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『指定管理者制度は学童保育になじまない』
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はじめに
 2003年6月に行われた地方自治法の一部改正(9月施行)によって、「公の施設」の管理運営に、従来の「管理委託制度」に代わって「指定管理者制度」が導入されました。
 66ページに掲載した【資料1】で詳しく説明していますが、この制度は学童保育事業に導入しなければならないものではありません。しかし実際には、制度に対する理解や学童保育に対する理解が不十分なために、導入してしまった自治体が少なくありません。全国学童保育連絡協議会の調査では、2007年5月の時点で115市区町村1419か所、2008年5月では120市区町村1495か所の学童保育に指定管理者制度が導入されています。
 導入した多くの自治体では、あらたに制度を導入するということもあり、「随意指定」などにより、それまでの学童保育の運営主体を指定していました。しかし、制度発足から5年が経った今、受託更新時期を迎えるところも多く、引き続き受託できるのかと大きな不安に襲われています。
 指定管理者制度は、特定の業者による施設管理の独占状態を生まないように、定期的・強制的に代行先を見直すことが義務づけられている制度です。学童保育事業は「施設管理業務」が目的ではなく、子どもたちの毎日の安全・安心な生活を保障することが目的です。もとより私たちは、子育てや保育、学童保育を行う施設・事業には何よりも継続性・安定性が求められ、指定管理者制度はなじまないと主張し、導入に反対してきました。
 この冊子で紹介している9地域のどの事例をみても、指定管理者制度の最大の問題点は、指定期間が限られていることです。次回も受託できるかという見通しがまったくたたないために、指導員は有期雇用の非正規職員しか雇用できない、次の受託を受けるために行政に対して意見が言えない、これまでより少ない受託料で応募しなければ次回は指定されないのではないかなどと苦しんでいる事例も少なくありません。これまで引き継がれてきた「行政と二人三脚でよりよい学童保育をつくっていく」という関係が壊れ、ひたすら次の受託をめざして行政の言うがままになり、子どもたちのためによりよい学童保育づくりに取り組めないと悲鳴をあげている地域もあります。
 全国学童保育連絡協議会は、あらためて「指定管理者制度は絶対に学童保育に導入するべき制度ではない」という立場から、学童保育の拡充に取り組んでいきたいと思います。本冊子が、そのための取り組みに役立つことを願っています。すでに指定管理者制度が導入されている地域はもちろん、まだ導入されていない地域の方々にもぜひとも読んでいただければ幸いです。
2008年10月4日 全国学童保育連絡協議会

指定管理者制度は学童保育になじまない<内容>
 指定管理者制度導入の問題点と課題 ―― 地域からの報告
  (1)北海道帯広市  帯広市学童保育連絡協議会
  (2)仙台市  仙台市学童保育連絡協議会
  (3)埼玉県草加市  NPO法人草加・元気っ子クラブ
  (4)埼玉県新座市  新座市学童保育の会
  (5)千葉県四街道市 四街道市学童保育所父母の会
  (6)滋賀県栗東市  栗東市学童保育連絡協議会
  (7)京都市  京都市学童保育児童館連絡協議会
  (8)兵庫県西宮市  西宮市学童保育連絡協議会
  (9)福岡県宗像市  宗像市学童保育連合会
 資料1 指定管理者制度とは(『日本の学童ほいく』2005年10月号より転載)
 資料2 指定管理者制度をめぐる動向
 資料3 指定管理者制度導入自治体一覧
 資料4 指定返上や直営に戻す事例も―― 新聞報道から
 * 全国学童保育連絡協議会の紹介