過去の雑記 99年 4月上

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4月 1日
唐沢なをき『電脳炎マック版』1、『電脳炎ウィン版』1を購入。
どちらも同じ内容と書いてはあったが、本当にそのとおり。わかっていたこととはいえ、ちょっとひどいよな。もう少しは遊びがあることを期待したんだが。本文にあたる4コマはたいしたこと無いだけに、今後もこの形式で出続けるのなら買わないかも。唐沢なをきほどの漫画家なら、もっと高みを見据えて無謀なことをして欲しいことである。

4月 2日
シモンズ『エンディミオン』(早川書房)読了。読みはじめるまでは、その膨大な量に気後れしていたが、読みはじめてみると一気呵成に読み終えることができた。実際にかかった時間の割には、一瞬で読んだような印象が残る。
長さの割に一気に読めた気になるのは、物語の構造が単純だったおかげだろう。今回も、「獄中のエンディミオンによる回想」という外枠を持ってはいるが、大半は敵と味方の現状を交互に描くという非常にシンプルな形式で描かれている。複数の短篇で断片的に世界を描いていく『ハイペリオン』や、視点人物がどんどん増えていく『ハイペリオンの没落』に比べればいかにもシンプルな構造だ。
また、ストーリーの方も、強大な宗教帝国<パクス>の手から未来の救世主を守っての逃避行と至ってシンプル。頭を使う必要は何にも無いので、あとは派手なアクションと非情な世界観をぞんぶんに楽しむだけで良い。
世界の大枠が語られた後、最後の大団円に向かって話を盛り上げるだけというパートだけあって、シモンズの筆も実に軽やか。ノンストップエンターテインメントとして、これ単独でも星雲賞程度なら十分受賞する価値がある。でも何にも後に残らないからオールタイムベストには推さないなあ。

つい勢いで小松由加子『図書館戦隊ビブリオン』(集英社コバルト文庫)も読了。特にどうということはなく読み終わる、清く正しいシチュエーションコメディ。図書館で、戦隊な、思いつきのギャグをちりばめた少女マンガ風のコメディを想像してもらえばだいたいその通り。疲れたときに読む小説としてはまあまあか。

4月 3日
先日名古屋から送ってもらうことにした荷物が到着する。中身は<芳賀書店版福島アンソロジー>、MILKSOFTのバックナンバーなど。そんな5年に1度も見るかどうかといった資料よりは、広辞苑を持ってきた方が百倍役に立つという気はするのだが、広辞苑はSFの本ではないので、緊急度が低いような気がしてしまうのだな。悲しい性であることよ。

ふらっと大岡山の日月堂に行ってみる。それなりの品揃えであるのだが、紙一重で何もいらない。困ったことだ。とりあえず、何も買わないのも交通費がもったいないということで、創元推理コーナーSF特集号なる小冊子を買ってみたりする…。って、32ページの宣伝用小冊子を1冊800円で買う方がもったいなくないか? > おれ
まあ、星新一のエッセイ1本の初出が分かっただけでも良しとしよう。

7時前にユタについてみると、テーブルの上に怪しいJAの山が置いてあった。BIG BOXの古本市で大森さんが大量に購入してきたのだそうな。他にも創元の大量放出があったり、それぞれ読了記録と蔵書印があったことから、放出者の人物予想がこの日のメインの話題となった。広島で創元を読んでいた人物と、東京でJAを読んでいた人物は同一人物であるという説は興味深いが、蔵書印と読書記録というフォーマットの違いがあるのが難点。別人であるという説の方が説得力はあるが、こちらだと同時期に大量に放出されたということを説明しにくい。結局、その場では結論が出なかった(当たり前である)。
今思いついたのだが、広島で創元を読んでいた人物が上京して、東京でJAを読んでいた人物と結婚したという説はどうだろう。二人とも死んだので、蔵書がまとめて放出されたという。これならフォーマットの違いも、同時に放出された理由も説明できるのだが。…やっぱり、無理があるかな?
この日の参加者は大森望、小浜徹也、高橋良平、林、福井健太、三村美衣、藤元直樹、柳下毅一郎(アイウエオ順、敬称略)。

4月 4日
故あって早く起きたので朝っぱらからテレビを見る。なるほどこれが日曜朝のゴールデンタイムというやつか。
「救急戦隊ゴーゴーV」は宝の奪い合いの話。基本に忠実でありながら要所を締めた演出はさすが20年の伝統を持つシリーズ。久しぶりに見続けてみようかと思ったりしないでもない。
「燃えろ!!ロボコン」はロボット同士の友情で危機を乗り切る話。実にロボコンらしい話ではあるが、昔からロボコンは嫌いなんでどうでもいいや。
「おじゃ魔女ドレミ」はガキはうっとうしいいけど仕方が無いから面倒見なきゃね、という話。実に丁寧な作りで好感が持てる。

そんなこんなのうちに時間が来たので国立に向かう。名大SF研関東組の花見である。参加者は小田さん(5)、杉浦さん(5)、辻さん(5)御夫妻、亀山さん(6)御一家、藤沢さん(7)、林(10)。僕が入学したときには卒業されていた方がほとんどなので、ちょっと身の置き所をつかむのに苦労したかも。でも、この誰よりも加沢さん(4)は入学年次が古いんだよなあ。おそるべし加沢さん。

帰宅後、録画してみた「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモトヨーコ」を見る。大きな欠点は無さそうだが所々でストレスを感じたので評価は低め。でもまあ、今回は導入だけなので判断しづらいところはある。来週見て切り捨てるかどうかを決めよう。

4月 5日
「イソップワールド」を見る。最近ではめずらしいお話物(「まんが日本昔話」とか「アンデルセン物語」とか「パソコントラベル探偵団」とかね)。存在価値は分かるし、外枠の設定も悪くはないと思うのだが、肝心のお話をちょっと改変しすぎでは。「ウサギとカメ」の教訓が「ズルはいけない」(作中でウサギが三つ子であるという事実を使ったトリックを使うのだ)ってのはいくらなんでも何か違う気がするぞ。
と思っていたら、次回の話は「きこりと精霊と斧」らしい。そりゃいくらなんでもイソップじゃ無いのでは(後日、間違いなくイソップのエピソードであることが発覚。びっくり。)。

「十兵衛ちゃん」を見る。現代の少女が、最強の剣士の証「ラブリー眼帯」をつけて伝説の剣士に変身するという剣劇アクションコメディ。物語のテンポにのめりはりが利いていて気持ちいい。剣劇シーンも限られた枚数で良く努力しているし、深夜とは思えない出来、と思ったら監督は大地でしたか。じゃあ、このレベルでも当たり前だよな。

4月 6日
「ヱデンズボゥイ」を見る。いかにも角川風の、ファンタジイ/SF世界での冒険物。まだ話が動いていないので次回まで様子見。でも切り捨てる可能性の方が高い。

4月 7日
ふと思い立ってAnother HTML Lintで書式のチェックをしてみる。
かなり悲劇的な点数だったり。とりあえず、点数向上を目標に暇を見つけては書き換えをすることを決意する。目標は年内に全ページ70点以上だ。

「天使になるもん」を見る。徹底的にラブコメ。すいません、この手のノリは大嫌いなので耐えられませんでした。

星雲賞の投票用紙が届く。ノミネートリストは例年にもまして凄いことになっている。日本短編に「沈黙のフライバイ」(野尻抱介)が無いとか、海外長編に『時空ドーナツ』(R・ラッカー)が無いとか、海外短編に「ワンの絨毯」(G・イーガン)が無いとか、メディアに「晴れときどきブタ」(ワタナベシンイチ)が無いなどといった不満については取り合えず良しとしよう。プリティーサミー関連が異常に強くないか?とか、『エリコ』(谷甲州)は無いだろ、『エリコ』は、ってのも良しとしよう。しかし、いくらなんでも『虚数』(S・レム)は規程違反だろう。あれが「長編」だってーなら、世の中に短編集なんて無くなるぞ。
ファングループ連合会議はノミネートの方式を、一度徹底的に検討し直すべきだと思うな。

4月 8日
マコーリイ『フェアリイ・ランド』(早川書房)読了。序盤はまどろっこしい文体に足を引っ張られてなかなか読み進むことが出来なかったが、枝葉は無視して世界にだけ集中するように読み方を変えてからは一気に読み進むことができた。
退廃的なヨーロッパの描写と、ナノテクノロジーという名の魔術が作り上げる<フェアリイ・ランド>の魅力は見事。これであと、文章に魅力があれば言うことはなかったんだが、それはまあ望みすぎだろう。とりあえず、今年の新作では最も印象に残る作品ではある。最も面白いのは『エンディミオン』だけどね。

あはははははははは。復活の鶴田涙の勝利で、横浜はついに開幕6連敗。2戦目、斎藤隆が3点のリードからソロホーマー3本で追いつかれた時に、こりゃ行くとこまで行くんじゃないかとは思ったが、本当に行ってしまった。
だいたい、チーム打率は2割5分台と並なのに、6試合で11点しか取れないんだからどうしようもないよね。権藤の采配は強者の采配なんで、不調時には復活に苦しむとは思っていたけど、まさにその通り。まあ、モラルの低い横浜なんてこんなもんだろう。昨年に比べ戦力を失ったわけではないし、実際それなりに打ってはいるんで、シーズンを終ってみれば、5割ちょい上の3、4位位にはなると思うんだけど、優勝は皆無になりましたね。とはいえ、これでにわか横浜ファンも減るだろうと考えると結構なことかも。やっぱりメジャー球団を応援するってーのは落着かないからなあ。

4月 9日
会社でプロ野球速報を一瞬見てみると、読売相手に5対8で負けていた。これは勝ったに違いないと確信し(読売が乱打戦で勝てるわけが無いのだ)、帰宅後テレビをつけてみると、案の定、12対8と逆転し、阿波野が8回を無難に乗り切っているところだった。連敗を止められるとしたら、読売戦しかないと思っていたがまさにその通り。ありがとう、長嶋。
スポーツニュースによると勝因は隆が村田真の顔面にぶつけ退場になったことらしい。警告試合にすることでシュートピッチャーの内角を封じ、相手唯一の一軍キャッチャーを壊し、調子の悪い自軍ピッチャーをマウンドからおろすと、一石三鳥のこの投球。横浜が無事Aクラスになることが出来た暁には流れを変えた1球と、永遠に語り継がれることになるだろう。
とにかく、これで流れは変わり、2度の集中打で読売を圧倒、今シーズン初勝利を挙げることができた。明日のカードは残念ながら流れるだろうが、この調子の残っているうちに星を5割まで戻していきたいところだ。
ああ、でも、俄かファンがいなくなるまで負け気味な方がいいのかなあ。

4月10日
録り溜めていたアニメを見続ける。4時間アニメを見続けるというのは、久しぶりの体験だ。あんまりしたくない体験でもあるが。
つごう8本の番組を見たが、来週も見る気になったのは「カードキャプターさくら」と「∀ガンダム」の2本のみ。「さくら」は再放送だから、新作は1本だけですね。
「∀」はいきなり、ほのぼのとした展開。親切なブルジョアに雇われた主人公の生活を描く様はほとんど世界名作劇場だ。思わず、ゆうきまさみのアニパロを思い出してしまいましたよ、ぼかあ。
来週にはさすがにガンダムが登場するらしいけど、出来ればこのまま世界名作ガンダム路線を突っ切っていって欲しいという思いはある。とりあえず必要なのは意地悪な女中頭だな。

モンコレのエキスパンション第3段、「空中庭園の降臨」を1箱買ってくる。今回はなんだか実用性の高い、というか過去のバランスを一気に突き崩すユニットが多いような。レアリティ、超レアのユニットに13ダメージとか人をなめているだろう。デックに入れるとなると本気で考えないといけないようだ。

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