病院側 控訴審 平成一三年五月一〇日
発熱の件について述べると、乙第2号証中の熱計表から明らかなように発熱は5月7日のピンバニール投与から1か月近くは38度台を上下する状態を繰り返し、6月4日に最後の貯留胸水800mlを抜去後は発熱も徐々に下降し最終的に落着くに至っている。
このことから判断しても38度を超える熱発はピンバニールによる胸膜癒着に対する効果的な薬効作用によるもので、癒着ができても後遺的にそれによる多少の炎症が暫くは残存し胸水の吸収熱と相まって微熱が残っているくらいのことは、数多くのピンバニール使用の経験例を待ち主治医として毎日亡淑子の状態を観察していた被控訴人医師においては十二分に分り切ったことで、それ以外に別個に感染症を疑うべき特段の徴候が無いにもかかわらず意見害の言う生化学検査や喀痰培養など全く不要にしてこれ亦過剰な話と言わねばならないのである。