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                  党利党略は水際でとどめよ

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1331 ■ H19.08.27 ■ 9044 部 ■■■■■■■

     8月8日、米国のシーファー駐日大使は、小沢民主党代表と
    会談し、インド洋での海上自衛隊による支援活動の法的根拠と
    なっているをテロ対策特別措置法の延長への同意を求めた。し
    かし、小沢氏は「国連で直接的に認めたものではない」と述べ、
    同法の延長は認められないとの考えを伝えた。

     この点について、産経新聞は「党利党略は水際でとどめよ」
    という言葉を紹介していた。

         米国には「外交・安全保障をめぐる党利党略は水際でと
        どめよ」という伝統がある。水際とは国境のことで、外交
        や国家の安全にかかわる政策は超党派で結束する必要があ
        る、という意味だ。

         第二次大戦直後、孤立主義者で知られた共和党のバンデ
        ンバーグ上院外交委員長と国際協調を掲げる民主党のトル
        ーマン大統領の2人が、国連憲章制定、欧州復興のマーシャ
        ルプラン、北大西洋条約機構(NATO)創設などの問題
        で党利党略を超えて歩み寄った。

         国連、欧州復興、NATO創設などはいずれもその後の
        国際秩序にとってかけがえのない屋台骨となった。2人の
        対立する政治指導者が米国と世界の利益を最優先し、大き
        な目標に向けた協調の努力を惜しまなかったからこそ、米
        国の国際的責任も果たされた。

        「党利党略は水際まで」というバンデンバーグとトルーマ
        ンの故事は米政治に超党派外交の象徴と位置づけられてい
        る。ベトナム戦争などの伝統が破られた例もあるが、超党
        派外交が危機に陥ったときは世界の利益が失われることが
        多かった。[1]

     小沢党首の特措法延長反対には、この問題で自民党政権を追
    い詰める党略があるとの声がある。[2]

     インド洋上で武器弾薬やテロリストの資金源となる麻薬など
    の海上輸送を阻止する活動は、米、英、仏、独など欧米諸国の
    ほか、イスラム国家のパキスタンを含め計8カ国が参加してお
    り、海自の継続的な活動は各国から高い評価を得ている。

     またアフガニスタン本土には、テロ掃討作戦や治安維持のた
    め、40カ国以上が部隊を派遣し、その軍事指揮権は米軍から
    NATO(北大西洋条約機構)軍に移っている。

     いずれも、平成13年の米中枢同時テロを受け、国連安保理
    決議に基づく。日本がこうしたテロとの戦いから突然、離脱し
    たら、日本の国際政治での信用は丸つぶれとなる。

    「生活が第一」とは、今回の参院選での民主党のコピーだが、
    国内政治ではいくら対立しても良いが、こと外交・安全保障に
    関わる分野では、外国との信頼関係があるだけに、国家として
    の政策の一貫性が大切である。

    「党利党略」のために、外交・安全保障問題を人質にとるよう
    な姿勢があっては、政権を任せられる責任政党とは言えない。

■参考■
1. 産経新聞、「小沢氏、テロ特措法延長反対を明言 駐日米大使
   と会談 平行線」、H19.08.09、大阪朝刊、2頁、総合2面
2. 産経新聞、「【主張】テロ特措法 政局論で国益を損なうな」
   H19.08.09、東京朝刊、2頁、総合2面
 

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