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向上訓練の研究
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講義法


■概要
 多数の受講者を一堂に集めて、業務知識や管理知識などの理論や概念などをテーマにして、その内容を詳しく知っている講師が、テーマを構成する項目やその内容要素の意味や機能の内容、仕組みなどについて、主として言葉を使って説明するという研修のやり方のことです。短い講義や解説の場合は、「レクチャレット」または「ミニ・レクチャー」ともいいます。

■特徴と効果
 講義法は次のような長所があります。

  1. 一度に大勢の人に大量の知識・情報を伝達できる。
  2. 比較的手軽に講座を開催できる。
  3. 読書よりは手軽に取り組みやすい。
 しかし、次のような難点もあります。
  1. 講師が伝えたとおりに受講者が理解するとは限らない。
  2. 教育したとおりに学習するとは限らない。
  3. 学習の歩留まり(効率)が低い。
  4. 受講者が受動的になりやすい。

■活用の仕方

 講義法は講師と会場の手配がつけば、比較的簡単に開催できるので、広く活用されています。とくに、新しい知識や情報を大勢の人に伝達したいときにはきわめて有効な技法です。たとえば自社の新商品の知識・情報を営業マンに伝達したいときなどには最適な方法です。
 グループ討議、ケース・スタディ、質問技法などを挿入したり、視聴覚教材を活用したりするなど、いろいろな工夫をすることによって講義法の短所を補う工夫が必要です。

■実施・開発上の留意点

 実施・開発にあたっては、次の点に留意が必要です。
  1. できる限り具体的に
     講義の内容を具体的なものにするためには、実例や比喩、例話などを活用します。「例話」とは、ある言葉(概念)を説明するときに、“たとえば”という言葉を枕にして、例をあげて解説するやり方です。

     一例をあげるなら、学習法の分類の仕方の一つに「集中法」と「分散法」があります。集中法とは、ある学習内容を一気につめて学習するやり方であり、分散法とは、一回の学習の分量を少なくして、回数を多くするやり方です。たとえば、車の運転免許を取るための練習をするときに、二週間くらいの合宿で集中的にやるのが集中法であり、1日に2時間くらいずつを数週間にわたって反復し、継続するやり方が分散法です。

  2. 視覚に訴える
     口頭で話して、耳で聞かせるだけでなく、黒板やボードに図解などを板書すると、視覚にも訴えられるので、受講者はさらに理解しやすくなります。折れ線グラフや棒グラフ、フロー・チャートなども、できる限り多くに活用するとよいでしょう。

     たとえば、ビールの1年間の消費量を表すときに、「去年よりもとても多かった」というよりは、「霞ヶ関ビル(または、東京ドーム)をマスにして○○杯分」という言い方をすれば、かなり実感がわいてきます。さらに、これらの様子をグラフやチャートやイラストなどで図解して、目で見てわかりやすい形にすれば、訴える力はいっそう強いものになってきます。

  3. 質問技法を活用する
     講師の側からの講義が一方通行にならないようにするためには、受講者との間で、質疑応答のやりとりを多くするとよいでしょう。
     質問を技法として使うやり方には、基本的に「質問の投げ方」と「質問の受け方」とがあります。

    <質問の投げ方>
     質問の投げ方には、さらに、「全体質問」と「指名質問」とがあります。全体質問とは、受講者の全員を対象にして、「みなさん、これについて、どう思いますか」といって、全員に対して質問を投げかけることです。この問いかけに対して、受講者の中から誰かが答えてくれれば、それをキッカケにして、受講者同士の話し合いを促進していきます。全体質問で答えがでてこないときは、しばらく間をおいてから、「○○さん、どう思いますか」と、特定の誰かを指名して質問します。そして、その回答をキッカケにして、全員での話し合いを展開していきます。


    <質問の受け方>

     質問を受けたときの留意点は、“即答することが正しい”とは限らないということです。

    ブーメラン法:「あなたは、どう思いますか」といって、「投げ返し」をすることです。あるいは、「Aさんがこう尋ねていますが、Bさん、あなたならどうしますか」といって、ほかの受講者に「中継ぎ(リレー)」をして、その人に話のバトン・タッチをすることをいいます。このようなやり方をするねらいは、講師の講話が一方的なものにならないようにして、受講者同士で話し合うようにし向けて、それによって、受講者同士の相互作用や相互啓発を促進するためです。

  4. レッスン・プランを用意する
     15分か20分くらいのレクチャレットやミニ・レクチャーの場合ではなく、1時間以上にわたるような本格的なレクチャー(講義)をする場合には、あらかじめ「レッスン・プラン(教案)」を用意しておいたほうがよいでしょう。
     講義する予定の事柄を頭の中だけにしまっておかないで、紙の上に書いておくことが重要です。できる限り見やすく、使いやすいように工夫します。

    レッスン・プランの作成では、次のような点に留意が必要です。
    @目的やねらいをはっきりさせておく。
    A 起・承・転・結(序論、各論、結論)を順序立てて考える。
    B導入部に工夫を凝らす。
    C易しいことから、難しいことへ。
    D実例・例話・比喩などを用意する。
    E図解をひんぱんに活用する。
    F板書や質問の箇所を決めておく。
    G最後にヤマ場を設定しておく。
    H配布シートなどの教材類を確認しておく。
    I時間配分を見積もっておく。
    注:「下図、NEXTで次ページへ続く」