[トップページ] [平成11年上期一覧][人物探訪][210.78 高度成長期][329.5 国際交渉・調停]


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        _/  _/    _/  _/           Japan On the Globe (83)
       _/  _/    _/  _/  _/_/      国際派日本人養成講座
 _/   _/   _/   _/  _/    _/    平成11年4月16日 7,727部発行
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_/_/         人物探訪:石原慎太郎
_/_/        〜NOと言う国際派日本人〜
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_/_/           ■ 目 次 ■
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_/_/      1.都知事になったら
_/_/      2.NOと言わない日本
_/_/      3.東京湾沖の米軍射撃訓練にNO
_/_/      4.真の友好のためのNO
_/_/      5.NOと言うエネルギーの源泉
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■1.都知事になったら■
 都知事に当選した石原慎太郎氏は、すでに9年前に次のように書
いている。
     私が東京都の知事だとしたら、党派の立場を越えて、神奈川、
    埼玉、千葉の県知事と計りあってまず横田と座間と厚木の基地
    のうちの一つの機能をどこか他所に集約して返してほしいと 
    交渉をするでしょう。
      仮に基地が一つ返還されると、たちまちにしてそこに巨大な
    民間空港が誕生するのです。航空騒音も軍用よりもはるかに少
    ないし、なによりも東京の至近距離に空港が新たに誕生するこ
    とで生じる経済的波及効果は大変なものです。アメリカが本当
    の意味で日本と友好国であろうとするならば、まず首都圏の基
    地返還という思い切りの良い一手を打つべきでしょう。
    [1,p60]
 その根拠として、氏は次の2点を挙げる。
    ・世界各国の中で首都圏周囲に4つのもの外国駐留軍基地(横
      須賀、座間、横田、厚木)を置いている国は日本だけ。
    ・横田基地はアンタッチャブルとなっており、使用頻度を米軍
      に聞いても教えてくれない。完全な治外法権となっており、
      アメリカのVIPが全く日本に知らせずに行き来するのに使
      われている。
 このように、根拠を明確にして、はっきりと自己主張するのが、
石原氏の流儀である。これは国際派日本人の見習うべき点だ。
■2.NOと言わない日本■
 ソニーの会長だった盛田昭夫氏との共著「『NO』と言える日
本」は、アメリカの国防総省が無断で英語に翻訳して、(しかも石
原氏によれば、意図的な誤訳の多いまま)、配布し、議会でも取り
上げるなど、米国内でヒステリックな反応を引き起こした。
 この本を現在読み直してみると、アメリカに対するストレートな
批判は多いが、感情的になるほどのものはない。たとえば次のよう
な話が出てくる。
 盛田氏が、いつも「日本はアン・フェアだ、けしからん」と言っ
ているアメリカの友人の家に行ったら、テレビもステレオも、ゴル
フクラブも、モーターボートも、スノーモービルも全部日本製だっ
た。盛田氏は言った。
     おまえさんは日本がアメリカのものを買わない買わないと言
    って怒るけれどもども、あんたが全部日本の物を使っていなが
    ら何を私たちに買えと言うんだ。[2,p25]
    
 アメリカ生活の長い盛田氏ならではの具体的で明快な指摘だ。し
かし、この程度の当たり前の主張が、なぜアメリカで騒ぎを起こし
たのか? 石原氏は改めて「あの本のようなメッセイジがどうやら
今まで一度も日本からアメリカに向かって発せられたことがなかっ
た」という事実に気がつく。
 そして「アメリカにとっての日本とは所詮いかなる『NO』も許
され得ぬような存在でしかない」と実感し、それは「アメリカの責
任であると同時にそれ以上に日本の責任でもある」と説いている。
[1,p11]
 「『NO』と言える日本」は、後に正式な翻訳が出版され、アメ
リカでもベストセラーとなった。石原氏はアメリカに呼ばれ、テレ
ビや講演会で発言する機会をもったが、多くの人に支持されたとい
う。ある友人からは「私たちは日本からこういう人物にもっと来て
ほしい」と言われた。[3,p140]
■3.東京湾沖の米軍射撃訓練にNO■
 それでは、石原氏が発した「NO」の例を一つ、紹介しよう。
 昭和63年11月、石原氏が運輸大臣をしていた時のことである。
アメリカの駆逐艦「タワーズ」が東京湾沖で、海上保安庁の巡視船
「うらが」を仮想標的として、射撃訓練をした事が明らかになった。
 アメリカ側は爆発しない訓練用弾丸だったと釈明しているが、そ
の単層速射砲「マーク42」は重量32キロの弾丸を1分間に36
発、最大23キロの距離まで飛ばせる代物である。もし当たれば
「うらが」は重大な損害を受ける。
     仮に、小さな漁船などだとそれこそ大変な事態になる。東京
    湾沖といえば、アメリカだとニューヨーク湾沖に相当するわけ
    で、アメリカのテレビ報道番組が、アメリカが外国の軍隊にこ
    んなことをされたらアメリカ人は烈火のごとく怒るだろう、と
    放送していたくらい、許せない暴挙だった。
     それを外務省は、よくあることだから、しばらく発表を待っ
    てほしい、と抑えてきた。一体、何を考えているのか。腹が立
    ってきて、いずれにせよわかることだから私の責任で発表する
    と抗議させた。日本の領海内でしかも射撃訓練は全面禁止にな
    っている海上交通の要衝で射撃訓練を行なうとは常識的には考
    えられない。あきらかな主権侵害です。[2,p43]
 石原氏の強硬な抗議を受けて、アメリカ海軍は異例なほど素早く
遺憾の意を表した。
■4.真の友好のためのNO■
 しかし、この時の「NO」は、アメリカの為にもなるものだった。
たとえば、外務省のように「よくある事だから」などと言って、見
て見ぬふりをしていたらどうなるか。
 いずれ日本の巡視船か漁船が本当の被害を受けた場合に、日本の
世論は激高し、感情的な反米論議が一気に高まるであろう。それは
日米関係に取り返しのつかない傷を残す。
     不満を内向させ、ある日突如として離反するような愚かなこ
    とはするべきでない。そのためにこそ言うべき「NO」を言え
    と言っているのです。[1,p75]
     アメリカにとって日本は欠かせないし、日本にもアメリカは
    必要です。しかし瞬間的には、私たちは近い関係がゆえに激し
    く対峙することもあるでしょう。
     だが、強いプレッシャーを克服するには逃げてはだめです。
    正面から立ち向かい、腰を据えて言うべき「NO」をはっきり
    と告げ続ける気力を持つしかないのです。「NO」に対して相
    手も「NO」で返してきてもひるむことはない。「NO」のボ
    レーの交換こそがお互いの一致点を見つける最良の方法だと思
    います。[1,p226]
    
 都知事となった石原氏を、CNNや香港各紙は、「日米安保反対
者」、「国家主義者」、「反米」、「極右」などと形容しているが、
これまた事実に反するヒステリックな報道だ。しかしこの程度のプ
レッシャーには、タフ・ガイ石原氏はひるむまい。
■5.NOと言うエネルギーの源泉■
 東京湾沖の射撃演習に対して、外務省は事を穏便にすまそうとし、
石原氏は強硬な抗議をした。この違いはどこから来るのか?
 
 実際にどうだったかは分からないが、もし担当の役人が、アメリ
カ海軍と面倒を起こしたら自分の出世にひびく、と思ったら、やは
り「よくあることだから」と言って済まそうとするだろう。NOと
言わない事なかれ主義は、往々にして国家公共よりも、自分の利益
を優先する所から来る。
 石原氏が「許せない暴挙」に「腹が立ってきて」とまで感ずるの
は、それだけ国の利益や名誉を「我が事」として切実に感じている
からだろう。断固NOと言うエネルギーは、ここから来ている。
 なぜ、石原氏は、国の事をそれほど、自分自身のものと感じるの
だろうか。それはおそらく次の少年期の体験からきている。
 
 昭和20年、湘南中学の1年生だった氏は、帰路の途中、米軍機
の標的にされた。背後から迫ってくる爆音に振り向くと、敵機が超
低空で突っ込んでくる。本能的に麦畑の中に伏せると、敵機の機銃
掃射が前方の芋畑に猛然と土煙をあげた。その機体にはなにやら極
彩色の漫画が描かれていた。
     恰好の獲物を取り逃がしたいまいましさを機体にあふれさせ
    敵機は急旋回していったが、再び襲われる恐怖で私たちは三百
    メートルほど先の松林に駆け込むため一斉に走った。
     林まであと五十メートルほどのあたりでまた爆音がしたが、
    今度は芋畑だったので隠れようがない。それでも、わずかばか
    りの浅い畝に身を伏せた。掃射の銃弾を予期してひたすら身を
    縮めたが、不思議に銃声がなく爆音だけが過ぎていった。助か
    った、と頭を上げたときに見えたのは、先刻とは違うカーキ色
    の胴体と翼に日の丸を描いたわれわれの戦闘機でした。
     あの瞬間のふるいつきたくなる愛着と渇仰は先刻とはまさに
    対照的だった。あのすがりつきたいような激しい感動は多分一
    生忘れまいと思う。それは命を賭けて凌ぎあう戦争の不条理さ
    不本意さを越えたところで、自分が抜き差しならぬかたちで日
    本という国に属しているのだということを悟らされた瞬間だっ
    た。[4,p154]
 日本人だというだけで、見も知らぬアメリカ人から機銃掃射を受
ける戦争の不条理さ。民間人を、しかも子供を狙うのは、国際法違
反だ、と訴えようにも声は届かない。しかし、逆に、日本人だとい
うだけで、見も知らぬ自分を命を懸けて守ってくれる同胞がいる。
これが、国に属するという事である。国が侮辱されれば、我が事と
して怒り、NOと言う気持ちはここから来ているのだろう。
[参考]
1. 「それでも『NO』と言える日本」、石原慎太郎・渡部昇一・
  小川和久、光文社、H2.5
2. 「『NO』と言える日本」、盛田昭夫・石原慎太郎、光文社、
  H1.1
3. 「亡国の徒に問う」、石原慎太郎、文芸春秋、H8.12
4. 「断固『NO』と言える日本」、石原慎太郎・江藤淳、光文社
  H3.5
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/★★読者の声★★_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
          ホノルル在住、ロナルド J. サリバン様より
 私は日本で生まれて大学の時ハワイに永住したためか、自分の意
見を他人に主張することは何となくいけない、逆にしないほうが美
徳であるという感覚を知ってますので、ハワイでの生活に慣れるの
には大変でした。しかし、アメリカでは勿論のこと、ヨーロッパで
もそうだと思うのですが、自分の意見をはっきり言えないと、社会
では一人前として通用しません。
 そこでノーが言えなくてはだめなのですが、ここで私が一つ気が
付いたことが有ります。それは、ただノーを言うだけでもだめだと
いうことです。アメリカ人はノーは大好きですが、すぐそのあとに
必ずWHYが返ってきます。理由の方がもっと大切なのですね。結論
から言いますと、相手にも理解できる共通の原理原則(Principl
e)に基づいた理由からなる主張は、例えその主張が反対されても、
信念を持ってるということで、その人の人格が認められるというこ
とにつながると、経験上知りました。
★編集部 お互いにNOと言い合いながら、共通の原理原則を発見
  していく所に、議論の創造性があるのでしょう。

        富山県 佐々木和人さん(会社員、34才)より
   JOG編集長・伊勢さん、こんにちは。JOG83号は今日(4月23日)
  初登庁する石原慎太郎新東京都知事に関する記事でしたが、私も、
  富山県民ではありますが石原新知事にぜひお願いしたい事がある
  ので、その事について以下に記したいと思います。
    私が新都知事にまずやってほしい事、それは「東京平和祈念
  館」(仮称)の建設計画を今すぐ中止してほしい、という事です。
  雑誌「正論」等の記事によれば、その内容は、まず「軍事都市東
  京」として東京が軍事上の最重要拠点であった、という事をアピ
  ールし、さらに「南京大虐殺」や「朝鮮人強制連行」といった
  「日本軍の残虐行為」をアピールし、つまりは「日本政府が悪か
  ったから東京は大空襲を受けたのだ」と結論づける展示内容にな
  る予定だ、と記載されていました。
   私の住む富山県でも戦時中に富山大空襲があり、昨年も8月に
  この富山大空襲に関する集会が行われました。しかし報道によれ
  ばその集会の結論は「日本政府がポツダム宣言を早く受諾しなか
  ったから、富山市は大空襲を受けた。」というものだったようで
  す。このような本末転倒な見方は一刻も早く是正しなければなら
  ないのに、東京の「祈念館」の計画はまるで逆なのです。
   明らかな親中国派だったジョン・ラーベでさえ、南京戦におけ
  る民間人の犠牲者は多く見積もって1〜2万人と記しています。
  (まして貴HP79号に紹介の東中野教授の論文においてをや、です
  が) 一方、富山大空襲の犠牲者は約1万人です。もしどうして
  も「南京大虐殺」という表現を使うのであれば、富山の場合も
  「富山大虐殺」というべきです。そして東京、広島、長崎の場合
  はそれぞれ「東京特大虐殺」、「広島特大虐殺」、「長崎特大虐
  殺」と表現しなければいけないと思います。それが公平な立場だ
  と思います。
   石原氏にはぜひこれから頑張って欲しいと思います。(ついで
  ですが、私は大阪の横山ノック知事にも、「ピースおおさか」な
  る建物をすぐに閉鎖してほしい、と思っています。)
★編集部より 各地の平和記念館は、公費を使って偏向教育をし、
  さらにサヨク団体の利権が絡んでいるようですね。そのうちに本
  講座でもとりあげる予定です。東京の平和記念館はすでに都議会
  で当面の建設計画が白紙撤回されたようです。

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