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 ●学校週5日制完全実施後の学童保育の土曜日開設に関する調査結果報告
 〜開設は62%、閉所は15%、未定は23%〜

 2002年4月から学校週5日制の完全実施により、毎週土曜日は学校休業日となります。新学習指導要領での教育課程、教科学習が年間70時間減るとともに「総合学習の時間」の新設など、学校教育が大きく変わります。学校で子どもたちはどのような授業や生活を送り、学童保育に帰ってくるのか。さまざまな問題や課題があります。
 同時に、共働き・母子・父子家庭の子どもたちの放課後(学校休業中は一日)の生活を保障する学童保育にとっては、学校休業日となる土曜日に学童保育が実施されるのか、指導員の体制や内容はどうなるのか、指導員または保護者に新たな負担がかからないのか等など、4月を直前に控えて保護者や指導員の間に不安が広がっています。
 そこで私たちは、4月からの土曜日開設の状況を把握し、何が問題となっているのか、どういう課題があるのかを調査しました。この調査結果をもとに、国や自治体に対して保護者や指導員の願い・要望を伝えていきたいと思っています。

1 調査の方法

2 回収結果

調査結果は以下の通り。

表1 学校5日制・学童保育の土曜日開設状況
  今回の調査結果
(2002/1)
1998年実態調査から
(1998/5)
回答市町村数 327市町村 1317市町村
第1・3土曜日は開設
      閉じている
   257
    70
  78.6%
  21.4%
    976
    341
74.1%
25.9%
第2・4土曜日は開設
      閉じている
    222
    105
  67.9%
  32.1%
    785
    530
59.6%
40.2%
完全実施後・開設する
      閉じる
      検討中・不明
    202
    48
    77
  61.8%
  14.7%
  23.5%


 


 
(注)私たちは、1998年5月現在の土曜日の開設状況についての調査を行っており、 その調査結果とも比較した。(1998年版『学童保育 実態調査のまとめ』より)

3 調査結果からの推計
 〜約7割の市町村が開設、閉じる市町村は約3割〜

○ 土曜日の開設予定の市町村は、61.8%であった。

○ 現在の時点で、まだ「検討中・不明」が23.5%あった。

○ 検討中・不明の内訳を見込みとして予測
 学校週5日制完全実施が3か月先という時点なので、4月からの開設がどうなるのか、まだ検討中や未定のところがあった。そこで、現在の時点で開設かどうかを決めている割合に按分して見込み数を出した結果は以下の表の通り。

表2 調査結果
現在の状況  4月からの予定 検討中・未定を開設の有無で按分
開設する 閉じる 検討中・未定 開設見込み 閉じる見込み
第1・3土曜日も第2・4土曜日も開設している 180 1 31 31 0
第1・3は開設しているが第2・4は閉じている 14 11 20 11 9
第1・3は閉じているが第2・4は開設している 4 1 5 4 1
第1・3土曜日も第2・4土曜日も閉じている 4 35 21 2 19
合計 202 48 77 48 29

表3 開設予測
開設および開設見込みの合計 250 76.5%
閉じるおよび閉じる見込みの合計 77 23.5%
合計 327 100.0%
(数字は市町村数)

○ 結論として、開設する予定の市町村は約7割と推測できる

 今回の調査では、上記のように予測として76.5%の市町村が開設で、23.5%の市町村が閉じる予測されるが、回答した市町村は98年調査の全市町村を対象とした調査結果と比べて5ポイント(74.1%→78.6%)から8ポイント(59.6%→67.9%)開設割合が高い市町村であるため、それを考慮して約7割が開設、約3割が閉所すると推測される。

4 どんな問題があり、どんな要望があるのか

 今回の調査では、「行政の考え方、方針」および「保護者の要望」と「指導員の要望」をそれぞれ書き込んでもらった。たくさんの回答が寄せられたが、そのなかの代表的な回答は別紙(5ページから)の通り。

5 学童保育の土曜日開設についての私たちの基本的な願い

 今回の調査結果も踏まえて、私たちはこの問題に対して以下のように「学童保育を開設するのが働く親の願いです」として、私たちの基本的な考え方と国および地方自治体への要望をまとめた。(厚生労働省には来週届ける予定)

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学校5日制完全実施の休業土曜日
学童保育は開設するのが働く親の願いです

 私たちの調査の結果では、4月からの休業土曜日を開設する市町村は62%、閉所する市町村が15%、未定(検討中・不明)が23%となりました。今回の調査は各地の連絡協議会のある地域からの回答が多く、保護者の要望を一定反映された結果だと考えられ、実際にはさらに開設率は低くなる可能性があります。私たちは4月からの休業土曜日の学童保育の開設について次のことを願っています。

1 学童保育はその役割・目的からみて、親の就労(就労日・就労時間)に見合って開設されるべき施設です。今回の学校5日制完全実施に伴い、毎週土曜日の午前中も留守家庭になる状態が新たに生じたのですから、それに対応して土曜日の開設、しかも朝からの開設が必要になります。土曜日の親の就労は平日よりも少ないとはいえ、就労している家庭がある以上、基本的に学童保育は開設される必要があります。

○ 土曜日は日曜祝日と異なり、法定の休日ではなく、実際に多くの労働者が土曜日に就業しています。

○ 休業土曜日は家庭で親子のふれあいを」という意見もありますが、親が就労していて昼間家庭にいない子どもにとっては、学童保育が「家庭に代わる生活の場」となっていることからも、開設がいっそう求められます。

○ 休業土曜日は「放課後」ではないから開設しないという自治体が一部にありますが、夏休み等の長期休業中と同様に親が就労している学校休業日は朝からの一日開設される必要があります。

2 開設にあたっては次の点に留意する必要があります。

@ 拠点(集中)開設にしたり、指導員一人体制(一人勤務)にする動きがありますが、拠点(集中)開設は、通所の問題や子どもの精神的な負担、生活内容の難しさなど多くの問題点があり、基本的に各学童保育毎の開設が求められます。また、指導員一人体制は、児童の安全面から大きな問題があり、少人数でも指導員複数配置を基本にすることが求められます。

A 土曜日の受け入れを、学童保育を開設しないで役割が違う児童館や「全児童対策」(注)で行おうとする自治体がありますが、それでは働く親が安心して預けられるものにはなりません。国(厚生労働省)も児童福祉法で児童館とは明確に区別しています。また、児童館や「全児童対策」のなかで学童保育を行う場合は専用室と専任指導員を配置するよう指導しています。さらに国は、2002年度から学童保育の補助金に「土日祝日開設加算」を予算計上しています。

(注)「全児童対策」とは、厚生労働省の説明によると、子どもたちの幅広い遊びを通して異年齢児間の交流を推進する等の目的のため、小学校の余裕教室等を活用し、留守家庭児童に対象を限定しないで実施する事業のこと。

3 国と自治体は行政の責任として、土曜開設に必要な体制や財政保障を行うことが必要です。

○ もともと学校5日制の実施は国の政策です。学童保育の土曜日開設は、それに伴なって生じる課題のひとつであり、その解決には国と自治体が責任を持つべきであり、開設に必要な条件整備(指導員増員や補助金増額など)を行うことが求められます。

○ 現在の国の学童保育への補助額がたいへん低いため(補助単価が1施設年間153万円が基本)、土曜開設に係る経費増が市町村や保護者の負担に直結しています。したがって国の補助額が大幅に増額されることが必要です。また2002年度から創設される「土日祝日開設加算」補助も、実態に見合った予算化が求められます。

4 開設にあたっては、指導員の勤務条件・待遇面の悪化にならないよう配慮することが必要です。

○ 開設にあたって、指導員に負担をしわ寄せすることが懸念されます。これまでも多くの指導員は低賃金等の劣悪な労働条件で働いており、新たに賃金保障のないまま土曜日の勤務時間が延びたりすることのないよう、指導員の声を十分に聞いて土曜日開設の体制づくりをすすめていく必要があります。

問い合わせ先
全国学童保育連絡協議会
〒113-0033 東京都文京区本郷2-26-13
TEL 03-3813-0477 FAX 03-3813-0765
担当:事務局次長・真田 祐(さなだ ゆたか) 

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学童保育の土曜日開設について
 行政の考え方や方針
 保護者の要望・指導員の要望

     < 内 容 >
 1 行政の考え方や方針
    (1) 開設には否定的または消極的
    (2) 開設にあたって苦慮していること、問題となっていること
      @ 財政問題
      A 指導員の問題
      B 保護者負担
      C 拠点(集中・統合)開設方式を導入
      D 開設時間
    (3) 学童保育を開設しないで他の施設や事業を利用する
    (4) 検討中のところ、開設しないその他の理由

 2 保護者の要望
    (1) 少人数でも土曜日開設は切実な要望
    (2) 開設するために行政に要望したいこと
    (3) 指導員体制の改善を望む
    (4) 保育料の値上げにならないか心配
    (5) 朝から夕方までの一日開設を望む
    (6) 拠点(集中・統合)方式での開設は困る
    (7) 開設場所や施設に関する要望
    (8) 保育内容等への要望

 3 指導員の要望
    (1) 開設にあたっては指導員体制の改善を
    (2) 開設にあたっては指導員の労働条件の改善を
    (3) 親の立場に立って改善してほしい
    (4) 開設に消極的な意見
    (5) その他の意見・要望 

1 行政の考え方や方針

*たくさんの回答の中から、代表的な回答を選んだ。回答は、多くは連絡協議会が行政の説明を書いているが、行政自身の回答もわずかではあるがある。

(1) 開設には否定的または消極的

(2) 開設にあたって苦慮していること、問題となっていること

@ 財政問題

A 指導員の問題

B 保護者負担

C 拠点(集中・統合)開設方式を導入

D 開設時間

(3) 学童保育を開設しないで他の施設や事業を利用する

(4) 検討中のところ、開設しないその他の理由

2 保護者の要望

(1) 少人数でも土曜日開設は切実な要望

(2) 開設するために行政に要望したいこと

(3) 指導員体制の改善を望む

(4) 保育料の値上げにならないか心配

(5) 朝から夕方までの一日開設を望む

(6) 拠点(集中・統合)方式での開設は困る

(7) 開設場所や施設に関する要望

(8) 保育内容等への要望

3 指導員の要望

(1) 開設にあたっては指導員体制の改善を

(2) 開設にあたっては指導員の労働条件の改善を

(3) 親の立場に立って改善してほしい

(4) 開設に消極的な意見

(5) その他の意見・要望

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