- 8月11日
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つい油断して買ってしまった一條裕子『2組のお友達。』緑の本(小学館ビッグスピリッツコミックススペシャル)を読む。爆笑。いやもう、タロちゃんの一挙手一投足が我がことのように思えて微笑ましい。そう、人はこまっしゃくれたガキになるのではない、こまっしゃくれたガキに生まれるんだよね。
「TRICK」5話(テレビ朝日)を見る。愚作。いきなり饒舌になる村人とか、抜け穴を通っているはずなのにタイムラグなく登場する主役組とか、結局何がしたかったんだかよくわからないミラクル三井とか、あまりにも穴が多い。仲間由紀恵もあまり機能していなかったし。とりあえず来週に期待だ。
石ノ森ワールド総結集と聞いてつい買ってしまった、長谷川裕一『もっとすごい科学で守ります!』(NHK出版)を読む。うーむ。「バッタは悪の帝国にとって、エリート怪人の象徴」など個々には面白いネタもあるが、結局前作のバリエーションの域を越えていない。「デンジ推進システムの本質は、"おおむね三角のものは飛ぶ"だ」を凌駕するネタは見つからなかった。悪くはないが、意図して褒めるほどでは。
- 8月12日
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かわいいあの子(死語)とデート。根っから無粋なもんで、ルートはほとんど中学生のデートコース。サテンで話をして、映画を見て、CD屋、本屋に寄ってから、カラオケを2時間歌って、夕食を食べて別れる。ノンアルコールの健全な一日。彼女は満足してくれたのだろうか……。
うーむ、(デートという単語に疑問があることに目を瞑れば)事実だけを書いているのに、リアリティがないなあ。やはり、僕が主語というあたりが悪いのか。
まあ、そんなこんなで「チェコアニメ映画祭 2000」のAプログラムを見る。上映作は、
- ヤロスラフ・ザフラドニーク「粘土」
- ルボミール・ベネシュ「パットとマット」
- ブジェチスラフ・ポヤル「ぼくらと遊ぼう」
- ブジェチスラフ・ポヤル「飲みすぎた一杯」
の4作7話。
「粘土」は、塑像の余りとして捨てられた粘土の塊が、努力の末、塑像の一部になるまでを描く小品。作品としてどうこうという話をするほどの深みはない。粘土塊の演技は愛らしく、前座としては非常によくできていた。
「パットとマット」は昨年の映画祭でも15本上映され、客受けの良かったシリーズの落ち穂拾い。正直、昨年の上映作の方がレベルは高い。ただ、シリーズ化前の第一作、「へま」を見られたのは収穫。最新作と、顔も演技も全然違うんでやんの。
「ぼくらと遊ぼう」は次々と変形を繰り返す2匹の熊を主人公としたシリーズ。「トムとジェリー」ばりの(「バーバパパ」ばりの、が正しいかも)変形は、アニメーションの虚構性を強く意識させ興味深いが、だからどうだという印象が残るのも事実。チェコの人はあのシュールなんだかベタなんだかわからない世界を普通に楽しめるのか。なお、造形や物語よりも2匹の雄熊の友情とも愛情ともつかない関係(冬眠中に、お互い相手が自分の妻になった夢を見たりする)の方が気になったのは内緒だ。
「飲みすぎた一杯」は飲酒運転は事故に繋がるから止めましょうという教訓アニメ(違う)。どことなくエロティックな人形の造形、パペットアニメーションでバイクの疾走感を感じさせるという卓越した技術(なんと'53年の作品だ)など、見るべきところは多いが、物語はいまみっつ。パペットアニメにおいて重要なのは、「そんなものも表現できるんだという驚き」か、あるいは「とにもかくにも語られる内容」か、という点について考えさせられる1作。
帰宅後、やっと手に入れた山本正之「十三の魔王」を聞く。大笑い。知っている曲がほとんどなのに笑っちゃったよ。「大不況行進曲」「おきょードドンパ」「おくすり百貨店」などいずれ劣らぬ名曲が並ぶ中、これ1作を選ぶならやはり「大名古屋行進曲」こと「名古屋はええよ、やっとかめ」か。「ユゥニモォルゥ〜、サカエちかぁ〜、じょぉしだいこぅおぉじぃ〜〜♪」というフレーズだけでも勝ったも同然。待っとりゃぁよ♪見っとりゃぁよ♪天下をっっっっ取るでよぉぉぉぉ♪
夜中にばったり道であった近所の方としばし立ち話。新鮮な話や、驚愕の話、心温まる話に、戦慄の話などさまざまな話を聞いた。ああ、こういう偶然の望める日々もあと数週間。
- 8月13日
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所用で、国際展示場へ。コミケそれ自体が目的ではなかったはずなのに、結局コミケに行ったという事実以外は何も残っていないあたり、いかにもありがちな展開である。
せっかく来てしまったのだからと、いろいろ吟味しつつ買い込んだりしていれば、まだ救いというものがあるが、買ったのは東洋大の新刊4冊と、藤井幸介/金田明洋「SF作家の値うち」、神魂別冊「飛 浩隆 作品集 I」のみ、貰ったものを含めても、筑波大のPaperwareと、まねきねこSFファンクラブの「まねきねこ通信」が増えるだけと、およそ物を買わず、もらわずに過ごした。本当に何をしに行ったんだか。
でもまあとりあえず、いろんな(しかし、いつもの)人の話を聞いたりする。近年のファンジンの問題点だとか、猿山のペンギン問題に対する解決法の違いとか。聞きようによっては耳が痛い話ばかり。いやはや。
- 8月14日
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眠い。
SFマガジン9月号をやっと読了。「海外SFファンのためのヤングアダルトSFガイド」は、結局立ち位置がよくわからなかった。表題とは逆の流れのエッセイも多く、意図がいまいちつかめない。川口晃太郎の「地方都市への侵略 『若葉色の訪問者』と『盗まれた街』」のように、表題通りの流れで、海外SFファンだと見落としているかも程度にマイナーな作品を取りあげたエッセイが並んでいてくれれば、もう少し役に立ったかも。
もちろん、読み物としての評価はまた別の話。単独エッセイとしては、ロマンをキーワードに、藤子・F・不二雄の業績を振り返る福井健太の連作が良かった。
"Freckled Figure"も読み通した。記憶を辿りながら四苦八苦しつつ読んでいるときには「こんなにあっさりした表現だっけ?」程度にしか思わなかったが、「そばかすのフィギュア」を引っ張り出して比較してみると、意外なほど大きく入れ替わっている。もっと時間のあるときに、丁寧に読み比べてみよう。
- 8月15日
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「耐え難きを耐え」と朕が言ったから、8月15日は終戦記念日
誰か、先に使った人がいそうだな。
- 8月16日
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いまさら、SF大会とコミケで買ったファンジンの印象。
「WORK BOOK」67号(京大SF研)は仲間内で遊んでいる楽しさが感じられる作り。巻頭特集のアンケートを読んでいると、学生サークルの濃厚な怠惰さが完膚なきまでに(< 形容が変です)伝わってくる。また外向きの企画、吉村達也作品紹介(Genjin)、"Luminous"収録作品紹介(細井威男)なども収穫。現状、「MILKSOFT」は大きく水をあけられている感がある。つーか、出ているかどうかもわからないしな。
"Luminous"レビューで紹介されている中では表題作"Luminous"がダントツで面白そうだった。作品集刊行時のSFMのイーガン特集(あるに違いない)で読みたいんですが、どうですか。
「Wacky Races Card Game」(浪花ゲーム商会)は表題通り、「チキチキマシーン猛レース」をテーマにしたカードゲーム。はまなこんか何かで買ったことがあるから、6年以上前の作品だと思う。大学時代にプレーした経験では、(テンション的に)酒が入った午前2時から4時あたりでプレーするのに適したゲームだったような。せっかく買い直したので、どこかでやりたいなあ。
「SF作家の値打ち」Vol.1(藤井幸介、金田明洋)はSF版『作家の値打ち』。とりあえず挑発的であることは良い事だよな。うん。
「ハヤカワ文庫SF年鑑」1999年度版(東洋大SF研)はかなり惜しい。年鑑は、継続的に出ているということそれ自体が重要なので、何より刊行されたという点では評価できる。つまらない作品であることを覚悟の上で、レビューを担当した人々の努力は賞賛に値しよう。しかし誤字、入力項目の取り違い、人名表記の不統一など、細かなミスが目につくのも事実。また、作品集収録作品リストが欠けている点も気になる。今後も継続的に刊行し続ける覚悟があるのなら、作業開始時期を早めることも含め、検討すべきかも。
「ASOV」22号(東洋大SF研)はさすがの力作。いきなり野田昌宏のインタビューを敢行している点だけでも十分な価値がある。『SFを極めろ』刊行からだいぶ間が空いてしまったのは残念だが、内容量から見れば仕方があるまいと納得できる。これと年鑑を同時刊行できる東洋大の体力には舌を巻くしかない。
「ASOV」23号"FASOV-4TH"(東洋大SF研)は、難しいところ。1週間前のSF大会レポートが既に載っているという速報性は目を惹くが、FASOVという器に上手く馴染んでいない。このタイプの原稿なら、通常号の方が相性は良かっただろう。
で、器の方だが、さすがに4回目にもなると、コンセプトが疲労してきている感がある。5号を考えるなら、統一テーマの導入なり、中心企画の設置なりを行わないと辛そうだ。
「ASOV」23号"ANTI-ASOV"(東洋大SF研)はそのアバンギャルドな編集センスに脱帽した。9ページと10ページの間の処理は、そう簡単に思いつく方法では無い。
「飛浩隆 作品集I」(神魂別冊編集部)はまだ読んでないです。飛作品収録のSFMは全部持ってるんでいらなかったかも、と思ったら全作著者解題が付いていてラッキーでした。
とりあえず、そんなとこ。
- 8月17日
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ふとテレビを点けたら、阪神が負けていた。接戦に強い読売なんて読売じゃないやい。
- 8月18日
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「TRICK」6話を見る。いいぞ、佐伯日菜子。普通の人のフリをしているうちは「変に歪んだなあ」などと失礼な感想を抱いていたが、謎の絞殺パフォーマンスを初めてからは急に雰囲気が良くなった。やはり彼女は人を呪ってなんぼだね。< 失礼です
脚本の方も、陳腐なトリックに対する批判を展開するなど楽しく飛ばしている。前回分を思うと天に唾する行為としか思えないが、ここまで言った以上、来週はさぞや素晴らしい解決編を見せてくれるに違いない。楽しみだなあ。
- 8月19日
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昼過ぎから渋谷に出て「サウスパーク 無修正映画版」を見る。かなり高レベルの期待を抱いて行ったのだが、驚いた事にそれに答えてくれた。子供の下ネタに激怒した親たちが、子供を汚す元凶と、カナダの人気コメディアンを、ひいてはカナダ全体を相手に戦争をおこすという話。物語全体の起伏も心地よく、細かいギャグも決まっているが、何より素晴らしいのはその音楽。いつのまにかカナダに対する戦意が湧き起こってくる"Blame Canada"を始め、いずれ劣らぬ名曲ぞろい。見おわった瞬間、サントラが欲しくなりましたね、ぼかぁ。ギャグがギャグである事を理解出来る全ての人にお勧め。
映画館を出たあと、しばらくぶらついてから高田馬場へ。とある親切な人からユタは休みと聞いていたが、どうせ気づかず出てきてしまう人ばかりに違いないと、ルノアールに行ったら案の定。中2階の席が一杯になるほどの人が集まった。参加者は、大森御夫妻、小浜御夫妻、堺三保さん、添野知生さん、林、福井健太さん、藤元直樹さん、宮崎恵彦さん、柳下御夫妻、山本御夫妻ののべ14名。主な話題はシリーズ物タイトル、bk1、ニール・ゲイマンの表紙イラストなど。ティム・バートンの表紙の本は、何かの奇跡で出るならきっと買うな。< 多分、出ない
その他では、今の若い(中高生)おたく層はパロディを嫌うという話が印象に残っている。なんでも自分にわからないところで話が進むのが気に入らないのだとか。事実かどうかは分からないけど、事実だとしたら嫌な話だ。パロディかもと思ったら、必死で原典を調べて、さも最初から知っていたかのように振る舞うのがダンディズムというものだろう(違う)。
- 8月20日
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向井さんの日記で知った、深層心理に聞いたあなたが応援すべきプロ野球チームを試してみる。驚いた事に、「あなたは横浜ファンです 走り出したら止まらないあなたは横浜ファンです。マシンガンの弾数にはいつも気をつけておきましょう。」と診断されてしまった。選択肢を見る限りでは、割といい加減だと思ったのに。ひょっとして僕は典型的な横浜ファンの心理構造をしているのか?世の中、どんなことから正体がばれるか知れたものではないらしい。
夕方、ふらっと高田馬場に出る。忙しい、忙しいといっておきながらその態度は何だという非難については甘んじて受ける用意がある。しかし、しかたがないのだ。なんとなく高田馬場な気分だったのだから。
それはそれとして。1日ぶりに高田馬場を歩いていて衝撃的な事実に気づかされた。まんがの森本店って、いつからここにあるんだ?平均すれば週一回は歩いている街だというのに、こんなことにも気づかなかったとは。一生の不覚。
そんな時間は無いような気もしたのだが、運命と諦め店内を見てまわる。明るい店内、広い通路。オープンスペースの書棚は低く、壁際の書棚は高く。まんが専門店とは思えない、小奇麗な店構えになっている。棚も、成人コミックを排して少女/女性マンガの割合を高くした女性客を意識したと思しき構成。全般に、高田馬場もう一軒のまんが専門店、新宿書店の真逆を行く作りだ。ただ、これが売りになるかというと、今一つよくわからない。いくら一般女性客を意識しようと結局まんが専門店の売り上げを左右するのはマニア客のような気がするのだが、この辺が今一つ弱いのだ。少なくとも高田馬場芳林堂のコミックフロアに負ける部分があるようじゃ、専門店の名が廃ると思うんだが。今のままなら、文芸書、理工書も売っている点も含め芳林堂の方が遥かに便利。
とかなんとか言っておきながら本は買ってしまっていたりする。他はともかく、「燃えよペンかるた」が付録についた『裏・島本和彦』が手に入ったのは収穫でした。同人誌なんてほとんど無いのに、こんなピンポイントのものは置いてあるなんて、意外と油断ならないかも。
付記:山本正之のアルバム『十三の魔王』(ベラ・ボー エンタテインメント)なんていうものも売っていた。ご参考までに。> 誰にともなく