ホームドクターとしての長いお付き合い

 混合歯列時期に限らず、歯列不正に対する介入を始めようとするときは、本人やその両親には「一生のおつきあいになります」ということを、熱意をこめて伝えたいと思っております。歯列育成を続けるためには、なによりも子供やその家族との厚い信頼関係が不可欠です。そして、乳歯列期から長期間にわたる定期健診の中で、その都度必要な介入を繰り返し、できれば非抜歯で、複雑な装置も使わずに治療を行いたいのです。


 行き当たりばったりでいいわけではありませんが、やむを得ず治療方針が途中で変更になることもあります。成長と言う前もって予測しきれないものを相手に、早い時期に最終的な「診断」が下せるとは考えていません。長いお付き合いの中で、患者さんの希望も取り入れながら最善の対応を模索していきたいものです。


 私の医院では、生涯を通じて子供の歯の健康に寄与することを最大の目標としています。カンガルー歯科という医院の名前も、“子供を大切にする”コンセプトのもと、家族である大人の治療も担当したいとの想いから名づけたものです。


 親・子・孫三代にわたる家族全員の歯科治療を受け持つホームドクターとしての立場で、長い期間子供の成長を見守って行きたい、そのためには、歯列不正というこの厄介なものへの取り組みを続けていかなければなりません。


 咀嚼、呼吸、姿勢、歯の大きさなど、歯列不正の原因についての考察をまとめ、より予測の精度を上げていきたい、そして、タイムリーでミニマムな介入を繰り返しながら、結果として美しい歯並びを子供たちにプレゼントできれば、と考えています。