子来坂(こぎさか)

子来坂は、東山の宇多須神社から卯辰山、子来町へと登る坂道である。
坂の途中には宝泉寺への入り口が、また坂の上には東山蓮如堂もある。また、途中には公園もあり、通る人は少なくない。時には観光客も目にする。意外と人の通りの多い道である。

坂道は、宇多須神社の横から多少曲がりながらもほぼ真っ直ぐに登ってゆく。坂は急である。このためか、一部には階段もある。
金沢の坂、最近は坂と階段併用が増えてきた。これをある人は”ハイブリッド”と呼んでいる。これもなかなか面白い呼び方だと感心する。ハイブリッド、これは歩行者も歩きやすいし、自転車も、そして坂によっては車も通れる。通行という点では非常にいいのだが、欠点も一つ。それは、幅が広くなってしまうことである。
迂回路があれば歩行者専用にしてしまえばよいし、可能なら拡張すればよいのだが、それも難しいこともあるだろう。この坂、面白いことに階段が真ん中にあるのである。階段の幅は狭く、数十cmしかない。そして、坂に対して出っ張りはないので、車は楽にまたいで通れる。車、慣れないとちょっと走りにくくおもえるだろうが、実際には軽自動車でも十分走ることができる。狭い道を有効に使う、面白い方法だと思う。
但し、歩行者が道の真ん中を通るので、車が来ればよけなくてはならない。危ない気もするが、近所の車しか通らないだろうから、問題はないのだろう。もともと急な坂道なので、上り下りとも、スピードなんて出せない道なのだから。

さて、子来坂の由来であるが、卯辰山が開かれたとき、子供たちが沢山来るように、との思いも込めての名前だという。卯辰山に登る坂、子来坂と観音坂(女坂)帰厚坂はだいたい同じところに出る。坂としては、帰厚坂と子来坂は同じ頃に作られたようだ。

それにしても、子供が来る、とはまた良い名前である。
私が最初に訪れたとき、丁度ボーイスカウトの子供たちが坂を登っているところだった。坂を作った人々が思い浮かべていたのはこういう光景だろうか。
子供が坂を登る姿、にぎやかでよいものである。

なお、もともとは”こぎざか”と呼ぶが、いまは”こらいざか”とも呼ぶ。

偶然、ボースカウトの子供たちとであった。子供がたくさん登る子来坂。これが名前をつけた人たちの思い描いた光景に近いのだろうか。

坂の途中から。


階段併用部分を登る自動車。
階段は道の中央にあるが、幅は狭く、軽自動車でも十分通ることが出来る。
だけど・・・初めてだとちょっと戸惑うと思う。
階段併用部分。


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