[トップページ] [平成13年一覧][Common Sense][367.2 フェミニズム][400 自然科学]

-----Japan On the Globe(177)  国際派日本人養成講座----------
          _/_/   
          _/     Common Sense: 一周遅れのフェミニズム
       _/_/      
_/ _/_/_/         最近の脳科学が発見した男女脳の違いから
_/ _/_/          フェミニズムを見てみると、、、
-----H13.02.18----32,680 Copies----216,609 Homepage View----

■1.夫婦円満の秘訣■

         夫が冷蔵庫の中で、バターを探している。見つからない
        ので、妻に聞くと、冷蔵庫にあるはずだ、と答える。もう
        一度探してみるが見つからない。「どこか別の所に置いた
        んじゃないか」と言うと、業を煮やした妻がやってきて、
        冷蔵庫に手を入れ、まるで魔法のようにバターをとりだす。
        「目の前にあるじゃない、どこを探しているの?」
    
         妻は方向音痴である。新しくできたスーパーに行くのに
        地図を見て、「郵便局が左側にある四つ角で、右に曲が
        る」というように覚えるのだが、帰りはその角をまた右に
        曲がって、帰れなくなってしまう。夫はまたかとあきれる。
    
     我が家ではこんな事でよく言い争いになるが、最近のベスト
    セラー「話を聞かない男、地図を読めない女」[1]を読んで安
    心した。これは我々夫婦の能力上の欠陥ではなく、そもそも男
    女の脳の違いによるものだそうだ。
    
     男は視野が狭いので捜し物が不得意であり、女は頭の中で物
    の位置や形状、動きを思い浮かべる「空間能力」が低いので運
    転が下手だ。双方がこう理解していれば、うまく役割分担して、
    お互いの欠点を補い合うことができ、円満な家庭を築けるだろ
    う。

■2.別方向に進化した男女の脳■

     男女の脳が違うのは、進化の過程で才能や能力が別々の方向
    に発展してきたからだ。
    
     はるか太古の昔、男は危険に満ちた外界に出かけていっては、
    自分の生命を賭して獲物をしとめて、持ち帰る事が仕事だった。
    見知らぬ地域を長い距離を歩き回ることで空間能力が発達した。
    さらに遠くの獲物を見逃さないよう、視野は狭いが長距離を見
    通す「トンネル視」ができるようになった。だから遠出しても
    帰り道を苦もなく見つけられるが、冷蔵庫の中のバターは見つ
    けられない。
    
     女は子どもの世話をし、果物や木の実を採集し、群れの中の
    女性同士と共同で煮炊きをする。たえず周囲に気を配るために、
    周辺視野が広く、味覚、聴覚、臭覚、色彩感覚が発達し、細部
    の観察力に優れ、同時にいろいろな事ができる。
    
     一時に一つの事しかできない男から見れば、女たちのおしゃ
    べりは、互いに相手の言うことなど聞かずに、一方的に話して
    だけのように見える。しかしマルチ・トラックの女の脳は、し
    ゃべりながら、相手の表情を読み、その服を「ちょっと素敵ね。
    どこで買ったのかしら」などと眺めつつ、テーブルの上の紅茶
    とケーキを味わう、などと並行していくつもの事ができるので
    ある。だから話題が無限に展開していく。

■3.職業上の男女差別?■

     職業によっては、男女の脳の違いが大きな向き不向きをもた
    らす。英国建築家協会の調査では、女性建築家はわずか9%し
    かいないという。英国の建築業界には封建的な男女差別がある
    のだろうか。いや、大学で建築を学ぶ学生の半分は女性だとい
    うから、性差別というより、頭の中で構造物を思い浮かべる空
    間能力の差が、職業としての成否に大きく影響していると考え
    るべきだろう。
    
     パイロットにいたっては、イギリス、オーストラリア、ニュ
    ージーランドの6665人のうち、98.8%が男性である。
    パイロットはまさに空間能力が不可欠の仕事である。
    
     空間能力に関連する数学的推理力も男性の得意分野である。
    会計学を勉強する学生の38%は女性だが、実際の会計士とな
    る女性は17%しかいない。一般に女性が数学に弱い、という
    のは科学的な事実のようだ。
    
     しかし、数学的推理力や空間能力が同等であれば、女性の方
    が優秀だということは言えるらしい。オーストラリアでは、エ
    ンジニア関係の仕事で、女性が占める割合はわずか5%だが、
    平均所得は14%も多い。また性差を補正した知能テストでは、
    女性の方が3%ほどIQが高い、という結果も出ている。
    
     一方、女性が優れているのは、言語能力、コミュニケーショ
    ン能力だ。子どもや他の女性と長い時間を過ごすために、特に
    発達した能力である。イギリスにいる1万6千人のフランス語
    教師の75%、14万4千人の福祉・カウンセリング従事者の
    70%が女性である。さらに同時通訳などは、マルチトラック
    の言語能力を要する仕事で、まさに女性の独壇場である。
    
■4.男は地位と力を求め、女は関係と協力を求める■

     狩猟者として進化した男の脳は、自分の目指すものを獲得す
    るための問題解決マシン、目的追求マシンである。西欧5カ国
    で実施された調査で、自分はどんな人間になりたいかという理
    想像を多くの形容詞から選択するアンケートでは、男性に多か
    った回答は「大胆な、競争に勝てる、有能な、支配力のある、
    断固とした、賞賛される、実際的な」であった。狩猟者のリー
    ダーとしての「地位と力」が男の理想である。
    
     同じアンケートで女性の回答には「温かい、愛される、寛大
    な、思いやりのある、魅力的な、友好的な、惜しみない」が多
    かった。子どもを育て、家庭を維持し、他の女達と一緒に働く
    女性は「関係と協力」を大切にする。
    
     西欧が作り出した近代世界システムは植民地主義と人種差別、
    自然征服を基調とするものだが、こういう世界では、主役はあ
    くまで「地位と力」を求める男であり、「関係と協力」を求め
    る女は、男の所有物、あるいはせいぜい補助者でしかないこと
    は当然だろう。西欧世界の近代世界システムと女性蔑視とは、
    同じコインの両面と言えそうだ。[a,b]

■5.女の権利宣言■

     男性支配の近代世界システムの中で、女性の権利を求めるフ
    ェミニズムが生まれた。その出発点はフランス革命の時に、オ
    ランプ・ド・グージェという女性が、「人権宣言というのは不
    十分である。男(homme:オム=人)の権利しか言ってないじ
    ゃないか」と言って、女(femme:ファム)の権利宣言を出し
    た事が出発点になっている。[2]
    
     西洋語では「男」(英語では man、フランス語では homme)が、
    同時に「人」をも意味することから、人権宣言=男権宣言とも
    捉えられる。言語からして男性中心なのである。そこで女(fem
    me)に主義(isme)をつけて、feminisme、すなわち、フェミニ
    ズム(女権拡張論)が生まれた。
    
     それは西欧近代世界システムの他国も自然も征服せずんばや
    まず、という極端な男性原理支配への反撥として生まれた思想
    である。西洋に生まれたからと言って、人類普遍の思想と勘違
    いしてはならない。

■6.男女共同参画社会基本法の前提■

     政治的権利については男女対等が実現した現在、フェミニス
    トたちは、男性と対等の「社会進出」を目標としているようだ。
    女性も男と同じように、いつまでも家庭に縛られているのでは
    なく、社会に出て職業を持ち、「成功」を目指すべきだという。
    
         社会における制度または慣行が、性別による固定的な役
        割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対
        して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社
        会の形成を阻害する要因となるおそれがある、、、
        
     平成11年6月に志向された「男女共同参画社会基本法」の
    一節である。ここで言う「性別による固定的な役割分担」とは、
    「男は仕事、女は家事」という概念であって、これが女性の社
    会進出のブレーキとなっているという主張である。この条文の
    主張は次の前提に立っている。
    
    1) 男女の固定的な役割分担は、社会の制度や慣行によってで
       きたもの。
    2) 女性の「社会における活動」には、家事や育児は含まれな
       い。

■7.ジェンダーフリーの迷信■
    
     1)から、「ジェンダーフリー」という理想が生まれる。セ
    ックスとは肉体的な性差だが、ジェンダーとは制度や慣行によ
    って文化的に作られた性差別だというのである。そして育児の
    段階から文化的に「男らしさ」「女らしさ」を植え付けるよう
    なことをしなければ、男女はみな同等に育ち、パイロットも会
    計士も半分は女性になるはずだ、という「信仰」である。
    
     そのために、学校では男子生徒の名札をピンク、女子生徒を
    黒にしたり、世間でも「うちの主人は、、」等と言うと「あな
    たは奴隷か」と突っ込んだりする。(逆に男性が「うちのカミ
    さんは、、」と言ったら、どう叱られるのだろう?)
    
     前述したように、男女は肉体ばかりでもなく、精神において
    も脳そのものから異なる、という最近の脳科学の成果は、この
    ジェンダーフリーが迷信であることを証明しつつある。
    
     男女は、肉体的も精神的にも異質である。「同等」であるべ
    きだが、事実として「同質」ではない。そして数百万年の長い
    進化の過程で、男女の脳の「違い」は、競争しあうよりも、補
    完しあうように発達してきた。相互の違いを認め、互いに補完
    し会ってこそ、真の「男女共同参画社会」が生まれるのである。

■8.男の考える成功基準は?■

     2)の家事や育児をしている女性は「社会において活動」し
    ていない、という前提から、専業主婦を古い「制度または慣行」
    に盲目的に縛られた無自覚の「遅れた」女性、とする先入観が
    生まれる。

         女は社会で成功していない? それは男の考える成功基
        準を女にも当てはめた見方だ。だが、大きな会社を経営し
        たり、ジャンボジェット機を飛ばしたり、スペースシャト
        ルに搭載するコンピュータにプログラムを組んだりするこ
        とが、最大の成功だなんて誰が言ったのだろう?[1,p139]
        
     高給や高学歴が社会的成功の基準だというのは、「地位と
    力」の男性原理に囚われた偏見である。無給で、また学歴も不
    要だが、難しく、また価値ある仕事が世の中にはたくさんある。
    主婦もその一つである。
    
    「社会において活動」している著者の経験から言うと、一人の
    子どもを20年かけて立派に育てることは、企業で30人の部
    下を使って業績を上げることよりも、はるかに難しく、創造性
    と忍耐力を要する仕事である。
    
     仕事の価値においても、次世代の立派な国民を育てることの
    方が、TVゲームのソフト開発をして億万長者になることより
    も、社会的貢献度は高い。TVゲームなどなくとも人間は幸福
    に生きていけるが、次世代の国民を立派に育てることなくして、
    心豊かな国民生活はありえないからである。
    
     職場で男と競争しようとする女性には、能力と実績以外の性
    差別があってはならず、どしどし才能を発揮して欲しいが、
    「高給と高学歴が成功の証明だ」という偏見からは自由になる
    必要がある。同時に家事と育児に専念する専業主婦も、自分の
    仕事の偉大さに自信と誇りを持つべきだ。
    
■9.女性原理の先進国■

     西洋世界に比べて、わが国の思想的、社会的伝統はまったく
    異なる。キリスト教では、神はアダムを作られ、そのあばら骨
    から補助者としてイブを作ったのであるが、日本神話では最高
    位の太陽神・天照大神からして女性神である。
    
     その直系の子孫である神武天皇は、民を「大御宝(おおみた
    から)」として、一つ屋根のもとで仲良く暮らすことを、建国
    宣言の中で理想とされた。さまざまな部族が、大家族として仲
    良く暮らすことを願われるということは、まさに「関係と協
    力」を理想とする女性原理そのものである。「国民統合の象
    徴」という現憲法の表現にも「関係と協力」の理想は引き継が
    れている。[b]
    
     中世以降は、武家が実権を握ったが、それも天皇から征夷大
    将軍として地位を認められたものであり、あくまでも「関係と
    協力」の女性原理のもとで、国家の安寧と秩序を守るための
    「地位と力」であった。幕府を皇室の権威のもとにおいたとい
    うことは、国民生活の「関係と協力」こそが真の目的であり、
    「地位と力」はあくまでもをそれを守り、維持するための手段
    として位置づけた、ということである。そこに我が祖先の叡智
    が窺われる。

     近代世界システムは「地位と力」を自己目的化してしまい、
    ついに20世紀には核兵器と地球環境破壊という行き詰まりを
    迎えた。21世紀には人類は「関係と協力」という女性原理に
    方向転換し、新しい世界システムを構築していかなければなら
    ない。その面で女性原理の先進国としてのわが国の責任は重大
    である。
    
     わが国のフェミニスト達は、「遅れた」日本女性達の先頭を
    走っているつもりかも知れないが、現実は半周遅れの西欧社会
    で生まれたフェミニズムを、さらに半周遅れで追っているに過
    ぎない。先頭を走っているのではなく、一周遅れなのである。
    わが国のフェミニスト達には、無自覚な西洋崇拝から目覚めて、
    わが国の伝統から明日への叡智を引き出し、男女がその違いを
    対等に補完しあう真の「男女共同参画社会」を目指して、真の
    トップを走ってもらいたい。
                                          (文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. 024 平和と環境保全のモデル社会:江戸
   鉄砲を捨てた日本人は鎖国の中で高度のリサイクル社会の建設
  に乗り出した。 
b. 074 「おおみたから」と「一つ屋根」
   神話にこめられた建国の理想を読む。 

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
1. 「話を聞かない男、地図を読めない女」★★、アラン・ピーズ、
   バーバラ・ピーズ、主婦の友社、H12.4
2. 「フェミニズムとは何か」★★★★、長谷川三千子、まほろば、
   H12.11
   
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■「一周遅れのフェミニズム」について 
                                        加藤さん(女性)より

     私は人文系の大学教員で、今は研究休暇でニューヨーク滞在
    中です。はっきりフェミニストなんですが、伊勢さんの御意見
    に賛成するものです。
    
     性差別にもあいましたが、馬鹿で無能な男ほど女を差別して
    いやがらせをします。優秀な男性は女の社会進出など気にもか
    けません。本当に優秀な人物は、今の世の中でほっておかれる
    ことはありません。進路も自由に選べるし、好きなことを選べ
    る時代に、性差別がどうのこうのと言っても始まりません。
    
     専業主婦を選んだのならば、きちんとやりぬけばいいですよ。
    子どもの育児、教育は大事なことです。今は学校教育がひどい
    ですから親の責任は大きい。そして社会で働くことを選んだの
    ならば、愚痴言わずやりぬくことです。不如意も不公平も人生
    には現実にはつきものです。
    
     専業主婦になった女性は働いてる女性の事をとやかく言わな
    いこと。その反対もしかりです。自分で選んだことなのですか
    ら。私はフェミニストだからこそ、そう思います。
    
■ 編集長・伊勢雅臣より

     企業や大学でも、また家庭でも、優秀な女性は逞しく働いて
    います。法律で世の中を変えようという「一周遅れのフェミニ
    スト」達、それと女性差別をする無能な男性たちは、加藤さん
    の姿勢を見習ってもらいたいものです。

============================================================
まぐまぐ28,190部 Macky!833部 Pubizine792部 Macky!1,190部 

© 平成13年 [伊勢雅臣]. All rights reserved.