第二次世界大戦・アジア太平洋戦線映画
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トラ・トラ・トラ!
"TORA! TORA! TORA!"
1970年/アメリカ・日本
エルモ・ウィリアムス
=リチャード・フライシャー・プロ
カラー映画(145分)
スタッフ○監督:リチャード=フライシャー/深作欣二/舛田利雄○脚本:菊島隆三/小国英雄/ラリー=フォレスター○撮影:チャールズ=ウィーラー/姫田真佐久/佐藤昌道/古谷伸○美術:ジャック=マーティン=スミス/村木与四郎/リチャード=デイ/川島泰造○音楽:ジェリー=ゴールドスミス○原作:ゴードン=W=プランゲ/ラディスラス=ファラーゴ○製作:エルモ=ウィリアムス○製作総指揮:ダリル=F=ザナック
キャスト山村聡(山本五十六)、田村高廣(淵田美津夫)、三橋達也(源田実)、千田是也(近衛文麿)、島田正吾(野村大使)、内田朝雄(東條英機)、東野英治郎(南雲忠一)、ジェーソン=ロバーツ(ショート中将)、マーチン=バルサム(キンメル大将)、ジョージ=マクレディ(ハル)ほか 
ストーリー日米の対立が決定的となる中、赴任した日本連合艦隊総司令官・山本五十六はハワイの米軍基地攻撃の作戦を練る。やがて日米交渉は決裂、日本の航空部隊が真珠湾を奇襲する。しかし手違いからそれは宣戦布告より先に行われてしまった… 
解説「史上最大の作戦」のプロデューサー・ザナックが手がけた戦争巨編。真珠湾攻撃を巨額の費用をかけて大がかりに再現した。当初日本側監督には黒澤明が起用されていたが、日米間のトラブルで降板となってしまった。
メディアDVD/BD発売:20世紀フォックス・ホーム・エンターテインメント・ジャパン

ハワイ・マレー沖海戦
1942年/日本
東宝
白黒映画(115分)
スタッフ○監督:山本嘉次郎○脚本:山本嘉次郎/山崎謙太○撮影:三村明○美術:松山崇/渡辺武/北猛夫/尾崎千葉○音楽:鈴木静一○特殊技術:円谷英二○製作:森田信義
キャスト伊東薫(友田義一)、中村彰(立花忠明)、大河内傳次郎(佐竹艦長)、藤田進(山下大尉)、原節子(きく子)ほか
ストーリー戦闘機乗りとなる新兵たちの成長を描き、クライマックスは真珠湾攻撃、マレー沖海戦となる。
解説製作時期を見て分かるように、「大東亜戦争開戦一周年記念作品」という完全な戦意高揚映画。ストーリーも平板だが円谷英二の手になるミニチュア特撮の戦闘シーンは今見ても新鮮。真珠湾攻撃シーンを見た占領軍が、記録映像と信じたという伝説すらある。マレー沖に出撃する航空部隊のシーンに「ワルキューレ」とそっくりなBGMが使われている(!)また、まだ敗色濃厚の時期でないせいか、意外に悲壮感が無い。
メディアDVD発売:東宝

太平洋の鷲
1953年/日本
東宝
白黒映画(119分)
スタッフ○監督:本多猪四郎○脚本:橋本忍○撮影:山田一夫○美術:阿久根巌○音楽:古関裕而○特殊撮影:円谷英二○製作:本木荘二郎
キャスト大河内傳次郎(山本五十六)、柳永二郎(米内光政)、三船敏郎(友永大尉)、高田稔(近衛文麿)ほか 
ストーリー緊迫する世界情勢の中、日本はドイツ・イタリアと三国同盟を結んだ。この同盟が対英米戦争の引き金になると反対した海軍次官・山本五十六は右翼にも狙われる。やがて連合艦隊司令長官となった五十六は、不本意ながら対英米戦を不可避とみて短期決戦の作戦を練る。真珠湾攻撃による開戦、ミッドウェイの敗北、そして五十六の死までが描かれる。 
解説敗戦後に東宝が初めて製作した大作戦争映画で山本五十六を中心に太平洋戦争史を描く。本多監督・円谷特技監督は本作が初めてのコンビとなった。しかし特撮シーンは「ハワイ・マレー沖海戦」など旧作の使い回しが多い。見所はむしろ本編で、開戦に至る政治家・軍人の思惑を多角的に描くところが特徴。
メディアDVD発売:東宝

軍神山本元帥と
連合艦隊

1956年/日本
新東宝
白黒映画(101分)
スタッフ○監督:志村敏夫○脚本:舘岡謙之助○撮影:山中晋○美術:朝生治男○音楽:鈴木静一○製作:大蔵貢
キャスト佐分利信(山本五十六)、阿部九州男(米内光政)、高田稔(近衛文麿)、江川宇礼雄(堀内少将)、林寛(大島海相)、宇津井健(三島航空参謀)、田崎潤(宇多参謀長)、藤田進(八雲中将)ほか 
ストーリー緊迫する世界情勢の中、日本はドイツ・イタリアと三国同盟を結んだ。この同盟が対英米戦争の引き金になると反対した海軍次官・山本五十六は右翼にも狙われる。やがて連合艦隊司令長官となった五十六は、不本意ながら対英米戦を不可避とみて短期決戦の作戦を練る。真珠湾攻撃による開戦、ミッドウェイの敗北、そして五十六の死までが描かれる。 
解説上記の「ストーリー」、「太平洋の鷲」の記述をコピペしたものだが、実際にほとんど同じ話(近衛文麿役までおんなじ)。元ネタが同じ話だから仕方ないといえばそうだが、それにしても。
メディアDVD発売:バップ

ハワイ・ミッドウェー大海空戦
太平洋の嵐

1960年/日本
東宝
カラー映画(118分)
スタッフ○監督:松林宗恵○脚本:橋本忍/国弘威夫○撮影:山田一夫○美術:北猛夫/清水喜代志○音楽:団伊玖磨○特技監督:円谷英二○製作:田中友幸
キャスト夏木陽介(北見中尉)、佐藤允(松浦中尉)、鶴田浩二(友成大尉)、上原美佐(啓子)、河津清三郎(南雲忠一)、田崎潤(加来艦長)、三船敏郎(山口多聞)、藤田進(山本五十六)ほか 
ストーリー1941年12月8日、日本海軍は真珠湾を奇襲、対米戦争の火ぶたを切る。緒戦の連勝に浮かれる中、空母飛龍の戦闘機乗りである北見は故郷に帰って婚約者啓子と結婚するが、式の当日に召還命令が届き新妻を置いて戦地へ戻る。そしてミッドウェー海戦、司令官の判断ミスから日本連合艦隊は壊滅的な打撃を受ける。最後に残された飛龍の飛行部隊は決死の戦いに飛び立つが… 
解説真珠湾攻撃、そしてミッドウェー海戦を中心に描く東宝十八番の海軍特撮映画。戦争特撮初のカラー作品でもある。空母飛龍を中心に描くスタイルで実物大の飛龍甲板オープンセットを駆使した演技もみどころ。この映画のためにかの東宝大プールが建設され、円谷英二特技監督の技術も冴え渡る。僧籍であり海軍経験もある松林宗恵監督のどっしりと重い反戦テーマも特筆されるところ。
メディアDVD発売:東宝

連合艦隊司令長官
山本五十六

1968年/日本
東宝
カラー映画(128分)
スタッフ○監督:丸山誠二○脚本:須崎勝弥/丸山誠治○撮影:山田一夫○美術:北猛夫○音楽:佐藤勝○特技監督:円谷英二○製作:田中友幸
キャスト三船敏郎(山本五十六)、松本幸四郎(米内光政)、森雅之(近衛文麿)、藤田進(南雲忠一)、佐藤允(源田実)、中谷一郎(辻政信)、加山雄三(伊集院大尉)、黒沢年男(木村大尉)、辰巳柳太郎(船頭)ほか  
ストーリー日独伊の三国同盟、対英米戦に反対していた山本五十六は連合艦隊司令長官に就任した。海軍大臣の米内光政の内閣は陸軍に打倒され、三国同盟も成立、望まぬ対英米戦が迫るのを見て五十六は真珠湾奇襲作戦を立案、これを敢行する。緒戦は優勢だったがミッドウェイ海戦で形勢逆転、ガダルカナルなど南太平洋での苦戦をするなか、五十六はブーゲンビル上空で戦死する。 
解説東宝「8.15」シリーズの一本でオールスター総出演の大作。ただ「太平洋の鷲」のリメイクといっていい内容で、真珠湾・ミッドウェイでは過去作品の特撮シーンの使い回しが目立つ。その代わりガダルカナルなど南太平洋の戦いが映像化されている点が珍しい。特撮を駆使した五十六戦死シーンは必見。
メディアDVD発売:東宝

聯合艦隊司令長官
山本五十六

-太平洋戦争70年目の真実-

2011年/日本
「山本五十六」製作委員会
ディスティニー
カラー映画(141分)
スタッフ○監督:成島出○脚本:長谷川康夫/飯田健三郎○撮影:柴主高秀○美術:金田克美○音楽:岩代太郎○原作・監修:半藤一利○プロデューサー:小滝祥平
キャスト役所広司(山本五十六)、原田美枝子(山本禮子)、柳葉敏郎(井上成美)、柄本明(米内光政)、阿部寛(山口多聞)、中原丈雄(南雲忠一)、椎名桔平(黒島亀人)、伊武雅刀(永野修身)、香川照之(宗像景清)、玉木宏(新藤利一)、坂東三津五郎(堀悌吉)ほか 
ストーリー日独伊の三国同盟、対英米戦に反対し、陸軍や海軍内急進派、そしてマスコミの突き上げを受ける山本五十六は連合艦隊司令長官に就任して自身は望まぬ対米戦の引き金を引く真珠湾攻撃を立案、実行する。優勢なうちに講和を望む五十六だったがミッドウェーで大敗、やがてブーゲンビルで悲劇的な最期を遂げる。 
解説太平洋戦争開戦70周年の節目に、実質三度目のリメイクとして製作された五十六映画。過去作品と比較すると五十六が戊辰戦争の敗戦藩・長岡の出身であることや日露戦争での負傷体験を背景に、その甘党ぶりや家庭人としての面を強調し、五十六の気も知らずに開戦を煽り戦後はケロッと民主主義を連呼するマスコミ、戦争を望む大衆心理などが盛り込まれたところがミソ。戦闘シーンはCGによりドキュメンタリータッチの描写でなかなかリアル。
メディアDVD発売:バンダイビジュアル

ミッドウェイ
"Midway"
1976年/アメリカ
ミリッシュ・コーポレーション
カラー映画(126分)
スタッフ○監督:ジャック=スマイト○脚本:ドナルド=S=サンフォード○撮影:ハリー=ストラドリングjr○音楽:ジョン=ウィリアムス○製作:ウォルター=ミリッシュ
キャストチャールトン=ヘストン(ガース大佐)、三船敏郎(山本五十六)、ヘンリー=フォンダ(ニミッツ)、ロバート=ミッチャム(ハルゼイ)、ヘンリー繁田(南雲忠一)、エドワード=アルバート(トム)、ロバート=ワグナー(ブレイク)、ジェームズ=コバーン(マドックス)ほか 
ストーリー米軍の東京への空襲を受け、連合艦隊司令長官・山本五十六はミッドウェイ作戦を立案、実行に移す。一方日本軍の動静を調べるガース大佐はハワイで息子トムに会い、トムの恋人が日系人でその両親が逮捕されるなど理不尽な目にあっていることを知る。やがて日本軍の暗号の一部が明らかになり、日米両軍はミッドウェイ島をめぐって激突することに。
解説アメリカ建国200年記念企画で、太平洋戦争の帰趨を決した「ミッドウェイ海戦」を描く。宣伝ではオールスターキャストな大作に見えるが、中途半端に人類愛を訴えるシナリオは薄っぺらで観るに耐えない。日本人もみんな英語のセリフ。おまけに戦闘・特撮シーンは日本の「太平洋の嵐」やアメリカの「トラ・トラ・トラ!」などから頂戴したものばかりの安上がりぶり。
メディアDVD発売:ジェネオン・ユニヴァーサル

ゼロ・ファイター
大空戦

1966年/日本
東宝
白黒映画(92分)
スタッフ○監督:森谷司郎○脚本:関沢新一/斯波一絵○撮影:山田一夫○美術:北猛夫○音楽:佐藤勝○特技監督:円谷英二○製作:田中友幸/武中孝一
キャスト加山雄三(九段中尉)、佐藤允(加賀谷飛曹長)、千秋実(航空隊司令)、藤田進(神崎中将)ほか
ストーリーミッドウェイの敗北に山本五十六戦死と、日本劣勢に傾きつつある太平洋戦線。ブイン島にはベテラン零戦乗りが集まる八生隊があったが米軍に制空権を奪われ隊長も戦死してしまう。そこへ九段中尉という一風変わった零戦乗りが新隊長として赴任、部下の加賀谷と対立をしながらも次々と斬新な作戦を実行してゆく。
解説東宝生え抜きで後に多くの大作を手がけた森谷司郎の第一回監督作品。空戦をメインにした特撮戦争映画だが、見所はやはりバイタリティあふれる兵士役では右に出る者の無い佐藤允と、「若大将」そのまんまの加山雄三の掛け合い。特撮は空戦メインということもあってチャチさがぬぐえず白黒なのが救いという気も…
メディアDVD発売:東宝

太平洋奇跡の作戦
キスカ

1965年/日本
東宝
白黒映画(104分)
スタッフ○監督:丸山誠治○脚本:須崎勝弥○撮影:西垣六郎○美術:北猛夫○音楽:団伊玖磨○特技監督:円谷英二○製作:田中友幸/田実泰良 
キャスト三船敏郎(大村少将)、山村聡(川島中将)、西村晃(赤司参謀)、佐藤允(天野少佐)、平田昭彦(工藤軍医長)、中丸忠雄(国友大佐)、田崎潤(阿久根大佐)ほか 
ストーリー太平洋戦争が日本の敗色濃くなるなか、アルーシャン列島キスカ島守備隊5000名には玉砕の運命が忍び寄っていた。海軍首脳にはこれを見捨てようとする意見も出るが、大村少将率いる艦隊は霧に紛れてキスカ島守備隊全員の撤収を計画する。様々なアクシデントを乗り越えて撤収作戦はまんまと成功。キスカ島に上陸したアメリカ軍が見たのものは… 
解説日本の戦争映画としては非常に珍しい、理性的かつ悲壮感ゼロの戦争映画。万難を排してあくまで人命を救おうとする登場人物達の姿勢は日本戦争映画としては異色(^^;)。富士のすそ野で撮影されたというロケの現実感、円谷特撮による艦隊航行シーンが見もの。三船演じる大村少将(史実では木村)がちょっと理想的に描かれ過ぎるのが難点か。
メディアDVD発売:東宝

野火
1959年/日本
大映
白黒映画(104分)
スタッフ○監督:市川崑○脚本:和田夏十○撮影:小林節雄○美術:柴田篤二○音楽:芥川也寸志○原作:大岡昇平○製作:永田雅一
キャスト船越英二(田村)、ミッキー・カーチス(永松)、滝沢修(安田)ほか 
ストーリーフィリピン・レイテ島の戦場。日本軍は山中に追いつめられ、食料もままならない状況に追い込まれた。兵士田村は口減らしのために病院と部隊をたらいまわしにされるうち、空爆により部隊とはぐれて山中をさまよう。現地人の村で食料を得るために殺人まで犯し、米軍への投降も考えるが投降した日本兵がフィリピン人に殺されるのも目の当たりにする。田村はジャングルで永松・安田の二人と合流、彼らが「猿の肉」を食べていると教えられ…
解説大岡昇平が自身の体験を元に書き上げた代表作の映画化。この戦争で各地の日本兵が苦しんだ飢えと病の極限状態を描き、とくに「食人」という究極のテーマを扱う(この映画版ではストーリーを変更して直接的描写は避けたが)。2015年に塚本晋也監督で再映画化されている。
メディアDVD発売:角川慧ヘラルド映画

野火
2015年/日本

カラー映画(87分)
スタッフ○監督・脚本・撮影・編集・製作:塚本晋也〇音楽:石川忠〇原作:大岡昇平
キャスト塚本晋也(田村)、リリー・フランキー(安田)、森優作(永松)、中村達也(伍長)、山本浩司(分隊長佐)、山内まも留(軍医)、中村優子(田村の妻)ほか
ストーリーフィリピン・レイテ島の戦場。日本軍は山中に追いつめられ、食料もままならない状況に追い込まれた。兵士田村は口減らしのために病院と部隊をたらいまわしにされるうち、空爆により部隊とはぐれて山中をさまよう。現地人の村で食料を得るために殺人まで犯し、米軍への投降も考えるが投降した日本兵がフィリピン人に殺されるのも目の当たりにする。田村はジャングルで永松・安田の二人と合流、彼らが「猿の肉」を食べていると教えられ…
解説同名小説二度目の映画化で、終戦70年を期して塚本晋也監督が監督・主演・脚本・撮影・編集を兼ねてほとんど自主製作で作り上げた作品。市川崑版と大筋は同じだがより残酷な描写が入り、「食人」に関わる描写もストレートになっている。
メディアDVD/BD発売:松竹

戦艦大和
1953年/日本
新東宝
白黒映画(104分)
スタッフ○監督:阿部豊〇応援監督:松林宗恵○脚本:八住利雄○撮影:横山実○美術:新藤誠吾○音楽:芥川也寸志○特殊撮影:上村貞夫/黒田武一郎〇原作:吉田満○製作:篠勝三/望月利雄
キャスト高田稔(伊藤整一司令官)、佐々木孝丸(有賀幸作艦長)、藤田進(能村次郎副長)、小川虎之助(草鹿龍之介参謀長)ほか 
ストーリー日本の敗色濃厚となった昭和20年4月。日本海軍は最大最強の巨艦ながらほとんど活躍の場がなかった戦艦大和を沖縄への「水上特攻」へと出撃させる。三田尻に最後の停泊の夜、死を覚悟した乗組員たちはそれぞれの思いにふける。鹿児島沖まで来たところで大和は敵に発見され、猛攻を受けた末に撃沈される。
解説吉田満の「戦艦大和ノ最期」を原作に、ミニチュア特撮も敢行して製作された、最初の本格的「大和映画」。原作がそうだからだが、兵士一人一人の思いに重点を置き、鎮魂メッセージの強い映画。考えてみれば実際の大和撃沈から8年しか経ってなかった時期である。
メディアDVD発売:バップ

連合艦隊
1981年/日本
東宝
カラー映画(145分)
スタッフ○監督:松林宗恵○脚本:須崎勝弥○撮影:加藤雄大○美術:阿久根巌○音楽:服部克久○特技監督:中野昭慶○製作:田中友幸
キャスト小林桂樹(山本五十六)、丹波哲郎(小沢治三郎)、永島敏行(本郷英一)、金田賢一(本郷真二)、中井貴一(小田切正人)、財津一郎(小田切武市)、鶴田浩二(伊藤整一)、古手川祐子(早瀬陽子)、森繁久彌(本郷直樹)ほか 
ストーリー本郷家と小田切家という二つの庶民の家族を軸に太平洋戦争勃発から連合艦隊の滅亡までを描く。
解説真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦、レイテ沖海戦、そして戦艦大和の撃沈までの太平洋戦争海軍史を、軍上層部から一兵士までを主人公にパノラマ的に描く戦争大作。中野昭慶特技監督による数々の海戦シーンは東宝特撮としてはほぼ最後となった戦争スペクタクルとして鑑賞したい。シナリオ自体は群像劇のためかやや散漫な印象を受ける。次々と死に追いやられていく兵士達が、ただただ悲しい。
メディアDVD発売:東宝

男たちの大和
YAMATO
2005年/日本
「男たちの大和」製作委員会
カラー映画(143分)
スタッフ○監督・脚本:佐藤純弥○撮影:阪本善尚○美術:松宮敏之/近藤成之○音楽:久石譲○特撮監督:佛田洋○原作:辺見じゅん○製作:角川春樹○製作総指揮:高岩淡/広瀬道貞 
キャスト反町隆史(森脇庄八)、中村獅童(内田守)、渡哲也(伊藤整一)、松山ケンイチ(神尾克己少年時代)、仲代達矢(神尾克己老後)、鈴木京香(内田真貴子)ほか
ストーリーかつて少年兵として戦艦大和に乗り、生き残って漁師として老後を送っていた神尾のもとへ、大和の上官だった内田二等兵曹の養子・真貴子が訪ねてくる。真貴子は養父の遺言で遺骨を大和沈没地点にまきに来たのだった。神尾は見習いの少年と真貴子を乗せて大和沈没の現場へ向かい、その船上で大和撃沈の悲劇を語ってゆく。 
解説原作は辺見じゅんが大和関係者に取材したノンフィクション。何度となく映像化されてきた「大和」だが、戦後60年ということでほぼ実物大の大和オープンセットを建造した大掛かりな作品となった。大和乗組員一人一人の悲劇を丹念に描くが決して美化には陥らぬ凄惨な戦闘描写、結局は守りたい人を守れないという残酷な展開、生き残った者にスポットをあて生きることの大切さを前面に押し出すなど日本戦争映画の新しい脱皮をした一本と言えそう。良くも悪くも名物プロデューサーの角川春樹の映画界復帰の一本でもある。
メディアDVD発売:東映

太平洋の翼
1963年/日本
東宝
カラー映画(101分)
スタッフ○監督:松林宗恵○脚本:須崎勝弥○撮影:鈴木斌○美術:北猛夫○音楽:団伊玖磨○特技監督:円谷英二○製作:田中友幸/田実泰良 
キャスト三船敏郎(千田中佐)、加山雄三(滝大尉)、佐藤允(矢野大尉)、夏木陽介(安宅大尉)、渥美清(丹下一飛曹)ほか 
ストーリー敗色濃厚な1945年。日本本土への空襲に対処するべく、千田中佐は松山に新鋭機「紫電改」部隊を創設、硫黄島・ラバウル・レイテから、それぞれ腕利きの戦闘機乗りを呼び寄せた。それぞれ空に海に陸に危険をくぐりぬけて松山に集結、本土を襲う米軍機部隊を迎え撃つ。 
解説主役というか語り部的役割の「千田」は源田実がモデル。松山の紫電改部隊も史実だが、ストーリー自体はフィクション。加山・佐藤・夏木のおなじみトリオが集まる前半の展開は娯楽色の強い戦争アクションのノリだが、後半は松林映画らしい無常観が漂う。東宝戦争映画としては珍しいことに渥美清が出演しており、佐藤允と漫才のような掛け合いを見せてくれる。なお、戦艦大和の巨大ミニチュアが東宝特撮映画に登場したのは本作が最初。
メディアDVD発売:東宝

大空のサムライ
1976年/日本
大観プロダクション
カラー映画(102分)
スタッフ○監督:丸山誠治○脚本:須崎勝弥○撮影:西垣六郎○美術:育野重一○音楽:津島利章○特殊技術:川北紘一○原作:坂井三郎○製作:田中友幸/鈴木慶司
キャスト藤岡弘(坂井三郎)、志垣太郎(笹井中尉)、地井武男(滝一飛曹)、伊藤敏孝(本田二飛曹)、平田昭彦(小薗中佐)、大谷直子(本田幸子)、丹波哲郎(斎藤大佐)ほか 
ストーリー太平洋戦争中、「撃墜王」として名をはせた坂井三郎は、戦後は人命を救うために赤十字の航空隊で働きつつ、かつての戦いの日々を回想していた。昭和17年、坂井らはラバウルを拠点に南太平洋各地で戦い、中でも坂井は抜群の視力と飛行技術で多くの戦果を挙げていた。しかし同時に多くの戦友がミスや事故、そして司令部の非人道的な指示により次々と大空に散っていく。そして坂井自身もふとした油断から銃撃を受け、生死の境を彷徨うことになる。 
解説「撃墜王」として世界的に名高い坂井三郎の同名自伝の映画化。坂井本人が冒頭に出演し、インタビューに答えている。東宝自社製作映画ではないのだが、スタッフ的には東宝特撮映画の系譜上にあると言ってよく、川北紘一の特技一本立ちのデビュー作でもありリモコン機も駆使した空戦ミニチュア特撮も見もの。バイタリティたっぷりで最後までしぶとく生き残る坂井に藤岡弘は適役だが、映画全体としては失われていった多くの若者たちへの鎮魂がテーマとなっている。
メディアDVD発売:ジェネオンエンタテインメント

零戦燃ゆ
1984年/日本
東宝映画
カラー映画(128分)
スタッフ○監督:舛田利雄○脚本:笠原和夫○撮影:西垣六郎○美術:育野重一○音楽:伊部晴美○特技監督:川北紘一○原作:柳田邦男○製作:田中友幸
キャスト加山雄三(下川大尉)、堤大二郎(浜田正一)、橋爪淳(水島国夫)、早見優(静子)、北大路欣也(堀越二郎)、丹波哲郎(山本五十六)ほか 
ストーリー海軍に入った浜田と水島は下川大尉に開発中の最新鋭機・零戦を見せられてその魅力のとりことなり、それぞれパイロットと整備士の道を進む。太平洋戦争序盤では零戦は無敵を誇ったが、アメリカ軍が次々と繰り出す新鋭機に苦しめられてゆく。 
解説柳田邦男の原作なので技術ばなしが多いのだが話は散漫。「二百三高地」などの東映戦争映画のスタッフがそのままシフトしてきたような東宝特撮映画だがうまくかみ合わなかったみたい。川北紘一によるミニチュア空戦シーンは日米の戦闘機総出演状態で戦闘機マニアにはかなり受けそう。本作が東宝十八番の特撮戦争映画の本当の最後となった。
メディアDVD発売:東宝

太陽の帝国
"Empire of the Sun"
1987年/アメリカ
アンブリン・エンターテインメント
カラー映画(151分)
スタッフ○監督:スティーブン=スピルバーグ○脚本:トム=ストッパード○撮影:アレン=ダヴィオー○音楽:ジョン=ウィリアムズ○原作:ジェームズ=グラハム=バラード○製作:スティーブン=スピルバーグ/キャスリーン=ケネディ/フランク=マーシャル
キャストクリスチャン=ベール(ジェイミー)、ジョン=マルコヴィッチ(ベイシー)、ジョン=パントリアーノ(フランク)、ナイジェル=ヘイヴァース(ローリング)、ミランダ=リチャードソン(ビクター夫人)、伊武雅刀(ナガタ軍曹)ほか 
ストーリー上海のイギリス租界で裕福に暮らす少年ジェイミーは日本軍の零銭に憧れていた。1941年12月、日本が英米相手に開戦、イギリス租界は大混乱となりジェイミーは両親とはぐれて日本軍の捕虜収容所に入れられてしまう。ジェイミーは捕虜収容所の厳しい環境の中でたくましく生き抜き、英米人の大人たちや日本兵らと交流、成長してゆく。
解説実際に少年時代を上海租界と捕虜収容所で過ごした体験をもつジェイムズ・グラハム・バラードの同名小説の映画化。デビッド=リーンも映画化を希望したがスピルバーグが先に映画化権をとっていて、ハリウッド映画としては初の中国大陸ロケを敢行している。スピルバーグ得意の少年目線の戦争もので、オーディションで抜擢されたクリスチャン=ベールの映画デビュー作でもある。日本人俳優ではガッツ石松、山田隆夫、片岡孝太郎らも出演し、しっかりとした日本軍描写に成功してるが、日本兵エキストラはみんな人民解放軍兵士だったりする。
メディアDVD/BD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ

激動の昭和史
沖縄決戦
1971年/日本
東宝
カラー映画(148分)
スタッフ○監督:岡本喜八○脚本:新藤兼人○撮影:村井博○美術:村木与四郎○音楽:佐藤勝○特殊技術:中野昭慶○製作:藤本真澄/針生宏
キャスト小林桂樹(牛島中将)、丹波哲郎(長参謀長)、仲代達矢(八原航空参謀)ほか 
ストーリー日本の敗色が濃厚となるなか、本土防衛のための最前線に位置づけられた沖縄に牛島中将が着任、参謀たちと共にアメリカ軍を迎え撃つ準備に取り掛かった。しかし彼らの作戦構想は大本営の思惑と食い違い、沖縄は事実上時間稼ぎのための捨て石にされてしまう。やがて海を埋め尽くすようなアメリカ軍が沖縄に押し寄せ、住民も巻き込んだ悲惨な激戦が始まる。
解説住民を巻き込む悲惨な戦いとなった沖縄戦全体の展開を、沖縄軍司令部の動向を中心に立体的に描き出したオールスター出演大作「8.15」シリーズの一本(翌年の沖縄返還とも絡む企画だろう)。資料に基づく膨大な情報量が2時間半に圧縮された新藤兼人の脚本を、岡本喜八監督がスピーディーな演出でまとめたため、一度見ただけでは展開が飲み込めないかも。
メディアDVD発売:東宝

人間の條件
1959〜1961年/日本
松竹/にんじんくらぶ
人間プロダクション
白黒映画
「第1部・第2部」201分
「第3部・第4部」180分
「完結篇」189分
スタッフ○監督・製作・脚本:小林正樹○脚本:松山善三/稲垣公一○撮影:宮島義勇○美術:平高主計○音楽:木下忠司○原作:五味川純平○製作:岩槻繁/細谷辰雄
キャスト仲代達矢(梶)、新珠三千代(美千子)、山村聡(沖島)、宮口精二(王亨立)、佐藤慶(新城)、田中邦衛(小原)、川津祐介(寺田)、内藤武敏(丹下)、金子信雄(桐原)、高峰秀子(難民の女)ほか 
ストーリー大戦末期、新妻・美千子と共に満州の鉱山に赴任した梶は、中国人捕虜たちに強制労働を強いる管理職となって持ち前の正義感から苦悩する。中国人に味方したために憲兵ににらまれた梶は軍隊にとられ、満ソ国境の部隊で今度は軍隊そのものの非人間性を目の当たりにする。ついにソ連軍が満州に侵入、部隊が全滅した梶は敗残兵や難民たちと荒野をさまよい、ここでもまた数々の悲惨な事態を目撃。そしてソ連軍の捕虜となり、今度は自身が強制労働を強いられ…。
解説大ベストセラーとなった五味川純平の大河小説を、全6部作(2部ずつ公開の形式)、合計時間9時間31分という膨大なボリュームで映画化した、まさに超大作。一本のストーリーを語る映画として見た場合「世界最長」との声もある。北海道ロケを中心に「満州」を描き、ソ連軍との迫力の戦闘シーンは自衛隊の協力で撮影されたもの。とにかく長いが、次々と起こるひどい話に飽きないことは請け合い。
メディアDVD発売:松竹ホームビデオ(DVD-BOXおよび1作ずつのバラ売りもあり)

人間魚雷回天
1955年/日本
新東宝
白黒映画(107分)
スタッフ○監督:松林宗恵○脚本:須崎勝弥○撮影:西垣六郎○美術:進藤誠吾○音楽:飯田信夫○原作:津村敏行/斉藤寛○製作:廣川聰
キャスト木村功(玉井少尉)、岡田英次(朝倉少尉)、宇津井健(村瀬少尉)、藤田進(横田参謀)、沼田曜一(関屋中尉)、津島惠子(早智子)ほか 
ストーリー敗色濃厚の日本では「人間魚雷」と呼ばれる潜水特攻兵器「回天」が製造され、大学出将校の若者たちがその搭乗員に志願していた。しかし回天の装備や訓練のあまりの人命軽視ぶりに疑問も抱くようになる。ついに出撃が決まり、その前夜にある者は遊郭に繰り出し、ある者は恋人との最後の逢瀬を楽しみ、ある者は哲学を語り、自身の死が戦争の非人間性を訴えることになると自らに言い聞かせる。
解説飛行機の「神風特攻隊」と並んで、この「回天」もしばしば映画の題材になっている。自身も海軍経験のある松林監督による犠牲者たちへの鎮魂をこめた作品で、特攻作戦を決して美化せず、その非人間性を残酷なまでに告発した一本。まだ敗戦から10年目という時期の製作であることにも注目したい。
メディアDVD発売:バップ

潜水艦イ-57降伏せず
1959年/日本
東宝
白黒映画(103分)
スタッフ○監督:松林宗恵○脚本:須崎勝弥/木村武○撮影:完倉泰一○美術:清水喜代志○音楽:団伊玖磨○特技監督:円谷英二○原作:川村六良○製作:堀江史朗
キャスト池部良(河本艦長)、三橋達也(志村先任将校)、平田昭彦(中沢軍医)、藤田進(横田参謀)、アンドリュー=ヒューズ(ベルジエ)、マリア=ラウレンティ(ミレーヌ)ほか 
ストーリー沖縄も失い敗北必至の情勢の中、和平へ向けての秘密工作が計画された。親日家のベルジエ博士とその娘ミレーヌを潜水艦で大西洋まで輸送せよとの命令を受けた河本艦長らイ-57潜水艦の乗組員達は、納得しかねながらも任務遂行を目指してインド洋を潜行していく。戦争と日本軍人を嫌うミレーヌがしばしば乗組員達の間に波風を起こすが、苦難を共に乗り越えるうちに互いに心を通わせていく。 
解説潜水艦映画にハズレなし、とよく言われるが日本映画における代表作がこれ。全くのフィクションなのだが、スリルとヒューマニズムがよくミックスされたシナリオ、白黒ならではのリアルなミニチュア特撮、自衛隊の本物の潜水艦を使ったロケなどで見ごたえ十分。ラストにはやはり松林監督流の諦観のようなものが…
メディアDVD発売:東宝

戦場にかける橋
"The Bridge on the River Kwai"
1957年/アメリカ
コロンビア映画
カラー映画(162分)
スタッフ○監督:デビッド=リーン○脚本:デビッド=リーン/カルダー=ウィリンガム○撮影:ジャック=ヒルドヤード○音楽:マルコム=アーノルド○原作:ピエール=ブール○製作:サム=スピーゲル
キャストアレック=ギネス(ニコルソン)、早川雪州(斉藤大佐)、ウィリアム=ホールデン(シャース)、ジャック=ホーキンス(ウォーデン)ほか
ストーリー時は第二次世界大戦中。ビルマの日本軍捕虜収容所にイギリス・アメリカの捕虜兵士が集められた。日本軍は彼らを泰緬鉄道の鉄橋工事にかり出す。横暴・過酷な斉藤大佐のやり方に英軍のニコルソン大佐は抵抗し、兵士達もサボタージュするが、やがて両者は和解してゆき、鉄橋建設を歴史に残る自分達の仕事としようとする。ついに鉄橋は完成、列車が通過するが、その時橋は連合軍により爆破されてしまう。 
解説デビッド=リーン監督の戦争映画の名作。敵味方として戦場で出会った人間達が、次第に友情を芽生えさせていく過程が感動を呼ぶが、最後にそれをすべてブチ壊す戦争の狂気。「サル・ゴリラ・チンパンジー♪」で余りにも有名な「クワイ河マーチ」はこの映画のテーマ曲(そういや原作者は「猿の惑星」の作者でもある)。日本人初の世界的スター・早川雪州が見られるだけでも日本人は必見。ただ敢えて言いますと、泰緬鉄道建設に動員された「ロームシャ」は、どうも現地のアジア人が圧倒的に多かったようで、この映画のように白人だらけって事はなかったみたい。
メディアDVD/BD発売:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント

シン・レッド・ライン
"The Thin Red Line"
l1998年/アメリカ
ガイスラー・ロバルデュー・プロ
カラー映画(171分)
スタッフ○監督・脚本:テレンス=マリック○撮影:ジョン=トール○美術:ジャック=フィクス○音楽:ハンス=ジマー○原作:ジェームズ=ジョーンズ○製作:ロバート=マイケル=ガイスラー/ジョン=ロバルデュー/グラント=ヒル○エグゼクティブ・プロデューサー:ジョージ=スティーブンスjr
キャストショーン=ペン(ウォルシュ)、ジム=カヴィーゼル(ウィット)、ニック=ノルティ(トール中佐)ほか
ストーリー太平洋戦争の最中の1942年。ソロモン諸島のガダルカナル島に米軍が上陸、兵士達は日本軍の激しい攻撃の中へと突き進んで行く。美しい自然の中で繰り広げられる凄まじい戦闘の中で、それぞれの兵士達は生死の間をさまよい、戦争や死について自問する。 
解説「プライベート・ライアン」と対比された98年の戦争映画。20年ぶりにテレンス=マリック監督がメガホンをとったことでも話題を呼んだ。こちらも激しい戦闘描写を見せるが、背景となる悠久の大自然との対比が印象的だ。独白・自問のセリフも哲学的で、日本兵もどこか神秘的ですらある。ガダルカナルというと日本軍の無謀・悲惨な戦いという印象があったが、これだとアメリカ軍も大変だったなぁと思わせる(ニック=ノルティの役が印象的)。ただ物資は全然不足してないことはよく分かった(笑)。
メディアDVD発売:ジェネオン・ユニヴァーサル

ウインドトーカーズ
"Windtalkers"
2001年/アメリカ
ライオン・ロック・プロダクション
カラー映画(134分)
スタッフ○監督:ジョン=ウー○脚本:ジョン=ライス/ジョン=バッティーア○撮影:ジェフリー=コンボール○美術:ホルガー=グロス○音楽:ジェームズ=ホーナー○製作:ジョン=ウー/テレンス=チャン/トレーシー=グラハ/アリソン=ローゼンワーグ○製作総指揮:C=O=エリクソン
キャストニコラス=ケイジ(エンダース)、アダム=ビーチ(ヤージー)、ロジャー=ウィリー(ホワイトホース)、クリスチャン=スレーター(ヘンダーソン)ほか
ストーリーガダルカナルの戦いで自分の部隊を全滅させてしまったエンダースは復帰を果たすが、彼に与えられた任務はインディアン・ナバホ族の通信兵を護衛すること―そして暗号が敵に渡らぬよう万一の時には彼らを殺害することだった。エンダースはナバホ族のヤージーらと共にサイパン島に上陸、日本軍と死闘を繰り広げる。 
解説超難解な言語を操るナバホ族が通信兵に使われていた史実をもとに製作された、ちょっと異色な戦争アクション。テーマはなかなか面白く脚本も出来はいいのだが、「男たちの挽歌」のウー監督だけに戦闘描写がB級アクション映画調ドンパチで…(笑)
メディアDVD発売:20世紀フォックス・ホーム・エンターテインメント・ジャパン

硫黄島の砂
"Sands of Iwo Jima"
1949年/アメリカ
リパブリック
白黒映画(110分)
スタッフ○監督:アラン=ドワン○脚本:ハリー=ブラウン/ジェームズ=エドワード=グラント○撮影:レギー=ラニング○美術:ジェームズ=サリヴァン○音楽:ヴィクター=ヤング
キャストジョン=ウェイン(ストライカー)、ジョン=ウェイガー(コンウェイ)、アデール=メイラ(アリソン)、フォレスト=タッカー(トーマス)、ウォリー=キャッセル(ラガッツィ)、ジュリー=ビショップ(メリー)ほか
ストーリー太平洋戦争のさなか、鬼軍曹のストライカーは部下たちをしごきまくり、その戦死した戦友の息子であるコンウェイはストライカーに反感を抱いていた。やがて彼らはタラワの戦いに投入され、激戦の中で仲間は次々と倒れていく。ハワイでの休暇ののち、部隊は硫黄島上陸作戦に参加し、摺鉢山に星条旗がひるがえるのを見ることになる。
解説終戦後わずか4年で製作された映画で、下記「父親たちの星条旗」に出てくる本物の兵士たちもちょこっと出演している。映画自体は戦記映画というよりはジョン=ウェインお得意の「鬼軍曹の人情もの」といったところ。
メディアDVD発売:ファーストトレーディング

父親たちの星条旗
"Flags of Our Fathers"
2006年/アメリカ
マルパソ・アンブリン・エンタテインメント
カラー映画(132分)
スタッフ○監督:クリント=イーストウッド○脚本:ウィリアム=ブロイルスjr/ポール=ハギス○撮影:トム=スターン○美術:ヘンリー=バムステッド○音楽:クリント=イーストウッド○製作:クリント=イーストウッド/スティーブン=スピルバーグ/ロバート=ロレンツ
キャストライアン=フィリップ(ジョン=ブラッドリー)、ジェシー=ブラッドフォード(レイニー=ギャグノン)、アダム=ビーチ(アイラ=ヘイズ)、バリー=ペパー(マイク=ストランク)、ジェイミー=ベル(イギー)、ポール=ウォーカー(ハンク=ハンセン)、ジョン=ベンジャミン=ヒッキー(キース=ビーチ)ほか
ストーリー太平洋戦争の終盤・硫黄島の激戦のさなか、6人の兵士たちによって摺鉢山の頂上に星条旗が立てられた。その見事な構図の写真はアメリカ世論を沸騰させ、6人の兵士は「英雄」に祭り上げられる。政府は生き残っていた三人の兵士を呼び寄せて戦意高揚と戦時国債のためのキャンペーンに利用するが、三人は戦死した戦友たちへの想いに苦悩していく。
解説あまりにも有名な一枚の写真にまつわる秘話をドキュメントタッチで描いた異色の戦争映画。凄惨な戦場の実態と、「英雄行為」を政治利用する茶番劇との対比が60年前の話ながら実に現代的テーマをもって迫ってくる。なお、自滅していくインディアン兵士を演じたアダム=ビーチは「ウインドトーカーズ」でサイパン戦にも「出征」している。
メディアDVD/BD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ

硫黄島からの手紙
"Letters From Iwo Jima"
2006年/アメリカ
マルパソ・アンブリン・エンタテインメント
カラー映画(141分)
スタッフ○監督:クリント=イーストウッド○脚本:アイリス=ヤマシタ○撮影:トム=スターン○美術:ヘンリー=バムステッド/ジェームズ=J=ムラカミ○音楽:クリント=イーストウッド○製作:クリント=イーストウッド/スティーブン=スピルバーグ/ロバート=ロレンツ○製作総指揮:ポール=ハギス
キャスト渡辺謙(栗林忠道)、二宮和也(西郷)、伊藤剛志(バロン西)、加瀬亮(清水)、中村獅童(伊藤)、裕木奈江(花子)ほか
ストーリー1944年6月、米軍が迫る硫黄島に栗林忠道中将が赴任した。知米家で人間味ある栗林は古参の軍人たちと軋轢を起こしながらも兵士たちの人望を集め、島全体を要塞化して米軍を迎え撃つ計画を進める。そして1945年2月、米軍の大部隊が硫黄島に殺到、凄惨な戦闘が開始された。極限状態の中で男たちはそれぞれに苦悩し、二度と会えぬ家族への手紙を書き綴る。
解説「父親たちの星条旗」製作の過程で、日本側からの映画も撮ってしまおうということになって実現した戦争映画史上初の「ザッピング映画」。両方を見ると殺し合いをする「敵」どうしがそれぞれ一個の人間であるという至極当たり前のことが提示され、戦争の不条理がなおさら浮かび上がるはず。出演者はほとんど日本人、台詞もほとんど日本語というアメリカ映画としては異色の作品だが、キャストは絶品だし、日本の銃後の描写もなかなかよく描けている。
メディアDVD/BD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ

太平洋の奇跡
フォックスと呼ばれた男

2011年/日本
「太平洋の奇跡」製作委員会
カラー映画(128分)
スタッフ○監督:平山秀幸○脚本:西岡琢也/グレゴリー=マークェット/チェリン=グラック○撮影:芝崎幸三○美術:中澤克巳○音楽:加古隆○製作:大山昌作/平井文宏/島谷能成/阿佐美弘恭/村上博保/服部洋/大橋善光○製作総指揮:宮崎洋
キャスト竹野内豊(大場栄)、唐沢寿明(堀内今朝松)、井上真央(青野千恵子)、山田孝之(木谷敏男)、中島朋子(奥野春子)、岡田義徳(尾藤三郎)、阿部サダヲ(元木末吉)ほか
ストーリー1944年7月、サイパン島の戦いで日本軍は壊滅、多くの兵士が玉砕し民間人も集団自決する。大場栄大尉は突撃のなか生き残り、他の生き残りの日本兵や民間人を率いて山中にたてこもる。大場は玉砕はせずトラップなどで米軍相手にゲリラ戦で抵抗、米軍からは「フォックス」のあだ名で恐れられる。やがて日本降伏の噂が広がり民間人の一部は米軍に投降するが、兵士たちの多くは戦闘を続行する。米軍や日本人らの投降の呼びかけ、上官の命令を受けてようやく大場らは投降に応じる。
解説サイパンで山中にこもって抵抗を続け、日本降伏後も戦いを続けた大場栄の実話を映画化。玉砕や集団自決を避けつつ米軍を苦しめたということで「奇跡」ということなのだろうが、映画の後半はさっさと投降しないために無駄に人が死んでるようにしか見えず、カッコよく決めた投降シーンにもモヤモヤしたものが残ってしまう。。
メディアDVD/BD発売:バップ

マッカーサー
"MacArthur"
1979年/アメリカ
ザナック・ブラウン・プロ
カラー映画(129分)
スタッフ○監督:ジョゼフ=サージェント○脚本:ハル=バーウッド/マシュー=ロビンス○撮影:マリオ=トッシ○美術:ジョン=J=ロイド○音楽:ヘリー=ゴールドスミス○製作:フランク=マッカーシー○製作総指揮:リチャード=D=ザナック/デビッド=ブラウン
キャストグレゴリー=ペック(マッカーサー)、ダン=ローハリー(F・ルーズベルト)、マージュ=デュセイ(マッカーサー夫人)、エド=フランダース(トルーマン)ほか
ストーリー日米開戦直後、日本軍はフィリピンに上陸、司令官マッカーサーはフィリピンを放棄し「腰抜けマック」と陰口を叩かれる。やがてマッカーサーは反撃に転じ、フィリピンを奪回、次第に日本軍を追いつめて行く。太平洋戦争後は朝鮮戦争でも活躍するが、政治に疎いマッカーサーは大統領に嫌われ辞任に追い込まれる。彼は「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」と言い残して軍を去るのだった。
解説日本人にはなじみの深いマッカーサー元帥の伝記映画。グレゴリー=ペックのマッカーサーはちょっとカッコ良すぎ(笑)。シナリオも史実の追跡ばかりで「パットン」なんかと比べると面白みはない。ちなみに幣原喜重郎首相が「戦争放棄」を憲法に盛り込むことを提案しマッカーサーが感激するというシーンがある。
メディアDVD発売:ジェネオン・ユニヴァーサル

山本元帥対ハルゼイ堤督
太平洋紅に染まる時
"The Gallant Hours"
1960年/アメリカ
ギャグニー・モンゴメリー・プロ
ユナイテッド・アーティスツ
白黒映画(115分)
スタッフ○監督:ロバート=モンゴメリー○脚本:バーン=レイjr○撮影:ジョー=マクドナルド○美術:ウィアード=イーネン○音楽:ロジャー=ワグナー/アルフレッド=ペリー○製作:ロバート=モンゴメリー
キャストジェームズ=キャグニー(ハルゼイ)、後藤武一(山本五十六)ほか
ストーリー軍役退官の日、ハルゼイ提督は自らの軍人人生を回想していく。彼にとってもっとも思い出深い戦いは太平洋戦争のガダルカナル、そして最大の敵・山本五十六との知恵比べの日々だった。 
解説往年のギャング映画などで知られるキャグニーがハルゼイ提督を演じる、異色のドキュメンタリー調伝記戦争映画。実際の海軍の艦船などが使用されているが、戦闘シーンはゼロ。ただし山本五十六との駆け引きはナカナカに面白く、アメリカにおける五十六像を垣間見ることが出来る。なお、五十六以外の日本軍人は日系人が演じているため日本語がヘン(笑)。ストーリーは五十六の戦死で終わっている。
メディア以前VHSソフトが発売されているが(レンタルのみかも)DVD以降のソフト化はない模様。

黒い雨
1989年/日本
今村プロダクション
林原グループ
白黒映画(123分)
スタッフ○監督:今村昌平○脚本:今村昌平/石堂淑堂○撮影:川又昂○美術:稲垣尚夫○音楽:武光徹○原作:井伏鱒二○プロデューサー:飯野久
キャスト田中好子(矢須子)、北村和夫(重松)、市原悦子(シゲ子)、原ひさ子(キン)、小林昭二(片山)、三木のり平(好太郎)、小沢昭一(庄吉)、石田圭祐(悠一)ほか
ストーリー1945年8月6日朝、広島市内に出勤しようとしていた重松は電車に乗っている時に原爆投下に遭遇した。重松の姪・矢須子は重松を探しに行く途中で黒い雨を浴び、重松と共に凄惨な被爆地の状況を目撃する。戦後、重松は田舎で療養しつつ矢須子の縁談をまとめようとしていたが、矢須子が被爆者であると分かるとことごとく破談となってしまう。重松同様に爆心地付近を歩いた知人たちも次々と後遺症で亡くなり、ついに矢須子にも症状が現れてしまう。  
解説井伏鱒二の同名小説の映画化(原作にあたる「重松日記」を井伏がコピーしたとの話はさておく)。全編を白黒映像に統一したことでリアルに再現された凄惨な被爆地の描写もまだ目をそむけないで済む程度におさえられている。むしろ戦後の被爆者への差別、二次被曝の後遺症の恐怖に力点が置かれており、原爆の恐怖を静かなトーンで印象深く描き出した。トラックが来ると敵戦車の進撃と思いこむ戦争後遺症を負った登場人物は井伏の他の作品をヒントに付け加えられている。
メディアDVD発売:東北新社


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