所在地        埼玉県飯能市大字飯能258−1
            TEL         0429-72-1414
            入場料        無料
            休館日            月曜日、休日の翌日
            交通手段      西武池袋線飯能駅から徒歩12分、または天覧山下バス停からすぐ
            備考    

新しい郷土館

飯能へは所用で出掛けた。その際、事前に手元のデータベースを 調べてみるとこの郷土館が見つかった。
実は、訪問前、全然期待していなかった。郷土館、なんてあまりにもありきたりな名前だったから、というのもあるだろう。古い建物に古い展示品が並んでいる・・・そんな雰囲気を思い浮かべてしまった。それともうひとつ。実は飯能へは一度きたことがあったのだ。そのときは飯能には目的も何にもなく、ただ 西武の特急に乗ってみたかったから、それだけだった。そのときの印象は、めぼしいものは無いな・・・。ということだった。そんな先入観を持っての訪問だった。
飯能駅に着き、駅前の案内板を探す。が、広域的で郷土館のことは何も書いてない。ますます期待が萎んでゆく。念のため、と反対側の出口へ行く。ここには近くの地図があり、郷土館が載っていた。ならば行かねば・・・。まずは道路を覚え、信ずる方向へと向かう。歩いて10分くらいだろう。途中は街の雰囲気を楽しむ。新興住宅地的なところはあまりなく、なんとなく懐かしさを感じるような街だ。が、街のはずれまできてもそれらしきところはない。ちょっと範囲を広げて探したが見つからない・・・。方向を間違えたかな? あきらめて駅に戻る。それでも、まだ時間はある。もう一度地図を見る。どうやら今探した範囲のもう少し先のようだ。歩いた距離を考えるとちょっと気が重い。”あきらめるか”、とつい思いかけたが、”もう飯能なんて来る機会はないぞ”と。これはやはり行かねば・・・。

何度も歩いた道、漸く近くまでたどり着いてみると、以外と新しそうだった。近くに市民会館があるから、合わせて造られたのかもしれない。うれしい誤算に足取りも軽く、入り口に向かう。
ここの展示室はそれほど広くはない。丁度中央に地形模型がある。飯能、というと平らな場所みたいに思っていたが、こうしてみると山への入り口になることがわかる。そういえば、すぐ近くにちょっと大きな川があり、山からの出口、みたいな雰囲気があった。飯能について全然知らないまま来たことを再認識してしまった。気を取り直して展示を見る。まずは歴史から。いつものように縄文から始まる。他と似たようなものだな・・・などと思いながら次へ。当然弥生かな?と思っていたがそれがない。この土地、弥生や古墳時代に村の跡がないそうだ。こういうのも博物館に来てみないとわからないものだと思う。時代は中世に。信仰を中心とした展示となる。埼玉などによく見られる板碑も展示されている。
次は街のやくわり、平地のくらし、山地のくらし・・・と続く。これは、産業の展示でもあり、生活や習慣などの展示でもある。平地の暮らしでは、季節感もうまく展示している。また、個人的には林業関連が興味深かった。人力による伐採、運搬。人の形をしたアクリル板を使って作業の風景を展示している。アクリルだから展示品を遮ることもない。そして、人に注目すれば作業の雰囲気も感じることが出来る。なかなかうまい表現だと思う。
生活と産業を組み合わせた展示。それほど広い展示室でもないのに、いろんな内容をうまく盛り込んである。悪く言えば展示品が少ないのかもしれないが、展示としては非常にうまいと思う。新しい郷土館の見本、みたいな気がした。


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