[トップページ][平成17年一覧][Media Watch][070.14 朝日新聞の病理][221.0131 拉致問題]

■■ Japan On the Globe(401)■ 国際派日本人養成講座 ■■■■

                  Media Watch: 北風と朝日

                     ある朝日新聞記者が北朝鮮擁護のために
                   でっちあげ記事を書いたという重大疑惑。
■■■■ H17.07.02 ■■ 33,025 Copies ■■ 1,672,594 Views■

■1.朝日新聞の「頬被り」■

     この1月に派手に始まったNHKと朝日新聞の大喧嘩は、朝
    日が頬被りしたまま、逃げ切りそうな気配である。

     事の発端は、本年1月12日、朝日新聞が1面で「中川昭・
    安倍氏『内容偏り』指摘 NHK『慰安婦』番組改変」と、両
    氏を名指しして、番組を改変させたと報道した記事であった。
    別面の詳細記事では、匿名のNHK幹部が朝日新聞記者のイン
    タビューに答えて「圧力があった」と証言したと報道。翌日に
    はNHKの番組担当者が涙の告発会見を行い、「当時の上司か
    ら圧力があったと聞いた」と発言した。

     ここまでは朝日のペースだったが、NHKは7時のニュース
    で10分以上にわたって「朝日の虚偽報道」と反撃。朝日のイ
    ンタビューに応じたNHK幹部が記者会見して、「記事は歪曲」
    「事実とは逆の内容になっている」と言い切ったのである。涙
    の会見をした番組担当者も、当時の上司から「圧力があったと
    聞いた」というだけで、なんら証拠がある訳でもない。

     NHKは朝日に18項目の公開質問状を送って、説明責任を
    果たすよう要求したが、朝日はまともに答えず。また「圧力を
    かけた」と1面の見出しで糾弾された安倍晋三・内閣官房副長
    官(当時)、中川昭一・経産相も「事実無根」と訂正・謝罪を
    要求し、朝日は八方ふさがりに追い込まれた。

     問題は単純な誤報事件に止まらない。問題となったNHKの
    従軍慰安婦問題の番組とは、4年も前のものだ。それがなぜ今
    頃蒸し返され、NHK幹部が会った政治家たちの中で、ことさ
    ら安倍・中川両氏だけを名指しで糾弾したのか。

     この頃、両氏は北朝鮮への経済制裁を主張していた。くだん
    の朝日記者は、北朝鮮と共闘してこの側面攻撃として、この報
    道で両氏を失脚させようと狙っていた、という疑惑が浮上して
    いる。今回はこの疑惑を追ってみよう。

■2.「朝日の三ホンダ」■

     この記者の名は本田雅和。「朝日の三ホンダ」の一人とも呼
    ばれているそうだ。一人は朝日新聞の元スター記者・本多勝一。
    日本軍が中国で「百人斬り競争をした」とでっち上げて山本七
    平にコテンパンに論破された[a]。もう一人が、沖縄のサンゴ
    礁を自分で傷つけた上で、環境破壊を戒める記事をでっちあげ
    た本田嘉郎である。

     3人目の本田雅和は、一人目にあこがれて朝日新聞を志望し
    た。

         私は「松井やより」と「本多勝一」にあこがれて朝日新
        聞を志望したミーハージャリンコ(ジャーナリストのガキ。
        卵たち)世代の一人だった。[1,49]

     本田記者自身が書いた、松井やよりへの追悼文の一節である。
    松井やよりは朝日新聞を退職した後に、慰安婦問題に関わり、
    問題の「女性国際戦犯法廷」の準備に関わった人物である。

         松井さんは何度も何度もしつこく電話をかけてきた。
        「ちゃんと記事にしてね。きちんと報道してね。」[1,p50]

■3.「昭和天皇に極刑を」■

     かくして平成12(2000)年12月8日から4日間にわたって
    開かれた「女性国際戦犯法廷」とはどのようなものだったのか。
    「法廷」の趣旨に賛同しないマスコミは閉め出された。産経新
    聞は取材を断られ、NHKと朝日は取材した。

     この「法廷」をとりあげたNHK教育テレビ番組「戦争をど
    う裁くか/問われる戦時性暴力」が次のように紹介されている。

         その日、会場の九段会館には朝鮮の民族衣装を着た老女
        たちが「昭和天皇に極刑を」のプラカードを押し立てて続
        続と集合。最初にビデオが流される。「日本の責任者を処
        罰しろ」と老女たちが日本大使館に向かって抗議するシー
        ン。最後は木に縛りつけられた昭和天皇とおぼしき男性に
        朝鮮の民族衣装の女性がピストルを向ける画像で終わる。

         それからシンポジウムが開かれる。日本の従軍慰安婦問
        題が徹底的に批判されていれば、ユーゴの殺戮と強姦も起
        こらなかったろう、とまさに一方的議論。そして裁判が始
        まる。

         被告人は今や地上にいない昭和天皇、旧日本軍人。弁護
        士なし、弁護側証人なし。検察官は二人いたが、いずれも
        北朝鮮の工作員だと指摘され、その後入国ビザが発給され
        ていない人物もいる。かくて裁判官が「天皇裕仁には性犯
        罪と性奴隷強制の責任により有罪の判決を下す」というと、
        場内は拍手のウェーブと興奮の坩堝(るつぼ)の中で歓喜
        に包まれたそうだ。[2]

     これが安倍・中川両氏の「圧力によって改変された」後の番
    組である。「改変」前はもっと凄かったのだろう。こういう番
    組を公共放送が放映すること自体に問題があるのだが、それは
    さておき、本田記者の動きを追ってみよう。

■4.北朝鮮の積極的な協力■

     本田記者は準備段階から、「法廷」に深く関与していた。開
    催前に市民団体「ピースボート」と北朝鮮に入国。北朝鮮側が
    「法廷」に積極的に協力する事を約束した、と自身の記事で書
    いている。[3]

     この約束の結果として「法廷」の検事役として来日したのが、
    黄虎男という人物。小泉首相の二度の訪朝の際に、金正日・総
    書記の通訳をしたというから、相当の実力者だ。ある政府関係
    者によれば「彼は朝鮮革命のプロパガンダを広める広義の意味
    での工作員です。民衆法廷の後、また来日しようとしましたが、
    政治活動など目的外行動を取るため政府に入国を拒否されてい
    ます」[3]

    「法廷」が近づくと尊敬する松井やよりの期待に応え、本田記
    者は大車輪の活躍を始める。11月から12月にかけて、朝日
    には社説を含めて12本の記事が掲載された。毎日は4本、産
    経は3本、読売はゼロであるから、朝日の突出ぶりが目立つ。

     それも「『昭和天皇にも責任』指摘 政府は謝罪を 慰安婦
    問題女性法廷閉幕」などと、いかにも主催者の主張をそのまま
    紹介した報道である。たとえば産経の「法廷という名にも値し
    ない"暗黒裁判"に等しいもの」とは対照的だ。
    
■5.「朝日記者の取材はまず結論ありきで」■

     この時には、政治家の圧力などという事はまったく問題にも
    されなかった。それが4年も経った今頃になって急に問題にさ
    れたのである。本田記者の取材ぶりを辿ると、その理由が浮か
    び上がってくる。

    「圧力があった」と朝日に報道された「匿名のNHK幹部」、
    松尾・元放送総局長は記者会見でこう語った。

        「自民党に呼ばれた」「圧力を感じた」という発言はして
        いない。特に圧力を感じたという部分だが、朝日の記者は
        取材の最初から終わりまで何回もしつこく「政治的圧力を
        感じさせたでしょう」と決めつけるような質問をしてきた。
        そのつど繰り返し、政治的圧力は感じてないと答えたが、
        記事は全く逆の内容になっている。・・・

         朝日記者の取材はまず結論ありきで、既にストーリーが
        できあがっているように感じた。記者は、「安倍、中川両
        氏にあなたが会ったという事実や面談のやりとりはすべて
        取材を終えている」と決めつけて強引にコメントを求めた。
        しかし、昨日の朝日の記事を見ると、安倍、中川両氏への
        取材は私への取材の翌日、今月十日とある。取材が終わっ
        ているかのような誤った印象を与えて、意図的に答えを引
        き出そうとしたとしか思えない。[4]

     この会見の後に、松尾氏が本田記者に「取材の内容を確認し
    たい」と電話した際には、本田記者は「どこかでひそかに会い
    たい」「証言の内容について腹を割って調整しませんか」「擦
    り合わせができるから」と繰り返したという。

■6.「圧力をかけましたね」■

     安倍氏への「取材」は、その翌日の夜、こんな具合に行われ
    た。本田記者は約束もなく、いきなり安倍氏宅のインターホン
    を鳴らして、「NHK幹部に対して放映中止の圧力をかけまし
    たね」 安倍氏は風邪で寝込んでいたので、取材を断ると、さ
    らに続けた。「安倍さんは右翼と連携していましたね」

         身に覚えのない右翼団体の名前を告げられ、失礼な人だ
        と思いました。記者を騙(かた)った人物と思い、インタ
        ーホンを切ったんです。すると、5分くらい延々とインタ
        ーホンを押し続ける。妻が怖がるので、再度私が応答する
        と、「安倍さんが放映中止を要請したと中川昭一さんも証
        言しています」と言う。

         これで私は嘘だとわかった。4年前、NHKとの面談に、
        中川さんは同席していないから証言できるわけない。そう
        言うと彼は黙り込みました。[3]

     中川昭一氏への取材方法も同様である。

         電話で突然、民衆法廷について次々と一方的に質問され
        たんです。4年前のことなので記憶は曖昧だと何度も言っ
        たんです。しかし、「放送前にNHKの方と会ったか」と
        か、NHKに抗議に行った右翼団体と関係があるかのよう
        な前提の質問をし、「証言がある」「告発の中で言及して
        いる人がいる」と、最初から結論ありきのような誘導的な
        取材手法だったんです。[3]

     取材を受けた3人ともが、本田記者は「最初から結論ありき」
    と感じ、また他の二人はすでに圧力を認めているかのような嘘
    をつく。

     記事では中川氏がNHK幹部と会ったのは放映後であったの
    を「放映前」と書き、またNHKの方が予算説明に安倍氏を訪
    問したのを「安倍氏が呼びつけた」とする。

     これを「取材」と呼んだら、まっとうな新聞記者なら怒るだ
    ろう。

■7.本田記者の狙いは■

     なぜ本田記者はここまでして、安倍・中川両氏を攻撃したかっ
    たのだろう。ヒントは2つある。第一はなぜ番組放映から4年
    も経っているこの時点で企てられたのか、という点。第二はN
    HK幹部は他の議員にも事前説明に行っているのに、なぜ両氏
    だけを、それも一面のタイトルでことさらに名前を挙げてまで
    狙い撃ちにしたのか、という点。

     まずタイミングとしては、昨年12月8日、横田めぐみさん
    の遺骨が偽物と鑑定され、日本国内では北朝鮮を制裁すべしと
    いう世論が高まっていた時期である。そして、安倍氏と中川氏
    は、その制裁論の先頭に立っていた人物なのである。

     安倍氏は自民党拉致問題対策本部の本部長を務めており、ちょ
    うど本田記者の問題の記事が出た1月12日には、脱北者支援
    などを盛り込んだ北朝鮮人権法案(仮称)づくりに着手して
    「脱北者を支援することで、現政権の変化を助長する。レジー
    ム・チェンジ(体制転覆)も念頭に法律をつくらなければなら
    ない」と語ったと報道されている。

     中川氏は「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するため
    に行動する議員連盟(拉致議連)」の会長である。この両氏こ
    そ北朝鮮にとっては、不倶戴天の敵であった。

     本田記者の記事は、両氏を狙い撃ちにして、北朝鮮への制裁
    を阻止しようという目的のもとにでっちあげられた、という以
    上に説得的な解釈がありうるだろうか。

     本田記者が勝手に北朝鮮への制裁を目指したのか、あるいは
    北朝鮮からの差し金があったのか、は不明である。しかし、本
    田記者が少なくとも3回は訪朝していることを考えれば、今回
    の記事についても北朝鮮側となんらかの連携があったとしても
    不思議ではない。

■8.「信じ難いモラルの崩壊である」■

     これだけの疑惑に対して朝日新聞は全く応えず、また本田記
    者がインタビューした3氏の訂正・謝罪要求にも応えていない。
    事件が風化し、忘れられていくのをじっと待っているようだ。

     4年前に三菱自動車のリコール隠しが発覚した際、朝日は
    「一体何を守るのか リコール隠し」と題する社説を掲げ、こ
    う述べた。

         自動車メーカーが第一に守らなくてはならないのは、ユ
        ーザーの安全のはずだ。自明のことを、三菱自動車は踏み
        にじり、企業としての保身を優先させていた。・・・信じ
        難いモラルの崩壊である。[5]

     この高邁なお説教を次のように言い換えたら、どうだろう。

         新聞社が第一に守らなくてはならないのは、報道の真実
        のはずだ。自明のことを、朝日新聞社は踏みにじり、企業
        としての保身を優先させていた。・・・信じ難いモラルの
        崩壊である。

■9.尾崎事件と同様の「売国行為」!?■

     いや、少なくとも三菱自動車が欠陥車を製造していたのは、
    過失によるもので故意ではなかったはずだ。それに対して、本
    田記者はある政治的意図を持って、故意に真実をねじ曲げた報
    道をしていた、と疑われている。その場合、罪は三菱自動車よ
    りもはるかに重い。

     戦前にも、元・朝日新聞記者の尾崎秀實が、ソ連のスパイ・
    ゾルゲと連携して、日本の世論を誘導し、日中和平を妨害して、
    日本を中国大陸での戦争に引きずり込んだ、という事件があっ
    た[b]。

     新聞記者が、外国の利益のために、謀略記事で世論をねじ曲
    げ、自国民が正当な選挙で選んだ国会議員を失脚させようとし
    たら、それは尾崎事件と同様の「売国行為」だろう。

     朝日が北朝鮮のような独裁国家のプロパガンダ機関ならいざ
    知らず、仮にも我が国のような自由民主主義社会における責任
    ある報道機関であると言うなら、以上の疑惑に対して、きちん
    と説明責任を果たすべきである。
                                         (文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(028) 平気でうそをつく人々
    戦前の「百人斬り競争」の虚報が戦後の「殺人ゲーム」とし
   て復活した。 
b. JOG(263) 尾崎秀實 〜 日中和平を妨げたソ連の魔手
    日本と蒋介石政権が日中戦争で共倒れになれば、ソ・中・日
   の「赤い東亜共同体」が実現する! 

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
1. 西村幸祐「添加の朝日に「本多雅和」記者あり」、『諸君』、
   H17.3
2. 西尾幹二「正論 問題の核心は偏向番組の放映にあり」、
   産経新聞、H17.01.28
3. 「NHKも朝日も絶対報じないそれぞれの『恥部』」、
   週刊文春、H17.02.03
4. 産経新聞「結論ありきの取材」、H17.01.20
5. 朝日新聞「一体何を守るのか リコール隠し(社説)」、
   H12.08.24

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■「北風と朝日」について

                                       「nisihara」さんより
     4月から国際派日本人養成講座を読ませてもらっている者で
    すが、毎回楽しみにしております。今回の「北風と朝日」を読
    みまして一言。

     この2〜3年の朝日の報道を見ていますと、拉致問題で世論
    が、北朝鮮に対する経済制裁の機運が盛り上がると、必ず戦争
    責任・従軍慰安婦問題等で水をさす記事が出てきておりました。

     今年1月の、中川・安部両議院の記事にしても4年前の話で
    あり、マタマタでっち上げたなとは感じておりましたが、今日
    の内容ではっきり分かりました。ただ残念ながら朝日の意図す
    ることが、現在成功しております。

     マスコミ関係も勇気を持って国民に正しい報道を流すように
    してくれれば、世論も現在と違う方向に向かうと思いますので、
    今後も頑張ってください。

■ 編集長・伊勢雅臣より

     次号の石破さんの言うとおり「本当のことを言えばわかって
    とくれる」いうのが、民主国家の大前提ですね。逆に、「うそ」
    をつく新聞は民主国家の敵です。

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