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高山帯の植物について


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 高山帯(Alpine Belt)は砂礫・岩などが存在し、非常に保水力の弱い土地と積雪量が多く湿った土地などいろいろな環境があります。そのため、これらの環境に適応した様々な植物が見られます。高山帯では背の高くなるような樹木は見ることができず、樹木としてはハイマツ(Pinus pumila)が生えています。高さは1から2メートルぐらいで、斜面に沿って横に這うように生えています。積雪のあまり多いところには生えておらず、ハイマツの生え方により、大方の積雪量を知ることができます。ライチョウなどが多く見られるのもこの地帯です。なお、白山には過去にはライチョウがいましたが、現在では見ることはできません。
 この高山帯に生える植物には名前の頭に「ハクサン」とつくものが多く、これは白山が古くに開かれた山であることを示しています。

ハイマツ林

 ハイマツ(マツ科マツ属 Pinus pumila)は高山帯に生える雌雄同株の常緑の低木で、高山帯を特徴づけるものです。山に登っていってハイマツが現れると、ああ高山帯に来たなという気分になれます。新しい火山である富士山にはありません。日当たりのいいところを好み、乾燥にも強いため、砂礫地などでもよく生育します。尾根筋や斜面では、本当に地面を這って広がっている様子が見られます。

ハイマツの成長 ハイマツ
 ハイマツは枝が地につくと、そこから根を出し、先へ先へとのびて自分の領域を拡大していきます。古い株では根元からしだいに枯れていって、その後には白骨のようになった枯れた幹や枝を残します。ハイマツが密生した林では暗いため、ハイマツの種子は発芽できません。そのため、ハイマツ林は1代で終わります。ただ、このハイマツの種子などはホシガラスの好物であり、この鳥が球果ごと運ぶため、場合によっては環境のよいところに種子が落ちることがあります。発芽したばかりの実生は6〜7cmほどで、約10個の子葉がつきます。ハイマツの成長は遅くて、10年たっても幹の長さは5〜9cm、直径は5mmくらいにしかなりません。30年くらいたってやっと長さが1m、直径1.4cmほどになります。
参考文献(日本の高山植物 山と渓谷社)

高山帯のお花畑

高茎草原
強い雪崩の起きやすい斜面などでは、樹木が生活できないため、地上部が毎年生え替わるような草本が生えています。これらの草原には幅の広い葉を持った大型の草本が多く見られるので広葉草原とも呼ばれます。この草原を構成する植物の数は多くて、しかも1種類が優占して生えるようなことはあまりありません。これらの草原を特徴づけるものはセリ科の植物ですが、どれもこれも同じような感じなので分類は結構難しいです。
湿性お花畑
雪田のまわりは、絶えず雪解け水などが流れ込むので、湿り気のある土地で、しかも有機物が集まってくるので栄養分に富んでいます。こういった場所にはまた特色のある植生が見られます。ただ斜面のところでは、雪解け水などが流れ去り、かなり乾燥します。また雪解け水とともに土壌が流出するため土の質もあまりよくありません。このようなところでは雪解けと同時に光合成できるような常緑の小低木が見られます。
ハイマツ帯
高山帯の下部ではハイマツの成長がよく、ハイマツが1m以上の高さになり、ハイマツの樹海を作ります。このような群落にはハクサンシャクナゲなどが混在します。これらのハイマツの林縁などでは特有の植物が見られます。
瓦礫地帯
高山の非常に風当たりの強いところでは、夏乾燥しやすく、冬は雪が積もらないのでまともに寒気にさらされるといった厳しい条件です。もっとも厳しい環境のもとではイネ科の植物が主体となります。すこし条件が緩やかになると、丈の低い小低木などが生えるようになります。これらの植物は多くが常緑の小低木です。