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          中韓歴史紛争 〜 みんな歴史に真剣なのだ

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1187 ■ H18.09.18 ■ 8,559 部 ■■■■■■■


     中国と韓国は、日本に対して歴史観の問題で、いろいろ言っ
    てくるが、実は両国の間でも「歴史紛争」が勃発している。こ
    れを見ていると、「歴史」が政治や外交に持つ意味がよく分か
    る。

     中韓歴史紛争の発端は:

         韓中の“歴史紛争”は昨(2003)年夏、中国社会科学院傘
        下の歴史研究組織が高句麗の歴史を「中国の地方史」と位
        置付ける大掛かりな「東北工程(プロジェクト)」を推進
        していることが韓国に伝わり大騒ぎとなった。

         高句麗は紀元前後から七世紀にかけ、朝鮮半島北部から
        中国大陸(旧満洲)にかけて存在した朝鮮族の国家とされ
        る。しかし中国は現在の領土を基準にその領域内の歴史を
        「中国史」とし、辺境民族の歴史的な独自性を否定する動
        きを見せている。このため韓国では「中国による歴史侵略」
        「歴史覇権主義」などと非難を高め、逆に現在の中朝国境
        地帯の朝鮮族自治州などを「中国に奪われた領土」として
        “奪還”を主張する声さえ出ている。[1]

     2004年には、中国外務省のホームページ資料の韓国史に高句
    麗の歴史が含まれていないことが判明し、韓国外務省は「高句
    麗の歴史はわが民族のルーツであり、民族の基本にかかわる重
    大な事柄。中国政府が善隣友好の精神に立ち歴史歪曲(わいきょ
    く)を直ちに中断するよう、深い関心をもってその態度を注視
    している」と強い遺憾の意を表明した。

         韓国政府の抗議を受けた中国政府は、韓国側の「高句麗
        史復活の要求」を無視したまま問題の古代史部分の全体を
        削除してしまった。中国としては非難をかわすため問題部
        分をはずしたものだが、韓国側は「ごまかしだ」として逆
        に反発を強めている。[1]

     その後、両国政府は事態の改善で“合意”していたが、中国
    の歴史侵略は止まるところを知らない。

         ところが最近、中国科学院の歴史研究書が高句麗史の
        “中国化”をさらに推し進めているほか、韓国が韓民族国
        家だったとする渤海国(7〜10世紀)についてもこれを
        否定。また古代中国の支配圏が現在のソウル付近にまで広
        がっていたとする内容が含まれるなど「中国史の膨張ぶり」
        が判明し韓国の学界や世論を刺激している。[2]

     中国の手は「韓民族の聖地」白頭山にまで及びつつある。

         中朝国境地帯にある白頭山(中国名・長白山)をめぐっ
        て韓国と中国の間で“争奪戦”が始まっている。中国が最
        近、白頭山での2018年冬季オリンピック誘致計画を発
        表するなど、白頭山一帯の開発と国際的知名度アップに力
        を入れているためで、これに対し韓国側では「“韓民族の
        聖地”である白頭山から韓国(朝鮮)イメージを排除し、
        ひいては白頭山を中国の山にしてしまおうとする陰謀」と
        して強く反発している。[3]

     相手の出方を見ながら、隙を見せれば、ひたひたと寄せてい
    く中国のやり方は、日中中間線での海底油田開発でもおなじみ
    である。一方、韓国の方も反撃に出る。

        「上海は韓国の古代王朝の領土だった」とする韓国の学者
        が出版した歴史書が、中国の新聞に紹介され、同国内で大
        きな波紋を広げている。ネットの掲示板には「非常識」
        「無責任だ」といった反論が殺到。日本の竹島の領有権を
        めぐっては「日本が韓国の領土にちょっかいを出す」など
        と韓国寄りの書き込みが大半だったが、自国のこととなる
        とさすがに放っておけず、「朝鮮半島こそ中国領だった」
        といった書き込みであふれ、韓国批判一色となっている。
        [4]

     民間の一学者の研究書だが、JOG(261)[a]でも紹介した「百
    済の王室が日本を制圧して天皇家となった」とか、「万葉集は
    朝鮮語で書かれている」というのと同様の「トンデモ史観」の
    一つにしか思えない。歴史侵略の方法としては、中国の方がは
    るかに巧妙である。

     こうした中韓歴史紛争の背景を、産経新聞の「主張 みんな
    歴史に真剣なのだ」が見事に解き明かしている。

         中国としては現在の領土を絶対視し、その領土内のすべ
        ての歴史を「中国の歴史」に編入し「中国の偉大さ」や
        「大きさ」を確認するという意図のようだ。経済発展で自
        信を深めている中国の、膨張主義ないし大国主義的な国家
        意識、民族意識の高まりが背景にあることは間違いない。
        一方、韓国の方はかねてから中国大陸にまで広がった高句
        麗に郷愁があり、隋や唐と戦った高句麗の歴史は大きな誇
        りとして民族的な“元気の素(もと)”になってきた。

         韓国はそうした歴史を意識することによって自らを支え、
        民族の将来に希望や期待を持つこともできたというわけだ。
        この「民族の歴史」が否定されるとあっては黙っておれな
        い。マスコミや学者はもちろん、政府当局者まで「民族の
        根幹にかかわる重大問題」と中国の“横暴”を非難してい
        る。[5]

     中国の歴史侵略や、韓国のトンデモ史観はいただけないが、
    両国が自分の歴史を守ろうとする真剣さは、我々日本人も見習
    うべきだろう。

     歴史で攻撃されたら、とにかく友好のために、事実の確認も
    せずに謝って水に流そうというのは、現在の日本人の悪しき習
    性である。歴史は一国の国民の背骨である。背骨が折れたり、
    曲がったりしては、その国民は国際社会の中で、背筋を伸ばし
    て歩けないのである。

■リンク■
a. JOG(261) 韓国製トンデモ日本史
    日本は百済の残党が土着原住民を制圧して作った国?! 

■参考■
1. 産経新聞「高句麗帰属問題 韓国、中国に“抗議” 歴史紛争、
   外交問題へ発展」、H16.08.07 東京朝刊 1頁
2. 産経新聞「【緯度経度】ソウル・黒田勝弘 好ましい韓中歴史
   紛争」、H18.09.16 東京朝刊 7頁
3. 産経新聞「韓中が白頭山“争奪戦”」H18.09.09 東京朝刊
   6頁
4. 産経新聞、「韓国学者『上海は新羅の領土』 『非常識』中国
   で大反論」、H18.05.17 大阪朝刊 7頁
5. 産経新聞、「【主張】高句麗論争 みんな歴史に真剣なのだ」
   H16.08.16 東京朝刊 

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