[トップページ] [平成10年上期一覧][Media Watch][070.15 事実と報道][367.2 フェミニズム] 


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        _/  _/    _/  _/           Japan On the Globe (22)
       _/  _/    _/  _/  _/_/      国際派日本人養成講座
 _/   _/   _/   _/  _/    _/    平成10年1月31日 1,906部発行
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_/_/       Media Watch: 民の声は天の声
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_/_/                   ■ 目 次 ■
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_/_/	1.正反対の世論調査
_/_/	2.設問のトリック
_/_/	3.世論の実態は?
_/_/	4.国民の優れたバランス感覚
_/_/	5.都合の悪い総理府調査の隠蔽
_/_/	6.自社の調査結果でも都合の悪い部分は、、、
_/_/	7.民の声は天の声 vox populi, vox Dei
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■1.正反対の世論調査 ■

 次の二つの見出しを比較していただきたい。

    選択的な夫婦別姓、58%が導入に賛成 朝日新聞社世論調査
    (朝日新聞 94.09.27朝刊1面)
    
    「夫婦別姓」53%が反対/総理府世論調査
    (東京読売 94.11.27朝刊1面)
    
 ほぼ同時期に行われた夫婦別姓に関する世論調査の結果である。 
一体どちらが正しいのか? 読売自身は2年後に自社で調査を行い、
次のように報じた。

    「夫婦別姓」反対57% 「一体感薄れる」など/読売新聞社
    世論調査  (東京読売96.04.12朝刊2頁)

 3つの調査を合わせると、朝日では賛成。総理府、読売の調査で
は反対という結果になった。どうしてこのような正反対の結果が得
られるのか?

■2.設問のトリック ■

 読売の調査は以下のように直接的に法改正の是非について聞いて
いる。

    ◆政府の法制審議会が、民法の改正案をまとめました。この中
      で、夫婦が希望すればそれぞれ結婚前の姓を名乗ることがで
      きる「夫婦別姓」の導入が提案されています。あなたは、
      「夫婦別姓」の導入に、賛成ですか、反対ですか。
        ・賛成          17.7%
        ・どちらかといえば賛成  19.4%
        ・どちらかといえば反対  26.7%
        ・反対          30.0%
    ・  ・答えない         6.2%

 それに対して、朝日の設問は、以下の通りである。

    ◆結婚すると、夫の名字を名乗るのが普通ですが、あなたは、
      これを当然と思いますか。そうは思いませんか。
    ◆あなたは、夫と妻がそれぞれ結婚前の名字を名乗る夫婦がい
      てもいい、と思いますか。そうは思いませんか。

 というような質問がいくつか続いた後、最後の方で、ポツリと法
改正に関する肝心の質問が出てくる。

    ◆法律を改正して、夫婦が同じ名字でも、別々の名字でも、自
      由に選べるようにすることに、賛成ですか。反対ですか。
	・賛成          58%
	・反対          34%
	・その他・答えない     8%
	
 回答者は「夫の苗字を名乗るのが当然か?」、「別姓の夫婦がい
てもいいと思うか?」とたたみかけられて、最後に、「法律を改正
して自由に選べる、、、」と聞かれると、「不自由にすべきだ」と
は答えにくくなる。

 人間は自分の答えの論理的一貫性を重視するという性癖を持つ。 
これを利用した設問方法で、「誘導尋問」でよく使われるパターン
である。おそらく、読売の質問なら、「どちらかと言えば反対」と
答えた人も、こう聞かれたら「賛成」に流れる可能性がかなりある。

■3.世論の実態は?■

 それでは世論の実態はどうなのか? 総理府の96年の調査では、
次のような結果が出ている。

・法律を改めてもかまわない      32.5%
・通称として使えるように法律を改める 22.5%
・現行法を改める必要はない      39.8%

 通称とは、家族の中では同姓を維持しつつ、職場などでは旧姓の
継続使用を認めて、改姓の不便さを避けよう、という考え方である。 
(ただしどこまで通称として認めるかは、また別の複雑な問題であ
るが)

 したがって、家族内での同姓を支持しつつ、
・反対派39.8%+通称派22.5%=合計62.3%。

 職場では別姓も可能にしよう
・賛成派32.5%+通称派22.5%=合計55.0%

 というのが、過半数の民意であると解釈できる。

 また結婚で姓が変わる事に関しては、

「新たな人生が始まるような喜びを感じる」43.4%
「相手と一体となった喜びを感じる」   25.1%
「何も感じない」            21.3%
「違和感を持つ」            19.0%

 と家庭内同姓の意義を認める人が多い。

■4.国民の優れたバランス感覚■

 民意は「家族を支える同姓の意義を認めつつ、働く女性の社会的
な不便さを解消すべき」という見事なバランス感覚を示しているよ
うに見える。この調査をもとに、

     松浦功法相は「世論調査の結果は、あまり急がない方がいい
    と言っているような気がする」として、夫婦別姓に関する民法
    改正に慎重な姿勢を示している。(サンケイ、96.11.17朝刊)

 というあたりが、民意に沿った妥当な判断であろう。(通称につ
いては、すでに制度的に導入している企業も多く、どこまで法改正
する必要があるのか、議論が必要である。)

 別姓推進派には、最終的には旧ソ連のように婚姻制度そのものを
破壊する事を夢見ている人もいる(以下、参照)が、賢明な日本国
民にはこういう極端な主張は受け入れられていない。

JOG(6) Fact Finding と Logical Thinking

■5.都合の悪い総理府調査の隠蔽■

 ちなみに、自社の主張に合わない総理府調査を朝日自身はどう報
道したか? 当日の3面に

    「離婚認める」に53% 別居など一定期間続けば 総理府調
    査 11.27  朝刊 3頁
          
 と、同時に行われた離婚に関する調査を中心として報じ、別姓に
ついては、全7段の記事の最後の方で、ひっそりと以下のように一
段で触れているのみである。

     夫婦が、それぞれ結婚前の自分の姓を名乗ることができる
    「選択的夫婦別姓制度」の導入については、法改正に賛成が二
    七・四%、反対が五三・四%で、全体としては慎重な意見が強
    かった。しかし、二十歳代と三十歳代、それに未婚者では、賛
    成論が四〇%前後を占めて、世代間の格差を印象づけた。

 同じ総理府調査を1面で「53%が反対」と報道した読売とは、
対照的である。

■6.自社の調査結果でも都合の悪い部分は、、、■

 また朝日自身の調査の中にも、
 
	◆独身女性は
            結婚後も自分の名字で     4%
            結婚相手の名字に変えたい  41%
            こだわらない        51%

 などと、「別姓を選ぶ」独身女性が4%しかいないという結果が
出ているのだが、これらについては、同じ朝刊の17面で「別姓認
める、でも自分は・・・」と題して、

     別姓を認める声が多数だったものの、自分自身のことになる
    とまだまだ慎重な姿勢を示す人が多いのも現実だ。

 と言い訳のような記事を書いている。17面の詳細な文章まで読
むと、第1面の「選択的な夫婦別姓、58%が導入に賛成」という
勇ましい見出しとは、だいぶ印象が変わってくる。しかしここまで
じっくり読む読者は少ないだろうから、大半の読者は1面の大見出
しだけ読んで「世論は別姓支持」というように思いこむであろう。

 自社の主張に合わない事実は、3面とか、17面の奥の方に、小
さくひっそりと報ずる。朝日の読者は、本当の所を知りたかったら、
隅から隅まで読まなければならないのである。

■7.民の声は天の声 vox populi, vox Dei■

 ラテン語に「民の声は天の声」ということわざがある。民主主義
の国では「民の声」こそが、政治を導く「天の声」なのである。朝
日の誘導尋問的な世論調査は「民の声」を誘導しようとするもので
あり、都合の悪い調査結果の隠蔽は「民の声」を偽るものだ。これ
は自由民主主義の基盤自体を崩す危険な行為である。我が国の代表
的な新聞の一つが、人民日報やプラウダ並では困る。

 朝日新聞が「民の声」を正確に把握するという、社会の公器とし
ての使命感と見識を取り戻す事を望む。

■おたより 石田@旭川さんより    

 先日の”新聞の読み方(1)”興味深く読ませて頂きました。そ
れに関連して、今朝(2/6)の北海タイムスに以下のような記事が
載っておりましたので紹介させて頂きます。(多分全国紙では扱わ
れてないのでは?)

 ここ北海道では北海道新聞(道新)が圧倒的なシェアを占めてお
りますが、その論調は”朝日より赤い”と言われるくらい酷いもの
で社会党王国北海道を蔭に日向に支えてきた感があります。社会党
が崩壊した現在でもその論調はいささかも変わることなく、最近で
は例の慰安婦騒動の火付け役、高橋某のインドネシアなどに関する
エッセイを連載したりしていました。商売その他の関係から民族派
の人でも仕方なしに道新を購読せざるを得ない人もいるくらいで、
ここ北海道においては道民の生活の隅々にまで入り込んでおり、ま
さに権力機構以外のなにものでもありません。

 北海タイムスの今朝の記事というのは、その道新が函館新聞とい
う地方紙発刊に際して様々な妨害工作を行い、ついに独禁法違反容
疑で公正取引委員会の排除勧告を受けた、というものでした。記事
によれば道新の妨害工作というのは

(1)函館新聞発刊構想が持ち上がるや”函館新聞”を含む9件の
新聞題字を商標登録申請し、その後、函館新聞が創刊されると商標
登録をたてに題字の使用中止を求めた。

(2)函館新聞がニュースの受信契約を結ぼうとしていた時事通信
社に記事を配信しないよう要請した。

(3)函館新聞の公告募集を困難にするために函館地区での道新の
広告料を大幅に割り引いた。

(4)民放各社に函館新聞の創刊CMを流さないよう要請した。

 などなど、およそ公正な言論機関にあるまじき、”姑息”としか
言い様のない陰湿な手段で妨害工作を行っていたそうです。それに
対して公正取引委員会が勧告した、という訳ですが道新社長・岸本
某のコメントがまた傑作で”報道機関が公権力の介入を許したのは
誠に遺憾であり・・・到底承服し難い、云々”とありました。自ら
が絶大な権力でありながら、それを棚にあげて何という言い草でし
ょうか。この思考形式は学内で絶大な権力を誇っていた、新左翼ゲ
バルト集団の論理そのものではないでしょうか?あるいは朝日新聞
が、新編日本史採択に際して様々な妨害工作をおこなったという事
件、また最近の神奈川での櫻井よしこ女史の講演会妨害事件などと
も通じるものがあると思います。函館新聞がどんな系統の新聞か全
然知りませんが、「新聞の読み方」とも関連した話題と思いました
ので紹介させて頂きました。

■編集部より

 口先での「言論の自由」と、実際の行いとのすさまじいギャップに
驚かされます。マスコミにも自由競争がなければ、いけませんね。

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