第25号 1999年10月
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ホシヅルによるオープニング・アニメの後、司会として実行委員長の新井素子と井上雅彦が登場する。この会を起こすに至った思い入れなどが語られたが、発起人の小松左京が体調優れず来場ならなかったのは、返す返すも残念であった。
そして、柴野さんがホシヅル人形を手に、いかなる生物かを外国人相手に説明するため(本人曰く「アヤシゲな英語」で)悪戦苦闘しているモノクロ映像(お若い!)を皮切りに始まるは、メインのビデオ上映。題して「千一篇の夢」。
もはや伝説となっているSF作家クラブの東海村原発見学の映像や、パーティー、TV、ファンの集いなどで残された星さんの姿、そして親交のあった方たちによる証言(告発? 笑)インタビューなど。映像そのものは、1998年5月29日放映「驚きももの木20世紀」でのカットも多数使用していたために、必ずしも初見とは限らなかったけれど、たった数百人に一回見せるだけではモッタイないと思わせる、ナカナカの出来でした。
途中に挟まれた第1パネルでは、柴野拓美、野田昌宏、豊田有恒という第一世代の面々が登壇(司会/巽孝之)。会場の関心は“星語録”に集中したが(笑)、極端に限られた短い時間という悪条件に輪を掛け、その内容から自主規制(!?)が働き、聞いてるこっちはまさにお預け状態。いやしかし、さすが一緒にバカ話をしていた方たち。出るは出るは…(笑)。
野田さんが、例の《キャプテン・フューチャー》を翻訳出版した時のエピソードを持ち出した途端、ウ〜ンと頭を抱えた柴野さんが実に微笑ましかったことは、みんなに内緒にしておこう(笑)。
この、まことしやかに語り継がれる“星語録”というシロモノ、ぼくも実在を信じかけたことがあったが(オイオイ)、「探しても見つからないから、自分で作った方が早いのでは…」と、本当に作ってしまった人が世の中にいる。
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内容はむしろ星作品の名言・金言集であるが、この『星新一語録』(1973年)を発行した人物こそは、後にファンクラブ「エヌ氏の会」を結成することとなる林敏夫である。『星新一語録』から「エヌ氏の会」を経て続いた、直接の交流の経緯については、〈小説新潮〉98年3月号に寄せた林敏夫の追悼文でも語られている所である。
さて会場の方は、永井豪、江口寿史、吉田戦車、萩尾望都、大友克洋、小松左京(!)他、超豪華な顔ぶれによる、ホシヅル・イラストギャラリー「ホシヅルがいっぱい!!」を上映。パンフレットにも掲載されているが、大画面で動きがあるし、しかもカラーなのだ!
続いては、岡本忠成が「花とひみつ」を映画化した、『花ともぐら』の上映がなされました。人形劇による14分の短篇で、とても可愛くて秀逸。第22回ベネチア国際映画祭銀賞受賞を始めとする、数々の受賞歴を誇るだけあり、30年以上前の作品ながら楽しめました。
また星新一にまつわるビデオが流された後、高井信、大原まり子、新井素子、太田忠司、江坂遊、井上雅彦という“星新一の子供たち”による第2パネルがスタート(司会/星敬)。高井信は筋金入りの星ファン上がり。大原まり子もヴォクトなどの海外SF以前に、星作品を愛読したという。新井素子は言わずと知れた「奇想天外新人賞」で、ただひとり星新一が激賞してデビュー。太田忠司、江坂遊、井上雅彦の3人は、共に星が選者を務めた「星新一ショートショート・コンテスト」出身者。という訳で、新たな才能を発掘・指導した、育成者としての星像が語られた。
今日の「ホシヅルの日」というイベント自体が、これだけの内容を盛り込みながら、たった2時間のスケジュールだったことからも想像出来るように、パネルに充てられた時間は余りにも短い。しかし“子供たち”の気持ちは、ショートショート・コンテスト出身作家による追悼作品集、『ホシ計画』(廣済堂文庫99年)からも十分に伺うことが可能であろう。
そして新井&井上両司会により、いよいよ星新一ショート・ショートベスト3が発表されることに。これは参加登録する際に記入した、来場各人のベスト1アンケートを集計したもので、対象作品の膨大さと平均点の高さから大混戦を強いられた。では結果発表! 3位「午後の恐竜」(6票)/2位「ボッコちゃん」(11票)/1位「おーい でてこーい」(26票)でした。
順当な結果ではあるが、〈宇宙塵〉1958年8月号(15号)初出という最初期作がファンの選んだショートショート第1位ということは、やはり作家星新一にとって、複雑な部分もあるのだろうか。
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発表後、女優の市毛良枝が「おーい でてこーい」を朗読。バックの画面に流れる、しりあがり寿の絵がとてもイイ味出していて、雰囲気良し。これはかなりお得かも。
エンディング・ビデオにて全行程終了。もしも第2、第3の「ホシヅルの日」が続くのであれば、ゼヒゼヒ馳せ参じようゾ!
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これは「ミステリマガジン」に掲載されていたミステリ・ショートショートである。著者はやはりミステリがとてもお好きで(子供の頃、ホームズとヒッチコック劇場で育ったそうな)いろんな有名ミステリから題材をとったパロディコミックになっている。いかにも彼女らしい、ツボをついたお間抜けさ(笑)に、読みながら思わずニヤリとしてしまう。
私のようなミステリに薄い者にはわからないネタもあるのだが、それでも十分楽しめる一冊。
あとがきそれはある晩、突然やって来た。ついにやってしまいました、パソコンクラッシュ!(涙)。おかげでネットはできないわ、この銀河通信は作れないわというひどい目に。決して、発行が延びた言い訳ではないですよ!(安田ママ) |