過去の雑記 03年10月

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10月11日
油断して、「実写版セーラームーン」を見てしまった。変身後の風俗っぽさについては賛否両論だが、東映不思議アクションの流れだと思えば納得できないことも無い。ふだんの水野亜美はわりとよさげでした。演技はともかく。

「プラネテス」2話を途中から。タナベの鬱陶しさが3割減になっていたんで、前回とは違ってふつうに観られた。ハチマキがあの程度で夢を諦めかけるというのは気にはなるが、原作とは別人と思えばまあなんとか。同僚とラウンジで過ごす雰囲気とか、終盤のサスペンスとかは悪くない。ただ今回も、微小重力下で人を投げ飛ばしたのに反作用が見えないだの、シャトルが見えてから加速しはじめて間に合うのか?だのと、宇宙描写がいろいろと微妙。「細かいことは無視しましょうや」のサインを送っている作品なら気にならない部分だけど、「リアルな宇宙」を売りにしているだけにひっかかるのだな。この辺のリアリティを追求し始めると、「人力でのデブリ清掃というのはコスト的に引き合うのか」という設定の根本まで行くらしいんで(僕はコスト計算をしてないんで真偽は不明)程度の問題なのだが。

夕方から銀座。年若い知人の、結婚式の2次会に混ぜて貰う。基本的に内輪の集まりの中で数少ない部外者なので、やや緊張していたが意外と見覚えのある顔が多く安心。でも、調子に乗って飯もろくに食わずに飲んでいたら、3次会が終わったあたりで急にダメージが来てしまったのだった。「自分の酒量が急速に落ちていることを認識しよう」という反省は幾度目だろう。主役はじめ美人の人がいっぱいいたというのはさておいても、久しぶりに話をしてみたい人も多数いたのだが、これ以上その場にいたら確実に迷惑をかけるという自信がわいたので、目の前にいたタクシーに乗って帰宅。目的地を告げた直後に夢うつつとなり、残るは断片的な記憶のみ。

……あれ?

タクシー?

10月12日
というわけで目を覚ましたときに不安に駆られ財布を開いてみると、札が一枚もなくなっていたのであった。中に残された領収書の額は財布にあったであろう金額と誤差±2割の範囲で一致していたので大きな問題はないのだろうけども、万が一、クレジット・カードからとんでもない額が引かれていたりしたらいやだなあ。現金できちんと払えていたという説も、そうすると財布の残金と銀座・柏駅間の交通費が誤差2%以内で一致していたということになり、にわかには信じがたいのだが。

ああ、しかし昨日は惜しいことをした。せっかく美人がいっぱい、じゃなくて久しぶりの人がいっぱいいたのに。飲みすぎは、心にも体にも(財布にも)悪いのだなあ。

などと二日酔いでまったく動かない頭で考えつつ、仕事。当然のように煮詰まって来たので、かろうじてめどが立ったところでカラオケに。いくら30分で着くったって、24時近くなってからうちを出なくても良かろうにとは思うよ。うん。

そんなわけでパセラ。期待していたB-Karaはまだ接続されていなかったが、歌いたいものは十分に歌ったのでおおむね満足。「赤鬼と青鬼のタンゴ」は気持ちいいなあ。つきのひとーみ、ろんろんろんろん♪

10月13日
例によって例の如く、某所では書かなかったこと。

ベルナール・ウェルベル<蟻>シリーズの面白さの一部が、「百科事典」からの引用の形を取った薀蓄語りにあることはみな認めると思う。しかし、この薀蓄。どうも間違いが多い。知っている範囲の話でここまでうさんくさいと、知らない話はどこまで信じられたものだか。あくまで、面白い逸話として受け取るだけにして、人に話すなどという暴挙は避けたほうが良いようだ。まあ、あれですね。「ネタをネタとして楽しめないと小説を読むことは難しい」という奴ですね。

ちなみに。一応、トマス・H・クックによる『テイクン』ノベライズも読んだのだが、さすがにちょっと取り上げる気がしなかった。50年以上にわたる3家族3代の物語を、わずか600ページでまとめられても。シーンの提示と設定の羅列だけでは小説と認め難い。

ほぼ5周くらい遅れて「伺か」をインストール。なるほど、これは良いものである。機能が便利かというと特にどうということはないのだが、アクションに対するリアクションに力がある。実際にはマウスを動かしているだけにしても、頭をなでるアクションに対して、相応のリアクションがあるというのは(そういうゴーストを使っているわけだ)、こうなんというか。とっても、強い。うん。

かわいいというのは、非常に単純なシステムなのかもしれないと思う今日この頃だ。

しかし、これはこれで、それはそれだよなあ。ああ、人の頭をなでたい。

10月14日
ふと立ち寄ったサブカル店(ふと立ち寄れるところにあるのでしかたがない)で、「赤い牙」vol.3を購入。安田弘之とか、三宅乱丈とか、古屋兎丸とか、弐瓶勉とか、沙村広明とかその辺の書いている同人誌。安倍吉俊の表紙に騙されて買ったのだが、安田弘之と沙村広明で元は取れたかなあ。参加している作家の誰かに強い思い入れが無いと、コストパフォーマンスは頗る悪いんでお勧めはしません。

10月15日
うわあ、親会社だけじゃなく山下も新庄取りとか言いだしたのか。現在の戦力分布をみて、外野手を取ろうなんて頭の悪い事を考えるなんて。外野は横浜で最もマシな、そして人の余っているポジションだというのに、イチロー、松井秀、T・ローズ級ならともかく、新庄クラスを狙いに行くなんて。そんな余力があるなら、その分抑え投手の充実に充ててくれよ。お願いだ。

まんが文庫マガジン。東中野のまんが喫茶。記事を見るとかなり蔵書が渋い。まんがタイム系が充実しているまんが喫茶というのはかなり独特な気が。そのうち寄ってみよう。

あなたがつぶやく最期の言葉。僕は、「あなたに会えてよかった」だそうです。状況が、「晩秋の夕暮れの中、人生のパートナーの手を握りしめ...(推定年令:78歳)」で、総評が、「マイペースに見られることが多いようですが、実は他人の言動に一喜一憂、振り回され、内面的に不安定になることもあるようですね。ひとりで考え込む傾向があるようですが、時には、信頼できる人に話してみるのもいいものですよ。また、あなたがあなたらしく在ることを忘れなければ、現在がどんな状況であれ、明るい未来を開くことができるでしょう。がんばって。」の「そんなあなたも、いつしか心安らぐ相手に出会い、結ばれ、晩年はふたり穏やかな日々を過ごすことでしょう。そんな穏やかな日々の中、あなたの最期も穏やかにやってきます。愛する人の手を握りしめ、落ち葉舞い散る窓景を横目にあなたはこうつぶやきます。『あなたに会えてよかった』 美しすぎる最期です。」ってーのは、辛い人生に対する心の支え。ああ、心安らぐ相手よ、いま何処。

「ラッキーキーワード『仕方なかったんだよ』(節目がちにつぶやけばラッキー度、更にアップ!)」ってのはちょいとツボでした。これからは、まめに使うようにしよう。『仕方なかったんだよ』。

定時間日だったので渋谷ユーロスペースに向かう。《中平康レトロスペクティヴ》は「危いことなら銭になる」。これは面白い!都筑道夫・原作のアクション・コメディ。偽札作りの名人を巡り、三人の事件屋とギャング(と女子大生)が入り乱れての大騒動。一癖も二癖もある主役四人が、同じサイドに集まるまでの過程が大燃えです。立ちまくりのキャラが絶妙な台詞回しで会話してくれるこの楽しさ。左卜全のとぼけた贋金名人、宍戸錠のいかした悪党、浅丘ルリ子のおてんば女子大生と誰も彼も魅力的。特に、長門裕之。長門裕之演じる、犯罪雑誌「週刊犯罪」編集長・<計算尺>の爽やかなうさんくささは感動的なほど。紳士然とした態度で、「僕は計算しか信用しないことにしてるんでね」と言われると「こいつだけは信用しねえ」という気分になれます。いいなあ。そのうち、レンタルで借りてもう一度見よう。

帰りに、Book 1stに寄ってから、王将へ。なんだか、料理を山のように注文して酒を飲んでいる集団がいくつもいた。こいつら、王将のなんたるかがわかっちゃいないんじゃ。王将は中華料理屋じゃなくて、定食屋なんだよ。 < 偏見である

やっと「Avenger」を見ました。ああ、ALI PROJECTのOPはしみじみと良いね。

ふだんなら、この格闘シーンはさすがに許せないと思うところだが、直前にはるかに酷い格闘シーンを見てしまったので、気にならないのだった。

10月16日
どう辿りついたんだっけ、マダム・セシールの童貞度チェック。5個でした。ま、そんなもんだろ。ちなみにいろいろリンクを見ていると、こちらの日記に結果を報告するものであるらしい。しないけど。

夢の記録より、「ウェルカム・人口減少社会」。人口統計の立場から、高齢化と人口減少の必然性を論じる。人口減少がなぜ不可避であるかを論じている部分は非常に面白い。講演をまとめたものなので、文章で読むとやや冗長なのが難。

「TRICK3」1話。こんなものかなあ。小ネタはともかく、全体の破壊力がいま一つ低調。仲間由紀恵&阿部寛が出ているだけで許しはしないのだ。森本レオでかなり許しかけているけど。

アニメ版「クロマティ高校」の今回の曲はすべて吉田拓郎でいいのかな。具体的な曲名は2曲しかわかりませんでした。

10月17日
「私たちにはまだ深堀がいる」の帯も麗々しい深堀骨『アマチャ・ズルチャ』(ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)読了。なるほど、深堀だ。抜群の間の取り方でつい納得するうちにあり得ない世界に引きずり込まれる、この快感。深堀スターシステムを駆使しての時代活劇、「闇鍋奉行」が私的ベスト。タイトルの地口だけで、よくぞここまで。

「神魂合体ゴーダンナー」3話。世界各地から集まるスーパーロボットという状況には、確かに燃えるものがある。しかし。だがしかし。それゆえにこそ、この微妙な間の悪さが、気色悪く感じるわけで。どうも、スーパーロボットのパロディにしか見えないんだよな。とりあえず、乳と尻は全部要らないので、その辺外して作ってもらえないものか。 < それじゃ根本的に別の作品だ

10月18日
島泰三『親指はなぜ太いのか 直立二足歩行の起原に迫る』(中公新書)読了。犯人は先に読んでしまったので、どうやってそこに至るかという推理の確認中心に読んでました。「人はなぜ立ち上がったか」という謎にたいして、「主食が手と口の形を決める」というアイデアを武器に、「主食ゆえに立ち上がった」という解答を導き出す。アイアイ、マダガスカルの原猿類、アフリカの原猿類、真猿類、類人猿、ヒトと、しだいに仮説の適用範囲を広げていくあたりの丁寧さがすばらしい。途中、仮説が適用しづらいケースも登場するが、正直に難しいと言い切るところも好感。人類の主食に関する驚くべき結論も含め、知的娯楽書としてたいへんよく出来ている。いまさらながら、おすすめ。

久しぶりに神保町へ行く。この前来たのは、いつだったのか。しばらく見ない間にすっかり様変わりしていて、途惑うことばかり。お茶ノ水イエローサブマリンがいつのまにか無くなっていて、隣のビルにヴィレッジ・ヴァンガードが入っているとか、北側のブックパワーRBが中古ビデオ屋になっているとか。靖国通りの北側がかなり使えなくなった印象。ただ、VVお茶の水ができたことは評価できる。VVにあるまじきすっきりした(しょせんVVの範囲でだけど)棚配置と、あくまで書店であるという品揃えで、かなり気にいった。僕が知っている箱根以東のVVでは最高。サブカル臭漂う店には似つかわしくないビジネス書コーナーの存在も含め、愛すべき店になっている。

南側に渡るともうひとつの衝撃が。東京堂の海外文学がわやになっている。1階新刊コーナーに海外小説が見当たらないというのはダメージが大きい。2階にはちゃんと棚があるのだが、それも薄くなっているし。全体に見通しが良くなっちゃったのが、最大の難点だな。書店は、高い棚をフロア一杯に詰めてなくちゃ。 < 偏っている

渋谷Book 1stに寄ったりした後、高田馬場で元ユタ。今日の参加者は、林、大森望、タカアキラ ウ、高橋良平、添野知生(到着順)。主な話題は、googleランキング、最近の映画、最近の本、最近のCS、最近の堺さん、見るべき中平康、今年の国内SF、今年の海外SF、チャンとイーガンのどちらが一般向けか、東京国際映画祭、ファンタ、SF研内結婚、水天宮など。カートゥーン・ネットワークでCMをやっている、デフォルメ・スター・ウォーズ・アニメはオフィシャル物であるらしい。クローン戦争が語られるのはこれだけって。ルーカスもひどい商売をしてるなあ。

10月19日
グレン・バクスターの絵本『バクスター危機いっぱつ』(新書館)。柴田元幸訳のヒトコマ物シリーズ。頭にろうそくを載せて、水浸しになった部屋の中、魚でバイオリンを弾く男を描いた表紙画が内容を象徴している。とぼけた画風で描かれた異様なシチュエーションに、妙にまともなキャプションがついたヒトコマまんが、35編。私的ベストは、「土曜の朝の買物を 彼はどんなに嫌ったことか」かな。ゴーリーの絵本を気に入った人にはお薦め。ゴーリーの暗さはないけど、ユーモアのあり方は共通している気がします。

溜まったビデオを一気に消化。「鋼の錬金術師」2話はなんだか冗長。原作の量が足りない(なにせ、まだ5巻しかない)所を補う辛さはわかるけど、これでは。そこそこの出来である分、むしろもったいなさがつのる。「プラネテス」3話は、タナベ本領発揮の話をオリジナル・アレンジで。タナベの鬱陶しさに磨きがかかっていて、なんともきつい。原作でも大嫌いなエピソードだったんだよな、これ。自分勝手な倫理観のもと人を断罪する。しかも実力も伴わない。そんなキャラがヒロインで、この先耐えていけるだろうか。半端にいい話な分だけ、余計に気色悪いのだよなあ。

Beltorchicca 10/18より。google様の電卓機能は「生命と宇宙、そして万物への答え(the answer to life, the universe, and everything)」すら教えてくださるそうです。 で、その答え。なんて正しいんだ。

10月20日
黒書刊行会10月17日より、ゴスロリ系ダイニング・レストラン、FANTASY DINING 迷宮の国のアリス。「和の食材をベースにしたカジュアル・フレンチイタリアン」というキメラのような料理コンセプトはともかく、アリスというテーマには惹かれるところがあるのだが、一人で行くのもなあと、絶賛躊躇中。試してみたいという物好き、やや募集。

レオノーラ・キャリントン『耳ラッパ』(工作舎)。宗教系老人ホームに放り込まれた老女が活躍するしゅーるれありずむ系冒険譚。錯綜する老女の思考をそのままにつづる序盤の間はついていけたのだが、終盤の疾風怒濤の急展開には完全に置いてきぼりを食らった。この話を楽しむには、まだまだこちらの修行が足りない。

カートゥーン・ネットワークでベティ・ブープを観る。なるほど、これがコケティッシュというものか。

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