アスピリンが有効とされる疾患と最小有効投与量(循環器系)
抗血小板作用を期待したアスピリンの投与量は、メタ解析の結果からは75〜150mg/日が適量として推奨されていますが、各種ガイドラインでは325mg/日が上限とされているものも多く、日本でも1日投与量として324mgまで承認されています。
疾患名 | 最小有効投与量(mg/日) |
安定狭心症 | 75 |
不安定狭心症 | 75 |
急性心筋梗塞 | 160 |
一過性脳虚血、小梗塞 | 50 |
急性脳梗塞 | 160 |
アスピリンジレンマ
アスピリンは、アラキドン酸カスケードに関与するシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し、アラキドン酸からPGG
2が作られるのを抑制します。その後PGG
2は、PGH
2となり、PGH
2はTXA
2やPGI
2、PGE
2などに代謝されていきます。
アスピリンはアラキドン酸からPGG
2への代謝に関与するCOXを阻害することにより、トロキボンサン(TXA
2)の生成を抑止し抗血小板作用を示すと同時に、プロスタサイクリン(PGI
2)の生成も抑制するため、血小板凝集抑制及び血管拡張作用も示します。
このとき、少量ではTXA 2の作用が抑制され、抗血小板作用が現れますが、大量投与ではPGI 2の作用が抑制され血小板凝集が生じやすくなってしまいます。
これは、アスピリンが血小板のCOXに対する親和性が、血管内皮細胞のCOXに対する親和性よりはるかに高いため、低用量では血小板のCOXのみが阻害され、TXA 2の生成が抑制され血小板抑制効果が発現します。しかし、高用量になると血管内皮細胞のCOXも阻害されるため、PGI 2の生成が抑制され血小板凝集促進作用が発現してくるようになります。
COX阻害作用の持続は、核のない血小板では、アスピリンによってCOXが不可逆的に阻害されるため、その血小板が存在する限り続くため、アスピリン投与後、血小板の寿命である7〜10日間は持続するようになります。
PGG2の主な代謝物 | 作用 | 産生細胞 |
TXA2 | 血小板凝集、血管収縮 | 血小板 |
PGI2 | 血小板凝集抑制、血管拡張 | 血管内皮細胞 |
PGE2 | 炎症、発熱、発痛に関与 |
このとき、少量ではTXA 2の作用が抑制され、抗血小板作用が現れますが、大量投与ではPGI 2の作用が抑制され血小板凝集が生じやすくなってしまいます。
これは、アスピリンが血小板のCOXに対する親和性が、血管内皮細胞のCOXに対する親和性よりはるかに高いため、低用量では血小板のCOXのみが阻害され、TXA 2の生成が抑制され血小板抑制効果が発現します。しかし、高用量になると血管内皮細胞のCOXも阻害されるため、PGI 2の生成が抑制され血小板凝集促進作用が発現してくるようになります。
COX阻害作用の持続は、核のない血小板では、アスピリンによってCOXが不可逆的に阻害されるため、その血小板が存在する限り続くため、アスピリン投与後、血小板の寿命である7〜10日間は持続するようになります。