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9月1日(土)晴れ(東京)曇り(新潟)
▼池袋駅に降り立つと、女子高生の太腿ばかり目につく。今日から学生さん方は新学期なわけだから。夏休みの間の奴らはパンツルックばかりだったから。
 ヒサブリに高速バスを使ってみた。二泊三日で実質的に新潟の地に居られる時間がそれほどない。だけど新幹線を使っていくのもあわただしいので、行き来はのんびりと寝ていられる方を選ぶ。往復で9450円だし。難点は首が疲れること。
 乗ったバスの乗客、半分くらいが若者で半分くらいが年輩の人。小出や小千谷や長岡に降りていくあゆギャル多数。もともとあの辺の子なんだろうけど、地元で浮かないのかね。――市からモー娘。が出たぐらいだし、いいのか。
▼新潟市内に入っていくと、県庁から市役所から古町から、主要地域をすべて一周していく。新幹線を使っていると、新潟駅周辺しか歩かないので、いつのまにやら建物が一変していたことにも気づいていなかった。
 万代シティバスセンター前で降りる。ミナミプラザのソフマップで、ADSL体験のMacG4から、歌舞伎町の火事情報を探索。知り合いの何人かにメールを出す。(携帯電話で)それから新潟駅まで歩く。こちらも新学期。なるほどMOZUさんの言う通り、新潟の女の子のレベルは高いのかも。思ったのはスレンダー系が少ない。オヤジ言葉で「むちむち」それと茶髪が多い。「お前どこの高校だ」と聞いてみたくなる。いやもちろん警察に通報されるからやりませんが。あんなに短くて派手な柄のスカートじゃなかったしな。おそらく私立だとは思うが。こういう情報ってどこで調べればいいんでしょう。学校のサイトか制服マニアの人のサイトか。
 新潟駅に近づくと「モー娘。に小川麻琴」の垂れ幕が。(嘘)
 駅前のバス停には多数のギター少年が座り込んで歌っている。たいてい男子の二人組。それを複数の女子高生が囲んでいる。正座、というか男子のできないM字の脚組みで。都内や横浜でよく見かける光景をまさかこっちで見ることになるとは思わなかったなあ。出発前の遠足の集団といった風情の彼ら。恥ずかしいからやめてくれ。そこの女子高生の一人が脚を傾げてパンツが見えているのは許すが。
 このまま冬になって雪がちらついても駅前でギター弾いてたら拍手してやるぞ。俺は見ないけど。
 地元の最寄り駅まで電車に乗り、焼鳥屋で牛タンの串を食べる。
▼カウントタウンTVスペシャルをずっと見入ってしまった。ミスチルのライブ。ブランキーや電気グルーヴのスタジオライブとという珍しい映像。市井紗耶香や石黒彩のいたプッチモニ、タンポポ。(市井紗耶香の太腿!――って太腿ばかりだな)小室ファミリーの変遷やドラゴンアッシュの三人時代など。

9月2日(日)晴れ(新潟)
▼帰ってからずっとニュースを観ている、新宿歌舞伎町の火事について。
 亡くなった人の名前をニュースキャスターが読み上げている。このさまざまな年齢の男女は、客であったり従業員であったりするのだが、その背景はまったく知らされることがない。年齢から判断して想像力たくましくして、だいたい客が何人ぐらいで従業員が何人ぐらいか予想してみたりした。名前と年齢以外知らされていない人たち、の親族や会社の同僚などが映されたりはしている。彼らがあの名前の当人の中の誰と近かったのか、まったくわからない。
 亡くなった44人のうち、女性が少ないのは、三階にも四階にも、客として来る女性がめったにいない上に、従業員の女性の大半は終電までに帰ってしまったからではないかと。二階の風俗店に被害者が少なかったのはたぶん午前一時では閉店していたからでしょう。ただ惜しむらくは、金曜で終電を逃したか明日休みだからなどという理由で、夜通し居ようとした人が他の曜日に比べて多かったであろうということ。他の曜日なら44人もの犠牲者は出なかっただろうと思われるのです。以上はすべて推測。決して人ごとではなく思えたので。亡くなった方々にご冥福を。休みはずっとテレビの前でした。
 あのような雑居ビルなら非常階段に使う敷地は狭くて当然だろうし、洗濯物を干したりビールケースを置いたり、私が聞くだけでも各階でそれぞれ勝手なことをしているという。そもそも「非常」でなければ使わない階段だという甘い認識があるし。この件で危機管理という意識がちょっとでも生まれるとよいのだが。人の命にかかわるのだし。

9月3日(月)曇り(新潟) 雨(東京)
▼高速バス16時。乗り場をまちがえる。
村上龍『希望の国のエクソダス』(文藝春秋)
 ネタバレ注意。
 朝から1ページ目を開き、高速バスの中でずっと読み、そして高速バスの中でこれを書いてます。新宿歌舞伎町の火事のニュースで頭がいっぱいになっていたので、これで頭を雑巾並みに搾り取られたようになりました。勢いで読んだので、全部の意味をはっきり理解しているか怪しいけど。
 盛んに「現実味の喪失」という言葉が出てきて、自分が現実にかかわっていることへの恐怖心を煽り立てられている時に読んで、ちょうどよかったのかもしれない。不登校の中学生たちが仮想建国をする、というのは、村上龍自身が傍観者になってしまっている年齢だからこそかもしれない。『愛と幻想のファシズム』では自らを託しているようであったが(本人によると、『コインロッカー・ベイビーズ』の二男一女の生まれ変わり)この小説の語り手はまったくの傍観者であり、協力することも恩恵を受けることもない。ラストでは、将来は首謀者ポンちゃんが北海道に造った、経済からも資源からも左右されない、あの野幌市に住みたい、と親子三人で語っているが、そのシンプルな希望に落ち着いてくれてほっとした。もっと悲惨なラストを想像していたから。
 政治用語も経済用語も、「希望だけがない」というポンちゃんの台詞に「じゃあもっと希望をくれええ、せめてこの小説の中だけでも」と麻薬患者のように叫びたくなる飢渇効果を持っていましたな。この小説の趣旨は、もっと絶望することにあったんじゃいのかと。
 あと、主人公関口の伴侶となった由美子。これが最初、同棲の相手で堕胎経験者、という設定、しかも経済記者なので、その辺に疎い(俺も疎い)関口に訥々と語るさまは、女性らしさを排除しているためかと思いましたが、普通に結婚して普通に女の子を産んだところが、ちょっと拍子抜け。

9月4日(火)曇り
▼会社を出て新宿へ。(39)
 やっぱり火事の話題。「そこの非常階段って本当に大丈夫? その前にあなたの店は許可取れてる?」と、ニュース聞き囓りで失礼極まりない質問の応酬。
 その話題で周辺の従業員様方の関心を惹く。「(火事のニュースを観て)あたしも思った。その窓は大丈夫かなって……」大丈夫じゃないみたい。いかにも密閉されているから。その後その場にいる人たちで非常階段を確認してみたり。さながら消防員。「あっ、そうだ。隣のビルと至近距離だから、窓を伝って逃げられますよ」ビルの10階から身体ごと伸ばしてたどり着くのかい。危ないな。って火事になったら煙も火も危ないことに変わりないか。
▼その後銀座へ。(75)
 明星56ビルの四階が「飲食店」という言い方だったので、「レストランだと思ってました」と発言した人約一名。詳細を伝えると驚いていた。ええ、こちらが詳しすぎるだけです。セクハラクリニックが各コースでどういうサービスをしていただの、スーパールーズの女性従業員の時給がいくらなんてことまで知っているような悪い大人(=俺)がよけいなことを伝えたばっかりに、その汚れなきつぶらな瞳を曇らせてしまって……、ってさらって言える男になりたい。言ったらギャグだと思われるだろうが。

9月5日(水)晴れ
▼会社を出て銀座へ。(76)「三年ぶりの人が復活するから来い」と言われて行った。だんだん銀座通いが常習化しそうな。って、しているのか。

9月6日(木)曇りだったっけ……
▼今号のダ・カーポがすごい。『特集 インターネット最新事情 みんなケータイやネットで何してるの?』という記事のタイトルだけ見て最初は「ふーん」と漫然として読んでいたら、知っている方々の名前が出るわ出るわ、もう全部の人のリンクを貼るのが面倒なくらい。顔写真までばっちり載っている方もおられるし。へー、あの人、こんな顔してたのね。「テキスト系」「非モテ」なんて言葉はweb上でよく見ているけど、こうやって活字に載ってると不思議な感じ。

9月7日(金)曇り
▼近所のTSUTAYAから書店が消えていたので肩を落とす。いや、ほんとに肩の力ががっくりと抜ける感覚。TSUTAYAの中にあったおかげで、終電過ぎで帰っても本屋は開いているという、残業人間(または宵っ張り人間)には非常にありがたいお店だったんだが……書籍の売り上げが落ちているので、フロアのビデオコーナーを広げたかったのはわかる気がするけどさ……そうか、最近ソフトオンデマンドのビデオをやたらに買い込んで、長瀬愛コーナーまで作っていたのはこの新装開店の布石のためだったんだな。(論理の飛躍)
こちらでちょっと前、話題にしたのですが、あの新メンバーオーディションの司会のみのもんた、「安倍クン」「後藤クン」と婦女子をクン付けで呼んでいました。雑誌ではよく見かけるのですが、実際に発話されている例を見てしまったようです。ひょっとすると、あれは一般的なオヤジ語なんですか? オヤジとつるんで飲むのが大嫌いでいつも逃げているので当方はよく知らないのですが。(オヤジ集団がつるんで飲んでいる側で独り飲んでいることは多いが)
▼メディアの中における「クン付け」などのオヤジ語は、「若者と距離を取っているオヤジメディアの姿」が発話しているのでしょう。テレビや雑誌などは、現場の人間なら二十代ぐらいの人間だって大勢いるはず。その周縁で働いている人の中に、オヤジ語を拒否している人だって少なからずいるはずですよ。(いないとしたら日本のマスコミ界は暗い)あらゆることで高みに立ってものを言わなければならない位置を守るには、若者現象(これだって若い人が作っているとは限らないですから。つんく♂は三十代だし)に対して高飛車になったり変にへりくだったりする姿勢というものが、彼らにとっていちばん安心でいるポーズなのかと。
▼「クン付け」は音楽畑、特にロックの人にも同じことをしています。ザ・イエローモンキーの廣瀬洋一が熱愛報道されたとき、報道文は堂々と「廣瀬クン」呼ばわりでした。イエモン最年長の三十代半ばの男を「クン付け」するセンスってどうよフライデー。

9月8日(土)曇りのち雨
▼一日中家にいました。クリーニングと食料購入以外家に出ないし、多方面へ出向くことでもなく。ここ二ヶ月ぐらいは暑いせいもあって他所で飲んだりすることが多かったり仕事で休日出勤していたり。こんな土曜があってもいいかと。
▼ハウス食品が出しているほうれん草のレトルトカレーを食してみました。レトルトは当たりはずれがある中でよかった方だと思います。ただ、同シリーズの「かぼちゃのカレー」と共に、定番にはならないんだろうな、たぶん。

9月9日(日)断続的な雨
▼家に居ても暑いだけなので、駅前のモスバーガーに行って喫煙席(吸わないけど)に座り込んで文筆作業。カフェラテがなくなっていた。最近はこうやって肩を落とすことが多い。しかも他人に共感されにくいようなみみっちいことで。
 ずっと座り込んでいると、クーラーをめいっぱい効かせている室内なので寒い。中途半端。
村上龍『『希望の国のエクソダス』取材ノート』(文藝春秋)
 『希望の国のエクソダス』を読んでいなくても楽しめます……とはどうしても言えないなあ、やっぱり。村上龍本人が述懐しているように、本人の情報量が少ないので専門家から、自分の小説に必要なところを引き出すことが大前提なわけであって、テレビのトーク番組仕立てのような対談にはなっていても、中学生でもチーマーでも経済評論家でも教育研究者でも、対等に話せていない感じ。ずれているな、というわけでもないんだけど、これで現代のお勉強ができる、という満足感まで得られないという気がして。俺の頭が悪いだけだと思うんだけど。
 だからこの本は、『希望の国のエクソダス』創作裏話、として楽しめばいいのではないかと。取材した中学生があまりにいい子ばかりで「これじゃ小説にならないよ」と嘆いたり、小説の後半で北海道を舞台にした理由を「いま息子が大学で北海道に居るから」だとあっさり答えていたり。

9月10日(月)雨を見たかい
▼明日あさってで夏休みを消化することになりました。でも「夏休み」って言うからには夏らしい時期に取りたいものです。
 実は事前に、明日の朝で粗大ゴミの回収を頼んでしまっていた。いいのか、台風が直撃しようという辺りに。明日は来てくれるのだろうか……。
▼交通手段が麻痺する恐れあり、ということでみんな早めに帰らされたが、ちょうどその時間帯が小康状態だったので、そのまま新宿へ。(40) さすがにこんな時に来る人間は少ない。いや雨が降ろうが、雪が降ろうが行きたければ行くんだけど。

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