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男女共同参画を促進する条例の継続に反対する討論

2002.10.15 

 議案第6号男女共同参画を促進する条例に全面的に賛成し、この条例が継続になったことに反対の立場から、討論を行ないます。

 この条例は沼田知事時代の平成13年3月に条例専門部会が発足、今年6月まで、11回、議事録を完全公開し、104名の融資記者団対等からのアンケート、県民意見陳述を受け13年12月には中間とりまとめを発表、県民説明会4ヶ所を開催、意見募集434件、会議公開では傍聴者212人、14年7月には骨格の発表、骨格のシンポジウムを3箇所で開催、9月3日には条例案が男女共同参画推進議連に未定稿として示され、11日には各会派に説明されました。男女共同参画推進議連でも学習会を重ね、度重なる説明を受けたことは周知の事実です。それに対し、突然上程され周知の時間が足りない、もっと時間をかけて審議すべきという理由などで継続とされることは疑問です。また、過去に執行部から提案された条例が継続になったことは一度もありません。

 また、上程前に自民党会派より、4項目の削除修正要求があり、入札資格審査の条文全体が削除されたことは残念でなりません。育児休業法があるにもかかわらず、男性はその取得率0.42%、また、育児休暇を取らなかった理由について、女性、男性とも職場の雰囲気や職場での理解が得られないとしており、制度はあってもそれを生かせない職場の状況を示しています。しかも、この項目は、そういう事業者を入札から排除するためのものではなく、きちんと法で定められたことを実施しているかどうかを問うものであり、企業としての社会的責任を果たそうとする事業者を応援するものです。障害者雇用やISOの環境規格と同じように、なんら突出したものではありません。 
 県庁は巨大なサービス産業でもあり、また、巨大な消費者でもあります。どういう事業者であって欲しいかということについて、希望を述べるのは消費者の権利でもあり、企業が社会的責任を果たすよう促して望ましい社会づくりに貢献するのは当然のことです。

 また、同じく削除された家族経営協定は収入の分配に関するものに限らず、家事分担や育児介護の分担を決めたものであったり、休日の確保を決めたものであったりということで家族ごとの、いろいろな家族経営協定があります。千葉県は第2位の農業県ですが、家族経営協定数では、全国18位となっています。後継者を育て、持続可能な農業を推進していくための1つの手段でもあり、条例の中の 「千葉らしさ」の部分でもありました。また条例専門部会にはJAなど農業女性の代表も参加されての項目であったことからもその文言が削除されたことは残念です。

 更に削除要求のあった16条、(個性及び能力が発揮される教育活動等の促進)における、「性別にかかわらず」ですが、これは男女共同参画基本法の中心理念であり、そこをなくしては条例の意味はありません。
 バブル崩壊後の日本社会は中高年男性の自殺が非常に多く、男性が仕事をして家族を養わなければという強い責任感が男性を追い詰めていることがわかります。一方で、パートなどで働くシングルマザーは仕事の掛け持ちをして長時間働いても年収200万程度、長年連れ添っても離婚した妻には厚生年金の権利もなく本当に厳しい状況となりました。
 男らしさ女らしさの考え方が個人の可能性を制限するような影響を与えることは社会全体にとってマイナスです。男性も女性も性別に関わらず自分の可能性を延ばすことができ、ともに働き、ともに子育てや介護、そして地域生活を楽しめるそんな社会を多くの県民は望んでいると思います。基本理念にもあるように共同参画を阻害する制度や慣行に気づいていくための教育は何よりも大切と考えます。

 また、17条は男女が性や妊娠など自分の体や健康に大切な正しい知識を得るための性教育を充実させることをうたった部分です。性教育は生きることを学ぶ教育であり、自己を尊重し、男女の対等な関係や人権の尊重を互いに学ぶために必要な教育です。DVの増加、若者の中絶の増加、児童ポルノの氾濫、スポーツ紙のヘアヌード写真などを平気で電車の中で広げる無神経な日本社会の現状を考える時、男女の人権を尊重する正しい性教育の充実が緊急の課題であると思います。若年の中絶はその人の将来に大きな影を落とすことになります。中絶による体とこころへの苦しみを経験するのは生物学的に言って当然女性であり、だからこそ女性が自分のからだとこころを尊重され、その自己決定権が尊重される社会にしなければなりません。何故当然としか思えないこの文言がそれほどまでに強く削除要求されるのかと疑問に思っていましたが、議論の中で、中絶を選択する際、女性だけで決定するのは夫の同意を求めている母体保護法に違反するのではないかというご意見がありました。幸せなカップルにおいて子どもを産むことや育て方について、相談し合うのは当然のことです。また、不幸にも、中絶を選択することしかできないときにも心の傷を癒せるのは夫でありましょう。この17条はそうしたことに限定せず、健康の権利、そのための自己決定について、書いたものであると思います。また、もちろん、中絶についてのことを除外しているわけではありません。質問中にもありましたように世界女性会議の会議場で、つねに共同文書に異議を唱え、女性のリプロダクティブヘルツアンドライツ、性と生殖に関する自己決定権に反対したのは、イスラム教とキリスト教の原理主義的な諸国のみでした。その他の先進諸国、アジアでも、ヨーロッパでも、アメリカ大陸でもこの2つ以外はすべてこの部分を支持していました。全ての国が同意できる行動綱領を作るにはこれらの国への譲歩が必要となり、いわゆる括弧つきの合意事項となったものです。今回の県議会をイスラムとバチカンの政府代表が見たら、チバケンは自分たちと同じ意見だと心強く思うでありましょう。勿論幸いにもこの文言に日本政府代表は異議をとなえておりません。

 他の都道府県では問題なく制定された条例がこれほどまでに攻撃され、ずたずたにされようとしていることに憤りを覚えます。自民党の中にもこのままの条例でいいと思うと言われる方を何人も存じ上げているだけに、今回のこの動きは大きなショックでもありました。しかし、多分このことは自民党という政党の基本姿勢に直結していることを示していると思います。このことを県民は決して忘れてはならないと思います。

 また、代表質問のなかで、条例ネットワークの事務局を引き受けている1市民の名前を本会議場で明らかにし、しかもその人の所属している団体名を出されたことは人権への配慮に欠けることだと申し上げなければなりません。議事録を調べましたが、過去批判的な文脈の中で一般市民の名前が出されたことはありません。また、条例ネットが各議員にアンケートを取ったことはとんでもないとのことですが、力や財源のない市民運動では、議員の考えをアンケートで聞くというのはごくありふれた手法であり有権者としての知る権利でもあります。恫喝などではありません。公開討論会なども必ず行なわれるようになった昨今、議員は説明責任を有していることは申し上げるまでもないことです。 

 また、2回目の質問でこの条例を推進しているのは狂信的な人たちという発言もありましたが、この条例はいうまでもなく、堂本知事が多くの県民とともに情報を完全に公開しながら推進しておられるものであり、そのまま受け止めれば知事が狂信的であるということになり問題発言です。

 以上の理由により、継続に反対し、今議会で、上程されたままのかたちで、採択されるよう強く求めて討論を終わります。

 

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