何故、「不正乗車」のことをキセルと云うのか?

◆キセルの語源(1998/4/28)
     「何故、「不正乗車」のことをキセルと云うのか?」この疑問に対して、多数の情報をいただきました。また、本件につきましては、みのうらさんサイトゲストブックに掲示された情報も、参考にさせていただきました。みなさまありがとうございます。

     さて、今回集まった情報でありますが、大きく2つの説に分けることができそうです。

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    ■その1「煙管(キセル)の両端が、金で出来ている点に由来する」説
     例えば、下忍さんの説がこれに該当します。

      下忍さん/兄貴的独白(1998/12/5)より
      最初と最後の駅(もしくは一区間分)の入場料(もしくは乗車賃)だけ払い、その間の区間の料金を誤魔化す不正乗車を、両端が金具で真ん中が竹で出来てい煙管(キセル)に見立てて言うようになったんだそうです。ようするに、両端だけ金(を使う)っちうことね。
     ※ほぼ同様の説を、おっさんさん(メールにて)、海法さん、Ludens@古川さん、神無月久音さん(以上、みのうらさんサイトゲストブックにて)、むらたけさん(くるくるくりりん掲示板にて)が揚げていらっしゃいます。

     ※参考:その1の立場を取っているページ→主として日本語の語源に関する議論

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    ■その2「煙管(キセル)の軸部分が、空洞になっている点に由来する」説
     みのうらさんが聞いた説が、これに該当するでしょうか。

      みのうらさん/風虎日記(1999/4/19)より
       ちなみに「何故、「不正乗車」のことをキセルと云うのか?」については、中が空洞だから、と聞いた覚えあり。
     ※syoさん(くるくるくりりん掲示板にて)が、これと同じ説を揚げていらっしゃいます。
     ※参考:その2の立場を取ってるページ→今日の雑学

     うむむ。両端が「金」であることがポイントなのか、間が「空洞」であることがポイントなのか。どちらも説得力ありますね。

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     また、関連情報として、「キセル」以外にも「無賃乗車」を表す言葉が存在するというお話をいただきました。

      松虫さん/とぜんそう(1998/12/6)より
      (略)ちなみに無賃乗車のことは「薩摩守(さつまのかみ)」とも呼びます。
      蓼沼純一さん/みのうらさんサイトゲストブックより
      昔、「キセル」と並んで「薩摩守(さつまのかみ)」と
      呼び慣らされていたというオボロゲな記憶があります。
     色々な表現があるものですね。

     やがもんさん(みのうらさんサイトゲストブックにて)によると、これは平家物語に登場する「平忠度(たいらの・ただのり)」に由来するものだそうです。平忠度が「薩摩守」という役職に就いていたということでしょうか?(その後に見つけたページ「キセル乗車と薩摩守」によると、どうやらそれで正解みたいです。また、乗車経路の内、中間部分の料金を誤魔化すことを表す「キセル」に対し、「薩摩守」は無賃乗車全般を表す言葉であることも書かれていました。なるほど、単に「ただ乗り」ですものね)

◆松虫さんからの情報(1999/5/20)
     松虫さんから、さらに詳しい情報を戴きました。ご紹介いたします。
    キセルと薩摩守 投稿者:松楓庵
    投稿日:05月03日(月)20時57分10秒
    「世の中謎だらけ」に名前が出ましたので、ちょっとおじゃまします。
    表記の件、広辞苑第五版では以下のようになってます。ご参考に。
    「薩摩守」はなんだか平家物語よりもこの狂言の方で浸透したような
    気がしますね。

    キセル‐のり【煙管乗り】
    (キセルは両端にだけ金属を使っているところから)
    乗降車駅付近だけの乗車券を持って、
    乗車区間の途中をただにする不正行為。キセル。

    さつま‐の‐かみ【薩摩守】
    (薩摩守平忠度ただのりを「ただ乗り」に掛けたしゃれ)
    (1)狂言の一。「船賃は」と問われて「薩摩守」と答えた旅僧が、
    「その心は」と問われて「忠度」と答えられず、
    無賃渡河に失敗する。
    (2)車・船などに無賃で乗ること。また、その人。

    くるくるくりりん掲示板(1998/5/3)より

     ありがとうございました。「広辞苑」をあたれば簡単にわかることでありましたか。「新明解」クラスの国語辞典に載ってないからって、簡単に調査を休止しちゃいかんですね。反省です。

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