骨粗鬆症治療薬の推奨グレード一覧表
分類 | 商品名 | 一般名 | 作用機序 | 骨密度 | 椎体骨折 | 非椎体骨折 | 大腿骨近位部骨折 |
カルシウム製剤 |
アスパラCA |
L‐アスパラギン酸カルシウム | カルシウム補給 | C | C | C | C |
リン酸水素カルシウム | リン酸水素カルシウム | C | C | C | C | ||
活性型ビタミンD3製剤 | アルファロール ワンアルファ |
アルファカルシドール | 腸管からのカルシウム吸収増加 | B | B | B | C |
ロカルトロール | カルシトリオール | B | B | B | C | ||
エディロール | エルデカルシトール | A | A | B | C | ||
ビタミンK2製剤 | グラケー | メナテトレノン | 骨形成促進 | B | B | B | C |
副甲状腺ホルモン(PTH) | フォルテオ | テリパラチド | A | A | A | C | |
ビスホスホネート製剤 | ダイドロネル | エチドロン酸 |
骨吸収抑制 | A | B | C | C |
アレンドロン酸 | フォサマック ボナロン |
A | A | A | A | ||
アクトネル ベネット |
リセドロン酸 |
A | A | A | A | ||
ボノテオ リカルボン |
ミノドロン酸 |
A | A | C | C | ||
選択的エストロゲン受容体 モジュレーター(SERM) |
エビスタ | ラロキシフェン |
A | A | B | C | |
ビビアント | バゼドキシフェン |
A | A | B | C | ||
イプリフラボン | オステン | イプリフラボン |
C | C | C | C | |
カルシトニン製剤 | エルシトニン | エルカトニン |
B | B | C | C | |
エストロゲン製剤 | ジュリナ | エストラジオール |
A | A | A | A |
グレードA:強く行うよう勧められる
グレードB:行うよう勧められる
グレードC:行うよう勧められるだけの根拠が明確ではない
骨粗鬆症薬の特徴
活性型ビタミンD3製剤
小腸のビタミンD受容体に働くことでカルシウム吸収を促進する。
ビタミンK2製剤
骨芽細胞に直接作用し、骨基質蛋白質であるオステオカルシンのγ-カルボキシグルタミン酸残基を生成(Gla化)すると共に、骨形成を促進することにより骨代謝回転を高める。同時に骨吸収を抑制し、骨粗鬆症の骨代謝の不均衡を改善し、骨量の維持作用を示す.
副甲状腺ホルモン(PTH)
骨芽細胞の分化の促進とアポトーシスを抑制することにより、骨形成に直接関与する骨芽細胞が破骨細胞を上回って活性化され、骨形成を促進する。
ビスホスホネート製剤
破骨細胞内のメバロン酸代謝経路においてファルネシルピロリン酸(FPP)合成酵素を阻害し、破骨細胞の骨吸収機能を抑制することにより、骨代謝回転を低下させる。
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
エストロゲン受容体と結合後、骨に対しては骨吸収抑制作用を発現する一方で、子宮や乳房に対しては、エストロゲン依存性腫瘍の増殖を抑える作用をもつ。
イプリフラボン
骨吸収を直接抑制する作用と、エストロゲンを介してカルシトニンの分泌を促進し、骨吸収を抑制する。また、骨芽細胞の増殖分化を促進する作用もあり、骨吸収と骨形成の両方に作用すると考えられている。
カルシトニン製剤
破骨細胞の働きを抑え、骨吸収を抑制して相対的に骨形成を亢進させることで、骨量を回復させる。骨量増加効果は、3カ月くらいで観察される。また、骨吸収抑制作用に加えて、顕著な鎮痛作用を有する。鎮痛効果は、骨改善作用よりも早い時期に現れるので、鎮痛効果は骨密度が回復したためではない可能性がある。
エストロゲン製剤
エストロゲン欠乏によって起こる骨量減少を、エストロゲンを補うことにより改善する。エストロゲンは骨吸収を抑制する。ただし、エストロゲンには乳がんなどの発がん性がある。
骨粗鬆症治療効果は確実にあるが、副作用の人種差要因が評価できないので推奨度が低い。