オーケストラは
事件だ!

('97.6.8, 第42回定期演奏会
パンフレットより)

 アマチュア・オーケストラは社会の縮図です。すまし顔で舞台の上で高尚な音楽を奏でていると思ったら大間違いなのです。純粋な音楽上の問題以上に人間関係(楽器同士の確執、パート内での上下関係、男女関係?、家族関係、世代間戦争)や金銭問題(団の運営費問題、団員間の借金トラブル?)など様々な問題が響き合いながら出てくるちょっと苦みと辛味の効いた味わい深いハーモニーこそアマ・オケの醍醐味なのです。職業柄(毎日新聞記者です)、いつも「これを新聞記事にすると面白い」と思っていました。そこで今回は様々な記事スタイルで神戸市民交響楽団を表現したいと思います。記事は基本的にフィクションですが、団のイメージを損ねない(?)ように注意しました。読者がそこから何を想像するかは自由です。まずは新米記者が鍛えられる新聞記事の基本の交通事故記事から。

 8日午後2時35分ごろ、神戸市中央区大倉山モーツァルト町のケッヘル620号線魔笛通りのアレグロ交差点付近でKCO観光の4トン大型コントラバス5台が突然暴走を始め、接触や追突を繰り返しながら前の弦付きチェロやビオラ、バイオリンを追い越し約1キロ走って止まった。現場は片側1車線でフルートやオーボエ、クラリネットなど対向の小型管楽器があちこちで大破、魔笛通りはメチャクチャになった。さいわいにもこの事故で奇跡的にけが人はでなかったが、指揮者や周辺で目撃していた約1,000人の聴衆はパニック状態に。しかし、オーケストラのメンバーは慣れた様子で「またやったか」と冷ややかな視線を送りながら、事故処理に余念がなかった。
 兵庫県警大倉山署の調べでは、コントラバスが指揮者の信号をよく見ていなかったのと最初からスピードを出し過ぎていたのが原因らしい。同署では道交法違反容疑でコントラバスの5人の運転手を調べているが、5人は悪びれた様子もなく「楽器の調子が良く、乗りすぎた。まだ序曲だ。次はもっとうまくやろう」などと話しているという。【チェロ 大野靖史】


 KCOというのは当団の略称です。次は察回り(事件担当記者)の腕が問われる殺人事件のスタイル。

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