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『何が問題か』

 目標が明確に定められ、計画化の責任とその所在が明らかになったなら、プランナーは、調査によって問題点などを調べた上で、今後の方向を決定します。
これらの決定行動は、概ね次のような段階を経ることになります。
「問題を明確にします」ブランナーの各人は、問題を明確に捉えるようにします。例えば、全体計画の目標は、売上を伸ばすことですが、一人のプランナーは、現状診断の結果、販売技術の向上に問題があるとし、もう一人のプランナーは、「価格形成に問題がある」とするような状態であれば、問題は一向に解決しなくなります。
 そこで、全ての関係者が、問題を正しく認識するようにする方法としては、各プランナーに、問題を簡潔に書かせてみることにします。

「状況を客観的に見ます」。そして何が? 何故? いつ? 何処で? 誰が? ど うやって? といった1H5W法による質問を発して、全てのプランナーに良く聞いて見ることです。

また‥‥非能率を改めたり、不慮の事故に備えるとか、方法を変更するには、先ず
◆ 何をしなければならないか、を考えてみます。そして次に、
◆ 何故そうしなければならないか。そうしないと、どういうことが起るだろうかか。
 現在の問題を解決するとか、あるいは、将来に備える為に、どうしても、その様な措置を必要とするのか。
 また、それは、自分達の目標にどのようなかかわりがあるのだろうか。等々を考えてみます。

◆ それはいつ行うのか。直ちに行わなければならない緊急性があるのだろうか。
 この計画では、それをどの様な予定表に載せたならよいだろうか。
 それは何処の場所で行うべきか。また、計画の実施に設備は利用できるだろうか。
◆ 計画立案は誰に担当させたなら良いのか。それは、専門家グループか、あるいは、ライン担当者か。
◆ それをどの様に行うか。計画を立てた後どの様な方法でそれを実施するのか。
 この様ないくつかの疑問に答えてみる必要があります。

 実は、問題の診断が表面的に行われることが実に多いのです。実際は見かけよりかなり根が深いのです。けれども、問題の本質が分かったような錯覚に陥りやすいのです。医者の診断でも、症状だけでは病気の本当の原因が分からないのと同様に、経営者や管理者も、徴候と原因を混同しないことです。問題の根を見つけ出すには、原因を分析して、深く掘り下げます。何かが起こる前兆とは、事実と想像の間の裂け目を、覆い隠しているに過ぎません。

『事実を掴む』
 事実を探り出すことは、正しい診断を下す上で重要な仕事です。しかし、問題の原因が確認されている場合、一つの事実に熱中する事は、むしろ危険な場合があります。
 現状打開の方向に狙いをつけて、目標達成に必要な計画を立てるには、できるだけ多くの情報を集めることになります。問題に関係のある情報を、できるだけ多く集めるためなら、どんな道具でも使わなければならないときがあります。例えば、次のようなビジネス・ツールもあります。

「これまでの経験」
 まず、前に同じ様な問題をどの様に処理したか、を、調べるところから始めるのが一般的やり方です。
 問題が、新製品の発売のケースであれば、前に行った新製品発売、について調べなければなりません。そして、現在の方式は、どの様にして開発されたかを調べることになります。過去に同じ様な問題を扱ったことがない場合は、他の会社で同種の問題を、扱ったケースを生かすようにします。だからといって、何もかも、過去の方式に従え、と言うわけではありません。

 むしろ、現在行っている計画に、必要な事実を知るため、指標として、それを利用すべきです。前の解決策が必ず役に立つという保障もありません。計画は、過去の経験を手直ししながら改善を図るものだからです。

「観察」
 管理者にしてもプランナーにしても、まず、現在の状況を観察することによって、必要な事実をたくさん知ることが出来ます。現在、何が行われ何が発生しているか、それを物語る手近なデータを全部集めれば、現状を確認することが出来ます。
 観察はさらに、現に問題と取り組んでいる人たちとの「討論とか、意見」によって補足する必要があります。問題と取り組んでいる人たちの中には、監督者やライン担当者も含まれます。

 これらの人たちは、表面的な観察では分からない事実を、教えてくれるだけではありません。状況を本当に理解する上で、きわめて重要な理解しにくいものについても教えてくれます。従業員の考え方や、現在の仕事についての悩みや不平、士気の程度、と言ったことは、どのような活動の成功にも、関連しています。

 プランナーは、本当の事実を知るため、以上のような状況把握の問題に、充分注意を払います。とくに、一般従業員との対話には、しばしば、それまで気づかなかった問題の重要な側面を、掘り起こしてくれる性質を含んでます。

「調査研究」
 多くの会社では、仕事について、通常の観察や、アンケート調査では、得られないデータを集めるため、特別の調査研究組織を持っています。この種の組織には、技術的なものを研究しているものから、販売傾向や経済見通し、などに関する統計を集めているものまでいろいろあります。

 技術的研究には、実験室で行われる研究、新しい技術や製法の調査、経験の浅い分野の計画をする際に、発生する問題の明確化などがあります。もし、これらを行う研究施設がなければ、プランナーは外部の専門家に依頼などして、不備の技術的研究をカバーするようにします。

 市場調査は、製品、またはサービス、の潜在市場の調査でもあるのです。これら市場調査の資料、データ類は、様々な社外情報から集められますが、社内の記録資料の中には、市場調査の出来るデータもあります。例えば、販売記録を調べると、区域別に、予想売上高を割り出す参考にもなります。
 また、業界の販売記録を調べると、自分の会社が売っている製品や、サービスの総売上高、さらに、市場占有率を決める手がかりが得られます。

 消費者の嗜好動向や、特殊な製品やサービス需要の有無、消費者購買力動向などを掴む市場調査には、市場調査コンサルタントを利用する場合があります。
 この他にも販売計画には必要なものがありますが、販売計画以外の計画化においても、はっきり現れた販売データは大きい頼りになります。

 市場調査で出来るデータ収集には、他に購買動機調査があります。これは、消費者が行う商品選択の理由を、心理学的に分析する仕事になります。調査員が可能な範囲内で抽出した消費者に面接して、内的動機が消費者の意志決定にどういう影響を与えるかを明らかにするものです。

 例えば、購買動機調査では、水だけ加えれば良い「ケーキ、・ミックス」を買いたがらない女性が多いことがわかっています。心理学者に言わせると、バター、たまご、牛乳のような「栄養のある」材料が加えられていない、と言う嫌悪感が買うほうにあるからだと言います。
 メーカーが材料から粉末乳製品を取り除き、ユーザーにバター、たまご、牛乳を加えることを指示すると、コストが高くつくのに、爆発的な売れ行きを示した例もあります。問題は、この隠れた事実を発見することによって、解決するのです。

 事実資料を集める方法としては、他に人口趨勢、地域構造の変化、自社製品の市場となる、新しい産業の開発状況などを伝える、政府統計の利用があります。これらの情報は、政府機関や関係業界の業界紙から収集できます。 つづく