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                タイ紙が「日本の教育に学べ」

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1391 ■ H20.01.21 ■ 9,473 部 ■■■■■■■


     2006年3月28日付のタイ英字紙「バンコク・ポスト」が、
    「世界の産業勢力の一つとなった日本から教育改革を学べ」と
    する特集記事を掲載した。その視点が興味深い。[1]

     タイはバンコクの中心街こそ、高層ビルの間を縫う高速道路
    をピカピカの車が走っていて、いかにも「東洋のデトロイト」
    という印象を受けるが、地方に行くと、貧困家庭が多く、都市
    部との教育格差も大きい。これはタイばかりではなく、世界の
    ほとんどの中進国、後進国での共通の社会問題だろう。

     貧しいから進学できず、学歴がないから豊かになれない、と
    いう悪循環からいかに脱するか。「バンコク・ポスト」紙は、
    日本が貧困層や僻地(へきち)に対しても都市部同様に教育を
    充実させたことが、タイにとって大いに学ぶべき点になるとし
    ている。

     近代日本の「学制」は明治5年8月に公布され、全国に大学
    校8、中学校256、小学校5万3760を設置しようという
    壮大な計画であった。「それらが基本的に身分・階層の別なく
    すべての国民に開放された単一の体系を採ったことは、当時米
    国を除けば国際的にもほとんど例を見ない画期的な特徴であっ
    た」[2]

     さらに驚くべきことは、施行2年後の明治8年には、現在と
    ほぼ同数の2万4千校以上の小学校が設立された事である。当
    初の計画の半分以下とはいえ、わずか2年間で全国津々浦々に
    これだけの小学校を作り上げた明治の先人たちの教育への信念
    と熱意には驚くべきものである。

     こうして都会と田舎とを問わず、貧富の差を問わず、全国民
    に平等に基礎教育を行ったことが、明治日本の躍進につながっ
    たのである。ひたひたと迫り来る西洋列強に対抗するには、一
    日も早い「富国強兵」が必要だったが、明治の先人たちは急が
    ば回れと、長期的な人材育成に取り組んだのである。

     世界の多くの国々が21世紀の現在においても、教育格差の
    問題に苦しんでいることを考えれば、130年前の我が先人の
    先見性には頭が下がるばかりである。

     現在の我々が、その先人の遺産の上にあぐらをかき、「ゆと
    り教育」の美名のもとに、公立校で学力崩壊・学級崩壊を招き、
    私立校との「教育格差」まで生み出してしまった事は、先人に
    対して申し開きようのない愚行であった、と言わざるを得ない。

■参考■
1. 産経新聞、「日本の教育に学べ タイ紙が特集記事 貧困層や
   僻地でも充実を」H18.03.29、大阪朝刊
2. 文部科学省「学制百二十年史 第一編 近代教育制度の発足と
   拡充 第一章 近代教育制度の創始と整備 概説 一 近代教
   育制度の創始」
   

■リンク■
a. JOG(531) 天才・ユダヤと達人・日本(上)
   〜 成功したアウトサイダー
    ユダヤ人と日本人はアウトサイダーとして近代西洋文明に参
   加し、驚くべき成功を収めた。  

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