、ほとんど最初の三部作(エピソード4〜6)の焼き直しというかオマージュみたいなシーンの連続で、次の展開が容易に読めちゃいましたねえ。女性(白人)とアフリカ系(黒人)が主人公で2人が恋愛関係になるあたり、ポリティカリー・コレクトというか作品外の時代の流れも感じちゃいました。ちなみに僕は新しい三部作(エピソード1〜3)は観てません。
>ジャッキー映画
『ライジング・ドラゴン』については、#1401に書いています。
『ラッシュアワー』は、第1作ではジャッキーのハリウッド進出が大成功と聞いて感慨深かったんですが、観たらとんでもない駄作で愕然としましたね。『2』は悪役のジョン・ローンとチャン・ツィイーのおかげでまあまあでしたが、ハリウッド進出成功時代は個人的には駄作の連続で、最もジャッキーから心が離れた時期でした。ジャッキー自身も同じ感想だったようで、香港に舞い戻って『香港国際警察』で大復活。鬱憤を晴らしたジャッキーが再びハリウッドに行って作ったのが『3』でしたが、ようやくハリウッドがジャッキー・テイストを受け入れたと感じた良作でしたね。
#1603
徹夜城(支配人) 2016/01/03 23:22
謹画新年
あけましておめでとうございます。今年もよろしく。
>バラージさん
一度目に見たときになんとも思わなかった映画が、時間をおいて二度見たときにえらく感動作になっちゃった、ってなことはあるようですね。僕自身はまだ思い当たらないんですけど。小津安二郎の映画なんか老後に見るとかなりクル、との話もありますね。
こちらは年末に録画だめした映画を一気に見ないといけなくて。これだからなかなか「栄耀映画徒然草」が更新できないんだよな。劇場にはあまり行ってないんですが、とにかく衛星放送の録画だけでずいぶんあるもんで。
BSジャパンがこのところジャッキー映画特集を続けてまして、当人も最後の体当たりアクションと言ってる「ライジング・ドラゴン」、たぶんこれもシリーズ最後と思われる「ラッシュアワー3」を立て続けに鑑賞しました。どちらも長年のジャッキー映画ファンにはいろいろ感慨深いものがあるんですが、特に「ラッシュアワー3」の真田広之とのエッフェル塔上での直接対決アクションには、両者の過去作品を知る者にとっては胸が熱くなるものがありました。
#1602
バラージ 2015/12/31 17:27
2度目のほうが面白い
先月から今月にかけて東京の目黒シネマで、犬童一心監督企画による「市川準監督特集2015 市川準と女優たち」という特集上映が行われたようです。「市川準監督特集」は去年に続いて2回目なんだとか。上映されたのは『BU・SU』『つぐみ』『東京兄妹』『東京夜曲』『トニー滝谷』『あしたの私のつくり方』の6作品。去年は『病院で死ぬということ』『トキワ荘の青春』『大阪物語』の3作品で、特に『病院で死ぬということ』と『大阪物語』は未だDVD化されていないため非常に貴重な上映です。東京の人はうらやましいなあ。
数年前にCSの日本映画専門チャンネルで市川準追悼特集として市川監督映画がいくつか放送された際にそれらをまとめてビデオ録画して観たんですが、最近そのうちの一部をもう1度DVDなどで観直しております。
その中に村上春樹の同名短編小説が原作の『トニー滝谷』があります。この映画を最初に観た時は自分の頭の中に原作のイメージが強く出来上がってたんで、イッセー尾形や宮沢りえのキャスティングがミスキャストに感じたし、原作では外見が似ていない設定の妻とバイト応募の女性を宮沢りえが二役で演じるという微妙な変更にも納得できず、残念ながらいまいちな出来だと感じたんです。
ところが上記のとおり数年ぶりにDVDで観直したら、最初に観た時よりもずっと良かったんです。時間が経って原作から距離を置いて観ることができたからなのかもしれないし、あるいは最初に観た時には感じることのできない何かがあったのかもしれないし、または僕のほうの何かが最初に観た時とは変わってしまったのかもしれないけれど、とにかく最初に観た時よりもずっと強く心を惹き付けられました。『BU・SU』といい、この映画といい、市川準監督の映画では時々そういうことが起きます。村上春樹がエッセイで「2度目に読んだ時のほうが面白い小説はいい小説だ」というようなことを書いていましたが、映画についても同じことが言えるかもしれないなあ、などと思う今日この頃です。
>最近DVDで観て面白かった映画
『コーヒーをめぐる冒険』
ついてないことばかり起こる青年の不運な1日を、モノクロの映像とジャズ音楽のクールな雰囲気で描いていく新世代のドイツ映画。昔のヌーベルバーグっぽくてまあまあ面白かったです。
『エレニの帰郷』
ギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督の遺作で、「20世紀三部作」の第二部。第一部『エレニの旅』は観てないんですが、本作単体で完結してるため特に支障はありませんでした。80年代までのアンゲロプロス映画は、極端な長回し撮影や、時間や時代が前後を行ったり来たりする構成、オープニングもエンディングもなく唐突にいきなり始まっていきなり終わる形式など、それまで観たことがないタイプの映画で強い衝撃を受けました。それに比べると本作はわりと「普通の映画」になってしまっていて、決してつまらない映画ではないんですが、あの頃のような衝撃はもうないですね。
『少女は自転車にのって』
サウジアラビア初の女性監督による珍しいサウジアラビア映画。イスラムの保守的な慣習に反抗的な少女が自転車を買う金欲しさに賞金目当てでコーランの暗誦大会に出場するという社会派ヒューマン映画で、表現の自由に厳しい国では社会批判を含むテーマの場合に子供を主人公にするのはよくあることですが(イランのマジッド・マジディ監督『運動靴と赤い金魚』や、インドのミーラー・ナーイル監督『サラーム・ボンベイ!』など)、そういう映画は第三世界の国のあまり知らない一般人の日常生活が垣間見れてとても興味深く、僕は結構好きなんですよね。この映画もなかなか面白かったです。
今年の映画ベスト3は『GF*BF』(#1544、史劇的伝言板#9881)『野火』(史劇的伝言板#9950)『悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46』(#1557)でした。
それでは、良いお年を。
#1601
バラージ 2015/12/14 22:30
いろいろ
『ミスター・ベースボール』
劇場公開時に観ましたが、僕は相変わらずの勘違い日本描写だなあと感じたことを覚えています。映画としての面白さもいまいちでしたね。当時、ロバート・ホワイティングの日米野球比較文化論を読んで、興味を持ったんですが。
『テラコッタ・ウォリア 秦俑』
僕も昔ビデオで見ました。#1222でも紹介しています。ただ、これDVD化されてなかったのでは? なので現時点では観る手段はかなり限られているかと。