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                     手ごわい安部外交

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1202 ■ H18.10.23 ■ 8,636 部 ■■■■■■■


     先の安倍首相の中国訪問の実態を、[1]の記事が明らかにし
    ている。

■1.共同プレス発表■

         中国側による招請は先月30日だったが、首相が決断し
        たのは3日。しかし、正式発表の土壇場でもギリギリの攻
        防があった。

         中国側が急遽(きゅうきょ)、正式発表の際に「政治的
        障害を除去し」という言葉を使うよう求めてきたのだ。首
        相は会談延期をにおわせて拒否し、最後は中国側が「除去」
        を「克服」に変えることで折れた。発表が4日午後にもつ
        れ込んだのはこのためだ。[1]

     中国側の「政治的障害」とは、靖国参拝であろう。それを
    「除去し」とすると、安倍首相が靖国参拝を見合わせる、とい
    う意味に取られかねない。「克服」なら、あいまい戦術で、靖
    国問題をカードとしない、という道も含まれる。

■2.中国側の大幅譲歩■

         会談の文書化をめぐっても暗闘が続いた。中国側は文書
        に固執したが、首相は難色を示した。平成10年の小渕恵
        三首相と江沢民国家主席による「共同宣言」では、過去の
        責任と反省を示す「村山談話」が盛り込まれ、その後の対
        日批判に利用されたからだ。

         中国側は訪中前日になって大幅に譲歩してきた。「歴史
        を鑑に」という常套(じょうとう)句は「双方は歴史を直
        視し」に変わった。日本側が主張する「未来志向」「東シ
        ナ海問題の協議」「北朝鮮への憂慮」も加えられた。

         それでも首相は慎重だった。外務省側は会談前に「共同
        プレス発表」を交わすことを公表する考えだったが、中国
        へ向かう政府専用機内でその意向を聞かされた首相は「会
        談が終わるまでは絶対にダメだ」と譲らなかった。会談次
        第では、文書の破棄も念頭においていたようだ。[1]

■3.「なぜ私のあいさつの内容を中国側が知っているんだ?」■

         8日夕、温家宝首相主催の晩餐(ばんさん)会の直前。
        胡錦濤国家主席らとの一連の会談を終え、人民大会堂内の
        一室でひと息ついていた首相の表情がサッと険しくなった。

         外務省高官が「中国側の意向」として、あいさつの修正
        を求めてきたのだ。

        「なぜ私のあいさつの内容を中国側が知っているんだ?」。
        首相の問いに高官は押し黙った。「こちらは温首相のあい
        さつを把握しているのか?」。答えはなかった。相手の機
        嫌を損なわないことを最重視してきた外務省の「外交術」
        がかいま見えた瞬間だった。

        「それではあいさつはできないな…」。首相の一言に高官
        らは狼狽(ろうばい)したが、首相は頑として譲らず、あ
        いさつはキャンセルとなった。[1]

     日本の首相の挨拶は中国側がチェックするのに、中国側の挨
    拶は日本側が知りもしない。こんな不平等な事を、外務省は平
    気でやってきていたようだ。

■4.会談を主導した安倍首相■

         温首相は会談の冒頭から漢詩などを引用し、とうとうと
        話し始めた。首相はそれ以上に長い時間をかけて話を続け、
        特に歴史認識や靖国神社参拝に対する中国側の婉曲(えん
        きょく)な批判への反論にはたっぷりと時間をかけた。

         外務省が作った想定問答はほとんど無視され、会談時間
        は予定の1時間から30分もオーバーした。中国側が「日
        本人は聞き役で、うなずくだけだ」と考えて会談に臨んだ
        ならば、大きな計算ミスだったといえる。

         首相は最後に、練りに練った「殺し文句」を放った。
        「過去の歴史の問題では、わが国60年の平和国家として
        の歩みに正当な評価を求めたい」。温首相から「評価して
        いる」、胡主席から「信じている」という言質を引き出し
        たことは大きな成果だろう。[1]

     外務省が作った想定問答(これも中国側のチェック済みか?)
    をほとんど無視して、安倍首相は歴史認識や靖国参拝問題に関
    する反論を主導的に述べた。

■5.日本外交の再生■

     この記事は、外務省がいかに中国の言いなりになっていたか、
    を暴露している。これでは独立国家の外交とは言えないだろう。

     安倍首相のリーダーシップによって、日本外交はようやく再
    生しつつあると言える。

■参考■
1.  産経新聞「検証・日中首脳会談 『予定調和外交』から脱皮
   H18.10.13 東京朝刊 5頁 総合5面 

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