反 対 討 論
2002.12.17
継続議案第6号:男女共同参画の促進に関する条例が再び継続になったことに対し、また、請願第156号はじめ促進条例を無修正で成立させてほしいという10本の請願が、不採択あるいは継続となったことに対して、また、請願第152号:5倍に近い1票の格差を是正するための県議会議員の定数是正を求める請願が不採択になったことに対して委員長報告に反対の立場から討論を行ないます。
まず請願第152号:5倍に近い1票の格差を是正するための県議会議員の定数是正を求める請願について申し上げます。その請願文には以下のように書かれております。
民主主義の基本理念を定めた日本国憲法の投票価値の平等に立ち戻るまでもなく、一票の格差は可能な限り一対一に近づけなければなりません。都市部、農村部、人口密集地域、過疎地域など地域性を考慮しても最大2倍までとするのが一般県民の常識であり議会制民主主義の基本です。と。
2000年の国勢調査結果によれば、千葉県議会の定数配分による一票の格差は千葉市緑区と海上郡の間では4.63倍あり、千葉市緑区と2倍以上の格差のある選挙区は18選挙区に及びます。これ以上の放置は許されない状態にあり、県議会議員選挙を来年に控え、議会は県民に対しすすんで是正する義務があります。
しかし、議会の定数是正のための協議会では、市町村合併を理由に先送りとすることが数の力で議決されようとしています。4年毎の選挙の実施前に格差を是正し、県民の意思が等しく反映できる県議会をつくることは最優先すべき課題です。市町村合併は何ら一票の格差を放置する理由にはなりません。このままでは、議会の怠慢が指摘され県民の議会への不信感を増すことが強く危惧されます。言い換えれば、議会が県民の常識が通じる場かどうかが問われているのです。千葉市緑区などの県民に対し異常に低い一票の価値を放置することを誰が説得力を持って説明できるでしょうか。
以上の立場から、「千葉県政への平等な県民参加をめざす会」が提出した「5倍に近い1票の格差を是正するための県議会議員の定数是正を求める請願」の採択を強く求めます。
続いて男女共同参画の促進に関する条例ですが、9月議会において千葉県ではじめて、知事が提出した条例案が継続となりました。なぜ、継続にしたかについてその理由は9月議会最終日、自民党を代表しての討論の中で述べられております。しかし、1年半もかけて県民が意見を述べ、シンポジウムや説明会に参加、条例専門部会の議事録も完全公開されて作られた条例を突然上程されたなどと事実をゆがめ、男女共同参画社会に大賛成といいながら、基本法の理念である『性別にかかわりなく』は過激なジェンダーフリー思想、『自らの意志で決定できるよう』という部分はこの条例の中心で『いわゆる性の自己決定権』と述べながら、どうしていけないのかについては全く述べられていません。男だから女だからということに必要以上にとらわれないという意味のジェンダーフリーが過激な思想などでない事は女性学や社会学の研究者や専門家に聞けば、はっきりわかることです。12月議会の質問における知事答弁でも丁寧に説明されたとおりです。その他、第1条目的について、行政機関が個人の内心の領域に踏み込む恐れがあることと述べておられますが、様々な条例において《目的》部分はこれとほとんど同じような文言になっており、たとえば、千葉県の環境基本条例では、男女共同参画に変わって環境保全のために県、事業者県民の責務を定めという同様の構成になっており、なぜ、環境保全なら問題なく、男女共同参画なら内心に踏み込むことになるのかわかりません。他の都道府県や市町村の条例においても大体似たような文章構成が多く、それらがすべて問題だとおっしゃっているのでしょうか。
目的だけでなく、定義、基本理念など最もこの条例の中心部分であり基本法に基づく部分についての解釈も、あまりにも結果の平等を追求する内容とか、権利について、安易に記述しているなど、何故そうなるのかと疑問を持たざるを得ません。これら国の基本法の理念である部分に反対されているということは基本法に反対ということなのでしょうか。
12月議会には、上程されているこの条例案を成立させるべきという請願10本をはじめ陳情や要請書、要望書、市町村議会の意見書もあわせ過去最高の100件を超えて寄せられたときいております。千葉大学の先生などを中心に数百人の名前を連ねたものや、産婦人科の医師の連名による要望書もあったと聞いています。これら実際の若者たちを見ている人たちや中絶やそれに伴う問題などに詳しい専門家の意見をすべて無視して、再び条例を継続とし、新聞報道によれば、2月議会に自民党独自案を出すべく、専門家を入れた検討会議を作る方針とのことですがとんでもないことだと思います。まず、1年半もかけた原案を審議の時間が足りないとして継続にされたわけですから、これから作って(情報公開して、県民参加の機会を設け、)僅か2ヶ月くらいで上程することに道理はありません。さらに女性議員が一人もいない自民党がDV条例まで考えておられるとも聞いていますが、DV被害女性たちとその支援をしてきた人たちも声を寄せ、共に作った千葉県条例にはDV対策が十分にもりこまれ、全国で初めて子どもをその対象にした画期的なものでした。その条例を無視することは傷つきながらも自立していこうとして、体験などを語った被害女性たちへの敬意を欠いた態度です。
また、1年半という時間と現在の日本で最も優れた専門的立場の条例専門部会の委員と400件以上も意見を寄せ、4ヶ所のシンポジウム会場に自主的に集まった県民への敬意も欠いている態度であると思います。
女性や障害のある人の人権問題をライフワークの1つとして基本法やDV防止法作成にもかかわった堂本知事の顔に泥を塗ることであることはいうまでもありません。
福祉の分野でも人権問題の分野でも今、当事者主体が原則となっています。被害を受けた人や障害のある当事者こそが本当の意味で専門家である、それらの人の声に耳を傾け、当事者に対する敬意を基本に施策が作られることが求められ地域福祉計画への当事者参加などが実践されているところです。日本を代表する政党である自民党は県議会でも圧倒的な数の議員を擁し、自民党が賛成しなければ何も決まらないのは事実です。そうであればあるほど、当事者である女性たちが期待をもって見守り、女性県議の会全員が賛成し、遠くから傍聴に駆けつけ、意見を述べた当事者たちへの謙虚さが必要だと思います。
ぜひ今議会で上程されている原案を成立させ、DV対策や職場における男女の働きやすい環境作りが1日も早く、一歩でも進むように一人一人が判断をして頂き、採択されるよう強く求めて討論を終わります。