[トップページ][222.01319 中国:外交]

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        「李氏訪日」で中国政府を押し切った日本外交

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1361 ■ H19.11.05 ■ 9,305 部 ■■■■■■■


     今年6月7日に台湾の李登輝前総統が靖国神社参拝と講演を
    行った。以前、日本での治療や観光旅行だけでも中国政府が干
    渉して大騒ぎになったのだが、今回はそんな騒ぎは聞こえてこ
    なかった。

     中国も少しは変わったのかな、と思っていたが、変わったの
    は、日本の外交だった。その舞台裏が明らかになった。産経新
    聞はこう伝えている。[1]

         今年6月にドイツで開催された主要国首脳会議(ハイリ
        ゲンダム・サミット)での安倍晋三首相(当時)と中国の
        胡錦濤国家主席との首脳会談をめぐり、中国側がその直前
        の台湾の李登輝前総統の訪日を理由に会談を拒否していた
        ことが27日、複数の関係者の証言で分かった。しかし、
        日本側が譲らず、中国側が全面的に折れるかたちで決着、
        会談は行われた。・・・

         関係者によると、サミット開催に合わせた日中首脳会談
        は、日中間の戦略的互恵関係の促進や北朝鮮問題などを話
        し合うため、早い段階で日本側が呼びかけ、中国も応じる
        構えだった。

         ところが、中国側は、5月末になって会談中止を通告し
        てきた。理由は、5月30日の李氏来日だ。中国政府は、
        28日の日中外相会談で楊潔●外相が麻生太郎外相(当時)
        に李氏訪日への懸念を表明していた。それにもかかわらず、
        日本側が李氏の入国に何の制限も加えなかったことを問題
        視したのだ。(●=簾の广を厂に、兼を虎に)

         これに対し、日本政府は、「サミット正式参加国は日本
        だ。招待国の中国と無理して会談することはない」(当時
        の官邸筋)と会談の提案そのものを引っ込めた。

         これにあわてたのが中国だった。すぐに「李氏は日本で
        講演を予定している。これを(マスコミなどに)完全クロ
        ーズにするなら安倍氏と会談してもいい」とハードルを下
        げてきた。

         それでも日本側が「会談開催に李氏訪日の件を絡めるな
        らば、会う必要はない」という安倍氏の考えを伝えたとこ
        ろ、中国側は6月3日になって「条件はつけない。ぜひ会
        談を行いたい」と全面的に譲歩。8日の首脳会談が実現し
        た。

     この記事で思い出したのが、かつて筆者が中国で買い物をし
    たときに、中国人の知人が助けてくれた時の事である。気に入っ
    た商品があったで、知人に値段を聞いて貰ったら、かなり高い
    値段をふっかけてきた。その知人は、そんな値段では話になら
    ない、と怒って店を出て行くそぶりをした。店員が慌てて、値
    段を下げる。知人の方は足を止めたが、それでも「とんでもな
    い」という表情をする。店員はさらに値段を下げた。

     こんな事を15分ほど繰り返して、結局、知人は、初めの値
    段の6割くらいに値引かせる事に成功した。法外な値段をふっ
    かけるのも、それをとんでもない、と喧嘩腰で断るのも、中国
    流商法のようだ。

     今までの日本の対中外交とは、法外な値段をふっかけてくる
    中国政府に対して、それをそのまま受け入れてしまうのが「日
    中友好」だと考えていた。

     そんな中国流商法を押し切った安倍−麻生ラインは退陣して
    しまったが、後に続く政権もこういう成功例から、国益を追求
    する外交のあり方をよく学んで欲しいものだ。

■リンク■
a. JOG(461) 中国反日外交の迷走
    中国の靖国反日外交は迷走を続けつつ、国際社会にその無理
   無体ぶりをさらけ出してきた。

■参考■
1. 産経新聞「『李氏訪日』に反発 首脳会談中止通告」
   H19.10.28、東京朝刊、1頁
 

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