フランス史映画
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ジャンヌ・ダルク
"Jean of Arc"
1999年/フランス・アメリカ
ゴーモン
カラー映画(158分)
スタッフ○監督:リュック=ベッソン○脚本:アンドリュー=バーキン/リュック=ベッソン○撮影:ティエリー=アルボガスト○音楽:エリック=セラ○製作:パトリス=ルドゥ○製作総指揮:アンドリュー=バーキン/リュック=ベッソン
キャストミラ=ジョヴォヴィッチ(ジャンヌ)、ジョン=マルコヴィッチ(シャルル7世)、フェイ=ダナウェイ(ヨランド=ダラゴン)、ダスティン=ホフマン(良心)ほか
ストーリー百年戦争の最中のフランス。敬虔な少女ジャンヌの住む村にイギリス兵がやって来てジャンヌの姉はその目の前で惨殺されてしまう。やがてジャンヌは「神の声」を聞き、王子シャルルのもとに駆けつけ、オルレアンの包囲を激戦の末に解放、シャルルをフランス国王として即位させ、英雄と崇められる。しかし戦争継続を唱えるジャンヌに周囲は冷たくなり、とうとうジャンヌ自身もイギリス兵に囚われてしまう。彼女は裁判の末「魔女」として火刑に処されてしまうのだが…
解説何度となく映画の題材となってきた「ジャンヌ・ダルク」の最新バージョンはアメリカ映画・フランス人監督・ウクライナ人女優という組み合わせで実現した。ケレン味を好むベッソン監督らしさは激しく凄惨な戦闘シーンに集約される。映画後半はジャンヌとその「良心」の問答という形式で展開する辺りがユニーク。
メディアDVD/BD発売:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント

ジャンヌ・ダルク
"Jean of Arc"
1999年/アメリカ
CBC
アライアンス・アトランティス・コミュニケーションズ
カラーTVドラマ(180分)
スタッフ○監督:クリスチャン=デュゲイ○脚本:マイケル=アレクサンダー=ミラー/ロナルド=パーカー○撮影:ピエール=ジル○音楽:アッシャー=エッティンガー○製作:ピーター=ブレイ
キャストリー リー=ソビエスキー(ジャンヌ)、ピーター=オトゥール(コーション)、チャド=ウィレット(ジャン)、クリフ=ソーンダース(ベルトラン)、パワーズ=ブース(ジャック)、ジャクリーン=ビセット(イザベル)、シャーリー=マクレーン(ブルゴーニュ伯の母)、マクシミリアン=シェル(審問官)ほか
ストーリー百年戦争の最中のフランス。ジャンヌは「神の声」を聞き、王子シャルルのもとに駆けつけ、オルレアンの包囲を激戦の末に解放、シャルルをフランス国王として即位させ、英雄と崇められる。しかし戦争継続を唱えるジャンヌに周囲は冷たくなり、とうとうジャンヌ自身もイギリス兵に囚われてしまう。彼女は裁判の末「魔女」として火刑に処されてしまうのだが…
解説リュック=ベッソンの映画に対抗して(?)同年に放映された3時間強の大型TVドラマ(日本ではNHKが放送)。ストーリーはジャンヌ=ダルク映画の基本をそのまんまやった感じだが、いかにも田舎娘らしい純朴な可愛さを見せるソビエスキー、悩む悪役を演じる大物ゲスト・ピーター=オトゥールが見もの。各種戦闘シーンは映画並みの迫力。
メディア日本ヘラルドより「ヴァージン・ブレイド ジャンヌ・ダルクの真実」というひどい邦題で140分にカットしたVHSソフトが出ていた(たぶんベッソン版との差別化のため)。DVD以降のソフト化は実現してない模様。

聖女ジャンヌ・ダーク
"Saint Joan"
1957年/アメリカ
フィール・プロダクション
白黒映画(110分)
スタッフ○製作・監督:オットー=プレミンジャー○脚本:グレアム=グリーン○撮影:ジョルジュ=ペリナール○音楽:ミシャ=スポリアンスキー○原作:バーナード=ショー
キャストジーン=セバーグ(ジャンヌ)、リチャード=ウィドマーク(シャルル7世)ほか
ストーリー老いたシャルル7世の夢枕に、昔の姿そのままのジャンヌが姿を現した。ジャンヌは神の声を聞いてからシャルルとの出会い、オルレアンの戦い、そして火刑にいたる自らの生涯をシャルルと語り合っていく。話が進むうち、亡霊がさらに現れディスカッションが繰り広げられていく。 
解説もともと舞台劇らしく、歴史映画を期待してみると肩透かし。亡霊(生霊もいる)たちのディスカッションはしまいには20世紀の戦争の話にまで及び、ジャンヌ・ダルク映画である必然性もなくなりかねないような。この映画のジャンヌ役の大オーディションの末「坊主頭が似合う」という理由で選ばれたジーン=セバーグの存在感だけは出色で、その超ショートカットは次の出演作「悲しみよこんにちわ」で「セシル・カット」として世界的にブレイクしてしまった。
メディア日本国内ではソフト化されていない模様。

王妃マルゴ
"La Reine Margot"
1994年/フランス・イタリア・ドイツ
ALMF
カラー映画(162分)
スタッフ○監督:パトリス=シェロー○脚本:パトリス=シェロー/ダニエル=トンプソン○撮影:フィリップ=ルースロ○音楽:ゴラン=ブレゴヴィッチ○原作:アレクサンドル=デュマ○製作:クロード=ベリ
キャストイザベル=アジャーニ(マルゴ)、ダニエル=オートイユ(ナバール公アンリ)、ジェン=ユーグ=アングラード(シャルル9世)、ヴィルナ=リージ(カトリーヌ・ド・メディシス)ほか
ストーリー1572年、フランスの王女マルゴは宗教対立の和解のために新教徒のナバール公アンリと政略結婚させられた。やり切れぬマルゴは行きずりに新教徒の青年ラモールと愛を交わす。マルゴの母親カトリーヌは新教徒打倒を図り「聖バルテルミの虐殺」が行われるが、マルゴは夫アンリをかばい続ける。 
解説「イントレランス」以来何度も映像化されてきた「聖バルテルミの虐殺」をめぐる歴史ドラマで原作はA.デュマ。アジャーニが可愛い顔して妖艶なマルゴを好演している。フランス映画としては意外に珍しい絢爛豪華な大作である。もっとも人間関係がやたら複雑なので予備知識は必要かも。ちなみにマルゴの夫アンリはのちにフランス王アンリ4世となりブルボン朝の始祖となる。
メディアDVD/BD発売:パラマウント・ホームエンタテインメント・ジャパン

シラノ・ド・ベルジュラック
"Cyrano de Bergerac"
1990年/フランス・ハンガリー
カラー映画(137分)
スタッフ○監督:ジャン=ポール=ラプノー○脚本:ジャン=クロード=カリエール/ジャン=ポール=ラプノー○撮影:ピエール=ロム○音楽:ジャン=クロード=プティ○原作:エドモン=ロスタン○製作:ルネ=クライトマン/ミシェル=セイドゥー
キャストジェラール=ドパルデュー(シラノ)、アンヌ=ブロシェ(ロクサーヌ)、ヴァンサン=ペレーズ(クリスチャン)、ジャック=ウェベール(ド・ギーシュ伯爵)ほか
ストーリー時は17世紀。ガスコン青年隊の隊長シラノは凄腕の剣豪にして優れた詩人にして哲学者だが、大きな鼻にコンプレックスを抱いていた。シラノは従姉妹のロクサーヌにひそかに恋していたが、彼女はシラノの部下の美青年クリスチャンに恋をしていた。シラノは文才のないクリスチャンの代わりにロクサーヌへのラブレターを代筆してやり、その情熱的な言葉でロクサーヌを虜にしてしまう。この奇妙な「二人羽織り」の恋愛関係が続くなか、シラノたちはアラスの戦場へと向かう。 
解説シラノはレッキとした実在人物だが、エドモン=ロスタンの戯曲でほとんど実態を離れた架空キャラとして圧倒的に有名になってしまい、この映画もその戯曲版を忠実に映像化したもの。劇中に出てくるアラスの戦闘は「三十年戦争」のさなかのもので、舞台では不可能なスペクタクルシーンを展開している。
メディアDVD/BD発売:IVC

三銃士
"The Three Musketeers"
1973年/イギリス
アレクサンダル=イリヤ・サルキンド・プロ
カラー映画(109分)
スタッフ○監督:リチャード=レスター○脚本:ジョージ=マクドナルド=フレイザー○撮影:デビッド=ワトキンス○音楽:ミシェル=ルグラン○原作:アレクサンドル=デュマ○製作:アレクサンドル=サルキンド○製作総指揮:イリヤ=サルキンド
キャストオリバー=リード(アトス)、ラクエル=ウェルチ(コンスタンス)、リチャード=チェンバレン(アラミス)、マイケル=ヨーク(ダルタニャン)、フランク=フェンレイ(ポルトス)、フェイ=ダナウェイ(ミレディー)、クリストファー=リー(ロシュフォール)、ジャン=ピエール=カッセル(ルイ13世)、ジェラルディン=チャップリン(アンヌ王妃)、サイモン =ウォード(バッキンガム公)、チャールトン=ヘストン(リシュリュー)ほか
ストーリー銃士となるべくガスコーニュからパリにやってきた田舎者ダルタニャンはひょんなことからアトス・ポルトス・アラミスの三人の銃士と友情を結び、下宿先の人妻コンスタンスに恋をする。宮廷の陰謀に巻き込まれたダルタニャンと三銃士は王妃の首飾りを取りもどすべく、イギリスへと向かう。 
解説何度となく映画化されたデュマの「三銃士」のうち、豪華なキャストとコメディタッチが目立つユニークな一本。連打されるギャグとアクション、ちょっとしたお色気も入っているが、基本線はしっかり原作どおりで原作ファンにも楽しめる映画。続編「四銃士」と同時に製作され、さらに「新・三銃士」と合わせて三部作になっている。
メディアDVD/BD発売:ジェネオン・ユニバーサル

三銃士
"The Three Musketeers"
1993年/アメリカ
キャラバン・ピクチャーズ
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
カラー映画(105分)
スタッフ○監督:スティーブン=ヘレク○脚本:デビッド=ローヘリー○撮影:ディーン=セムラー○音楽:マイケル=ケイメン○原作:アレクサンドル=デュマ○製作:ジョー=ロス/ロジャー=バーンバウム○製作総指揮:ジョン=アヴネット/ジョーダン=カーナー
キャストチャーリー=シーン(アラミス)、キーファー=サザーラント(アトス)、クリス=オドネル(ダルタニャン)、オリヴァー=プラット(ポルトス)、レベッカ=デモーネイ(ミレディー)、ヒュー=オコナー(ルイ13世)、カブリエル=アンウォー(アンヌ王妃)、ジュリー=デルピー(コンスタンス)、マイケル=ウィンコット(ロシュフォール)、ティム=カリー(リシュリュー)ほか
ストーリー銃士となるべくガスコーニュからパリにやってきた田舎者ダルタニャンはひょんなことからアトス・ポルトス・アラミスの三人の銃士と友情を結ぶ。宮廷の陰謀に巻き込まれたダルタニャンと三銃士は王妃の首飾りを取りもどすべく、イギリスへと向かう。 
解説なんと五度目となる「三銃士」の映画化なのだが…原作なんてどっかへ飛んでいってしまった脳天気チャンバラ大活劇(笑)。原作知ってる人には見るに耐えないか大爆笑するか。歴史ドラマとしてもリシュリューがフランス王位を狙うわ、最後はルイ13世に川へ突き落とされるは、考証もムチャクチャ。若手スター勢揃いの青春活劇としてみればまぁまぁだけど。二刀流の変なモンゴル人にも注目だ(笑)。
メディアDVD発売:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンタテインメント

アニメ三銃士
1987〜1989年/日本
NHK/NHKエンタープライズ
学研/KORAD
スタジオぎゃろっぷ
カラーTVアニメ(全52話)
スタッフ○監督:湯山邦彦○脚本:ジャック・プロダクション/田波靖男○キャラクターデザイン:尾崎真吾/辻初樹○美術:中村光毅/木下和宏○音楽:田中公平○原作:アレクサンドル=デュマ○翻案:モンキー・パンチ○アニメーションプロデューサー:金子泰生
キャスト(声)松田辰也(ダルタニャン)、神谷明(アトス)、山田栄子(アラミス)、佐藤政道(ポルトス)、日高のり子(コンスタンス)、平野文(ミレディー)、田中秀幸(ルイ13世)、岡本茉利(アンヌ王妃)、千葉繁(ロシュフォール)、田中信夫(リシュリュー)ほか
ストーリー銃士となるべくガスコーニュからパリにやってきた田舎者ダルタニャンはひょんなことからアトス・ポルトス・アラミスの三人の銃士と友情を結び、仕立て屋の娘コンスタンスに恋をする。宮廷の陰謀に巻き込まれたダルタニャンと三銃士は王妃の首飾りを取りもどすべく、イギリスへと向かう。 
解説モンキー・パンチ氏が監修(?)という形で自由奔放に翻案、子供向けにアレンジした連続アニメ。ダルタニャン物語の鉄仮面あたりまでを原作に使っているが、コンスタンスを人妻から少女に変更したのはまぁ無理もないとして、アラミスを「男装の麗人」にしてしまったのが大胆不敵。しかしこれが当たったのも事実で、「アラミスの冒険」とサブタイトルがついた映画版まで作られてしまった。主題歌が春の選抜高校野球の行進曲に選ばれたのも話題となった。
メディアDVD発売:ハピネット

連続人形活劇
新・三銃士

2009〜2010年/日本
NHK
カラーTV人形劇(全40話)
スタッフ○脚本:三谷幸喜○キャラクターデザイン:井上文太○人形造形・操作:スタジオ・ノーヴァ○音楽:スパニッシュ・コネクション○製作統括:紀平延久
キャスト(声)池松壮亮(ダルタニャン)、山寺宏一(アトス、ロシュフォール、ルイ13世)、江原正士(アラミス、リシュリュー)、高木渉(ポルトス、ボナシュー、バッキンガム公爵)、貫地谷しおり(コンスタンス)、戸田恵子(ミレディー)、田中秀幸(ルイ13世)、岡本茉利(アンヌ王妃)ほか
ストーリー銃士となるべくガスコーニュからパリにやってきた田舎者ダルタニャンはひょんなことからアトス・ポルトス・アラミスの三人の銃士と友情を結び、下宿先の人妻コンスタンスに恋をする。宮廷の陰謀に巻き込まれたダルタニャンと三銃士は王妃の首飾りを取りもどすべく、イギリスへと向かう。 
解説「三銃士」をベースにしつつ、ますます自由奔放、暴走ギャグ満載で改作した作品。前半は他の映像作品でも使われる「ロンドンへの冒険旅」が中心だが、後半は反乱軍鎮圧の戦争描写が中心となり、戦争の悲惨さを訴えるシリアスな展開にもなっていた。
メディアDVD発売:NHKエンタープライズ

仮面の男
"The Man in the Iron Mask"

1998年/アメリカ
ユナイテッド・アーティスツ
カラー映画(132分)
スタッフ○監督・脚本:ランダル=ウォレス○撮影:ピーター=サシツキー○音楽:ニック=グレニー=スミス○原作:アレクサンドル=デュマ○製作:ラッセル=スミス/ランダル=ウォレス○製作総指揮:アラン=ラッドjr
キャストレオナルド=ディカプリオ(ルイ14世/フィリップ)、カブリエル=バーン(ダルタニャン)、ジョン=マルコビッチ(アトス)、ジェラール=ドパルデュー(ポルトス)、ジェレミー=アイアンズ(アラミス)、アンヌ=パリロー(アンヌ妃)ほか
ストーリー時はルイ14世治下のフランス。かつての三銃士たちも老い、現役を退いていた。しかしアトスの息子が国王ルイ14世に恋人を奪われた挙げ句戦死したことをきっかけに、かつての三銃士たちは国王交代を画策。「鉄仮面」をかぶせられ幽閉されていたルイの双子の弟を救出し密かにすり替えようとするが、三銃士の親友で今は銃士隊隊長であるダルタニャンが立ちはだかる。 
解説「ブレイブハート」の脚本を書いたウォレスが初監督したハリウッド型純正時代劇。原作はデュマの書いた三銃士シリーズの「鉄仮面」だが、かなり大胆に脚色。ネタバレは書きたくないが、オチが「ブレイブハート」と同じで我が国の東映時代劇のノリを感じる(笑)。とにかく豪華キャストだが、ディカプリオの二役も注目。
メディアDVD発売:20世紀フォックス・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

宮廷料理人ヴァテール
"Vatel"

2000年/フランス・ベルギー・イギリス
カラー映画(118分)
スタッフ○製作・監督:ローランド=ジョフィ○脚本:ジャンヌ=ラブリューネ○撮影:ロベール=フレース○音楽:エンニオ=モリコーネ
キャストジェラール=ドパルデュー(ヴァテール)、ユマ=サーマン(アンヌ・ド・モントージエ)、ティム=ロス(ローザン侯爵)、ジュリアン=グラバー(コンデ大公)、ジュリアン=サンズ(ルイ14世)ほか
ストーリー時は1671年。コンデ大公は国王ルイ14世を自らの居城・シャンティイ城に招き、三日間の大饗宴をとり行った。饗宴の料理・演出を一任された天才料理人フランソワ=ヴァテールは、莫大な資金を投じて贅沢に工夫を凝らした料理、派手なショーを仕掛けて国王を驚かせる。国王に同行していた女官アンヌは饗宴の合間にルイ14世の愛を受けるが、純粋素朴なヴァテールに次第に惹かれていく。そして三日目… 
解説17世紀に実際に行われた三日間の大饗宴を再現する異色のコスチューム映画。ヴァテールももちろん実在の人物でホイップクリームの発明者として知られる。とにかく料理・衣装・セットなど徹底的に当時の再現をこころみたド派手な作品で、その緻密な「17世紀再現」ぶりには感心させられる。宴会もここまで来るとスペクタクル(笑)。饗宴に参加する人々の思惑・陰謀の交錯は見物だったが、ラブストーリーは残念ながらとってつけたような印象をぬぐえない。
メディアDVD発売:アミューズ・ビデオ

王は踊る
"Le Roi Danse"

2000年/ベルギー・フランス・ドイツ
Kスター/フランス2/Kダンス/K2/RTL・Tvi
カラー映画(115分)
スタッフ○監督:ジェラール=コルビオ○脚本:ジェラール=コルビオ/アンドレ=コルビオ/エーヴ=ド=カストロ○撮影:ジェラール=シモン○音楽監修:ラインハルト=ゲーベル○製作:ドミニク=ジャンヌ
キャストブノワ=マジメル(ルイ14世)、ボルス=テラル(リュリ)、チェッキ=カリョ(モリエール)、コレット=エマニュエル(アンヌ)ほか
ストーリーイタリアからやって来て宮廷音楽家となったリュリは若きルイ14世に気に入られ、リュリもまたルイに屈折した愛情を捧げてダンスを主軸とした音楽でルイの「太陽王」のイメージを演出してゆく。 
解説ちょっと時代をさかのぼってフランス宮廷に舞台を移した「アマデウス」って感じがする。徹底した考証による音楽再現などみどころは多いが、歴史知識がそこそこないと分からない内容だし、画面が全体的に暗いので(これも考証の上なのだろうが)誰が何をしているのかわからなくなる面も。
メディアDVD発売:アミューズ・ビデオ

花咲ける騎士道
"Fanfan la Tulipe"

1952年/フランス・イタリア
白黒映画(115分)
スタッフ○監督:クリスティアン=ジャック○脚本:レネ=ウィーラー/レネ=ファレ/クリティアン=ジャック/アンリ=ジャンソン○撮影:クリスティアン=マトラス○音楽:モーリス=タリエ/ジョルジュ=ヴァン=パリ○製作:フランシス=コスネ/ジョルジュ=ダンシジェル/アレクサンドル=ムイシュキン
キャストジェラール=フィリップ(ファンファン・ラ・チューリップ)、ジーナ=ロロブリジーダ(アドリーヌ)、シルヴィ=ペライオ(アンリエット姫)、マルセル=エラン(ルイ15世)、ジュヌヴィエーブ=パージュ(ポンパドゥール夫人)ほか
ストーリー時は七年戦争のさなか、女たらしの遊び人の若者は美しいロマ娘から「姫と結婚できる」と吹き込まれて軽いノリで軍隊に入ってしまう。偶然にも山賊から姫とポンパドゥール夫人を救い「ファンファン・ラ・チューリップ」とのあだ名まで賜った彼だが、戦場で恋と冒険のドタバタを繰り広げる。 
解説ジェラール=フィリップとジーナ=ロロブリジーダの当時きっての美男美女の組み合わせによる明るく楽しい古き良きチャンバラ時代劇。「ファンファン」はフィリップの代名詞となり、ついでに日本の岡田真澄の愛称にもなった(笑)。2003年にリメイクもされている。
メディアDVD発売:IVC

花咲ける騎士道
"Fanfan la Tulipe"

2003年/フランス
カラー映画(97分)
スタッフ○監督:ジェラール=クラヴジック○脚本:リュック=ベッソン/ジャン=コスモ○撮影:ジェラール=シモン○音楽:レプリカント○製作:リュック=ベッソン/ミシェル=フェレ
キャストヴァンサン=ペレーズ(ファンファン・ラ・チューリップ)、ペネロペ=クルス(アドリーヌ)、ディディエ=ブルドン(ルイ15世)、エレーヌ=ド=フジュロール(ポンパドゥール夫人)ほか
ストーリー時は七年戦争のさなか、女たらしの遊び人の若者は美しいロマ娘から「姫と結婚できる」と吹き込まれて軽いノリで軍隊に入ってしまう。偶然にも山賊から姫とポンパドゥール夫人を救い「ファンファン・ラ・チューリップ」とのあだ名まで賜った彼だが、戦場で恋と冒険のドタバタを繰り広げる。 
解説1952年の名作を半世紀後にリメイク。リュック=ベッソンが脚本・製作で関わっているが、ほぼそのまんまのリメイクになっている。
メディアDVD発売:角川映画

マリー・アントワネットの首飾り
"Affair of the Necklace"

2002年/アメリカ
アルコン・エンターテインメント
カラー映画(118分)
スタッフ○監督:チャールズ=シャイア○脚本:ジョン=スウィート○撮影:アシュレイ=ロウ○音楽:デビッド=ニューマン○製作:チャールズ=シャイア/ブロデリック=ジョンソン/アンドリュー=A=コソーヴ/レッドモンド=モリス○製作総指揮:ナンシー=マイヤーズ
キャストヒラリー=スワンク(ジャンヌ)、ジョエリー=リチャードソン(マリー・アントワネット)、ジョナサン=プライス(ロアン枢機卿)、サイモン=ベイカー(レトー)、エイドリアン=ブロディー(二コラ)、ブライアン=コックス(ブルゥイユ)、クリストファー=ウォーケン(カリオストロ)ほか
ストーリー名門貴族ヴァロワ家に生まれながら謀略により家を滅ぼされ貧困の孤児となったジャンヌ。彼女は家の再興の夢を果たすべく王妃マリ・アントワネットの侍女にのぼりつめ、愛人のレトー、夫の二コラ、そして詐欺師のカリオストロらと共に、王妃への接近をはかる枢機卿を計略にはめて王妃に献上されるはずの豪華な首飾りをだましとる。このスキャンダルはやがてフランス革命へとつながっていく。 
解説かの怪盗ルパン・シリーズでも言及される、革命前夜のスキャンダル「王妃の首飾り事件」の映画化。やはりルパンシリーズとは縁深い「カリオストロ」が登場するのも見もの。歴史ものとしては小ぶりな作品だが、俗っぽい娯楽性に徹していて結構面白い。
メディアDVD発売:ポニーキャニオン

マリー・アントワネット
"Marie Antoinette"

2005年/アメリカ
アメリカン・ゾエトロープ
カラー映画(122分)
スタッフ○監督・脚本:ソフィア=コッポラ○撮影:ランス=アコード○音楽:ブライアン=レイツェル○製作:ロス=カッツ/ソフィア=コッポラ
キャストキルスティン=ダンスト(マリー・アントワネット)、ジェイソン=シュワルツマン(ルイ16世)、アーシア=アルジェント(デュ・バリー夫人)、マリアンヌ=フェイスフル(マリア・テレジア)、ジュディ=デイビス(ノアイユ伯爵夫人)、リップ=トーン(ルイ15世)、ジェイミー=ドーナン(フェルゼン)ほか 
ストーリーオーストリア皇帝の王女マリー・アントワネットは政略結婚で14歳の若さでフランスへ輿入れする。ヴェルサイユ宮殿での慣れない生活、夫ルイ16世との夫婦関係と世継ぎ誕生への重圧とで孤独に悩むアントワネットは派手な浪費や恋愛で気を紛らわす。やがて子供たちにも恵まれ母として妻として心の落ち着きを得るが、国内では革命の火の手があがろうとしていた。 
解説超有名な悲劇の王妃の生涯を、正統派歴史劇ではなくマリーを現代人的な感覚を持つキャラクターに置き換えて軽妙に映像化した異色作。BGMは現代のポップス音楽を大胆に用い、時間をポンポンと軽やかに飛ばしていく編集も大胆。やたらに出てくるお菓子が凄くおいしそうで…(笑)。
メディアDVD発売:東北新社

ダントン
"Danton"

1983年/フランス・ポーランド・西ドイツ
レ・フィルム・ドゥ・ローザンジュ
フィルム・ポルスキ
ゴーモン
カラー映画(136分)
スタッフ○監督:アンジェイ=ワイダ○脚本:ジャン=クロード=カリエール/アンジェイ=ワイダ/アニエスカ=ホランド/ボレスラウ=ミカレク/ヤシェク=ガシオロフスキ○撮影:イゴール=ルター○音楽:ジャン=プロドロミデス○原作:スタニスワヴァ=プシビシェフスカ○製作:マルガレート=メネゴス/バルバラ=ペツ=スレシカ
キャストジェラール=ドパルデュー(ダントン)、ヴォイチェフ=プショニャック(ロベスピエール)、パトリス=シェロー(デムーラン)ほか   
ストーリーフランス革命はロベスピエール率いるジャコバン派によって過激なまでに急進的となり、公安委員会により「反革命」とみなされる者が次々処刑される「恐怖政治」の段階に入っていた。そこへ外国へ逃れていたダントンが帰国、ロベスピエールを説得しようと会談を持つ。しかしロベスピエールは豪快で庶民の人気も高いダントンをかえって警戒、彼を逮捕させ裁判にかけてしまう。
解説原作はポーランドの戯曲で、ちょうど「連帯」の運動に賛同したためにポーランドを追われていたワイダ監督がフランスでこの映画を製作した。フランス革命史上の有名人を主役にしたものだが原作が戯曲のせいかラスト以外映画的な見せ場は少なく議論の場面ばっかりという気も。理想家でありすぎるために粛清を続けて行くロベスピエールの姿に当時のワイダ監督が社会主義国のあり方をだぶらせたようにも見える。
メディアDVD発売:紀伊国屋書店

La Révolution française
"フランス革命"(日本未公開)

1989年/フランス・ドイツ・イタリア・イギリス・カナダ
カラー映画(324分・二部構成)
スタッフ○監督:ロベール=エンリコ/リチャード=T=ヘフロン○脚本:デヴィッド=アンブローズ/ダニエル=ブーランジェ/フレッド=A=ワイラー/ロベール=エンリコ/リチャード=T=ヘフロン○撮影:フランソワ=カタンヌ/ベルナール=ジツェルマン○音楽:ジョルジュ=ドルリュー○製作:アレクサンドル=ムニューシュキン
キャストクラウス=マリア=ブランダウアー(ダントン)、フランソワ=クリュゼー(デムーラン)、アンジェイ=セヴェリン(ロベスピエール)、ジャン=フランソワ=バルメール(ルイ16世)、ジェーン=シーモア(マリ・アントワネット)、ヴィットリオ=メッツォジョルノ(マラー)、クリストファー=トンプソン(サン・ジュスト)、mリー=ブネル(ルーシー)、ジョルジュ=コラファス(エベール)、サム=ニール(ラファイエット)、ピーター=ユスチノフ(ミラボー)ほか   
ストーリー1789年、旧体制下のフランスは貧富の差が拡大、ルイ16世は財政難解決のため三部会を召集するが、ミラボー・ダントン・ロベスピエール・デムーランら自由主義者たちは「国民議会」を作って改革を要求、これに呼応してパリ市民がバスチーユ牢獄を襲撃して革命の火の手が上がる。やがて革命は急進化し、ルイ16世はギロチンで処刑され、かつての革命の同志であったダントンとロベスピエールも対立をはじめ、ダントンも処刑されて恐怖政治が進められる。そしてロベスピエールも失脚して断頭台に送られ、革命は混乱と遺産を残して終焉するのだった。
解説フランス革命200周年を記念して製作された二部作・5時間半にも及ぶ超大作。革命の発端から終焉まで名場面をほぼ網羅して時代考証も忠実に映像化、フランス革命を彩る多彩な群像を豪華キャストでほぼ全員登場させた、まさにフランス革命映画の決定版的存在。年表のドラマ化みたいな印象もなくはないが、デムーラン夫婦の視点で革命の過程を分かりやすくまとめている。
メディア現時点で日本では公開・ソフト化とも実現していない。

ナポレオン
"Napoléon"

1927年/フランス
白黒無声映画(DVD版222分)
スタッフ○製作・監督・脚本:アベル=ガンス○撮影:ジュールズ=クルーゲル
キャストアルベール=デュード(ナポレオン)、エドモン=ヴァン=ダエル(ロベスピエール)、アレクサンドル=クビツキー(ダントン)、アントナン=アルトー(マラー)、アベル=ガンス(サン・ジュスト)、ジーナ=マネス(ジョゼフィーヌ)ほか
ストーリーコルシカ島出身のナポレオンは孤独な少年時代を過ごすが早くもその軍事的才能を芽生えさせていた。やがてフランス革命が勃発、マラー、ダントン、ロベスピエールといった革命家達は動乱の中次々と倒れて行く。どうにか生き残ったナポレオンは彼らの目指した革命の精神を受け継いでいくことを決意、軍隊を率いてイタリアへと出発する。 
解説白黒・無声映画時代に製作された歴史大作。現在観られるのはコッポラ監督らが再編集し音楽(父親のカーマイン=コッポラ)をつけたものである。話はイタリア遠征で終わってしまうのでナポレオンから見たフランス革命史みたいな映画となっていて、特にロベスピエールが印象的。三つの映像を一度に映すマルチ・スクリーンの試みも行われている。
メディアDVD発売:角川書店

ナポレオン
"Napoléon"

1955年/フランス・イタリア
カラー映画(182分)
スタッフ○監督・脚本:サシャ=ギトリ○製作:クレメント=デュオール
キャストダニエル=ジェラン(青年期ナポレオン)、レイモン=ペレグリン(中年期ナポレオン)、サシャ=ギトリ(タレイラン)、ミシェル=モルガン(ジョゼフィーヌ)ほか
ストーリータレーランのもとに「ナポレオン死す」の知らせが入った。タレーランは周囲の人々にナポレオンの波乱の生涯を語ってゆく。 
解説ナポレオンの台頭からセントヘレナでの死に至る生涯を全てブチこんだ3時間以上に及ぶ「大作」。大作といえば大作なんだけど、やはり相手がナポレオンとなると「ダイジェスト」にならざるを得なかったようだ。それにしても観ていて退屈になる映画。戦闘場面も金がかかってないし。見所は主演がナポレオンにそっくりという点ぐらいだろうか。ベートーベンがドサクサに紛れてゲスト出演(笑)。
メディア以前、レンタル向けに二巻組VHSがリリースされていたが、DVD以降のソフト化は実現していない。

ナポレオン
"Napoléon"

2002年/フランス・ドイツ・イタリア
カラーTVドラマ(各回90分、全4回)
スタッフ○監督:イブ=シモノー○脚本:マックス=ギャロ/ダディエ=デュコワン○撮影:ギュイ=デュフォー○音楽:リチャード=ラングロワ/マーク=ウエレット○製作:ジェラール=ドパルデュー/ジャン=ピエール=ゲラン○製作総指揮:マルク=ヴァデ
キャストクリスチャン=クラヴィエ(ナポレオン)、ジョン=マルコヴィッチ(タレーラン)、ジェラール=ドパルデュー(フーシエ)、イザベラ=ロッセリーニ(ジョゼフィーヌ)ほか
ストーリー絶海の孤島・セントヘレナで軟禁生活を送るナポレオンは、自らの激動の半生を回想していく。
解説テレビミニシリーズで製作されたナポレオン伝。ナポレオンの生涯をほぼ全部ぶちこんだかなり長時間の大作だが、全体的に安っぽい作りなのが残念。主役もいまいち魅力が無い上(魅力の無いナポレオン像を描こうという狙いなら分かるんだが明らかに外している)、妙なアクションシーンに時間をかけたり、ロシア遠征の敗北があっさり片付いたり、製作姿勢に「?」マークがつく場面多し。日本版ビデオ・DVDも「キング・オブ・キングス」とタイトルをつけたうえ「Episode1皇帝誕生」「Episode2帝国崩壊」なんてスターウォーズみたいなサブタイトルをつけちゃったあたり、「本格」扱いされなかったんだろうな。
メディアDVD発売:バンド(「キング・オブ・キングス」のタイトルで二巻構成。カット版)

ワーテルロー
"Waterloo"

1970年/イタリア・ソ連
モスフィルム
ディノ・デ・ラウレンティス・シネマトグラフィカ
カラー映画(133分)
スタッフ○監督:セルゲイ=ボンダルチュク○脚本:セルゲイ=ボンダルチュク/H=A=L=クレイグ/ヴィットリオ=ボニチェリ○撮影:アルマンド=ナンヌッツィ○音楽:ニーノ=ロータ○製作:ディノ=デ=ラウレンティス
キャストロッド=スタイガー(ナポレオン)、クリストファー=プラマー(ウェリントン)、オーソン=ウェルズ(ルイ18世)、ダン=オーハリー(ネイ)、ジャック=ホーキンス(ピクトン)ほか
ストーリー敗北したナポレオンは退位し、エルバ島に流された。しかしウィーン会議の混乱を知ったナポレオンは再起をかけて島を脱出、たちまち軍を集めて帝位に返り咲く。驚いたイギリスは知将・ウェリントンを派遣、両者はワーテルローで決戦を行う。
解説自らも「戦争と平和」を製作し、ソ連版「戦争と平和」に入れ込んだイタリアの大プロデューサー、ディノ=ラウレンティスがボンダルチュク監督を担ぎ出して製作した一本。「戦争と平和」同様ソ連軍が撮影に参加し、ボンダルチュク監督が大規模な空撮を交えた戦闘シーンを演出している。これでもかとばかりに物量動員した戦闘シーンは大迫力だが、素材が素材なものでいささか内容は貧しい。もっともソ連公開版は4時間以上あるらしいので、そっちを見てみないと何とも言えない。
メディアDVD発売:復刻シネマライブラリー(以前ソニー・ピクチャーズから127分版のVHSソフトが発売されている)

デュエリスト
-決闘者-

"The Duellists"

1977年/イギリス
デビッド・パットナム・プロ
カラー映画(101分)
スタッフ○監督:リドリー=スコット○脚本:ジェラルド=ヴォーン=ヒューズ○撮影:フランク=タイディ○美術:ブライアン=グレイヴス○音楽:ハワード=ブレイク○原作:ジョゼフ=コンラッド○製作:デビッド=パットナム
キャストキース=キャラダイン(デュベール)、ハーヴェイ=カイテル(フェロー)、クリスティーナ=レイン(アデル)、ダイアナ=クイック(ローラ)ほか
ストーリーナポレオンが皇帝となったころ、フランス軍の士官デュベールはふとしたことから同じく士官のフェローと決闘するはめに。以後、フェローはデュベールと出会うたびに決闘を繰り返し、勝ったり負けたり。ナポレオンのヨーロッパ征服とロシア遠征の失敗、百日天下とめまぐるしい激動の時代が流れ、デュベールとフェローはついに最後の決着をつけようとする。
解説ジョゼフ=コンラッドの小説の映画化で、監督はCM出身でこれが最初の長編劇場映画だったリドリー=スコット。19世紀初頭の時代を美しい映像で描き出し、カンヌ映画祭で新人監督賞を受賞している。男同士のストーカーみたいな話であるが(笑)、ナポレオン時代全体が背景に入ってるところが見所。
メディアDVD発売:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

赤と黒
"Le Rouge et Le Noir"

1954年/フランス・イタリア
ドキュメント・フィルム
フランコ・ロンドン・フィルムズ
カラー映画(完全版192分)
スタッフ○監督:クロード=オータン=ララ○脚本:ジャン=オーランシュ/ピエール=ボスト○撮影:ミシェル=ケルベ○音楽:ルネ=クロエレック○原作:スタンダール○製作:アンリ=デューチュメイステル/ジャンニ=ヘクト・ルカーリ
キャストジェラール=フィリップ(ジュリアン)、ダニエル=ダリュー(レナール夫人)、アントネラ=ルアルディ(マチルド)、ジャン=マルティネリ(レナール)ほか
ストーリー王政復古期の1820年代、貧しい青年ジュリアンはナポレオンを崇拝し、この身分社会でなんとか出世しようと野心に燃えていた。ジュリアンは家庭教師として住み込んだレナール邸でその美しい夫人と不倫の恋に落ちるが別れ、神学校に進んで聖職者としての出世をはかる。やがてラモール公爵に気に入られて秘書となり、その気位の高い娘マチルドの心も射とめたジュリアンは貴族に婿入りし軍人として出世しようともくろんだが… 。
解説スタンダールの有名小説の映画化。「赤」は軍服、「黒」は僧服のことで、この題名のせいもあってかこの時期でカラーの二部構成大作として製作され、当代の美男俳優ジェラール=フィリップがハマり役で主演している。小説で読むと印象が違うのかもしれないが、映画でまとめると単なる軽薄な女たらしに見えてしまうかも。
メディアDVD発売:紀伊国屋書店よりリマスター完全版。ほかにIVCからも発売されている。

ゾラの生涯
"The Life of Emile Zola"

1937年/アメリカ
ワーナー・ブラザーズ
白黒映画(116分)
スタッフ○監督:ウィリアム=ディターレ○脚本:ノーマン=ライリー=レイン/ハインツ=ヘラルド/ゲザ=ハーゼック○撮影:トニー=ゴーディオ○音楽:マックス=スタイナー○原案:ヘインツ=ヘラルド/ゲザ=ハーゼック
キャストポール=ムニ(ゾラ)、グローリア=ホールデ(アレクサンドラ)、ジョゼフ=シルドクラウト(ドレフュス大尉)、ウラジミール=ソコロフ(セザンヌ)、モーリス=カーノフスキー(アナトーリ・フランス)ほか
ストーリー貧乏作家ゾラは同じく貧乏画家のセザンヌと同居し理想を語り合って苦労を共にしていたが、娼婦に取材した「ナナ」の大ヒットで一躍流行作家となる。その後も次々と話題作を発表し大作家となるゾラだったが、かつての理想を忘れ安逸な権威者となってしまった彼に失望したセザンヌは彼のもとから離れてゆく。そんな折、ドレフュス大尉がスパイ容疑で逮捕・有罪とされる事件が発生、その資料を見たゾラは軍部による冤罪と確信して新聞に「私は告発する」を発表する。軍部や国民から「売国奴」と罵られながらもゾラの真実を求める苦闘が始まる。 
解説「ゾラの生涯」というタイトルの通りの伝記映画なのだが、映画の半分以上が有名な「ドレフュス事件」に費やされている。映画的にフィクションもかなり混ぜており、ドレフュス事件の核心である「ユダヤ人問題」が出てこないなど難もあるが、1937年という時点で反軍国主義と人道的理想を声高に唱えたアメリカ映画としての価値は高い。この年の米アカデミー作品賞・脚色賞・助演男優賞受賞。
メディアDVD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ(ファーストトレーディングから激安版も発売)

ルパン
"Arsène Lupin"

2004年/フランス・イタリア・スペイン・イギリス
カラー映画(132分)
スタッフ○監督:ジャン=ポール=サロメ○脚本:ローラン=ヴァンショー/ジャン=ポール=サロメ○撮影:パスカル=リダオ○音楽:デビー=ワイズマン○原作:モーリス=ルブラン○製作:ステファン=マルシル
キャストロマン=デュリス(アルセーヌ・ルパン)、クリスティン=トーマス=スコット(カリオストロ伯爵夫人)、エヴァ=グリーン(クラリス)、パスカル=グレゴリー(ボーマニャン)、ロバン=ヌルーチ(スビーズ伯爵)ほか
ストーリー19世紀末、少年アルセーヌは父の指示でスビーズ伯爵邸から「女王の首飾り」を盗み出した。青年となったアルセーヌは泥棒稼業を続けるうち、謎の美女「カリオストロ伯爵夫人」と恋に落ち、フランス王家の財宝をめぐる争奪戦に乗り込んでゆく。 
解説これをここに入れるか!?との声もあろうが、これは僕の趣味ですから(笑)。原典「アルセーヌ・ルパン」シリーズの重要な一本「カリオストロ伯爵夫人」をベースに「奇岩城」「813」「水晶の栓」までぶち込んで本家フランスで作った一本で、ルパン青春期が映像化されている。20世紀初頭を舞台にした「時代劇」の趣きがかなり強いし、フランス史にからむ謎の数々、ラストに第一次大戦への序曲が挿入されるなど、「歴史映像もの」に入れたくなる要素が多いのだ。
メディアDVD発売:角川エンタテインメント


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