岩橋百合の県議会レポート 2002年夏号 (2002年7月22日発行)
*自然豊かな環境施策の町で
環境自治体会議については、昨年も報告しましたが、今年は秋田県二ツ井町を会場に行なわれました。圧倒的な人の手の入らない東北の自然、白神山地のふもとにあり、東京都の杉並区から放置自転車を運んで、各公共施設に設置し自由に使えるようにしている自転車のまちづくり、秋田杉を使った町営住宅、日本一短い恋文コンテスト、積極的な環境施策で、知る人ぞ知る町です。 *リサイクルの負担はどこへ? 今回の分科会の中で、印象的だったのは、ペットボトルなどの容器について、平成12年から容器包装リサイクル法が完全施行され、札幌市がその法律によっていかに自治体の負担が増えたか、数字を挙げて発表したことです。容器包装リサイクル法では、ペットボトルなどの容器を自治体が回収し、分別し、指定工場までの運搬費も負担する、そして、メーカー協議会が作っているリサイクル工場に持ち込みます。一方メーカーは、その後の再利用のための経費を負担することになっていいます。その総合的な費用負担は自治体7対メーカー3といわれていて、大量生産、大量消費、大量廃棄が大量リサイクルに変わっただけのことなのか……と割り切れない思いをもちました。 *リサイクル法の見直しを そのことが今回議会にわたしが提出した『容器包装リサイクル法の見直しを求める意見書』につながりました。幸いすべての会派の賛同を得て、国に送られましたが、本当に環境のためのリサイクル法にするには、メーカーや利用者がきちんと負担を負うようにすることが必要です。自治体が税金で処理をすることはペットボトルを使う人も使わない人も同じ負担を強いられていることなのですから。
★ 若者の雇用とNPO支援を
イギリスに行った時、若者の雇用のため教育や起業支援をNPOが担っているのを見てきました。税制の違いがあり日本のNPO発展はまだこれからというところです。県では、フリーター・パートタイマーの意識調査、若者の雇用セミナーと合同面接会を予算化しました。今年の雇用支援は力が入っています。NPO立県を宣言している堂本知事ですから、雇用の受け皿となることができるNPOへと成長できるよう更なる支援を求めました。 ★ 精神障害者の福祉、医療の充実を 現代のストレス社会では誰でも精神疾患にかかる可能性があります。WHOによれば、その確率は25%ということです。千葉県は85年、幕張に精神科医療救急センターを開設、緊急時の対応や24時間電話相談など全国的にみて高いレベルにあります。しかし日本全体として世界の精神障害者福祉の流れである病院から地域へという動きは遅れがちであり、34万人の長期入院者の数は世界一、厚生省の調査でさえ、そのうちの7万人は退院可能であるにもかかわらず、地域の受け皿が無いため病院にとどまっているいわゆる社会的入院であるとのことです。そこで千葉県にも不足している地域生活支援センター、グループホームなどの充実を求めました。
★ 公共事業の見直しを 例年は夏から始まる来年度予算に向けた作業が今年は春から始まっています。知事はこれをスプリングレビューと呼んでいます。長年行なってきた継続事業全てを見直すもので、是非進めて欲しいと思います。しかし、これには国直轄の大型公共事業(八ッ場ダム、圏央道、首都圏第3空港、第2湾岸道路、湾口道路など)は含まれません。しかし、これらの事業には大きな県負担が伴います。たとえば、八ッ場ダムでは全体費用五千億円千葉県負担一千億円ともいわれています(正確には事業が確定し完成しないと負担額は確定しません)。こういうものも県として見直すことは必要です。 ★ホームレス自立支援 ★男女が共に子育て、仕事、地域生活などができる男女共同参画社会をめざした実効性のある条例を! ★農村総合整備事業にからんで一人の農業者がその土地をすべて失いました。県はこの事業を補助事業として認定した責任として、調査すべきと求めましたが、町の問題であり県として調査するつもりはないというかたくなな答弁でした。昨年は私の質問に対し積極的な調査がされ、補助金返還がはじめてされたのですが、農林水産部長が変わった今年は積極的な答弁がなく残念でした。 ★市原の産廃自社処分場、炉の燃焼能力が実は規制値を越えたものでした。火災を何度も起こし、振動、煤煙など地域の被害は甚大、現在10月条例施行に向け規則が作られていますが今後このような事業者に厳正な対応をと求めました。
▼「あれもこれも」から「あれかこれか」へ 千葉県では来年度予算策定に向けて、すでに春からすべての継続事業をゼロから見直しを始めました。スプリングレビューと名づけ、行政がやるべきこと、民間に引き受けてもらうこと、NPOや市民にやってもらうべきことの選別をする行政システム改革の上にたち、これまでの継続事業を見直すことで目指しているのはいうまでもなく、財政改革です。 ▼千葉県の財政状況 千葉県の1年間の予算は平成14年度で1兆6570億円。県税収入は6220億円と見込まれています。県税収入の主な部分を占める法人県民税と法人事業税は平成元年の2392億円から、平成14年には1294億円へと半減しています。一方、人件費、社会保障費、公債費(県債の返済額)等の義務的経費は着実に増加、平成元年5408億円が平成14年には、6051億円となっています。県税のほとんどが義務的な支出に使われ、新たな事業を行なうには県債という名の借金しかないということはこの数字を見ても明らかです。 ▼財政再建団体転落防止プログラム これまでも財政再建のプログラムは実行されてきましたが、結果的には従来の県政運営を続けていたら、平成15年から17年までで3300億円の赤字が生じるという計算もあります。実際今年の予算編成後にも、収入325億円の予定が立っておらず、苦しいやりくりをしても最終的に必要な事業が執行できない可能性があります。 ▼市民派の知事にしか出来ない 堂本さんは血清研究所を廃止、三番瀬埋め立ても予算を拒否、これからいよいよ、財政の立て直しを推し進めようとしています。公社等外郭団体の経営調査を今年度中に終え、整理統合へ、出資団体の情報公開実現と強力な下準備をしてきました。企業庁など役目を終えた部局の整理、ダム事業などの見直し、千葉県にふさわしい超過課税・外形標準課税の研究なども緊急の課題です。抵抗は強いと思いますが、市民派知事の強みを生かして誰に遠慮することなく改革を進めてほしいと思っています。 経済の活性化をどう進めるか 〜ネットに課せられた宿題?〜
小林良彰さんという政治学者の方から、既存政党が制度疲労してきているが、地域政党としてのネットに期待している、しかし税収が、国・地方合わせ80兆円くらいの日本で700兆円の負債を抱えている現状、産業が外国に移転し、税収も増えない、このことをどう解決するのかみなさんにはその答えが求められているといわれました。 田中知事を支持します 田中長野県知事は昨年“脱ダム宣言”後、県議会の反発を受け、県議会議員も入れた検討委員会を設置、その委員会が論議の末「ダムは造らない」と結論を出し、それを受けて、知事はダムを作らないと再度宣言しました。公共事業チェックを求めるNGO代表天野礼子さんは『このように手順をきちんと踏んでいる場合は国からの補助金を返さなくてよいという通達が橋本総理時代の1998年に出ており、長野県は補助金を返すことなしにダムを止めることができた。それは前知事らの公共事業推進で借金だらけになった長野県議会にとってはむしろ歓迎しこそすれ、知事を“不信任”することではなかった』と書いています。マスコミはもっとこういう基本的事実を伝えるべきです。田中知事を支持します。 |
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