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向上訓練の研究
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読書研究とその活用法

◆概要
 読書には大きく分けて、
@ 教養読書
A ビジネス読書
 の二つがあります。
 娯楽のための読書や知識を習得して視野を広げるための読書は、教養の読書であるのに対して、問題意識を持って取り組む読書はビジネス読書つまり仕事のため読書と云うことになります。
 それで、ビジネス読書とは、あらゆるジャンルのどんな本からでも、ビジネスに活用できるヒントや発想を得ようと云うのはビジネス読書の戦略と考えられます。
 つまり、ビジネス読書とは、本を読むための思想になるわけです。そして、何を読むかという問題ではなく、本をどのように読んだならいいのかという方法論になります。

 読書の研究とその活用を考えた場合、ビジネス読書の読書力、あるいは情報力、企画力、問題解決力を高めるために読書のテクニックを考慮するようになります。そのためには、体系的にそして、段階的に具体的な実践のプログラムを必要とします。後述する技法は、段階的な研修プログラムとして構成されています。この技法を習得することによって、読書を媒体とした大きい成果が期待できます。

◆特色
 「読書研究とその活用」の特徴として概ね次の10項目があげられます。
(1) 本を読むのに必要なすべての技術に関係しています。
(2) 視野を広げる読み方、深い読み方の両方が身につきます。
(3) 書籍の構成は段階的なプログラムでつくられているので、レベルにあった技法を学ぶことが出来ます。
(4) 個人、チーム、職場毎のニーズにあった技法を学ぶことが出来ます。
(5) 徹底した実習方法を実践的に行うため、確実な成果が上がります。
(6) 方法が画期的です。研修機材に嗜好工夫を凝らしているため、興味を持って取り組めます。
(7) 自己啓発、相互啓発、グループ研修がのそれぞれにあった学びか他が可能です。
(8) 特に研修グループが出来るところに、活用法の特色があります。普通、読書は個人で行うものとされます。ですから集合研修にはなじみにくいと考えられてきましたが、この活用方法の研究では、この難点が取り除かれています。
(9) 読書を如何に活用していくか、そのコツやノウハウが身につきます。
(10) 読書を通じて、自分の能力開発を図ることが可能になります。

◆研修の進め方
 【共感読書・批判読書】
 読書とは、共感読書と批判読書の両方による読み方が出来ないと、読書は軽薄なものになります。健全な批判精神を働かせると同時に、本のよいところを素直に共感する読み方が本を深く立体的なものになります。
 グループ研修の場合は、1チーム5人以上10人以下とします。普通のグループ研修と違って、ある程度、人数の多い方が、効果が上がります。

 実習に要する所要時間は 1.5 時間位がベストのようです。15分程の課題の文章を読み、それから45分ほどのグループ討議をして、意見集約します。あとの30分でグループ発表します。  課題の文章を読み、グループ討議する際の要領は、次の通りです。

@ まず、各自が文章を読み、共感できるところ、逆に批判できるところを必ず一つ以上探し出します。

A 普段の読み方であると共感、批判のどちらかに偏りやすくなります。共感的読書・批判的読書のバランスを取るように心がけます。

B グループ討議の場合も、司会者は共感的見方・批判的見方のバランスがとれるように注意しながら進行させます。

C もう一つのポイントは、共感・批判いずれの意見とも、その理由を明らかにします。そして、自分の読み方、受け止め方に根拠があるかどうか。他のメンバーを納得させるだけの理解をしているかどうか。その辺を率直に評価することに大きい価値があります。

D そのためには、単なる抽象論や感覚論でなく、自分の仕事に結びつけて、自分の言葉、自分の考えで述べることが必要になります。

E グループ発表では、各グループがどれだけ複眼的に課題の文章を読んだか、どれだけ深く読んだかなどが如実に現れることになります。各グループのメンバーは、他のグループの発表を聞くことによって「あ、そういう読み方もできるのか」と、いろいろ啓発されるところが多いようです。

【比較・結合法】
   比較の場合は同じジャンルから2種以上の課題文章、結合の場合は出来るだけ異なるジャンルから2種以上の課題文章を用意します。それらを教材として、グループ研修を行うことによって、分析力や柔軟な思考力を養い、また、そこから新しい発想を生むのに有効な読書技法になります。
 一例をあげると、最近、危機管理論とでもいうような出版物が多く刊行されています。これらに注目すると、同じ危機管理論であっても、視点、分析法、論旨、そして処方箋が微妙に違います。そこでこれらのエッセンスを集めて教材にして、比較検討しながら個人あるいは会社としての見解をまとめるのが比較法です。

 これに対して結合法の場合は、ビジネス周辺のジャンルに全くとらわれることがなく、複数の異質なジャンル――例えば、文学、歴史、エッセイ、自然科学、哲学――から教材を取り、異質なものを組み合わせて、統合の上アウトプットを生み出すことを目的にします。
 この演習は、1グループの人数を4人〜5人に押さえて行います。それ以上増えると議論が散漫になり、突っ込みが浅くなる虞がでてきます。
 演習項目としては、読書時間30分、分析、発想、討議などあわせて1時間、資料作成に30分あわせて2時間を要します。
 2時間というのは、比較法、結合法のどちらか一つをやる場合になります。両方実施する場合には、3時間程度は要すると思います。
 ここで、資用具、場所条件について説明しておきます。最低限度必要なものは、黒板、チョーク、講師用演壇、マイク、メモ用紙程度を欲しいものです。もちろん、受講者は筆記用具を必携とします。特に、比較・分析法の場合、資料作成作業がありますから、模造紙、マジックインキ、あるいはOHPのセットを用意します。また、「読書研究・活用法」の演習は、深い思考力、集中力が要求されますから、グループ討議用に個室が用意できれば最良です。

【速読・速解トレーニング】
   情報洪水の中で速読することの必要性が要求される時代になりました。それに答えるのが速読力を高めようと云うのが「速読・速解トレーニング」です。
 ただ、この演習は、他の速読法と違って速度そのものより、内容の速解にウェイトがおかれています。このような立場からこれらの演習は、どのように早く本のポイントを掴んだいいのか。また、自分にとって、仕事に必要な情報やヒントをどのようにして得るか。その辺のテクニックを練習しながら習得していくことになります。

 実習は、個人実習とグループ実習から構成されます。最初、個人一人一人の標準速度を測定して、それを基準にしながら、次の実習で上達度をチェックしていきます。
 グループ実習は、相互啓発の方法によって進められます。つまり、所定の時間内で課題の文章を読みます。一方メンバーは自分なりに文章の論旨、要点を把握します。ついで、グループ討議を行いますが、その過程で他のメンバーとの比較において、自分の速解力のレベルや改善を要する点が自覚されていくことになります。

速読・速解トレーニングには次の七つのステップがあります。
 (1) 焦点読み、
 (2) 固まり読み
 (3) 見出し読み
 (4) 文脈読み
 (5) 拾い読み
 (6) 一行読み
 (7) 仕事読み
 (1) 〜(7) まで一通り演習を行いますと、所要時間は6時間前後になります。これらのステップを絞り、圧縮すると、3時間前後で訓練実習が可能になります。
 グループの人数には特に制限がありませんが、刺激を高め相互啓発の効果を上げるためには、ある程度(6人〜7人)以上のメンバーがいたほうがベターです。使用具や場所などは前述したとおりです。

 以上の技法についてグループ演習を中心に説明しました。けれども、集合研修方式であっても個人実習を中心に行うこともが可能であることは申し上げるまでもありません。

 参考文献:「ビジネス読書入門」・中川著・日本能率協会
      「確かな読書力を身につける」・中川著・日本能率協会
      「20倍の速読み法」・中川昌彦著・日新報道



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