※以下は、パソコン通信PC−VANのSIG「SFデータボックス」に掲示した文章です。掲示板上でのやりとりの中から、私のメッセージだけを抜き出しているため、些か解りにくい部分もあるかと思います。ご容赦下さい。

■ウルトラセブン>欠番12話(97/ 3/27)
 初めからそんなものは存在しなかったかのような、あの扱いが気持ち悪い。

 先日発売された、ひし美ゆり子(アンヌ)さんの自伝でも12話についてのみ何も触れられていない。セブンに関わった個々人に例え書き記したい思い出があったとしても、存在しないと円谷が決めた以上、触れてはならないのだろうか。それとも個々人が自主規制しているのだろうか。

■ウルトラセブン>欠番12話星人、その姿(97/ 3/28)
 初期ウルトラシリーズの怪獣デザインを担当した成田亨氏の画集に、欠番12話関係のコメントが掲載されています。滅多に出てくることのない関係者のコメント(私が知らないだけか?)、ちょっと引用してみましょう。
●スペル星人
 真白い服にケロイドをつけてくれないかというのが、演出の実相寺昭雄氏からの注文でした。これはウルトラ怪獣に対する私の姿勢に反するのでやりたくありませんでした。私はろくにデザインも描かず高山さんに白いシャツとズボン、それにマスクを作って下さい。出来たら適当にケロイドをつけてくれと実相寺氏の注文通りに依頼したら、高山さんが「そんなものでいいんですか?」とあきれて言ったのを憶えています。
(ウルトラセブン・第12話「遊星より愛をこめて」)

出典 :成田亨画集 ウルトラ怪獣デザイン編(P97)
著者 :成田亨
発行所:株式会社 朝日ソノラマ

 セブンをリアルタイムに観ることが出来なかった私が、初めて知った欠番12話星人の「姿」に関する情報がこれでした。コメントを読みながら、いったいどんな姿なのだろうと想像を膨らませたものです。そして画集を手にして十余年、いまだこれ以上の情報を入手していません。

 その姿を拝む日は、訪れるのだろうか……。

 みなさんの頭の中にはどんな姿が思い浮かびましたか?


追記 因みにこの画集にはスペル星人のデザインは載っていません。つうか、成田氏のコメントにあるようにまともなデザイン画自体が存在しないんでしょうね。

■ウルトラセブン>欠番12話と朝日新聞縮刷版(97/ 3/29)
 図書館に行って、朝日新聞縮刷版を調べたところ、3つの程記事が見つかりました。とりあえず見出しのみご報告いたします。

S45/10/10(土) 23頁 被爆者の怪獣マンガ 
             小学館の「小学二年生」に掲載
             「残酷」と中学生が指摘
          絶対に許せない
             原爆文献を読む会の会員 長岡弘芳さんの話

S45/10/13(火) 23頁 秋田書店でも被爆怪獣
             広島被団協と原水禁が抗議

S45/10/15(木) 23頁 「被爆怪獣マンガは不注意だった」
             小学館があやまる

詳細についてはまた後日。

■ウルトラセブン>12話とみえない力(97/ 4/ 2)
 特撮関連のHPを覗いていて見つけた情報。(こちらです→http://www.alles.or.jp/~tsuyama/monster.htm)

 「映画宝島・怪獣学 入門!」に掲載されていた12話関連の記事は、第二版以降差し替えられているそうです。HPの記述からは、全面差し替えなのかどうかまでは知ることはできませんでしたが、少なくとも差し替えによって、事件の詳細を読むことができなくなった模様です。

 差し替えの実態を確認できるかたいらっしゃいませんか?
せめて最新版だけでも手に入れようと思ったのですが、宝島社にさえ在庫がない状況らしく、ちと調査が困難な状況です。

 因みに、宝島社の方に問い合わせたところ、「大きな差し替えは行っていないはず」という答えが返ってきました。編集の人がいなかったので、詳細はわからなかったんですが……。

 差し替えが事実ならば……、何か圧力でもかかったのかな?

■12話>怪獣ウルトラ図鑑の解説(97/ 4/ 5)
は、ちょっとオリジナルと違うような気がします。
 私は12話を見たことがありませんので、断定することは出来ないのですが、手持ちの資料と食い違っているのが些か気になります。

 「怪獣学・入門!」によると(私、初版本持ってました(汗)。本棚漁ったら奧から出てきた。)、12話は「核兵器全廃を成し遂げた地球」が舞台となる話です。だから、地球人が打ち上げた核爆弾によって、スペル星人が被爆したという話だと、物語の基本設定と矛盾してしまいます。

 因みに私が聞いた話では、「スペル星の狂った科学者が行った核実験によって、星ごと被爆した」ということになっておりました。

 実際は、どんな物語だったのでしょうね。

 「怪獣学・入門!」から幾つかヒントになりそうな、記述を拾ってみましょう。

・原爆の悲劇を忘れ去った人々は、娘たちの命を奪った宇宙人を無思慮に憎む(「ヌーヴェルバーグは特撮に実を結んだ」まるたしょうぞう氏/94頁)

・×××星人は地球の女性と愛し合う「人間」として描かれているのだ。(「幻の12話を20年間追い続けた男」編集部/208頁)


 さて、話は変わりまして、大伴昇司著『写真で見る世界シリーズ:カラー版 怪獣ウルトラ図鑑』(1969年7月15日発行の第10版。380円。秋田書店)について。
 どうやらこの本も当時糾弾の対象となっていたようです。昭和45年10月13日付の朝日新聞によると、同月12日に”広島県原爆被害者団体協議会”と”原水禁日本国民会議”が小学館と共に秋田書店に対しても抗議することを決定しています。円谷プロに対しても、”広島県原爆被害者団体協議会”から抗議と謝罪要求が行われているようです。

追記.45年10月っていったら、第二次ウルトラブームがはじまったころでしょ。ウルトラファイトの放送が始まったのが同年9月。帰ってきたウルトラマンの製作決定がその年の暮れ。ブームを潰さぬために、円谷プロは敢えて折れたのではないかという気もする。

■ウルトラセブン12話>別冊宝島編集部の回答(97/ 4/15)
 先日の定例OLTで、「映画宝島・怪獣学 入門!」第二版に関する情報をいただきました。やはり12話関連の記事は全て差し替えられているようです。

 とりあえずこれで問い合わせにあたっての最低限の材料がそろいましたので(初版本も見ることができましたし)、本日別冊宝島編集部に再度電話を入れて参りました!

 で、返ってきた答えがこれ。

【担当者が退社してアメリカに行ってしまったので、何も分からない】

 …………どひゃあ。

 差し替え経緯については、何も資料が残っていないそうです。
 そ、そんなもんなんでしょうか、出版社って。