パン・タデウシュ物語 "Pan Tadeusz" | 1999年/ポーランド・フランス カラー映画(154分) | |
スタッフ | ○監督:アンジェイ=ワイダ○脚本:アンジェイ=ワイダ/ヤン=ノヴィナ=ザジツキ/ピョートル=ヴェレスニャク○撮影:パヴェル=エデルマン○音楽:ヴォイチェフ=キラール○製作:レフ=ルィヴィン○製作総指揮:ミハウ=シュチェルビツ | |
キャスト | ミハウ=ジェブロフスキ(タデウシュ)、ボグスワフ=リンダ(ローバク司祭)、アリツィア=バフレダ=ツルシ(ゾーシャ)、グラジーナ=シャポウォフスカ(テリメーナ)、アンジェイ=セヴェリン(ソプリツァ判事)、ダニエル=オルブリフスキ(ゲルヴァズィ)、マレク=コンドラト(伯爵)ほか | |
ストーリー | 時は1811年、ロシア帝国支配下のリトアニアの農村ではソプリツァとホレシュコの二つの貴族が城と領地と先代以来の怨念とでいがみあっていた。そこへソプリツァ家の跡取りタデウシュが帰って来て、叔父の家にいた美少女・ゾーシャを見て恋に落ちる。村に出没する謎の司祭ローバクは村人達にナポレオンのロシア遠征が近いことを告げ、対ロシアの蜂起とポーランド=リトアニアの復活を訴えるが、ホレシュコ家の忠臣ゲルヴァズィは親ロシアのソプリツァ家を裏切り者と呼んで小貴族たちをけしかけ、その館を攻撃する。ロシア軍が出動して彼らが鎮圧されると、ローバクのとりなしで手を組んだ村の貴族達は今度は結束してロシア軍と戦闘を開始する。 | |
解説 | ポーランドの国民的詩人アダム・ミツキエヴィチが亡命先のパリで書いた叙事詩を映画化したもので、映画中でもミツキエヴィチの亡命姿が挿入されている。ナポレオンのロシア遠征敗北前のつかの間の「独立」が出来た時期の話で、映画の一見ハッピーなラストはもちろん「その後」の歴史を暗示してもいる。原作の詩はポーランド人なら知らぬ人はないというぐらいの古典的名作なんだそうでセリフも全て詩からとっているというのだが、そのためか初見では人間関係や歴史背景が理解しにくい面もある。あと、タイトルになってるクセにタデウシュはほとんど脇役なんだよなぁ(笑)。 | |
メディア | エムスリイエンタテイメントよりVHSソフトが出ていた。 |
征服 "Conquest" | 1937年/アメリカ MGM 白黒映画(113分) | |
スタッフ | ○監督:クラレンス=ブラウン○脚本:S=N=バーマン/サミュエル=ホッフェンシュタイン/ザルカ=フィアテル○撮影:カール=フロイント○美術:セドリック=ギボンズ/ウィリアム=A=ホーニング○音楽:ハーバート=ストサート○製作:バーナード=H=ハイマン | |
キャスト | グレタ=ガルボ(マリー=ヴァレフスカ)、シャルル=ボワイエ(ナポレオン)、レジナルド=オウエン(タレーラン)ほか | |
ストーリー | ナポレオンがロシアによる長い支配からポーランドを解放した。ポーランドの若き伯爵夫人マリー=ヴァレフスカは征服者ナポレオンに一目惚れされ、周囲の説得もあってナポレオンの愛人となるが、マリー自身もナポレオンを激しく愛するようになる。しかしナポレオンは名門ハプスブルグ家の王女と結婚し、やがて没落。しかしマリーはナポレオンへの愛を貫いていく。 | |
解説 | ナポレオン英雄伝説をささやかに飾る波乱の美女のエピソードをMGMで映画化した作品。かなりの金をかけた大作らしいのだが、あまり大作感はなく小粒なメロドラマに仕上がっている。そのせいかアメリカでは興行的には失敗し、ヨーロッパで受けたんだとか。 | |
メディア | DVD発売:ジュネス企画 |
灰とダイヤモンド "Popiot I Diament" | 1958年/ポーランド 白黒映画(110分) | |
スタッフ | ○監督:アンジェイ=ワイダ○脚本:アンジェイ=ワイダ/イェジ-=アンジェイェフスキ○撮影:イェジー=ウォイチック○美術:ロマン=マン○音楽:ボーダン=ビエンコフスキー○原作:イェジ-=アンジェイェフスキ | |
キャスト | スビグニエフ=チブルスキー(マチェク)、エヴァ=クジチェフスカ(クリスチナ)、バクラフ=ザストルジンスキー(シチューカ)ほか | |
ストーリー | 第二次大戦終戦直後のポーランド。ソ連よりの共産党系政権が成立するが、反対派に属する青年マチェクはテロリストなって共産系要人暗殺を繰り返す。しかし一方で自分の行為に疑問も感じ、ホテルで働くクリスチナと恋にも落ちる。やがてモスクワからの要人暗殺に成功するマチェクだったが… 。 | |
解説 | ポーランドの巨匠・アンジェイ=ワイダ監督の代表作。大戦を通じてソ連に抱くポーランドの複雑な感情がにじみ出た一本。象徴的な場面が多く、ちょっとポーランド人でないと分からないシーンも多い。しかしやはりこの映画の名声を高めたのは「東欧のジェームズ=ディーン」と呼ばれたチブルスキー演じる倦怠感に満ちたテロリスト青年の姿そのものだろう。ラストシーンは衝撃的ですらある。 | |
メディア | DVD発売:紀伊国屋書店 |
ワレサ 連帯の男 "Wałęsa człowiek z nadziei" "Wałęsa Man of Hope" | 2013年/ポーランド カラー映画(124分) | |
スタッフ | ○監督:アンジェイ=ワイダ○脚本:ヤヌシュ=ゥォヴァツキ○撮影:パヴェウ=エデルマン○美術:マグダレナ=ディポン○音楽:パヴェウ=ムィキェティン○製作:ミハウ=クフィェチンスキ | |
キャスト | ロベルト=ヴィェンツキェヴィキ(レフ=ワレサ)、アグニェシカ=グロホフスカ(ダヌタ=ワレサ)、マリア=ロザリア=オマジオ(オリアナ=ファヌチ)ほか | |
ストーリー | 1970年、ポーランドでは食糧暴動が発生。臨月の妻を抱える若き電気工レフ=ワレサはデモに巻き込まれて逮捕され、当局に協力を誓約させられる。それから9年後、彼の勤める造船所で労働条件改善を求めるストライキが発生、当局の理不尽さに怒るワレサはそのリーダーとなって活動、自主管理労組「連帯」を生む流れを作ってゆく。戒厳令が敷かれてワレサも当局に拘束され様々な弾圧を受けるが、社会主義体制の崩壊への歴史的な流れは止まらなかった。 | |
解説 | かつて「連帯」に呼応しワレサ当人とも関わりの深かった巨匠ワイダ監督が製作した実録系映画。特にイデオロギー的背景もない江戸っ子気質(?)の普通のオジサン労働者がいかにして歴史を変える流れを作ってしまったかを、イタリア人ジャーナリスト・ファヌチのインタビューを再現する形で一本の映画にまとめている。「労働者国家」であるはずの社会主義国が実態としては「国ぐるみのブラック企業」であったことが良く分かり、労働運動の本来の姿を見せられる思いもする。映画の半分くらいはワレサの妻と子供たちの家庭描写に割かれていて、「普通のオジサン」が革命を起こしてしまった過程をユーモラスに描いてくれるためテーマの割にリラックスした映画ともなった。 | |
メディア | DVD発売:アルバトロス |