[トップページ][210.762 戦後:東京裁判]

■■■■■■■■■ JOG Wing ■ 国際派日本人の情報ファイル■

       自国の歴史を「狂気」と断罪する朝日新聞の「狂気」

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1223 ■ H18.12.11 ■ 8,671 部 ■■■■■■■


     朝日新聞の社説には、時々、異様な論説が出ていて、驚かさ
    れる。

     12月09日付けの「開戦65年 狂気が国を滅ぼした」も、そ
    の一つだ。

         当時のルーズベルト政権のスタッフだった経済学者のガ
        ルブレイス氏は、真珠湾攻撃の知らせを聞いた時、「狂気
        の沙汰(さた)と思った」と回想している。 

         何よりも圧倒的な国力の差である。当時の米国のGNP
        (国民総生産)は日本の10倍以上、鉄鋼生産量は20倍
        以上もあったといわれる。しかも、日本は重要物資のほと
        んどを米国などからの輸入に頼っていた。 

         冷静に考えれば、勝ち目がないことぐらい分かりそうな
        ものだ。だが、体を張って「待った」をかける政治家も軍
        首脳もいなかった。 ・・・

         日本中を「狂気」が覆っていたといえよう。 

     経済学者のガルブレイスの「狂気の沙汰」という言葉を引用
    しているが、経済力だけで計算をして、勝ち目のない戦いを挑
    むのは「狂気」と言い切る、そのあまりに単純な物言いに、驚
    かされる。

    「しかも、日本は重要物資のほとんどを米国などからの輸入に
    頼っていた」というこの論者は、開戦決定がこんな事も考慮さ
    れずに「狂気」のうちになされたと思いこんでいるらしいが、
    アメリカは経済封鎖によって、すでに重要物資を禁輸していた
    のであるから、こんな事は国民全体にとって分かり切ったこと
    だった。この点を占領軍総司令官のマッカーサーは、こう述べ
    ている。

         日本は、絹産業以外には、固有の産物はほとんど何も無
        いのです。彼らは綿が無い、羊毛が無い、石油の産出が無
        い、錫が無い、ゴムが無い。その他実に多くの原料が欠如
        してゐる。そしてそれら一切のものがアジアの海域には存
        在してゐたのです。

         もしこれらの原料の供給が断ち切られたら、一千万から
        一千二百万の失業者が発生するであらうことを彼らは恐れ
        てゐました。したがって彼らが戦争に飛び込んでいった動
        機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのことだったの
        です。[a]

     このように一国の「生存権」を脅かすような経済封鎖を行っ
    た上で、米国はハル・ノートによる挑発を行った。それを東京
    裁判での判事を務めた当時の著名な国際法学者・パール博士は
    こう評している。

         今次戦争についていえば、真珠湾攻撃の直前に米国国務
        省が日本政府に送ったものとおなじような通牒を受取った
        場合、モナコ王国やルクセンブルグ大公国でさえも合衆国
        にたいして戈(ほこ)をとって起ちあがったであろう。[a]

     パール博士は東京裁判の期間中の2年半の間、帝国ホテルの
    一室に閉じこもり、3千巻におよぶ文献を調べて、日本語版文
    庫本にして1400ページに及ぶ浩瀚な判決書を書いた。

     その博士があの状況では、モナコ王国やルクセンブルク大公
    国でさえも立ち上がったろう、と述べているのである。

     朝日の社説の論者は、日米の「圧倒的な国力の差」を無視し
    て戦争が行われたと思いこんでいるようだが、それは本人の歴
    史に対する無知をさらけ出しているだけである。

     パール判決書は、次のような有名な言葉で締めくくられてい
    る。

         時が、熱狂と、偏見をやわらげた暁には、また理性が、
        虚偽からその仮面を剥ぎとった暁には、その時こそ、正義
        の女神はその秤を平衡に保ちながら過去の賞罰の多くに、
        その所を変えることを要求するであろう。[3,p745]

     東京裁判で戦勝国が日本を裁くことを、パール博士は「熱狂
    と偏見」と呼んだ。その「熱狂と偏見」は、まだ朝日新聞の社
    説執筆者の頭の中にくすぶっているようである。

     冷静に歴史の勉強をすることもなく、60年以上前の「熱狂
    と偏見」に駆られて、祖国の歴史を「狂気の沙汰」と断罪する、
    その姿勢こそ「狂気の沙汰」に他ならない。

■リンク■
a. JOG(039) 国際法を犠牲にした東京裁判
    人類史上最初の核兵器の使用に対し、東京裁判が目をつぶっ
   てしまった事が、現在の国際社会の無法状態の根源ではなかっ
   たか?
   http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon
b. JOG(059) パール博士の戦い
    東京裁判で全員無罪を主張
 

© 平成18年 [伊勢雅臣]. All rights reserved.