モヒカン族の最後 "The Last of Mohicans" | 1920年/アメリカ モーリス・トュールヌール・プロダクション 白黒無声映画(71分) | |
スタッフ | ○監督:モーリス=トゥールヌール/クラレンス=ブラウン○撮影:フィリップ=デュボス/チャールズ=ヴァン=エンジャー○原作ジェームズ=フェニモア=クーパー | |
キャスト | バーバラ=ベッドフォード(コラ)、リリアン=ホール(アリス)、ウォーレス=ビアリー(マグア)、アルバート=ロスコー(ウンカス)ほか | |
ストーリー | まだアメリカ大陸の覇権をめぐり英仏が争っていた時代。イギリス軍の司令官の娘と、英軍に協力するモヒカン族の青年が人種を越えた恋に落ちる。しかしイギリス軍は内通のためフランス軍に砦を明け渡し、フランス側のインディアンが彼らを襲う。 | |
解説 | 実は何度か映画化されているアメリカの「創世神話」というべき小説「The Last of Mohicans」が原作(厳密に訳すと「モヒカン族最後の者」)。この時代にして人種的偏見を越えた悲恋物語を展開している。90年代にもリメイクされてるが大幅に改作している。 | |
メディア | DVD発売:IVC |
レボリューション −めぐり逢い− "Revolution" | 1985年/イギリス・ノルウェー ゴールドクレスト カラー映画(126分) | |
スタッフ | ○監督:ヒュー=ハドソン○脚本:ロバート=ディロン○撮影:バーナード=ルティック○美術:アシュトン=ゴートン○音楽:ジョン=コリリアーノ○製作:アーウィン=ウィンクラー | |
キャスト | アル=パチーノ(トム)、ナスターシャ=キンスキー(デイジー)、ドナルド=サザーラント(ピーシー)、デクスター=フレッチャー(ネッド)ほか | |
ストーリー | ニューヨークへ毛皮を売りに来たトムとネッドの親子は、たまたま勃発した独立戦争に巻き込まれる。初めは戦う気もなく脱走する二人だが、ネッドがイギリス軍に虐待されたことをキッカケにアメリカ独立のために戦うことになる。 | |
解説 | 意外にも珍しいアメリカ独立戦争を扱った大作。金がかかっているような気はするのだが、ストーリーの方はお粗末の一言。なまじ大作なだけに陳腐さが目立つ。見所は18世紀のニューヨークが見られることぐらいかも(ウォール街のかつての姿が!)。 | |
メディア | DVD発売:ジェネオン・エンタテインメント |
パトリオット "The Patriot" | 2000年/アメリカ セントロポリス・エンターテインメント カラー映画(164分) | |
スタッフ | ○監督:ローランド=エメリッヒ○脚本:ロバート=ローダット○撮影:カレル=デシャベル○美術:カーク=M=ペトルッセリ○音楽:ジョン=ウィリアムズ○製作:ディーン=デヴリン/マーク=ゴードン/ゲイリー=レヴィンソン○製作総指揮:ローランド=エメリッヒ/ウテ=エメリッヒ/ウィリアム=フェイ | |
キャスト | メル=ギブソン(ベンジャミン・マーチン)、ヒース=レジャー(ガブリエル)、ジョエリー=リチャードソン(シャーロット)、ジェイソン=アイザックス(タビントン大佐)、チェッキー=カリョ(ビルヌーブ大佐)ほか | |
ストーリー | イギリスとの独立戦争の最中のアメリカ。フレンチ・インディアン戦争で活躍して「パトリオット(愛国者)」の称号を得たベンジャミンだが、戦場の悲惨さと自らの残虐行為を憎み徹底した反戦主義者になっていた。しかしイギリス軍に息子を殺されたことから彼は再び戦いに身を投じる。 | |
解説 | 監督はドイツ人なのだが、あの怪作「ID4」同様、底抜けのアメリカ万歳主義に堕ちてしまってるなぁ。主人公が怒りを爆発させる30分ぐらいまでは結構見られたが、あとはもう展開が読めてしまう安易な脚本と笑ってしまうほどのベタベタの演出で呆れさせられる。主人公が星条旗を掲げて突進するシーンなんて…。ハリウッドも「独立戦争」ネタだと我を忘れてしまうのだろうか(「ID4」もそうだな)。悪魔化されたイギリス人はもちろんのこと、黒人の扱いについてもスパイク=リー監督が激しく批判している。当時の戦闘の再現は結構正確で近ごろ流行の残酷な戦場描写を心がけており、この辺は見もの。 | |
メディア | DVD・BD発売:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント |
モホークの太鼓 "Drums Along the Mohawk" | 1939年/アメリカ 20世紀フォックス カラー映画(103分) | |
スタッフ | 監督:ジョン=フォード○脚本:ラマー=トロッティ/ソニア=レヴィーン○撮影:バート=グレノン/レイ=レナハン〇音楽:アルフレッド=ニューマン〇原作:ウォルター=D=エドワーズ○製作:ダリル=F=ザナック | |
キャスト | クローデッド=コルベール(ラナ)、ヘンリー=フォンダ(ギルバート)、エトナ=メイ=オリヴァー(マックレナー夫人)、ジョン=ビッグツリー(ブルーバック)、ジョン=キャラダイン(コールドウェル)ほか | |
ストーリー | アメリカの独立戦争が始まろうとしていたころ、ラナとギルバートの新婚夫婦は開拓地のモホーク渓谷へとやって来た。開拓の暮らしは苦労の連続でラナはくじけそうになるが、ギルバートや周囲の人々に助けられて暮らしに慣れてゆく。しかし独立戦争が起こり、イギリス人コールドウェルが敵対インディアンたちを扇動してモホーク開拓地を攻撃、農場は破壊されてしまう。二度目の襲撃にあった人々は砦に立てこもって抗戦、ギルバートは砦を脱出して独立軍の援軍を求めに走る。 | |
解説 | ジョン=フォード監督の初カラー作品で、独立戦争時代の開拓民の苦労を描く。イギリス人に扇動されるインディアンも出てくるが、主人公たちに味方する頼もしいインディアンも出てくるところはバランスもいい(改宗してる設定だけど)。 | |
メディア | DVD発売:20世紀フォックス・ホームエンターテイメント・・ジャパン |
アラモ "The Alamo" | 1960年/アメリカ パドジャック・プロ カラー映画(162分) | |
スタッフ | ○製作・監督:ジョン=ウェイン○脚本:ジェームズ=エドワード=グラント○撮影:ウィリアム=H=クローシア○美術:アルフレッド=ヤバラ○音楽:ディミトリ=ティオムキン | |
キャスト | ジョン=ウェイン(デイビー=クロケット)、リチャード=ウィドマーク(ボウイ)、ローレンス=ハーヴェイ(トラビス)、リチャード=ブーン(ヒューストン将軍)ほか | |
ストーリー | 1836年、メキシコ領テキサスではサンタ=アナ将軍の支配に対する抵抗から移民たちは「テキサス共和国」の建国を宣言しメキシコに対する独立戦争を開始した。礼拝堂(アラモ)を要塞化したてこもる独立軍だが若い指揮官のトラビス大佐と義勇軍のリーダー・ボウイが対立。そこへテネシーから助っ人としてクロケットが駆けつけ、なんとか全員一丸となってメキシコ軍の猛攻に抵抗する。だが援軍も来ぬままアラモ砦は壮絶な玉砕を遂げる。 | |
解説 | 「アラモ」はアメリカ人の愛国心をかき立てる歴史エピソードであるらしいが、立場を変えるとアメリカ側のメキシコに対する侵略なんだよな、これって。「玉砕」したために愛国美談に仕立てられるのはよくあるパターン。バリバリの愛国者を自認していたウェインが自ら監督・主演・製作し物凄い熱意をもって作り上げた一本だが(主演したのは映画会社側の興行上の要請だったようだが)、「自由のための戦い」と言っている割にメキシコ軍がなかなか人道的に描かれたりするため映画自体は意外に「愛国臭」が薄い印象。ウェイン自身が「『アラモ』がアカデミー賞をとるべき」などと意見広告したためかえって選考委員の総スカンを食い録音賞どまりだったというエピソードもある。 | |
メディア | DVD発売:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン |
ルーツ "Roots" | 1977年/アメリカ ABC カラーTVドラマ(全6回) | |
スタッフ | ○監督:デヴィッド=グリーン/ジョン=アーマン/ギルバート=モーゼス/マーヴィン=J=チョムスキー/ジョーグ=スタンフォード=ブラウン/ロイド=リチャーズ○脚本:アーネスト=キノイ/ジェームズ=リー○音楽:ジェラルド=フリード/クインシー=ジョーンズ○原作:アレックス=ヘイリー○プロデューサー:スタン=マーガリーズ○製作:デビッド=L=ウォルパー | |
キャスト | レヴァー=バートン(クンタ・キンテ少年期)、ジョン=エイモス(クンタ・キンテ)、レスリー=アガムス(キジー)、ベン=ベリーン(ジョージ)ほか | |
ストーリー | 18世紀の半ば、アフリカのガンビアで平和に暮らしていたクンタ・キンテは奴隷狩りにつかまり、悲惨な奴隷船での航海の末にアメリカ南部へと渡った。「トビー」と名付けられ奴隷となった彼は何度か脱走を図るが、ついにあきらめ結婚して娘キジーをもうける。キジーは他の白人に売り飛ばされてその子を産み、キジーの息子ジョージは闘鶏師として自由を勝ち取ろうとする。 | |
解説 | 原作者ヘイリーが自身の祖先を調査し創作を加えて発表したベストセラー小説を原作に、大がかりに製作され世界的な大ブームとなった「ミニシリーズ」の元祖。アメリカの負の歴史である黒人差別の歴史を真っ向から扱った内容は今見ても衝撃的。続編「ルーツ2」では現代のヘイリーまで到達する。 | |
メディア | DVD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ |
アミスタッド "Amistad" | 1997年/アメリカ ドリームワークス カラー映画(154分) | |
スタッフ | ○監督:スティーブン=スピルバーグ○脚本;デビッド=H=フランゾーニ○撮影:ヤヌス=カミンスキー○美術:リック=カーター○音楽:ジョン=ウィリアムス○製作:スティーブン=スピルバーグ/デビー=アレン/コリン=ウィルソン○エグゼクティブ・プロデューサー:ウォルター=F=パークス | |
キャスト | アンソニー=ホプキンズ(ジョン=クインシー=アダムズ)、ジャイモン=ハンスゥ(シンケ)、モーガン=フリーマン(ジョードソン)、マシュー=マコノヒー(ボールドウィン)ほか | |
ストーリー | 1839年、スペイン船アミスタッド号で黒人奴隷が反乱を起こし、船員達を殺害してアメリカに漂着した。アメリカで彼らの裁判が行われるが北部の黒人奴隷解放論と南部の奴隷制維持論の対立、スペイン政府の介入など政治問題に。解放奴隷のジョードソン、弁護士のボールドウィンは黒人達の解放を勝ち取ろうと奮闘、元大統領クインシー=アダムズの出馬を仰ぐ。 | |
解説 | 実際に起こった事件をもとに、スピルバーグ自身が黒人の養子のために製作したという一本。重いテーマなんだけどスピルバーグ流の楽天性もあり、後味は悪くない。ただし史実に忠実かどうかをめぐっては公開時に議論もあった。なお、本作で登場するアダムズ元大統領はブッシュ以前の父子大統領の息子のほう。 | |
メディア | DVD発売:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン |
それでも夜は明ける "12 Years a Slave" | 2013年/アメリカ リージェンシー・エンタープライズ フィルム4 リバー・ロード・エンターテインメント プランBエンターテインメント カラー映画(134分) | |
スタッフ | ○監督:スティーブ=マックイーン○脚本:ジョン=リドリー○撮影:ショーン=ポビット○音楽:ハンス=ジマー○製作:ブラッド=ピット/デデ=ガードナー/ジェレミー=クレイナー/ビル=ポーラッド/アーノン=ミルチャン/アンソニー=カタガス/スティーブ=マックイーン〇製作総指揮:ジョン=リドリー/テッサ=ロス | |
キャスト | キウェテル=イジョフォー(ソロモン・ノーザップ)、ベネディクト=カンバーバッチ(フォード)、マイケル=ファスベンダー(エップス)、ルピタ=ニョンゴ(パッツィー)、ポール=アノ(ティビッツ)、サラ=ポールソン(メアリー・エップス)、ギャレット=ディラハント(アームスバイ)、ブラッド=ピット(バス)ほか | |
ストーリー | 1841年、ニューヨーク州に住む自由黒人のソロモン・ノーザップはヴァイオリンの腕を買われてサーカスに雇われるが、白人に酒で酔いつぶされて知らぬ間に南部に奴隷として売り飛ばされてしまう。ソロモンは様々な主人のもとで労働生活を強いられ、南部の黒人奴隷の過酷な現実を体験する。どうにか北部の知人に連絡をとったソロモンは12年ぶりに自由の身を取り戻す。 | |
解説 | 南北戦争の少し前に実際に起こった事件を素材にした映画。普通の市民として暮らしていた男がいきなり奴隷の身に落とされ、そこから奇跡的に脱出するというかなり珍しいケースでそれ自体も興味深いが、南部の奴隷制度の多面的な実態がいろいろ出てくるのもまた勉強になる。米アカデミー作品賞など多くの賞を受賞した。 | |
メディア | DVD/BD発売:ギャガ |
西部開拓史 "How the West Was Won" | 1962年/アメリカ MGM/シネラマインコーポレイテッド カラー映画(164分) | |
スタッフ | ○監督:ジョージ=マーシャル/ヘンリー=ハサウェイ/ジョン=フォード○脚本:ジェームズ=R=ウエッブ○撮影:ウィリアム=ダニエルズ/ミルトン=クラスナー/チャールズ=ラング/ジョセフ=ラシェル○音楽:アルフレッド=ニューマン○製作:バーナード=スミス | |
キャスト | ジェームス=スチュアート(ライナス)、キャロル=ベイカー(イーブ)、グレゴリー=ペック(クリーブ)、ジョン=ウェイン(シャーマン)ほか | |
ストーリー | 1830年代、西部開拓に乗り出したプレスコット一家の歴史を主軸に、川の遡上、ゴールドラッシュ、南北戦争、大陸横断鉄道の開通、無法者の時代の5つのエピソードが綴られて行く。 | |
解説 | 三つのカメラで撮影し湾曲した大画面に映写する「シネラマ」方式の代表作(その後この方式は完全にすたれてしまった)。ある一族の三代にわたる開拓史なのだが、リンカーンやグラント将軍など有名人もチラッと登場する。野牛暴走シーンやインディアンの襲撃、列車強盗などなど西部劇の要素はすべてぶち込まれている。そのぶんオリジナリティには乏しいが、出演者は豪華そのもの。 | |
メディア | DVD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ |
遥かなる西部 〜わが町センテニアル〜 "Centennial" | 1978年/アメリカ MCA/ユニヴァーサル カラーTVドラマ(全12回) | |
スタッフ | ○監督:ハリー=フォーク/ポール=クラズニー/バーナード=マケヴィーティー/ヴァージル=W=ヴォゲル○脚本:チャールズ=ラーソン/ジョン=ワイルダー/ジェリー=ジーグマン○音楽:ジョン=アディソン○原作:ジェームス=A=ミッチェナー | |
キャスト | ロバート=コンラッド(パスキネル)、リチャード=チェンバレン(マキーグ)、グレゴリー=ハリソン(ゼント)、ウィリアム=アザートン(ロイド)、ティモシー=ダルトン(オリバー)ほか | |
ストーリー | 物語は18世紀後半、インディアンの世界であったコロラドの地にフランス人パスキネルが毛皮をとりに来るところから始まる。インディアンとの交流と対立、カウボーイたちによるテキサスからの牛の大移動、小さな取引所から町への成長、成長した町の政争といったドラマを織り込みながら、「センテニアル(百年)」と名付けられた都市の200年の歴史がつづられてゆく。 | |
解説 | アメリカ流大河ドラマ「ミニシリーズ」の大作の一本で全12話で構成(総計26時間)。映画級のスターも多く出演した豪華作で、日本ではNHKで吹き替えで放映された(時間からするとややカットしていたかも)。原作はジェームス=A=ミッチェナーのベストセラー小説で、次々と主人公をリレーしながら一つの西部の町の歴史を語っていくというユニークな作品だった。百年まで話が進んだところで一気に1970年代に飛ぶのは当時見ていて不徹底に感じたのだが原作がどうなってるのか未確認。なお現在コロラドに「センテニアル」という町が実在するが、これはこのドラマ後に名がついたもので小説・ドラマの内容が史実というわけではない。 | |
メディア | 日本では一切ソフト化されていない。アメリカで発売されたものの輸入は可能。 |
若き日のリンカーン "Young Mr.Lincoln" | 1939年/アメリカ 20世紀フォックス 白黒映画(100分) | |
スタッフ | ○監督:ジョン=フォード○脚本:ラマー=トロッティ○撮影:バート=グレノン○美術:リチャード=デイ/マーク=リー=カーク○音楽:アルフレッド=ニューマン○製作総指揮:ダリル=F=ザナック | |
キャスト | ヘンリー=フォンダ(リンカーン)、アリス=ブラディ(アバゲイル)、ボーリン=ムーア(アン)、マージョリー=ウィーヴァー(メアリー・トッド)、リチャード=クロムウェル(マット)、エディ=クイラン(アダム)ほか | |
ストーリー | 初恋の女性に死なれた若き日のリンカーンは故郷を離れて法律を学び、弁護士となった。駆け出し弁護士の彼に殺人事件の容疑者の弁護の仕事が舞い込んでくる。容疑者は二人の兄弟で、どちらが真犯人かは不明だがお互いに自分が犯人と主張し、唯一の目撃者である兄弟の母親は黙秘を貫く。このままでは二人とも死刑になってしまう難事件を、リンカーンは誠意をもって引き受ける。 | |
解説 | のちの名大統領リンカーンの青春時代を描く異色作で、彼が実際に手がけた難事件の名裁判の逸話を大幅にふくらました法廷劇。ソ連のエイゼンシュテイン監督はこの映画を見て大感激、フォード監督に熱烈なファンレターを贈ってしまったとか。ヘンリー=フォンダ演じる若き日のリンカーンはまさにハマリ役。 | |
メディア | DVD発売:IVC |
世界の英雄 "Abraham Lincoln" | 1930年/アメリカ ユナイト 白黒映画(90分) | |
スタッフ | ○監督:D=W=グリフィス○脚本:ステファン=ヴィンセント=ベネット○撮影:カール=ストラス○美術:ウィリアム=キャメロン=メンジース○音楽:ヒューゴ=リーゼンフェルド○製作:ジョゼフ=L=スチェンク | |
キャスト | ウォルター=ヒューストン(リンカーン)、ケイ=ハモンド(メアリー・トッド)、ユナ=マーケル(アン)、ホバート=ボスワース(リー将軍)ほか | |
ストーリー | 1809年に西部の丸太小屋で生まれ、母親から「エイブラハム」と名付けられたリンカーン。青年となった彼は美しい娘アン=ラトレッジと恋に落ち将来を誓い合うがアンは病でこの世を去ってしまう。絶望したリンカーンだったがメアリー=トッドと出会って結婚。やがて政治への道を進み、大統領となって南北戦争に勝利するが、1865年にフォード劇場で暗殺される。 | |
解説 | 「映画の父」とも呼ばれるグリフィスが製作したリンカーン伝記映画で、わずか90分程度でその誕生から死まで描いてしまう。特色は前半の、リンカーン若き日の哀しい初恋に焦点を当てたところで、政治家になってからは思いっきり駆け足。南部出身のグリフィスらしさはリー将軍の降伏にいたる葛藤描写に見受けられるが、リンカーンについては絶賛するエンディングとなった。暗殺シーンは「国民の創生」同様に忠実な再現映像である。 | |
メディア | 邦題があるので公開したことはあるらしいが日本ではソフト化されていない。 |
リンカーン "Lincoln" | 2012年/アメリカ ドリームワークス 20世紀フォックス カラー映画(150分) | |
スタッフ | ○監督:スティーブン=スピルバーグ○脚本:トニー=クシュナー○撮影:ヤヌス=カミンスキー○美術:リック=カーター○音楽:ジョン=ウィリアムス○原作:ドリス=カーンズ=グッドウィン○製作:スティーブン=スピルバーグ/キャスリーン=ケネディ○製作総指揮:ダニエル=ルピ/ジェフ=スコール/ジョナサン=キング | |
キャスト | ダニエル=デイ=ルイス(リンカーン)、サリ=フィールド(メアリー・トッド)、トミー=リ=ジョーンズ(スティーブンス)、ジョゼフ=ゴードン=リベット(ロバート)、ガリバー=マクグラス(タッド)、デヴィッド=ストラザーン(スワード)、ハル=ホルブルック(ブレア)、ジャレット=ハリス(グラント)ほか | |
ストーリー | 1865年、南北戦争も終結の兆しが見え始めていた。すでに奴隷解放宣言を発したリンカーンだったがそれでは奴隷制の完全廃止は実現できず、なんとしても戦争が終わる前に憲法改正により奴隷制を禁止しなければならないと決意していた。憲法改正には議会下院で3分の2以上の賛成を得なければならないが民主党内の超保守派は猛反発、自身の共和党も急進派から保守派までいて目的達成は非常に困難だった。リンカーンは各派を巧みになだめすかし、買収も含めた手段を選ばぬ多数派工作を展開、ついに憲法改正を実現する。だがその直後、凶弾がリンカーンを襲った。 | |
解説 | これまでも何度か黒人差別問題をとりあげてきたスピルバーグが、リンカーンその人を主人公に憲法修正十三条可決のドラマに絞って映画化した。目的を達するために手段を選ばぬ政治家の生き様を描いた、いわば「国会中継映画」なので各派のキャラや歴史的背景を理解しないとややついていきにくいかも(日本公開版では冒頭でスピルバーグ自身が歴史背景の説明をした)。リンカーンの妻や息子との葛藤などホームドラマ要素も入れているがラストの描写なんかはリンカーンが神々しく感じられるほど。 | |
メディア | DVD発売:20世紀フォックス・ホームエンターテイメント・ジャパン |
国民の創生 "The Birth of Nation" | 1915年/アメリカ ユナイテッド・アーティスツ 白黒無声映画(152分) | |
スタッフ | ○監督:D・W・グリフィス○脚本:フランク=E=ウッズ | |
キャスト | リリアン=ギッシュ(エルシー)、ヘンリー=B=ウォルソール(キャメロン大佐)、ミリアム=クーパー(メアリー)、メイ=マーシュ(フローラ)ほか | |
ストーリー | アメリカの南部と北部に住む二つの家族はお互いに交流し強く結ばれていた。しかし南北戦争が勃発、両家は否応なく動乱に巻き込まれていく。南部の敗戦後、南部には黒人が幅を利かせはじめ、白人達は対抗してKKKを組織する。 | |
解説 | 「映画の父」ともよばれるグリフィスが製作した無声映画時代の超大作。南北戦争を背景に、まさに「アメリカ」が「アメリカ」となった時代を描く。黒人差別で名高いKKKを好意的に描いているとして当時から批判があるが、いわば南部側からの弁護主張として興味深い。リンカーン暗殺シーンなど、歴史的場面はかなり厳密に再現されており、わざわざ字幕でもその事を述べている。 | |
メディア | DVD発売:IVCより淀川長治の解説映像入りのものが出ている。 |
風と共に去りぬ "Gone With the Wind" | 1939年/アメリカ セルズニック・インターナショナル MGM カラー映画(232分) | |
スタッフ | ○監督:ビクター=フレミング○脚本:シドニー=ハワード○撮影:アーネスト=ホーラー○美術:ウィリアム=キャメロン=メンジース/ライル=ウィーラー○音楽:マックス=スタイナー○原作:マーガレット=ミッチェル○製作:デビッド=O=セルズニック | |
キャスト | ヴィヴィアン=リー(スカーレット)、クラーク=ゲーブル(レット=バトラー)、オリヴィア=デ=ハヴィランド(メラニー)、レスリー=ハワード(アシュレー)、ハティー=マクダニエル(マミー)ほか | |
ストーリー | ジョージア州タラの大地主の家に生まれたスカーレットは、その美貌で男達にもてはやされるが、密かに恋していたアシュレーが結婚してしまい、腹立まぎれに手近な男と結婚してしまう。やがて南北戦争が勃発、夫も死に南部が没落する中で、スカーレットは謎の男レット=バトラーと愛憎を繰り広げながら、強くたくましく生き抜いていく。 | |
解説 | アメリカ映画史上に名高い歴史的超大作。南北戦争を背景に描かれる一人の女の強烈な生き様が描かれる。アトランタ陥落シーンなどスペクタクル描写も圧巻。また南北戦争を南部の側からの視点で見ることができ、その「言い分」もうかがえる。アメリカ版「戦争と平和」みたいな一本。 | |
メディア | DVD・BD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ。他に激安DVDも販売されている。 |
グローリー "Glory" | 1989年/アメリカ フレディ・フィールズ・プロ カラー映画(122分) | |
スタッフ | ○監督:エドワード=ズウィック○脚本:ケビン=ジャール○撮影:フレディ=フランシス○美術:ノーマン=ガーウッド○音楽:ジェームズ=ホーナー○製作:フレディ=フィールズ | |
キャスト | マシュー=ブロデリック(ショー大佐)、デンゼル=ワシントン(トリップ)、モーガン=フリーマン(ローリンズ)、ケイリー=エルウェス(フォーブス)ほか | |
ストーリー | 南北戦争のさなか、負傷して帰郷したショー大佐に、初の黒人部隊の指揮官をつとめる話が舞い込む。さまざまな事情を抱える黒人たちが部隊に志願するが、過酷な訓練や北部にもある人種差別など多くの難題にぶつかり続ける。やがて実戦に参加し功績を上げた彼らは、南軍のこもる難攻不落の要塞へ玉砕覚悟の先陣突撃に志願する。 | |
解説 | 南北戦争の際、北軍で結成された初の黒人部隊を描く実録もの。やや説教臭い印象もあるが、戦闘シーンの迫力はなかなかのもの。デンゼル=ワシントンはこれでアカデミー助演男優賞を受賞し、出世作となった。 | |
メディア | DVD・BD発売:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント |
ゲティスバーグの戦い 〜南北戦争運命の3日間 "Gettysburg" | 1993年/アメリカ ターナー・ピクチャーズ カラー映画 (254分・完全版271分) | |
スタッフ | ○監督・脚本:ロナルド=F=マクスウェル○撮影:キース=ヴァン=オーストラム○音楽:ランディ=エデルマン○原作:マイケル=シャーラ○製作:モクテスマ=エスペランザ/ロバート=カッツ○製作総指揮:テッド=ターナー | |
キャスト | トム=ベレンジャー(ジェームズ・ロングストリート)、ジェフ=ダニエル(ジョシュア・チェンバレン)、マーティン=シーン(ロバート・リー)、サム=エリオット(ジョン・ビュフォード)ほか | |
ストーリー | 1863年6月1日から3日にかけ、南北戦争の帰趨を決するゲティスバーグの戦いが行われた。南北両軍の軍人たちにスポットをあてながら、戦場確定から勝敗が決するまでの三日間を克明に描く。 | |
解説 | 登場人物は全て実在、大エキストラを動員して記録に基づき徹底的な戦役の再現を企図した大作。もともとTVミニシリーズ向けの企画だったが、メディア王テッド・ターナーが出来の良さから劇場公開を決定、一本の映画としてはハリウッド最長ともいえる長時間のためにごく一部の劇場・短期間の公開にとどまったものの、その出来の良さが南北戦争マニアを中心に評判を呼び、ソフトの売り上げが好調だった。 | |
メディア | 以前、東宝よりVHSソフトが出ていた。DVD以降のソフト化は日本ではなされていないが北米版のDVD・BDの輸入は可能(残念ながら日本語字幕はない)。 |
ダンス・ウィズ・ウルブズ "Dances With Wolves" | 1990年/アメリカ TIGプロダクション カラー映画(181分、特別版237分) | |
スタッフ | ○監督:ケビン=コスナー○原作・脚本:マイケル=ブレーク○撮影:ディーン=セムラー○美術:ジェフリー=ビークロフト○音楽:ジョン=バリー○製作:ジム=ウィルソン/ケビン=コスナー○製作総指揮:ジェイク=エバーツ | |
キャスト | ケビン=コスナー(ジョン=ダンバー)、メアリー=マクドネル(拳を握って立つ女)、グラハム=グリーン(蹴る鳥)、ロドニー=A=グラント(風になびく髪)ほか | |
ストーリー | 南北戦争で負傷したダンバーは、その功績と引き替えに「フロンティア」への任務を希望する。そこではインディアン達が独自の文化を持ち、誇り高く生きていた。彼らとの交流の中、主人公は「狼と踊る男」と呼ばれるようになる。だがそこへ政府の軍隊が進駐してくる。 | |
解説 | 俳優ケビン=コスナーが初監督し、見事アカデミー作品賞に輝いてしまった一本。かつての西部劇で野蛮人扱いされてきたインディアンを誇り高い種族として描き、彼ら自身の言葉を映画で始めて使用した。この作品のヒットがキッカケとなって西部劇ブームも再来した。 | |
メディア | DVD・BD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ。このほか東北新社より4時間の特別版収録商品も出ている。 |
シャイアン "Cheyenne Autumn" | 1964年/アメリカ ワーナー・ブラザース カラー映画(155分) | |
スタッフ | ○監督:ジョン=フォード○脚本:ジェームズ=R=ウェッブ○撮影:ウィリアム=H=クローシア○音楽:アレックス=ノース○原作:マリ=サンドス製作:バーナード=スミス | |
キャスト | リチャード=ウィドマーク(アーチャー)、キャロル=ベイカー(デボラ)、カール=マルデン(ウェセルス)、ドロレス=デル=リオ(スパニッシュ)、リカルド=モンタルバン(リトルウルフ)、アーサー=ケネディ(ドク=ホリディ)、ジェームズ=スチュワート(ワイアット・アープ)ほか | |
ストーリー | 白人達により期間限定の約束で故郷を遠く離れた居留地に押し込められたシャイアン族は病気などにより人数も数百人に減っていた。約束のその日が来たが白人側の議員は誰一人会合にやって来ず、ついにシャイアンは数千キロの彼方の故郷目指して移動を開始する。シャイアンの子供たちに教育をしていたクエーカー教徒のデボラもこれに同行し、彼女に思いを寄せるアーチャー大尉は追跡の軍を率いるがシャイアン達の苦境を知り全面的な攻撃は出来ない。シャイアン移動の情報は全国に誇張して報道され騒ぎを巻き起こす事になるが… | |
解説 | 西部劇の名匠ジョン=フォード晩期の大作。すでにインディアン観の見直しが進んでいた時期でもあり、この映画では徹頭徹尾シャイアン族が被害者として描かれ、白人達の「加害」ぶりが痛烈に描かれている(良識的な白人も結構登場するが)。特に新聞が売り上げのためにシャイアンの「襲撃」についてあることないこと書き立てて騒ぎを大きくする描写が興味深い。本筋とほとんど関係ないのに「特別出演」のように登場するワイアット=アープとドク=ホリディのコンビは西部劇ファンには嬉しいところ。迫力ある騎兵隊の突撃シーン、辛く哀しい話なんだけど全体的に温かみがあって救いを感じる叙情性などはいかにもジョン・フォード作品らしい。 | |
メディア | DVD発売:復刻シネマライブラリー(かつてパイオニアLDCからLDソフトが出ていた) |
アパッチ "Apache" | 1954年/アメリカ ヘクト・ランカスター・プロダクション ユナイテッド・アーティスツ カラー映画(87分) | |
スタッフ | ○監督:ロバート=アルドリッチ○脚本:ジェームズ=R=ウェッブ○撮影:アーネスト=ラズロ○美術:ニコライ=ラミゾフ○音楽:デビッド=ラクシン○原作:ポール=I=ウェルマン○製作:ハロルド=ヘクト | |
キャスト | バート=ランカスター(マサイ)、ジーン=ピーターズ(ナリンリ)、ポール=ギルフォイル(サントス)、ジョン=マッキンタイア(アル・シーバー)ほか | |
ストーリー | 1886年、抵抗を続けていたアパッチ族のジェロニモが白人に投降した。アパッチ族の戦士マサイはフロリダへ護送される途中で脱走し、白人の文明社会や、それを受け入れ農業を営んで共存を図るチェロキー族を目の当たりにしつつ故郷へ戻る。マサイはアパッチ族を支配する白人たちに武力で抵抗、恋人のナリンリを連れて山にこもり、土地を耕して農業を始める。マサイの居所をつかんだ白人たちは大勢の兵士を動員して山狩りを開始する。 | |
解説 | インディアン側の視点に立った西部劇の初期の一作。思いっきり白人の主役二人がインディアン役というのが無茶だが、スターを立てた興行上の理由もあるだろう。 | |
メディア | DVD発売:20世紀フォックス・ホームエンターテイメント・ジャパン |
ジェロニモ "Geronimo" | 1993年/アメリカ ウォルター・ヒル= ニール・カントン・プロ ユナイテッド・アーティスツ カラー映画(114分) | |
スタッフ | ○監督:ウォルター=ヒル○脚本:ジョン=ミリアス/ラリー=グロス○撮影:ロイド=エイハーン○美術:ジョー=アルヴス○音楽:ライ=クーダー○原案:ジョン=ミリアス○製作:ウォルター=ヒル/ニール=カントン○製作総指揮:マイケル=S=グリック | |
キャスト | ジェイソン=パトリック(ゲイトウッド)、マット=デイモン(デイビス)、ジーン=ハックマン(クルック准将)、ロバート=デュヴァル(シーバー)、ウェス=ステューディー(ジェロニモ)ほか | |
ストーリー | 1885年、抵抗を続けていたアパッチ族の英雄ジェロニモが合衆国に投降した。ゲイトウッド中尉はデイビス少尉と共にジェロニモの身柄を引き取りに赴き、誇り高く優れた戦士であるジェロニモと友情を結ぶ。しかし居留地に押し込められたジェロニモたちは反乱を起こし、ゲイトウッドたちはアパッチ族の配下を率いてジェロニモ討伐に向かわねばならなくなる。 | |
解説 | 実在したインディアン戦士であるジェロニモは何度か映画のテーマになっていて、「ダンス・ウィズ・ウルブス」後の一時的西部劇ブーム便乗企画の本作は比較的地味な作品。 | |
メディア | DVD発売:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント・ジャパン |
天国の門 "Heaven's Gate" | 1980年/アメリカ ユナイテッド・アーティスツ カラー映画(219分) | |
スタッフ | ○監督・脚本:マイケル=チミノ○撮影:ヴィルモス=ジグモンド○美術:タンビ=ラーセン○音楽:デビッド=マンスフィールド○原作:マリ=サンドス○製作:ジョアン=カレリ | |
キャスト | クリス=クリストファーソンク(エイブリル)、クリストファー=ウォーケン(ネイサン・チャンピオン)、イザベル=ユペール(エラ)、ジョン=ハート(アーヴァイン)、サム=ウォーターストン(カントン)ほか | |
ストーリー | エイブリルとアーヴァインはハーバード大学で共に学んだ仲。卒業から20年後の1890年代、エイブリルは保安官としてワイオミング州ジョンソン郡に入り、アーヴァインと再会する。ジョンソン郡では極貧の東欧系移民が大挙入植しており、先に土地を持っていた畜産業者たちは彼らを牛泥棒と見なして「暗殺リスト」を作成、ガンマンたちを雇って暗殺を実行に移そうとしていた。エイブリルは保安官として両者の衝突を回避しようとするのだが… | |
解説 | 「ディア・ハンター」を成功させたマイケル=チミノ監督がかねて念願のテーマを映画化した超大作。「ジョンソン郡戦争」と呼ばれた史実を下敷きにした重い内容なのだが、監督自身の意欲が突っ走り過ぎて製作費が膨大になったあげく大幅にカットされ、それが酷評されて興行的に大失敗、映画会社を身売りに追い込む事態となって映画史上別の意味で有名な「問題作」になってしまった。ワイオミングの美しい自然を背景にした手間暇かけた映像は確かに素晴らしいのだが。なお下敷きとなった史実は西部劇の名作「シェーン」と同じである。 | |
メディア | DVD発売:20世紀フォックス・ホームエンターテイメント・ジャパン |
レッズ "Reds" | 1981年/アメリカ パラマウント カラー映画(195分) | |
スタッフ | ○製作・監督:ウォーレン=ビーティ○脚本:ウォーレン=ビーティ/トレバー=グリフィス○撮影:ビットリオ=ストラーロ○音楽:スティーブン=サンドハイム○製作総指揮:サイモン=レルフ/テデ=アレン | |
キャスト | ウォーレン=ビーティ(ジョン・リード)、ダイアン=キートン(ルイーズ)、ジャック=ニコルソン(ユージン・オニール)ほか | |
ストーリー | 反骨のジャーナリスト・ジョン=リードはロシア革命を現地取材して世界に報道し、名を馳せる。帰国後アメリカ共産党を設立するが、内部の主導権をめぐる対立もあり、彼は協力を求めて再びソ連に向かった。しかし彼の人生は余りにも短く終わる。 | |
解説 | アメリカ共産党の創設者の青春を描いた、何とも意外なテーマの映画である。理想に燃える青年像をビーティが自ら演出し、熱演。アカデミー監督賞・撮影賞を獲得した。主人公と自由な恋愛関係を繰り広げるキートンの演技も出色。 | |
メディア | DVD・BD発売:パラマウント・ホームエンターテイメント・ジャパン |
怒りの葡萄 "The Grapes of Wrath" | 1940年/アメリカ 20世紀フォックス 白黒映画(128分) | |
スタッフ | ○監督:ジョン=フォード○脚本:ナナリー=ジョンソン○撮影:グレッグ=トーランド○美術:リチャード=デイ/マーク=リー=カーク/トーマス=リトル○音楽:アルフレッド=ニューマン○原作:ジョン=スタインベック○製作:ダリル=F=ザナック | |
キャスト | ヘンリー=フォンダ(トム・ジョード)、ジェーン=ダーウェル(ママ)、ジョン=キャラダイン(ケイシー)ほか | |
ストーリー | 大恐慌下の1930年代。仮釈放で刑務所から出て来たトムが4年ぶりにオクラホマの実家に帰ると、小作農の実家は地主に土地を追われていた。一家は高給の仕事のビラを頼りに新天地カリフォルニアを目指し、おんぼろトラックに家族全員と一切合財を積み込んで大陸を横断してゆく。やっとの思いで着いたカリフォルニアだったが、そこでは搾取と差別の過酷な現実が待っていた。 | |
解説 | スタインベックの大ベストセラーを直後に映画化。抒情的西部劇の名匠ジョン=フォードが監督、原作にほれ込みトム役を熱望したヘンリー=フォンダの熱演により濃密な社会派の傑作となった。救いのない過酷な社会の現実を容赦なく描いていくが、映画自体は家族の流浪の物語に絞ったことで(イデオロギー的な批判をかわすためともみれる)温かみと救いを感じさせる。とくに母親役のジェーン=ダーウェルの存在感が素晴らしく、この年のアカデミー助演女優賞を獲得した。ジョン=フォードも監督賞を獲得している。 | |
メディア | DVD・BD発売:20世紀フォックス・ホームエンタテインメント・ジャパン このほか著作権切れの激安DVD商品あり。 |
ゴッドファーザー 三部作 "The Godfather" | 1972〜1990年/アメリカ パラマウント映画 カラー映画 PART I(177分) PART II(202分) PART III(162分) | |
スタッフ | ○監督:フランシス=F=コッポラ○脚本:マリオ=プーゾ/フランシス=F=コッポラ○撮影:ゴードン=ウィリス○音楽:ニーノ=ロータ/カーマイン=コッポラ○原作:マルオ=プーゾ○製作:アルバート=S=ラディ/フランシス=F=コッポラ | |
キャスト | マーロン=ブランド(ビトー=コルレオーネ)、アル=パチーノ(マイケル=コルレオーネ)、ロバート=デニーロ(ビトー青年期)、ダイアン=キートン(ケイ)、ジェームズ=カーン(ソニー)、ジョン=カザール(フレド)、タリア=シャイア(コ二―)、ロバート=デュバル(トム)ほか | |
ストーリー | 20世紀初頭、父を殺されシチリア島からアメリカへ逃れたビトーは一代でイタリア系社会でのし上がり、マフィア組織「コルレオーネ・ファミリー」を築き上げた。その三男マイケルはマフィアになることを望まなかったが、父の暗殺未遂・兄の暗殺を経てファミリーを引き継ぎ、裏切り・抗争を生き抜いてより巨大な組織を築き上げていく。やがて70年代、コルレオーネ・ファミリーはカトリックの本山バチカンと手を結び事業を興そうとするが… | |
解説 | ニーノ=ロータの切ない調べと共に綴られるイタリア系マフィア一家三代の歴史。ギャング映画の枠にとどまらない「移民史ドラマ」としてぜひ通して鑑賞したい一本。オリジナルは「パート2」で年代が入りくんでいるが、1・2作を年代順に並べ替えたTV用バージョンも存在する。 | |
メディア | DVD・BD発売:パラマウント・ホームエンターテイメント・ジャパン |
トルーマン "Truman" | 1995年/アメリカ HBOピクチャーズ スプリング・クリーク・プロダクションズ カラーTVドラマ(135分) | |
スタッフ | ○監督:フランク=ピアソン○脚本:トーマス=リックマン○撮影:ポール=エリオット○美術:エゲイリー=コスコ○音楽:デビッド=マンスフィールド○製作:ドロ=バクラック | |
キャスト | ゲイリー=シニーズ(トルーマン)、ダイアナ=スカーウッド(ベス)、ハリス=ユーリン(マーシャル)、リマーク=ラムゼイ(アチソン)、リー=リチャードソン(F・ルーズベルト)ほか | |
ストーリー | アリゾナの農家に生まれたトルーマンは33歳で第一次大戦に志願して出征、帰国後衣料店を始めるが大恐慌に見舞われ地元の有力者に担ぎ出される形で判事選挙に出馬し当選する。次第に政治への情熱を燃やすようになった彼は上院議員になり、さらにルーズベルト大統領に懇願されて副大統領にまでなる。ところがルーズベルトが急死したためトルーマンは突然大統領に。原爆投下、大激戦の大統領選、冷戦と次々と難題に直面していく。 | |
解説 | トルーマンをあくまで平凡、かつ誠実な一個人として描き、それが歴史の激動の中で翻弄されるように大統領にまで登り詰めて、大変な苦労をするというお話。一見地味な素材を面白くまとめた伝記ドラマで、個人の視線から見た「大統領」という制度の舞台裏が興味深い。けっこうカカア天下な妻ベスの存在感も利いている。 | |
メディア | 以前、レンタル向けに字幕版・吹き替え版VHS「プレジデント・トルーマン」がリリースされていたが、現時点で日本国内のソフト化はない模様。 |
13デイズ "13 Days" | 2000年/アメリカ ビーコン・ピクチャーズ カラー映画(145分) | |
スタッフ | ○監督:ロジャー=ドナルドソン○脚本:デビッド=セルフ○撮影:アンジェイ=バートコウィアク○美術:ジェイ=デニス=ワシントン○音楽:トレバー=ジョーンズ○製作:アーミアン=バーンスタイン/ピーター=O=アーモンド/ケビン=コスナー | |
キャスト | ケビン=コスナー(ケネス・オドネル特別補佐官)、ブルース=グリーンウッド(ジョン・F・ケネディ)、スティーブン=カルプ(ロバート・ケネディ司法長官)ほか | |
ストーリー | 偵察機によりソ連がキューバにミサイル基地を建造していることが判明、軍部・閣僚が「キューバ空爆、さらに侵攻」を主張する中、ケネディ大統領は弟のロバート、補佐官のオドネルと共に「戦争阻止」を念頭に対キューバ海上封鎖を実行する。しかしU2偵察機が撃墜され、世界は核戦争の危機に直面した。 | |
解説 | 「キューバ危機」の13日間を、ケネディの補佐官の視点から描く政治サスペンス。ケネディ兄弟がかなり理想化されている嫌いも感じるが、戦争にはやる軍部らを「アイルランド系三人組」が必死に押さえ込んでいく姿は共感を呼ぶ。あれを観てるとケネディが誰に、なぜ殺されたかよく分かるような気がする。。 | |
メディア | DVD発売:ポニーキャニオン |
ダラスの熱い日 "Executive Action" | 1973年/アメリカ ナショナル・ゼネラル・ピクチャーズ カラー映画(91分) | |
スタッフ | ○監督:デビッド=ミラー○脚本:ダルトン=トランボ○撮影:ロバート=ステッドマン○音楽:ランディ=エデルマン○原作:ドナルド=フリード○製作:エドワード=ルイス | |
キャスト | バート=ランカスター(ファリントン)、ロバート=ライアン(フォスター)、ウィル=ギア(ファーガソン)、ジョン=アンダーソン(ハリディ)ほか | |
ストーリー | 人種問題、対キューバ・ソ連政策で対話的姿勢をみせるケネディ大統領に不満を募らせる右派大物をトップにするグループが、「大統領暗殺」の陰謀を綿密に進めていく。彼らはオズワルドを「狂った単独犯」に仕立てるべく偽物のオズワルドを用意し… | |
解説 | ケネディ暗殺からわずか10年後に製作された映画だが、「オズワルド単独犯行説」のウォーレン報告を真っ向から否定し、疑問の数々に一応の解答を与えた作品。のちの「JFK」に描かれた推理をほとんど含んでいるが、こちらは犯人達(もちろん架空のキャラ)の視点からその画策・行動を中心にすえてオズワルド殺害までを描いてゆく。ラストの「18人の重要証人が3年以内に死亡した」というナレーションにはゾッとさせられる。原題の意味は「死刑執行」。 | |
メディア | DVD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ |
JFK "JFK" | 1991年/アメリカ イクストラン・コーポレーション カラー映画 (公開版189分、完全版206分) | |
スタッフ | ○監督:オリバー=ストーン○脚本:ザカリー=スクラー/オリバー=ストーン○撮影:ロバート=リチャードソン○美術:ビクター=ケンプスター○音楽:ジョン=ウィリアムス○原案:ジム=ギャリソン○製作:A=キットマン=ホー/オリバー=ストーン○製作総指揮:アーノン=ミルチャン | |
キャスト | ケビン=コスナー(ジム・ギャリソン)、ゲイリー=オールドマン(オズワルド)、トミー=リー=ジョーンズ(クレイ・ショウ)、ドナルド=サザーランド(X)ほか | |
ストーリー | ケネディ大統領がダラスで暗殺された。犯人としてオズワルドが逮捕されるが直後に彼も射殺される。事件に疑問を抱いた地方検事ギャリソンはケネディ暗殺事件の背後関係を調査してゆく。そこには軍産複合体の巨大な陰謀が… | |
解説 | 60年代にこだわりつづける映画作家・オリバー=ストーンの三時間強の力作。実在の人物ばかりなので俳優もかなり本物に似せたメーキャップで登場する。実際の映像も駆使した編集の妙が迫力を増す。事実関係はどうあれ、政治的サスペンス映画として十分に楽しめるし、「アメリカの正義」への疑問も投げかけている。 | |
メディア | DVD・BD発売:20世紀フォックス・ホームエンターテイメント・ジャパン/ワーナー・ホーム・ビデオ |
ケネディ家の人びと "The Kennedys" | 2011年/アメリカ・カナダ アシュラム・エンターテインメント ショウ・メディア カラーTVドラマ(全8回) | |
スタッフ | ○監督:ジョン=カサー○脚本:スティーブン=クロニシュ○撮影:デビッド=マクスネス | |
キャスト | グレッグ=キニア(ジョン・F・ケネディ)、バリー=ペッパー(ロバート・ケネディ)、トム=ウィルキンソン(ジョゼフ・ケネディ)、ケイティ=ホームズ(ジャクリーン)、ダイアナ=ハードキャッスル(ローズ)、シャーロット=サリバン(マリリン・モンロー)、クリス=ディアマントポロス(フランク・シナトラ)ほか | |
ストーリー | 自身は政治家として失敗したジョゼフ=ケネディは息子をアメリカ大統領にすえる野心を抱いた。期待した長男は戦死したため、次男のジョン(家庭での愛称はジャック)を半ば強引に政治家に転身させ、マフィアとも結びつくなど手段を選ばず大統領に当選させると、息子の一人ロバートを司法長官に据えさせる。父の影響を絶ち切ったジョンはロバートと共に黒人問題やキューバ危機に対応する一方、女癖の悪さで妻のジャクリーンを悩ませる。絶頂を極めたかに見えたケネディ家だったが、ジョゼフは病に倒れ、ジョンとロバートが相次いで暗殺される悲劇に見舞われてゆく。 | |
解説 | これまでも映画化・ドラマ化の多いケネディものだが、これは「ゴッドファーザー」を連想させる家族大河ドラマ。全8回のミニシリーズで、ケネディを政治家として評価しつつもシナトラも絡んだマフィア問題やマリリン=モンローら女性問題など暗部にもかなり踏み込んでいる。暗殺に関しては背景にはあまり深入りせず、オズワルド単独犯行の「公式見解」に沿ったものとなっていて物足りなさも感じるが、メインがあくまでホームドラマだからでもあろう。 | |
メディア | DVD発売:エスピーオー |
マルコムX "Malcolm X" | 1992年/アメリカ 40エーカーズ&ミュールフィルムワークスプロ マーヴィンウォースプロ カラー映画(201分) | |
スタッフ | ○監督:スパイク=リー○脚本:アーノルド=パーク/スパイク=リー○撮影:アーネスト=ディッカーソン○美術:ウィン=トーマス○音楽:テレンス=ブランチャード○原作:アレックス=ヘイリー○製作:マーヴィン=ワース/スパイク=リー | |
キャスト | デンゼル=ワシントン(マルコム)、アンジェラ=バセット(ベティ)、アル=フリーマン.jr(イライジャ・ムハンマド)、スパイク=リー(ショーティ)ほか | |
ストーリー | 黒人の若者マルコム=リトルは父を白人至上主義者に殺され、一家は離散の憂き目にあい、彼自身はチンピラギャングの道を進む。逮捕され収監された刑務所でブラック・ムスリムに触れて目を開かされたマルコムはこれに入信し、持ち前の演説力を発揮して頭角を現し、教団の勢力を拡大する。やがてブラックムスリムの限界を知ったマルコムはメッカに旅立ち、新たな思想を導き出す。だが彼に残された時間はあまりにも短かった。 | |
解説 | キング牧師と並ぶ黒人運動の指導者・マルコムXのあまりにも劇的な生涯を描く大作。前半はギャング映画で後半は革命映画。キングと違ってやや過激で敬遠されがちな人物の生涯を、華麗に重厚に描き、マルコムXの知られざる魅力を引き出すことに成功している。アカデミー賞にノミネートされたデンゼル=ワシントンの本人ソックリの熱演は圧巻。まぁややエンディングが説教臭い気もするが。 | |
メディア | DVD発売:パラマウント・ホームエンタテインメント・ジャパン |
グローリー/明日への行進 "Selma" | 2014年/アメリカ パテ/ハーポ・フィルムズ プランBエンターテインメント クラウド・エイト・フィルムズ インジーニアス・メディア カラー映画(128分) | |
スタッフ | ○監督:エイヴァ=デュヴァネイ○脚本:ポール=ウェブ○撮影:ブラッドフォード=ヤング○プロダクション・デザイナー:マーク=フリードバーグ○音楽:ジェイソン=モラン○製作:クリスチャン=コルソン/オプラ=ウィンフリー/デデ=ガードナー/ジェレミー=クライナー○製作総指揮:ブラッド=ピット/キャメロン=マクラッケン/ディアムイド=マッキオウン/ニック=バウアー/エイヴァ=デュヴァーネイ/ポール=ガーンズ/ナン=モラレス | |
キャスト | デヴィッド=オイェロウォ:(マーティン・ルーサー・キング)、トム=ウィルキンソン(ジョンソン大統領)、キューバ=グッディング.jr(フレッド・グレイ)、ティム=ロス(ウォレス州知事)、カーメン=イジョゴ(コレッタ)、ロレイン=トゥーサント(アメリア・ポイントン)、テッサ=トンプソン(ダイアン・ナッシュ)、オプラ=ウィンフリー(アニー・リー・クーパー)、ディラン=ベイカー(フーバー)、ナイジェル=ザッチ(マルコムX)ほか | |
ストーリー | 1964年にキング牧師はノーベル平和賞を受賞した。しかしアメリカ国内ではまだまだ黒人差別は深刻で、キングたちは黒人に選挙登録を認めないアラバマ州セルマを闘争の場に選んだ。州知事や警察ら保守的な白人たちの迫害を受けながら、キングたちはセルマから州都モンゴメリーへの人種を越えた大行進を計画する。 | |
解説 | 有名人なのに意外にもキング牧師の初の映画化。その生涯全体ではなくセルマ大行進にテーマを絞って、決して大英雄ではないけれどその気になると類まれな演説力、指導力を発揮、ともすれば冷徹な戦略家であるキングの個性をうまく描き出している(女性問題についてもチラリと触れている)。なおキングの演説はすでに映画化を目指して他社が使用権を握っているため、この映画の脚本ではキングの演説を趣旨や特徴が同じになるように別の言葉にすべて書き換えて使っている。 | |
メディア | DVD発売:ギャガ |
ニクソン "Nixon" | 1995年/アメリカ シナージ・ハリウッド・ピクチャーズ カラー映画(191分) | |
スタッフ | ○監督:オリバー=ストーン○脚本:スティーブン=J=リヴェル/クリストファー=ウィルキンソン/オリバー=ストーン○撮影:ロバート=リチャードソン○美術:ヴィクター=ケンプスター○音楽:ジョン=ウィリアムズ○製作:クレイン=タウンゼント/オリバー=ストーン/アンドリュー=G=ヴァーニヤ | |
キャスト | アンソニー=ホプキンズ(ニクソン)、ジョアン=アレン(パトリシア)、ボブ=ホスキンス(フーバー)、エド=ハリス(ハント)ほか | |
ストーリー | ニクソン大統領はウォーターゲート事件により辞任に追い込まれた。彼は自らの半生を回想してゆく。貧しい家に生まれたニクソンは兄の死のおかげで法律学校へ進み、政治家への道を進むが、大統領選ではケネディに敗れ、州知事選にも敗北して政界引退を一度は決意する。しかし再び出馬し対抗馬ロバート=ケネディの暗殺もあって当選、その後ベトナム戦争から撤退、中国・ソ連との外交を成功させる。しかし彼は常に嫌われ者で、ケネディへのコンプレックスに悩んでいた。 | |
解説 | オリバー=ストーン監督が「JFK」に続いて製作した「大統領映画」。アンソニー=ホプキンズが小心者でコンプレックスに悩む野心家という難役を見事に演じているが、どうも実像通りというわけでもないらしい(実際遺族から抗議もあった)。おまけに彼がケネディ兄弟暗殺に絡んだともとれる描写も批判を受けた。毛沢東やフルシチョフまで登場し、力が入っているのは分かるんだけど、全体に散漫な印象は免れない。脚本・編集も凝りすぎ。 | |
メディア | DVD発売:ブエナ・ビスタ・ホームエンターテイメント |
ペンタゴン・ペーパーズ /最高機密文書 "The Post" | 2017年/アメリカ ドリームワークス/アンブリン・パートナーズ アンブリン・エンターテインメント パスカル・ピクチャーズ スター・スローワ・エンターテインメント 20世紀フォックス/パーティシパント・メディ カラー映画(116分) | |
スタッフ | ○監督:スティーブン=スピルバーグ○脚本:リズ=ハンナ/ジョシュ=シンガー○撮影:ヤヌス=カミンスキー〇プロダクションデザイン:リック=カーター○音楽:ジョン=ウィリアムズ○製作:エイミー=パスカル/スティーブン=スピルバーグ/クリスティ=マコスコ・クリーガー〇製作総指揮:トム=カーノウスキー/ジョシュ=シンガー/アダム=ソムナー/ティム=ホワイト/トレバー=ホワイト | |
キャスト | メリル=ストリープ(キャサリン・グラハム)、トム=ハンクス(ベン・ブラッドリー)、サラ=ポールソン(トニー・ブラッドリー)、マシュー=リス(エルズバーグ)、アリソン=ブリー(ラリー)、ボブ=オデンカーク(バグディキアン)、トレイシー=レッツ(ビーブ)、ブラッドリー=ウィットフォード(パーソンズ)、ブルース=グリーンウッド(マクナマラ国務長官)ほか | |
ストーリー | 1971年、ベトナム戦争は泥沼化しニクソン政権も勝利が得られないことを悟っていたがそれを隠して戦争を継続していた。その実態に義憤にかられて政府系シンクタンクの所員が国防総省の機密文書のコピーを有力紙「ニューヨーク・タイムズ」に流してスクープさせる。ライバル紙の「ワシントン・ポスト」も負けじと機密文書の入手をはかるが、ニクソン政権は「兵士を危険にさらす報道」として強硬な圧力をかける。「ポスト」の女社長キャサリンは上場したばかりの会社の危機に悩むが、権力に対する報道の自由を守るべきと決意し報道を継続、「タイムズ」と共に政権相手の法廷闘争に臨む。 | |
解説 | スピルバーグ監督の社会派作品であり、おりから「フェイクニュース」とマスコミを攻撃するトランプ政権が登場したことを強く意識した一本。権力と報道の関係というテーマもさることながら、新聞社同士のスクープ合戦の内幕も面白い。ラストはそのまま「大統領の陰謀」につながる形になっている。 | |
メディア | DVD/BD発売:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン |
大統領の陰謀 "All the President's Men" | 1976年/アメリカ カラー映画(138分) | |
スタッフ | ○監督:アラン=J=パクラ○脚本:ウィリアム=ゴールドマン〇撮影:ゴードン=ウィリス○音楽:デビッド=シャイア○製作:ウォルター=コブレンツ | |
キャスト | ダスティン=ホフマン(カール・バーンスタイン)、ロバート=レッドフォード(ボブ・ウッドワード)、ジャック=ウォーデン(ローゼンフェルド)、マーティン=バルサム(シモンズ)、ジェーソン=ロバーズ(ベン・ブラッドリー)、ハル=ホルブルック(ディープ・スロート)ほか | |
ストーリー | 1972年6月17日、ワシントンのウォーターゲート・ビルにある民主党本部に不法侵入した男5人が逮捕された。当初は物盗り目的に見えたが所持金の額や所持品に不審点があり、裁判を取材したワシントン・ポストの若手記者ウッドワードは彼らに共和党系の有力弁護士がついたことにも疑念を抱く。ウッドワードとバーンスタインの二記者はこれがニクソン政権と深く関わるとにらんで取材を始め、ウッドワードは政権中枢にいる情報提供者「ディープ・スロート」から「カネの流れを追え」と示唆される。彼らの取材で暴かれた「ウォーターゲート疑惑」はやがてニクソンを退陣へと追い込んでゆく。 | |
解説 | ウォーターゲート事件を暴いていった新聞記者たちの奮闘を、ニクソン退陣から間もない時期に映画化した傑作。当時勢いに乗っていたホフマン、レッドフォードが主役記者二人を演じ、さすがに一部脚色はあるものの、記者たちの熱くも地道な取材活動をリアルに再現した。 | |
メディア | DVD/BD発売:ワーナー・ホーム・ビデオ |
バイス "Vice" | 2018年/アメリカ プランBエンターテインメント ゲイリー・サンチェス・プロダクションズ カラー映画(132分) | |
スタッフ | ○監督・脚本:アダム=マッケイ○撮影:グレイグ=フレイザー〇音楽:ニコラス=ブリテル〇製作:アダム=マッケイ/ウィル=フェレル/ミーガン=エリソン/デデ=ガードナー/ブラッド=ピット/ジェレミー=クライナー/ケヴィン=J=メシック | |
キャスト | クリスチャン=ベール(ディック・チェイニー)、エイミー=アダムス(リン・チェイニー)、スティーブ=カレル(ラムズフェルド)、サム=ロックウェル(ジョージ・W・ブッシュ)、タイラー=ペリー(コリン=パウエル)、アリソン=ピル(メアリー)、リリー=レーブ(リズ)、ジェシー=プレモンス(カート/ナレーター)ほか | |
ストーリー | のちにジョージ・W・ブッシュ政権の副大統領となるディック・チェイニーだが、青年時代は飲んだくれの落伍者だった。恋人のリンに叱咤されて一念発起、政治の世界へと身を投じる。のちの国防長官ラムズエルドにくっついて連邦議員にも当選、次第に共和党内で地位を固めてゆくが、娘の同性愛問題で大統領への夢をあきらめ一度は引退する。ところが同じく飲んだくれの過去をもつブッシュから副大統領候補を打診され、当選後には「影の大統領」とまで呼ばれる存在となる。2001年9月11日に大規模テロが発生するとチェイニーはこれを機に政府権限の強化、情報統制を画策する。 | |
解説 | 存命中の人物を主人公に、それも強烈に批判的視点に立った、コメディタッチの伝記映画。一度引退するところでフェイクのエンドロールが流れたり、謎の語り手の正体など人を食ったような演出があるが、基本姿勢はアメリカ保守政界の暗部を痛烈にえぐったリベラル側からの問題提起となっている。チェイニーの人生を通して1980年代以降のアメリカ共和党史が俯瞰できる点で確かに「歴史映画」でもある。 | |
メディア | DVD/BD発売:バップ |