How to play GO-GO

 

 GO-GOとはアメリカの首都ワシントンDCで生まれた音楽です。黒人ファンクの一種であるGO-GOですが、James Brown やP.Funk とは異なり、明確な特徴のある演奏スタイルが存在します。
 実際の演奏を聴きながら理解していきましょう。


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GO-GOの演奏スタイル

  1. 16分3連系のハネたリズム。8ビートなら1小節を8分割、16ビートなら16分割したリズムが演奏の基本となりますが、16分3連系の場合は1小節を24分割したリズムになります。いわゆるシャッフルのリズムを2倍の細かさにするとGO-GOのハネになります。BPM(テンポ)は90前後で、ゆったりした感じです。

  2. 定型のドラム・パターン。特にバスドラの裏拍打ち(シンコペーション)が特徴。さらにコンガ・ボンゴ等のパーカッションが必ず入り、細かな刻みを加える。アフロ・カリビアン系のリズムの影響が感じられ、ニューオリンズのセカンドライン・ファンクにも通じるリズム感がある。

    GO-GOの基本パターン

  3. ライブでは客とのコール&レスポンスを重視。ボーカルは歌というよりはラップに近く、メロディーらしいメロディーがない曲も多い。祭を盛り上げる「お囃子」というのが一番近いかも?

    コール&レスポンス by Chuck Brown

  4. ライブではメドレー形式でノンストップで演奏。ライブ中にリズムが止まることはほとんど無い。「曲」と概念が希薄で、「グルーヴ」のみを抽出したかのようなワンパターンの演奏が延々と続く。


 極端な話、お決まりのリズム・パターンの上で適当にワンコードでセッションしつつ、客とコール&レスポンスをしていればGO-GOのライブはOK、と言えなくもない(笑)。GO-GOの基本スタイルが理解できたら、最近のGO-GOバンドの演奏を聴いてみましょう。

JUNKYARD BAND 98年5月ワシントンDCでのライブ音源

 このようにGO-GOとは基本的にライブ・ミュージックです。スタジオ録音の通常のアルバム(CD)のリリースは極めて少なく、GO-GOが本場ワシントンDCではどう流通しているかというと、ライブ演奏を直接PA卓から録音した「PAテープ」と呼ばれるカセットテープ(!)で売られているのです。


GO-GOの魅力

 私にとってのGO-GOの魅力とは「スウィング感」と「持続するグルーヴ」です。

 「スウィングするリズム」=「ハネたリズム」ですが、そのハネの感覚こそ現在のクラブ系グルーヴのキーポイントです。MIDIで打ち込みをする人なら分かるとおり、今の音楽制作において符割り通りにスクエアに打ち込むことはまずありません。いかにグルーヴするようにエディットする(微妙にハネさせる)かが重要です。シーケンサーがコンピューター・ベースに変わり、分解能が上がった頃は「何%スウィングさせると気持ちいいか」が話題になったこともありました。その「ハネの気持ち良さ」を教えてくれたのがGO-GOです。
 また、「同じBPMでノンストップで演奏する」というGO-GOのライブは、クラブでのDJプレイと通じるものがあると考えています。「テクノの909キック4つ打ち」と似たような高揚感がGO-GOのワンパターンのリズムには感じられると思っています。クラブDJが表現する「持続するグルーヴ」の中毒性を、ワシントンDCの黒人達は無自覚に体現しているのではないでしょうか。



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