1/[INDEX] [NEXT]

しみのすみか物語

石川雅望
(塚本哲三 校訂『石川雅望集』 有朋堂文庫
 有朋堂書店 1926〔大正15〕.4.30
※ 各章の題は入力者が施した。

  (序)(大村周斎)   (自序)      
[TOP]

(序)



[TOP]

(自序)

わかき時、雨ふりあるは徒然なる頃、旅人のあつまりてさま/〃\の物語せるを聞きて、その中わらはしきかぎりりひろひて、まんなもて書きつゞりて見しが、これは文字のすゑ處もおぼ/\しくあやしければ、人にも見せで打籠め置きぬるを、このごろ反古ほうごの中より見出しつるに、しみといふ蟲ぞところ得て住みはびこりたる。女子をみなごなるもの、これ假字かんなに書きてたまひなんといふを、をりふしあつけに惱みてもこよひ居りければ、さらばとて筆ずさみとはなしつ。すべてはもとのまゝなる中に、少々はにはかに作りまうけて添へたる事もあり。とまれかくまれよしなしごとなれば、これもまだ人に見すべきものにもあらず、たゞ古き反古のかびくさゝを、さながらとりて書いつけつれば、蠧のすみかとや名づけてんと、筆なげすててそのまゝ臥しつ。
石川雅望


[TOP]

しみのすみか物語


  袴垂と盛之    伊勢・大和物語    花こそ    正直な修行者  
  異風な幽霊    貧報の冠者    愚を癒す薬    毘沙門と窮鬼の問答  
  宵まどい    馬の化け物    狂薬    音を吊り上げる  
            
            
            
            
       





        
[INDEX] [NEXT]