◆概要
最近は、企業のあらゆる部門の人が参加するTQC(全社的品質管理)が、多くの会社に取り入れられ、実施されております。
かってのように、製造業とは限りません。建設業や商業、輸送、金融、飲食、ホテル等の業界はもとより病院や役所など公共性の強いところまで、効率や信頼性を求める事業場に、広く深く浸透が進んでおります。
その理由は、今日の激しい競争社会とともに、IT技術などの革新技術の利用によって、TQCは、労働効率の向上から、分業化や機械化を益々、すすめております。
その結果、企業の発展と、そこに働く人々の喜びや繁栄に、つながる大きな力になることが実証されてきたためです。
もっとも、QCやTQCを導入しているすべての組織が、成功しているわけではありません。「他の会社でやって成功しているから」といった流行やブームに乗るような安易な姿勢ではじめたり、自分は特別だという意識が強すぎて、失敗するケースも少なくありません。
QC・TQCは、企業の体質改善、そして、そこに働く人々の意識革命に大きな力を持っています。けれどもそれが充分な力を発揮するためには、QC・TQCの、本当に意味するところをよく理解して、その上で着実に根気よく運営実施していく必要があります。
そこで、ここでいうQC関連技法とは、QC(クォリティ・コントロール=品質管理)を推進するための管理技法をいいます。基本的には、問題解決技法なので、QC以外の広い活用も可能です。教育関連プログラムの中でよく応用活用されています
また、QCの七つ道具とは、QCを推進する上で用いる以下の七つの管理技法のことを指していいます。
七つ道具 @ チェックシート
A バレート図
B ヒストグラム(度数分布図)
C 特性要因図
D 層別
E 散布図
F 管理図またはグラフ化
◆QCの仕組み
PDCAのサイクル
QCやQCサイクルで使う「管理」という言葉は、PDCAサイクルを回すこと(繰り返すこと)を意味しています。
P(プラン)計画を立てる
D(ドウ)実施する
C(チェック)検討する
A(アクション)改善する
以上がPDCAのサイクルで、図を表すと右図のようになります。
また、PDCAのサイクルは、教育のサイクルとも一致しています。左図に教育のサイクルを示しますから、その共通性を確認して下さい。
既に、気がついておられる読者の方も多いと思いますが、PDCAのサイクルは、経営管理のサイクルでもあります。つまり、すべての仕事には計画があって、実施(組織化)があります。そして、実施するための統制が、さらに実施するための必要な方法をとる措置や調整が継続して行われます。
教育とTQCとは相乗の関係にあります。教育は、トップダウン的な要素をもっていますから、本人が主体性を持つ自己啓発的なものはありません。企業において必要なニーズを把握した上で、戦略的に計画し実行します。
一方、TQCは、メーンがQCサークルであって、TQCは、その実績になります。いわば、QCサークルが主役で、TQCというドラマを演ずるようなものです。ですから、経営側からはトップダウンであっても、現場サイドからはボトムアップの経営参加になります。
企業の目的がボトムアップの経営参加によって、一般社員の仕事の改善にたいする問題意識が高まり、しかも、企業目的と、個人の願望が同一方向を指すようになります。この状態が保たれたとき、教育はもっともよい効果を生みます。要するにシナージー(相乗効果)が生まれます。
広義の意味では、経営そのものは教育であるとも言えないことはありません。そうした意味合いから、QCの手法を理解して、教育の意義に感じて仕事に取り組むものと考えます。
◆内容 QC七つ道具は、問題解決の手法です。
QCそのものが、PDCAのサイクルの繰り返しであることからも、理解できますように、この解決の技法を組み合わせて活用することで、その技法の威力が発揮されます。そのため、教育指導の担当者はこのことを、組み合わせ等を良く、系統的に理解して戴きたいと思います。
技法の一部を教育訓練に使うと、断片的な理解に終わってしまい、中身の薄いものになります。ですから、系統的に良く理解した上で、研修後の実践に耐えられるよう、この点に留意が必要になります。
PDCAの実施に当たっては、各技法の使い方とその目的を生かすようにします。
ポイントは、記録シートなどデータ収集に夜データの把握です。現実を勘や先入観でなく、重点問題はデータによる発生要因を整理して、実体に迫り、原因を見極めることになります。
この段階で対策や改善策が検討され、自己点検などのチェックシートなどを用いた、実施がなされ、しかも案実施前後との比較測定など、効果確認などにおいても技法の活用がなされるように考慮されます。
●教え方の留意点
QCの手法は、QCサークルを効果的につなげるための道具です。道具は、最初から高度な使い方が出来ないように、一度に全部教えては効率が上がりません。サークルの進行に合わせて歩調を合わせるように、段階的な訓練の積み重ねが大切です。
参考文献;教育訓練技法、教育技法研究会編、経営書院刊行。
QC・TQCがわかる辞典、松田亀松著、日本実業出版社刊。
;教育研修ハンドブック、監修・著者 高橋 誠日本ビジネスレポート(株)刊行。注:「下図、NEXTで次ページへ続く」
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