FUJI ROCK FESTIVAL '99

1999年7月30日(金)


苗場到着

 新潟市を8時に出発して、関越道の湯沢インターで高速を降ります。当然フジロックス達で混雑するだろうと思ったら、インターには全く人影なし(笑)。苗場へ向かう国道17号線も全く渋滞なしで拍子抜けでした。湯沢駅からのシャトルバスを何台か見ましたが、満員でギュウギュウ詰めなんてことはない。97年の富士天神山とは大違いでした。
 会場には10時前には到着し、とりあえずオフィシャル・グッズ売場でTシャツ購入。


苗場プリンス裏の斜面にテントが沢山張られています。

 


入場ゲートへと続く行列。右が国道17号。左には苗場プリンス。

 

電撃ネットワーク (WHITE STAGE)

 グリーンステージでスマッシュの日高社長の開始宣言を聞いてから、セカンドステージであるホワイトステージへ移動。この連絡通路は歩いて10分近くかかる山道で、今回のフェスで唯一不便を感じた点でした。


グリーン・ホワイト間の連絡道。ホントの山道。

 


ホワイトステージ全景。こちらも見事な大自然です。

 出演者に「電撃ネットワーク」の文字を見つけた時は「?」と同時に爆笑してしまいましたが、グレイトなショーでした。彼らの姿勢は完全にロックンロール。ステージにはサンプラー等を操作するミュージシャンもいて、リアルタイムで曲や効果音を付けていたので、意外と違和感なし。
 「鼻から牛乳を吸って目から出す」という芸で、牛乳が噴出したのにはマジでビックリした(笑)。


ドラゴン花火に体当たり!

PHISH (GREEN STAGE)

 「現代のグレイトフル・デッド」と呼ばれているらしい彼ら。私は全く知らなかったのですが、かなりファンはいるらしい。演奏はロックというより、ジャズ・フュージョンに近いようなインプロビゼーションの応酬で、素晴らしいライブバンドでした。この後、彼らはFIELD OF HEAVENのステージで毎晩4時間にも渡って演奏し続けたそうな。


ホワイトステージのさらに奥にあるFIELD OF HEAVEN。
お香の香りが漂う怪しい空間でした。

奥田民生 (GREEN STAGE)

 今回の出演者のなかでは唯一のメジャータレントとも言える奥田民生ですが、音楽性は意外とフジロックの場にフィットしていました。イメージ通りダラダラと始まった演奏でしたが、ルーズなようで熱い演奏はなかなかのもの。


小さいですけど、民生です。

FOOD & DRINK

 「野外コンサート」と「フェスティバル」の違いは食べ物の旨さなのではないだろうか?
 今年は食べ物は大充実していましたよー。普通は野外イベントというと、焼きそば、タコ焼きのような決まり切った食べ物になってしまいますが、フジロックはひと味違う。タイカレー、ガーナシチュー、台湾ラーメン等々まさしくワールドレストラン。値段も500円程度と良心的。ハイネケンの生ビールも旨かった。
 特に500円で売っていた牛肉の串焼きステーキは絶品でした。最高。


奥に見えるのがニューバンド・ステージ。
両脇には食べ物の店が立ち並ぶ。

 


ガーナカレー&ガーナチキン。美味!

Hi-STANDARD (GREEN STAGE)

 大人気でしたが、私はちょっと苦手なバンドでした。何も考えていないような明るさが受けているんだろうけど・・・
 オープニングではチベット出身のNAWANG KHECHOGというおじさんのディジリドゥーとセッションしていましたが、全然かみ合っていない。音楽的な表現力が浅いのだよ。
 ちなみにNAWANG KHECHOGは、毎朝グリーンステージに登場して、「フリー・チベット!」というシュプレヒコールを響かせていました。


ハイスタで暴れる若者達。砂ぼこりが舞い上がる!

AUDIO ACTIVE (WHITE STAGE)

 実は生でライブを見るのは初めてのオーディオ・アクティヴ。一時期はバンド編成ではなく、ステージ真ん中にミキサーを据えてライブPA的な演奏をしていたような記憶がありますが、最近は完全なバンドとして演奏しているようです。
 ミキサーは残念ながらエイドリアン・シャーウッドではなく日本人でしたが、生演奏と打ち込みを見事にダブミックスしていました。演奏力もサウンドも完全に世界レベルですが、日本では決して恵まれた環境で活動しているとは言えない彼ら。しかし、フジロックのような場では素晴らしい力を見せてくれます。


「演奏」としても「音響」としても完璧なオーディオ・アクティヴ

PROPELLER HEADS (WHITE STAGE)

 ビッグビート・レーベル「Wall of Sound」からやってきた2人組プロペラヘッズ。まさか「ライブ」を演るとは思っていなかったので、どういう「演奏」をするのか興味津々でした。
 ステージにはターンテーブル2台のDJセットが左右に2人分置かれ、さらに生ドラム、キーボード、ベースもセッティング。そして登場したプロペラ兄さん達は、なんと自分達のレコードをかけながら、一人がドラムを叩き、もう一人がキーボードorベースをプレイするという悶絶な演奏を披露。今まで色々なテクノ系のライブを観てきたけど、こんなスタイルは初めてだ。ほとんど反則だって(笑)。
 レコードの針が飛んで、生演奏とズレる(笑)という爆笑のハプニングも発生。1回目は半拍ズレたまま見事に完奏しましたが、2度目は曲の前半で針が飛んだため、ターンテーブルを止めて仕切直し(おいおい・・・)というカッコ悪さ。しかも曲は最大のヒット曲“BANG ON!”(笑)。しかし、なぜか憎めないのがビッグビートという音楽のいいところだろう。
 私はRAGE AGAINST THE MACHINEを観るために途中で抜け出しましたが、この後Jungle Brothersが飛び入りしたらしい。


RAGE AGAINST THE MACHINE (GREEN STAGE)

 97年のフジロックでも観たんですが、あの時はかなり後ろの方で寒さに震えながらだったので、あまり覚えていないんですよね。あの伝説の「観客から立ち昇る水蒸気」のせいでステージはよく見えなかったし・・・
 というわけで、今年はなんとしても観たかったのですが、UNDERWORLDもはずせないので、最初の数曲だけ観てホワイトステージに戻るという苦渋の決断をしました(涙)。
 少ししか観れなかったけど、やはりレイジはすごいよ。4人という最小編成のバンドなのに、あの強烈なヴァイブはなんなのだ!? 強靭なリズム隊、ギターという領域を超えたサウンドを発生させるトム・モレロ、ステージをハネ回るザックのパワー。
 真面目な話、連中はいつ国家権力から抹殺されてもおかしくない政治活動を続けているわけで、真剣にロックンロールで世界を変革しようとしているのだ。共産主義的思想の是非はともかく、その命を削るような活動には最大級のリスペクトを捧げる。


UNDERWORLD (WHITE STAGE)

 泣く泣くレイジを途中で切り上げて、ホワイト・ステージへの山道を走っていると、なんとアンダーワールドの曲がもう聴こえてくるではないか!? プロペラヘッズの演奏後50分間のインターバルがあるはずなのに、なんとアンダーワールドは20分(!)でセッティングし、演奏を始めたというのだ! 私は最初の5分くらい見逃しただけですみましたが、とんでもないことをするバンドだ(笑)。
 レイジも凄かったけど、アンダーワールドはもっと凄かった。なんというか、もう「神を見た」という感じ。アンダーワールドのサウンドTOMATOのビジュアルの融合から生まれる快感は、この世のものとは思えない。そして、ボーカルのカール・ハイドの動きの美しさ。もう40過ぎのオッサンなのに(笑)。
 サウンド&レコーディングマガジン6月号で彼らのライブセッティングが紹介されていますが、Logic Audioを中核に曲の構成は完全に即興でミックスするのだそうだ。ということは見事にシンクロしているように見える映像も即興というわけだ。あのステージングが「即興」とは全く恐れ入る。VJ付きのクラブやライブは何度も体験しているけど、音楽映像があそこまで対等に渡り合い、かつお互いを高めていけるものとは知らなかった・・・
 “Born Slippy”“rez”“Moaner”と続いたラスト3曲はまさに至福の時間。そして、30分早く始めたはずなのに、終わってみればなんと予定通りの終了時刻。打ち込みを使ったテクノ系なのに、まるで普通のバンドのようにフレキシブルな演奏が出来る彼らは一体何者なのだ!?
 フェス初日なのに、いきなりのピークを迎えてしまいました。終演後はしばらく放心状態で動けず(実話)。
 



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