- 11月 1日
-
昨日から今日にかけてナイトメア・ビフォア・クリスマスを見る。もう何度見たかわからないがやはり良い。今日一日は、頭の中に流れ続けるダニー・エルフマンの音楽と共にハロウィン・タウンの住人達の動きを反芻していた。至福。
20世紀SF考課表の年齢構成が偏っているのは、比較的偶然です。 > みらい子さん
レイアウトの関係で30代以上を増やせなかったのが敗因。いっそ20代も29限定とかにすればよかったのかも。20代が比較的満遍なくいるから30代以上の偏りが目立つんだよなあ。
<異形コレクション>『幽霊船』(光文社文庫)読了。ほとんどはたいしたことの無い話だが菊地秀行だけは違った。菊地「渡し舟」はカンボジア国境近くの村を舞台にした社会派怪談。ごく普通の怪異譚だと思っていたのでラストで呆然としてしまった。実に強い話でちょっと感動。
- 11月 2日
-
久しぶりに残業を早めに切り上げて帰宅。あれもしよう、これもしようと思っていたはずなのに結局何も出来ずに終わる。すべては2週間にもなろうかという鼻風邪のせいである。決してフリーセルだのクラシックハーツだのが悪いわけでは。
「稲妻」の退屈さに苦闘しつつ『夢魔』を拾い読み。頭、数編は好印象。
などと様々に逃避をしているが頭に去来するのはあの人のことのみ。あの人が妻の座にいてくれるのなら他に欲しいものは何も無いのに。
谷繁……。
- 11月 3日
-
シュワンクマイエルの新作の封切り日なので渋谷まで観にいこうと思っていたのだが風邪があまりにも悪化していたので果たせず。おとなしく部屋でごろごろしつつ、せめて生産的な作業を、とビデオの編集をしようとしたら入出力の関係を間違えて真っ白になったり。体調管理の重要性を改めて認識したことである。
夕方、銀座に出て先輩の披露宴2次会に参加。先輩の中でも群を抜いてまっとうだった方だけあり、別の先輩の披露宴とはうって変わりまったくもってごく普通の2次会であった。確かに、一部SF研勢が連なってしまった一角は異様な雰囲気を漂わせていたが。
帰りに寄ろうと思っていた書店が目の前で閉店したことにショックを受けつつ高田馬場へ。がんばって例会に参加する。いや、なにもがんばらなくても、とは自分でも感じているので突っ込むには及ばない。
ねぎし時点以降の参加者は、大森望、小浜徹也、志村弘之、添野知生、高橋良平、林、福井健太、三村美衣、山岸真(あいうえお順、敬称略)。聞こえる場所での主な話題は考課表レビュー、SFM全掲載作考課表の連載、ひらきすぎ翻訳、歴史上一人も有名人を出したことがない家系の話、アギト、ゴジラ、13号、クウガ、ヒーローに初めて燃えました、ファンタジー、学校SFアンソロジー『最後のクラス写真』、娘。フィギュア、君はいつ会社に行ってるんだ、『評伝・今日泊亜蘭』裏話、2色と締切など。ビッスンとラファティがベスト5にはいる母集団の評は信用ならない、というのは一理ある。
- 11月 4日
-
腹の立つことがあったので体調は悪かったが渋谷で映画を見ようと試みる。なぜ「腹の立つこと」と「渋谷で映画」が関係するのかは自分でもよくわからないが、シュワンクマイエルの長篇というのはネガティヴな感情を抱いているときには向いている気がしなくもない。
それはともかく。4時からの回に間に合うように出かけたつもりだったのだが、ユーロスペースに向かう途中またも道に迷い着いたのは4時15分過ぎだった。6時40分の回を待つことも考えたが、めまいがして道端に座り込みかけるという体調を鑑み、諦めて帰ることにする。
しかし、ただ帰ったのでは交通費がもったいない。せめて柏では売っていない漫画を買うくらいはしようと、池袋に出て芳林堂コミックプラザへ。めでたく唐沢なをき『電脳なをさん』4巻(ASCII)と夢路行『春の回線』(潮出版社KIBO COMICS)を購入。渋谷三省堂のコミックステーションでもみつからなかったのに。ありがとう芳林堂。信用した甲斐があったよ。馬場は使いにくくなったけど。
なんどか道端に座り込みながらも、やっとの思いで柏に帰還。本日の教訓「体力のないときには電車に乗らないようにしよう」。平日はそうもいってられないからなあ。
早々に布団にもぐりこみつつ「サイボーグ009」#4を観る。「本当に#1は面白かったのか」とアニメ誌での仕事もあるプロの批評家に問い詰められた直後ということもあり、若干不安になっていたのだが(少なくとも僕にとっては)面白かったので安心した。よし、大丈夫。
今回は0010篇の後篇。通して観ると、「脇役(00[2-8])がどんなにがんばっても、主役(009)と神(001)にはかなわない」という話になっているわけだが、マイナスを罠にかけるまでのロジックの充実と、加速戦闘のスピード感の前にはそんなことはどうでもよくなる。よく出来てる。
よく出来ているといえば、「001から004は、戦後すぐに改造されかけた旧世代サイボーグ」という設定もなかなか。アルベルトの設定を活かすにはその手があったか。フランソワーズが60代(1950年頃、10代後半と推定)だとすると、ブリテンに「おじいちゃん」と呼びかけるのが難しくなりそうだが。
突然読み始めてしまった筒井康隆『天狗の落とし文』(新潮社)を読了。軽やかな、実に軽やかな作品。たまに、おっと思う文章もあるがすぐに全体の中に埋没してしまい、後に印象を残さない。どうにも読んだ気がしない。かろうじて記憶に残っている中では、未来の会議に関する文章の妻のくだりが良かった。
唐沢なをき『電脳なをさん』4巻(ASCII)読了。今までより遥かにわからないネタが多く、どう反応していいものやらさっぱり。マッキントッシュあらしの最終回はちょっと良かった。
夢路行『春の回線』(潮出版社KIBO COMICS)読了。大失敗。もっとゆっくり読めばよかった。7篇のファンタジーを収めた作品集。良質の作品が並ぶ中、密林の王国からの王女たちの逃避行「密林天国」が特に良かった。こうまとめるか。さすが。
- 11月 5日
-
先日のユタ(正確にはねぎし)で出た話題、「先祖を一生懸命調べていくんだけどいつまでたっても有名人が出てこない話とは何か」の答えを(僕が話題を取り違えているのでなければ)発見した。正解はマイケル・シャーラ "Man of Distinction"。「有名な男」の題で『ショートショート秀作選2』(集英社コバルト文庫)に、「不滅の家系」の題で『吸血鬼は夜恋をする』(文化出版局)に収録されている。この情報が一緒に悩んでいた方の心の平安に寄与すれば幸いである。
- 11月 6日
-
夜中、どうにもこうにも寒すぎる。何か僕に対する陰謀でもあるのではないか。そう疑いつつふと枕元の巨大なカーテンに目をやると、そこはかとなく動いていた。
……おお。ここ一、二週間ずっと、窓が開いていたのか。それは寒いや。
- 11月 7日
-
SFマガジン読了。特集はそれなりに楽しかったが苦手なジャンルなので良し悪しの別が皆目わからず。まあ、なんとかなるだろう。
とりあえずこれで1年分通読終了。今年一年間で気になった作品は、海外がビッスン「マックたち」(1)、ケリー「少年の秋」(1)、イーガン「ボーダー・ガード」(3)、マクドナルド「イノセント」(3)、リー「彼らがやって来た前日に」(3)、レナルズ「銀河北極」(3)、マルセク「ウェディング・アルバム」(3)、ロバーツ「サー・ジョンのお守り」(7)、ドクトロウ「クラップハウンド」(8)、チャン「あなたの人生の物語」(9)、ブリン「有意水準の石」(10)の11作。国内が田中啓文「黄泉津鳥舟」(2)、野尻抱介「轍の先にあるもの」(5)、深堀骨「飛び小母さん」(7)、藤田雅矢「ぬへこ」(9)の4作(再録除く)。一年の収穫としてはまあまあだろう。ベストはマルセクと田中啓文かなあ。これについては投票前に再考の予定。
さて、「稲妻」でも読むか。
- 11月 8日
-
近所のかつやで限定メニューの味噌カツ定食を食べる。かなり普通に美味い。善き哉。
「稲妻」を半分ほど。それを必要とする者の存在は理解できるが、僕には不要だ。
- 11月 9日
-
キャサリン・アサロ『稲妻よ、聖なる星をめざせ!』(ハヤカワ文庫SF)読了。ハーレクインロマンスとはこういうものかと思わせる前半と、冗長なスペ・オペの後半がぎこちなくつながっている。先にも書いたように「これを面白いと思う人」の姿を想像できるという点で価値があるとは思うが、僕には必要ない作品だった。
ああ、次は上下巻か……。
どうしても我慢できなかったので、飽きるほど焼肉を食う。しばらくは肉は要らない。
- 11月10日
-
雨が降っていたので一日寝て過ごす。いや比喩とか諧謔とか韜晦ではなく。
かろうじて起きていた時間に近所の書店へ。400円文庫を中心に買い逃していた新刊を大量に購入。購入はいいが、ハードカバーをダブり買いする日がこようとは思わなかった。やはり面倒でも購入した本はデータベースに記録しておくべきか。
Web上のニュースで今中が引退したことを知る。当然のこととは思うが、好きな選手だっただけに淋しくもある。本人のプライドが復活の最大の妨げになったような印象があるだけによけいもったいない。ふてくされたような表情で投げるスローカーブの切れ味。また惜しい投手を無くした。
なんとなくSF版100質に回答してみる。稀によい質問もあるが全体に非常に退屈だった。やはり100質というコンセプトには根本的な問題があるように思う。それを回避するためには、退屈さを感じさせないように、質問に強弱をつけ、受けを誘える質問を作り、といった高度な編集作業を要求されるところだが、このSF版はそこがあまりにも弱い。文体の統一、誤読の余地の排除といった最低限の条件さえクリアしていないとあっては何をかいわんや。作業状況を推察すれば同情の余地はあるが読者に見えるのは結果だけなのである。回答者の善意に甘えず、払うべき注意は払うべきだった。
……他人事だと思うと、いくらでも文句が書けるなあ。