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                     子育て3つの問い

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1217 ■ H18.11.27 ■ 8,685 部 ■■■■■■■

     昨日配信した国際派日本人養成講座473号「子育て再建」[a]
    でご紹介した旭川市の小児科医・田下昌明氏の著書『真っ当な
    日本人の育て方』[1]には、「子育て3つの問い」が示されて
    いて、興味深い。473号では紙数の制約で論じられなかったが、
    本欄を借りてご紹介したい。

     それは、以下の3つの問いである。
    
        1.子供は誰のものか
        2.何のために子供を育てるのか
        3.どんな大人になって欲しいか

     まず、第一の「子供は誰のものか」については、田下氏はこ
    う説く。

         私たちのところへ生まれてきた子供は祖先から授かった
        ものですが、貰ったのではありません。子供は日本人の社
        会のもので、私たち親はその養育を付託されているのです。
        したがって「子育て3つの問い」の一番目、「子供は誰の
        ものか」の「誰」とは、日本人の社会だということになり
        ます。[1,p21]

     第二の問いには、田下氏は先祖からの家系という生命のつな
    がりを細い一本の糸に例えて説く。「個人の生命」とは、その
    糸の先端をほんの数ミリ伸ばしたものである。こうした糸を何
    百万本かまとめて撚ると、一本の紐になる。これが「民族の生
    命」である。さらに地球上のすべての紐を寄り合わせると、太
    い綱になる。これが人類という「種の生命」である。

         赤ちゃんを人間にし、日本人にするにはどうすればいい
        のか。それは言葉の正しい使い方、友達との付き合い方、
        食べ物の作り方、着物の着方、家の使い方など、つまり私
        たち日本人の風俗、習慣、言い換えれば生活の智恵を子供
        に伝えること、すなわち文化の継承です。・・・

         もし、この紐が切れるようなことになれば日本の文化は
        消滅してしまうし、また逆に日本の文化が消滅すれば、そ
        れは日本人という民族の生命の終焉を意味します。そうな
        らないためには、日本人という民族の生命が精神的にも肉
        体的にも健康でなければならないのです。

         何のために子供を育てるのか。それは「日本の文化を継
        承する」日本人にするために、です。[1,p22]
    
     第三の問い「どんな大人になって欲しいか」は、戦後60年
    経ってもいまだにはっきりした解答のないままに、漠然と育児
    が続いてきた。

    「他人に迷惑をかけない人になれ」では、善悪の基準が「他人」
    にあり、他人が迷惑を感じなければ、何をしても良いというこ
    とになってしまう。「腕白でもいい、丈夫な子に育って欲しい」
    というのも、心の発達が未熟で、腕白で丈夫な大人ばかりが、
    日本中に満ちあふれたら、どうなるのか。

    「子供はその一生のうちに、必ず誰かを幸せにするという使命
    を帯びてきている」と田下氏は説く。それが誰で、どう幸せに
    できるのか、は、親子で一緒に考えなければならない。だから、
    まずは「世のため人のために役立つ人になれ」と教えなければ
    ならない。そして日本人の偉人の伝記を読ませる。

     そして子供が成長するにつれ、

        1.誰のようになりたいのか
        2.何に人生を賭けるのか

    という問いを、自ら考えるようにしなければならない。

     子育ての再建は、こういう根本的な次元から考え直していか
    なければならない。

■リンク■
a. JOG(473) 子育て再建
  「日本人は確かに児童問題を解決している」と、明治初期に来日
  したモースは言った。
  http://blog.mag2.com/m/log/0000000699/107964036.html

■参考■
1. 田下昌明『真っ当な日本人の育て方』★★★、新潮選書、H18
 

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