■このコーナーは、ページ制作者(ストラングル・成田)の後輩にして、
ヤキのまわったミステリ・ファン、関氏(米国サンノゼ在住)のメールを基に
構成したものです。苦情等は、本人に転送いたします。
色違いは、成田氏のチャチャ入れ。
6/25 HMM警察小説特集補遺
特集「警察官のヒーローたち」の残り二編。
「地球の果て」ジェリー・スミス
ポケミス「ニューオーリンズの葬送」以下のシリーズに登場のスキップ巡査シリーズ番外編で、懸賞旅行を手にしたスキップが彼氏のスティーヴと南極ツアーに参加し、その船上で起きた殺人事件に巻き込まれる話。南氷洋上の閉ざされた環境下での殺人、被害者トビーを取り巻く曲者容疑者達、軽快な捜査の中にスキップのフットワークが冴える。ブラフを巧みに用いて意外な(?)真相を演出する手際も短編ながら先ずは巧妙。特異なシチュエーションの事件として、効果が挙がっている。★★★
「絞殺のG」ローレンス・トリート
お懐かしや、ローレンス・トリート!列車の中で飾り紐を弄り回す男を目撃したミッチ・テイラー刑事は、同じく飾り紐で絞殺された未解決のハバート事件を思い出す。この男、ゴードン・フィリップスの周辺を洗い出すと、その私生活は何やら謎めいており、最近金回りも良い様で・・・。ひとつのきっかけから一人の男の秘密を解きほぐして行くと、そこには予期せぬ死体が!老獪な作者の筆はしかしそれだけでは収拾せず、意外でシニカルな結末までが用意されていた。これまたEQMMの旧作(72年)だが、警察官の哀愁みたいなものまでそこはかとなく描かれており、典型的な一品。★★★と言う訳で、掲載四篇中ではイアン・ランキンのワン・アイデアが光り、掌編ながらベストとしたい。が、他も概ね満足っす。
警察小説特集。ランキンの短編には、仰天。今年一番驚いたかも。きちんと、伏線になる人物名も出てくるしね。お懐かしや、トリートの短編は、間然とするところのない秀作。スミス、マリックの短編もも、個性的で今回の特集は、上々だ。
6/20 夜の記憶
「夜の記憶」トマス・H・クック(文春文庫5.00)
98年作の最新作、「緋色の記憶」の次の作品。ニューヨーク効外のリヴァーウッドに招かれた作家のポール・グレーヴズは、女主人のアリソンから五十年前の少女殺人事件の真相を作家の眼で解き明かして欲しいと依頼される。十三歳の時に眼の前で姉を嬲り殺しにされたトラウマを持つポールは、少女フェイ・ハリソンの死に姉をオーバーラップさせ、作家的興味に突き動かされながら恐怖で封印していた過去に対峙しつつ、迷宮の森に足を踏み出す・・・。と言うパターンは「闇をつかむ男」「記憶三部作」に続く普遍のもので、主人公が作家と言う点で「闇を〜」に、過去の少女の事件と言う点で「夏草の記憶」に相似しており、あまつさえポールの小説中の登場人物ケスラーに悩まされるメタ構成はキング「ダーク・ハーフ」をも想起させる。言わば「棚卸し的」在庫総ざらえの感が強い今回のお膳立て。ところで、ポールの調査は作家の奔放な想像力の元、あらゆる人物にドラマを膨らませて進行して行く。同じくコテージに逗留していた脚本家のエレナー・スターンがこの捜査に協力を申し出、以後二人三脚での探偵が始まり、クイーンばりのロジカルな展開による試行錯誤で、あらゆるパターン
が提示されそして潰えて行く。やがて、事件の真相がポールの眼前に浮かび上がった時、封印していた衝撃的な過去も同時に語られる。五十年前の事件の解明は本作ではこのポールの「封印された過去」の真実を導き出す「道具
Instrument(題意)」であり、その真実の前ではこの事件の「恐ろしい秘密」も衝撃度は小さい。それ程にポールのトラウマの真相の正体は、重く衝撃的だ。本文424ページで明かされるこの一撃は、強烈だ。震撼度では過去最高だろう。人の心の闇の部分を容赦無く掬い取るような、タブーに触れるものである。作中語られるある戦時中のエピソードと言い、この衝撃を最上級の演出で読者に差し出す構成(伏線)の妙も鮮やか。惜しむらくは、フェイ・ハリスン事件の真相の方が消去法的に残った回答がやや小じんまりと片付けられた点だが、それとて大きな傷では無い。読後、この何ともズシリとヘビーな読み応えに言葉が出ません。「夏草の記憶」の感動とはまた別種の衝撃で、クック作品出れば年間ベスト伝説は今年も健在です。★★★★
6/17 まいっちんぐ
意味無しタイトル。不意に往年の「まいっちんぐマチコ先生」と、TVも見ないで勝手に「まいっちんぐ〜」と言うフレーズをオリジナルのイントネーションで連発していた成田さんを思い出したので。と言うのは嘘で、実はTV「笑う犬の冒険」(当地では土曜夜9:30からKTSF局で放送中)の中で、ネプチューンの原田泰造が「最も影響を受けた往年のギャグ」のコーナーで披露していたもの。
サンノゼ紀伊国屋書店で、トマス・H・クックの新刊「夜の記憶」を購入し、直ちに半分読む(「ボーン・コレクター」はどうした!)。感想は読了後にするが、おとといの朝日新聞書評欄での三人の評価はあまり宜しくない。野崎六助なぞは、ワーストと言っている。
同じく同書店で、東海林さだお「たぬきの丸かじり」を購入。シリーズ第17弾。即日読了。今回収録の「回転定食誕生す」で紹介されているJR浜松町駅の「うず潮」は、俺もよく知っている店だ。本文で紹介されているように、この回転寿司屋は朝定食を「回転スタイル」で供するのである。たまに朝飯を食いそびれた時などに利用した事があったが、こんな紹介を受けるほど画期的なこととは思いも依らず、ただ当惑。そうか、そんなに価値の有る店であったか。
HMM最新号のマイケル・クライトンのインタビュー「タイム・ラインができるまで」(ジェフ・ザーレスキ)を読むと、このベスト・セラー量産工場作家を取り巻く現状が良く判る。長身のクライトンは、俺の知っている化合物半導体業界の有名人マイク・ペナンスキーに似ている(知らない人には意味不明っすね)。十四世紀のフランスへトリップするこのストーリーって、源泉はカーの歴史ミステリと同じじゃないのか。「一冊一冊が意表を突く」と言うが、どのアイデアも決して超斬新とは思えず、ただアプリケーションが巧いのだと愚考しますが。森田芳光監督「の・ようなもの」に出てくる売れない落語家役のでんでんのセリフ「俺、フナから金魚は作れないけど、金魚から出目金は作れるの」にあるタイプの人では。
同誌掲載のイアン・ランキン「酸性テスト」はEQMMの99年掲載作で、持っていながら積読だったもの(しまった!)。しかし、「EQ」廃刊後にこうして、HMMでEQMM掲載作を読めるようになったのも、また楽しからずやで良い。エジンバラ大学の地下から発掘された百年前のものと思しい白骨死体と、ダイイング・メッセージ(ACID)?を巡り、リーバス警部とゲーツ教授の推理が楽しい掌編。何たって、このダイイング・メッセージが示唆する飛びきり意外な真相が愉快!掌編にしては最上クラスの出来では?★★★1/2
もう一編、J・J・マリックの「ギデオンとヴィンテージカー泥棒」も古いEQMM掲載作(72年)の掌編。ロンドンで多発するヴィンテージカー盗難事件は発見された車が不思議と犯人によってピカピカに磨かれている。ヴィンテージカー・マニアのリアダン大佐のコレクションを見に訪れたギデオンはそこでもう盗難事件は起きない事を確信する・・・。ひとを煙に巻いたような何とも惚けたユーモア物。★★★さあて、トマス・H・クックの仕上げを急がねば!
6/9 渥美清補遺
渥美清と言えば、幼少の頃にTVで観た「泣いてたまるか」が最初で、その後の「男はつらいよ」は浪人するまで熱心に見ていた訳では無い。やはりTVでの映画劇場辺りで初見したのではなかろうか、先入観が悪かったのにも係わらず、思わず笑わされたりしてアナクロ喜劇映画も「あなどれない」と再認識したものである。浪人時代から大学の頃に(〜85年)、名画座などで良く観たもので、マンネリと言われながら、この役一本で通す渥美清に畏敬の念さえ禁じ得なかった。ところが「八つ墓村」「キネマの天地」といった出演作での彼の演技には、ただ呆然とした。決して見巧者では無いオレの鑑賞力の問題もあろうが、あまりに車寅次郎的であり、演技のマンネリではないかとどうにも納得が行かない。その辺のオレの疑問に対する明快な回答はこの本にも無かった。
・サンノゼ紀伊国屋で「ダヴィンチ」6月号の霞流一インタビューをやっと立ち読み。ゲラゲラ笑って、不審に思われる。
・ベストセラー本は読まないのだけど、家内が知人から借りてきた「五体不満足」を半ば強制的に読まされるが、クイクイと読んでしまった。昔の(ご存知の)オレなら「けっ!」と言ったスタンスで始まる所だが、結構文章もうまくて興味をかきたてられ、読み上げてしまった。
・悲壮感の無い読み物であることは事前に知っていたが、逆に「鼻持ちなら無い自慢もの」かと警戒するも、「生意気で目立ちたがり屋」を自認する辺り「良いヤツ」と言う好感も持てる。「バスケット・ケース」「イレイザー・ヘッド」などを引き合いに出すのも失礼に感じる一冊であった。
・何となく「ボーン・コレクター」の四肢麻痺のリンカーン・ライムを想起す。
・その「ボーン・コレクター」は200ページまで読了だが、昨年度のベスト級と言う割には未だノレない。気持ち的には「ハンニバル」の方に直ぐ行ってしまう。早く読み上げて、次にトライしたいよ。
寅さんを1作もみていない私も、TV「泣いてたまるか」(寅さんの原型)は、子供の頃、再放送かなにかで観ていた記憶がある。独り者、渥美清が帰宅して、ランニング一枚になって、冷えたごはんを
茶碗によそうシーンが鮮明に焼き付いており、子供心にも身につまされた。結構人生に大きな影響を与えているかも。
後段は、・・わしゃ知らん。
6/4 不変の神の国発言
珍しく、ここの所日本の政治記事を熟読しております。こんなにどうにもならない総理大臣って、前代未問ですね。でも、今の野党もパッとしないし、選挙結果が楽しみです。
出張者が持参してくれて、小林信彦とカーの「月明かりの闇」を入手。
ヒューストンへの二泊の出張で最初は「ボーン・コレクター」を読んでいたのですが(470ページ二段組の半分のみ読破)、むさぼるように小林信彦にかかりました。
「おかしな男 渥美清」小林信彦(新潮社)2000.4 六百枚の堂々たる大作で、六十年代から晩年までの渥美清を独特の視線(例の調子)で描いている。「日本の喜劇人」から連なる一大サーガ。先の「天才伝説横山やすし」より、迫力で勝る。渥美清の著者のみが知る素顔やエピソードから、「男はつらいよ」に辿り着くまでの生々しい足跡が克明に詳述されており、同世代コメディアン達との葛藤、羨望、嫉妬が渦巻く世界が物故者が増えた現在、より実名で登場する(強烈)。
初期の映画「男はつらいよ」での迸る才能とセンスには紙上での再現を読むだけでも思わず大笑いしてしまった。「てめえ、さしずめ、インテリだな」などの科白のアドリブや、第七作のアイデアを監督と語り合い、瞬間的な発想で見事なまでのシーンを創造するセンスはぞっとする程だ。また、「見巧者」としての渥美清の映画や舞台に対する評論もコワイ程にすごい。それだけに病魔に侵されてからの晩年の姿のギャップが何とも残酷で、全編を通じて一人の芸人の生涯がこれほどうねりを持って迫ってくる本書にはゾクゾクを通り越して、ただ唸るのみ。
今回あらためて著者が今年68歳になる事に気付き、さらにビックリした。先日、ビデオで「アリーmy
love」を初見したが、「人生は五十一から」で絶賛していたこのNHK衛星で放送したアメリカTVドラマにノレる若さは68歳とは思えぬ驚異。脱帽っす。
ところで、カー。いやあ、表紙のタイトルの隣に書かれた「フェル博士最後の事件」に目頭が熱くなった。何度適わぬ夢と諦めながら、この日が来るのを夢想したことか。「ボーン〜」の次はもう、これっス。
タイトルに座布団進呈。この発言で、諸外国の眼から失われかけた日本の神秘性を取り戻せるか。
渥美清には思い入れはない(寅さん映画を一度も観たことがない)ので、よくわかりません。
カーは、まだツン読中。
5/17 三人のメイ探偵
仕事に倦み疲れ、呆としてHMM6月号の「新・名探偵登場」の三人のクラシックな作品を読む。 1896年〜1950年までの各短編集から採られたもの。
「深海からのメッセージ」R・オースティン・フリーマンソーンダイク博士登場の第一短編集の未訳もの。証拠物件(砂や髪の毛)の写真を挿入するなど、昔流行った犯人当て本を彷彿させた。下宿で首を切り離されんばかりにして殺された真面目なドイツ娘の事件を、通りすがりのソーンダイクが現場に残された件の砂と髪の毛から推理する。ロジックはやや強引だが、概ね納得で、トリックらしいトリックも無い割にすんなり事件を楽しめる。★★★
「フリッターバット・ランサーズ事件」アーサー・モリスンマーチン・ヒューイットもの。1896年の作だが、意外に古さを感じさせぬ。記述者の「わたし」の書斎にある夜投げ込まれた謎の楽譜(これまたご丁寧に写真で挿入)。翌日、それを取り戻しに来た男が言うには、二十五年前に盗まれた宝石の隠し場所に関係するという。テーマとしては音符を使った暗号ものだが、信用詐欺まがいの連中に引っ掛かりそうになった哀れな男と、ひとを食ったヒューイットのお惚け推理でほのぼのとした作になっている。★★1/2
「書式の問題」マージェリー・アリンガムアルバート・キャンピオンもの。国防省に勤める男から預かった書類を手荷物預かりに持参したことで、中身を検められてしまい、悩む彼女の相談を持ち掛けられたキャンピオンは当の書類をオーツ警視に見せたところ・・・。中心のアイデアは新手のコン・ゲーム風なのだけど、読み方によってオチの解釈が変わるのだ。素直に読めば割とあっさりネタ割れの感があるし、犯人の言う通りに解釈した方がドラマ的皮肉が効いてくるけど、それだと冒頭のエピソードがそぐわないし。いずれにしても、キャンピオンは全くの狂言廻し。★★★
うーむ、どれも今ひとつであったが、訳文は皆平易で読みやすかった。
長編分載一回目のジョセフィン・テイ「ロウソクのために一シリングを」も読む。静かな海水浴場で妙齢の美人が水着の死体で発見され、海辺の町が大騒ぎになって行く所までだが、この1936年のデビュー作はここまで実にみずみずしい良い感じである。
興味深かったのが、この第二次大戦前の英国の若者についての描写で、「当節の若いもんはまったく軽薄だ。何に対しても心底から感じるってことがない。ヒステリーを起こすしか能がないのさ。(中略)自制心もなけりゃ、我慢もできない」あれあれ、これって二十一世紀になろうとしている現代の「逆キレ」若者と同じじゃないすか。ふーん。
まだ、ソーンダイクしか読んでません。確かに捜査ファイルものの走りみたい。特集と銘打って、3編は、ちと寂しい。
風太郎のエッセイに、明治時代から昭和に到る若者批判の文章を並べていたのがあったと思うけど、いつの世も、年長者が若者に対して感じるところは、ほとんど変わらないのがおかしい。そういうこっちも、同僚と飲んだら、最近の若い連中は、とかいっちゃうんだけどね。
5/13 うたかたの日々
さえぬ毎日が続きます。仕事も不調、何やら面白くない日々でございます。
さて、「ぷろふいる傑作選」の続きを。
「鉄も銅も鉛もない国」西嶋亮宮沢賢治というより、リンゼイ・デイヴイス描く紀元前ローマの如き雰囲気横溢。山城新吾の「ポエムだなあ、メルヘンだなあ」と言う科白を思い出した。不可能状況の殺人計画の結末が何とも中途半端でいや。冴えない素人の児童文学みたい。★★
「花束の虫」大阪圭吉崖の上での二人の男の乱闘が、ラスト悉く大逆転するこの爽快感。特に黒いトランクの謎が秀逸。このひとを食った解決こそ、著者の真骨頂。良いぞ。★★★★
「両面競牡丹」酒井嘉七長唄ミステリとははて、と読み始めると、この十七の小唄の女師匠の優しい語り口につり込まれて、またも(本当にこの傑作選、ドッペルゲンガーものが多い)自分と同じ女に遭遇するこの話しは、しかしラスト急転直下で朝が来たかのようなオチに呆然。これじゃ、俺の下手な怪談ネタだっつーの。★★★
「就眠儀式」木々高太郎大心地先生!って、何故か俺は菊地寛のイメージなんだけど、勿体着けた講釈の割にはいつも事件はあっさりしていて、本作もそう。娘の謎の行動を事件の予兆として推理しておきながら、この結末もなあ。★★
てな訳で11編読んで、俺のベストは大阪圭吉。続いて西尾正の「陳情書」か。
所謂、戦前の「探偵小説」ブーム期の中にあって、どちらかと言うとごった煮的ジャンルの作風が多いのでは。しかし、こうして見ると30年代の英米作品に比べて、本格と呼ばれる作品群の何と稚拙なことか。書き手のセンスが圧倒的に欠けているな。未だ尻の青い童貞青年だった高校時代、時折「幻影城」なぞ読みつつ、「こういうのが最高」などと嘯いていた今にして思えば赤面ものの知ったかぶりっ子には堪らないのだろうけど、マニアのコレクターズ・アイテム以上の価値は薄いなあ。
無論、小栗、夢野、大阪といった大御所の作品は別格だが、甲賀、木々といった所はもう俺には駄目だ。白状します。あの頃は浜尾四郎なんかを「これぞ、俺の求めていた作風!」とか、亜城白人に「やられた!」と嫉妬すら感じていました。
成田さんの直腸の具合、その後如何ですか?すすきのの病院と聞いて、何やら茨城歓喜の病院を直ぐに連想す。しかし、酒を止められたその翌日にもう飲んでいるとは・・・。
何気に朝、メールを開くと、噂の「I LOVE YOU」メールが!ぎゃっ、とパニックになりつつ、直ぐにデリート。しかし、俺の所に来るかア?何か「不幸の手紙」を貰ったような気分。そう言えば、過去に「不幸の手紙」を貰ったのって小学二年の時で、同級生の字とは思えぬ大人の文字の手紙に言い知れぬ恐怖を味わったものです。あの時の犯人は今どこに?朝日新聞を見たら、トマス・H・クックの新刊広告が!「記憶」シリーズで連発だが、外れの無い作家ゆえ期待大。
サンノゼ紀伊国屋で「ハンニバル」と「美濃牛」が平積み!ううむ、どうしようかなあ。両方、前作を読んでないしなあ。取り敢えず、成田さん寄贈本と積読だった「ボーン・コレクター」を片付けよう。
なにやら、冴えぬ出だし。焼鳥屋で一杯というわけにもいかないしね。ミステリで、うさを吹き飛ばしてくださいませ。
●デイリイ 面白いとは!「二巻の殺人」の訳は、かなりつらかったので、「予期せぬ夜」は、期待しております。
●「ぷろふぃる傑作選」 確かに戦前の本格は今読むとつらい。ただ、まあ当時の英米の最先端ポップカルチャーだった「探偵小説」が本格的に輸入されてから、まだ日が浅いことを考えると、やむを得ないのでは。60年代のロックだって、グループサウンズになってしまう国だから。どうしても、日本のな私小説的な文学風土に、本格を接合させてしまうから、英米の探偵小説と似て非なる感が強い。
(特に、甲賀・木々)むしろ、大阪圭吉の本格センスが群を抜いているのが驚異的というべきなんでしょう。ただ、「探偵小説」というポップ・カルチャーに従来にない魅力をみいだして、「探偵小説」について、各作家が曲解を含む独自の解釈を施し、猟奇耽異の花を咲かせた、ごった煮状態が、戦前の探偵小説の魅力でもあって。ドッペルゲンガー小説がいっぱい入っているのも、明治以来のドイツ文学の影響といったものも考慮する必要があるのではないか。少し、話がずれましたが。「シュピオ傑作選」は、ますますマニアックだぞ。
●直腸 元気です。ポリープってのは、検査すると結構多くの人にあるみたいで、悪性でなければ切らない病院も多いみたい。
●「I LOVE YOU」メール これは、怖い。まさに、今、そこにある危機。関つぁんがデリートしなければ、もしかして、俺の所にもきて、さらに、アドレス張を通じて、これを読んでいるあなたのところにも行ったかもしれません。腕一本で堤防決壊をくい止めたオランダの少年的行為でありました。やや違うか。自分の場合、デリートだとはわかっていてもダブルクリックしそうで怖いんだよなあ。
(実は、アドレス帳を使っていないので、ご心配いりません)
5/10 グレシャムは雨
昨日訪れたポートランドのグレシャムはまたも雨模様。フライトは順調(ガラガラ)で、読書三昧出来ました。
「予期せぬ夜」エリザベス・デイリイ(1940)
HMM00年3〜5月号訳載著者デビュー作にて、ヘンリー・ガーマジ初登場作。「二巻の殺人」の翻訳に乗れず、辟易した人もこれなら満足か(出だしは多少ギクシャクした感があったが直ぐに解消)。
二十一才の誕生日を無事生きて迎えたら、莫大な遺産を相続する虚弱なアンバリー・カウデン青年。いとこの芝居を見る為に運命の誕生日当夜、彼を庇護する叔母、妹、家庭教師らとホテルに辿り着く間も無く、夜中に崖から墜落して死んでしまう。近所に住む親戚一家の所に居合わせた無愛想で見苦しい「凶眼の持ち主」ガーマジは、このエキセントリックな一族を突如襲った不可解な悲劇に巻き込まれて行く。やがて、当の芝居小屋のいとこの劇団の女優が怪死し、行方不明の遺言状と共に遺産の行き先を巡る親族間の謀略か、妹もゴルフ場で危うく命を狙われるわ、毒殺されそうになるわと避暑地のホテルを舞台に青年の謎の死を発端として次々に事件が起こる。
舞台設定(避暑地のホテル)のせいか、クリスティ−を彷彿とさせる堂々たる筋運びで、展開も飽きさせない。冒頭の不可能興味のみで後は毒物の入手経路と退屈な張り込みに終始する前作とは大違いで、ガーマジも活き活きしている。黄金時代のテキストのようなトリックも伏線が効いて充分納得だし、ダレ場の海水浴シーンにこれまた犯人のウマイ伏線があり、こうした小道具の出し入れや設定の必然性が事件構成に巧みに活きている。決して派手ではないが、ディヴァイン「兄の殺人者」を小粒にしたような良き本格のお手本と言えるのでは?小品佳作です。タイトルがうまい!★★★
「ぷろふいる傑作選」ミステリー文学資料館編(光文社文庫00.3刊)
幻の探偵雑誌@で、HP製作者のご好意で頂いた本。
既に成田さんのHPにも全短編のレビューあるが、今回は収録11編の内の昨日までに読んだ7編をば(残りは後日)。
・「血液型殺人事件」甲賀三郎 ガスの専門家(笑)の俺から見ると、肝心の仕掛けの真実がぼやかされており、コンセプトのみの提示に終わっている事に不満。古い 作品にこんな文句を言ったら駄目かも知れないが、「血液」ネタも直ぐに察しがついたぜ。いかにもの理系機械トリックもので、辟易。★・「蛇男」角田喜久雄 怪奇幻想の掌編だが、この横溢する猟奇趣味(片足の女)は今の俺にはダメだ。ただ、感覚的存在の蛇男の創出はけだし名案で、ネタ割れのラストを補って余りある。★★★
・「木魂」夢野久作 おお、高校以来の再読だ。この数理学的思考に、当時の高校生は着いて行けなかったものであるが、今回はその不気味なまでの味わいが脳髄に染み入るようであった。★★★
・「不思議なる空間断層」海野十三 夢の理屈を巧みに現実の犯罪と交錯させて、凝った作。これを誤読するとは甲賀三郎、眼低手低。★★★1/2
・「狂操曲殺人事件」蒼井雄 これまた機械仕掛けのアリバイトリックで、探偵気取りの箕作が鼻につく。古色蒼然たる本格の化石。★
・「陳情書」西尾正 享楽的な文士の遊興描写が素晴らしい。浅草を彷徨する文士が辿り着く苦悶の幻想地獄。思わずドキドキした。★★★1/2
・「絶景万国博覧会」小栗虫太郎 初読だが、博覧狂気のセンスが抑えた筆致の中にも着実に垣間見えて満足。「釘抜き」の真偽はともかく、これを観覧車にかける発想 と九十三歳の老遊女の昔語りにゾクゾクさせられる。★★★1/2
と、ここまで。
やっと「THE TRAGEDY OF ERRORS」を読み終わって、へろへろなので、後日まとめて。
「博覧狂気」は、わざとだよね。これは、なかなか。
4/28 行けばわかるさ
「行けばわかるさ」???ますます、判らない。最近の猪木の言動にヒントがあるのですか?ええい、勿体つけないで早く教えなさい。
黄金週間、良いですね。アメリカは普通の一週間です。1月1日のNew Year's
Dayの次は5月29日のMemorial Dayまで祝日がありません。
最近、細君がインターネットで調べた評判の店を訪ねて食べ歩きをしており、先週の土日は二日連続で飲茶を堪能。予め、日本人によるコメントを参考に行くと、外れが少ない事が判明。この手で、うまいイタリアンも二軒確認しました。しかし、外人と連れ立って行くと相変わらず雰囲気は良いが料理の味はウーム、と言うのが多く、改めてアメリカ人の「うまい」と日本人の「うまい」には大きな差が有ることを悟りました。これを持って短絡的にアメリカを「味覚の砂漠」なぞと貶すのはお門違い。慣れ親しんでいる味がいつでもベストな訳で、狭い日本の中でも関東・関西でよく揉めるじゃありませんか。
今週はずっと風邪気味で調子悪いっす。今回はアメリカの害虫について(カリフォルニア編)。
借家ながらも一軒家に住んでみて、日本では経験した事のない害虫の被害に軽いカルチャー・ショックを受けています。先ず、被害に遭ったのがアリ。何だとお思いでしょうが、これがゾロゾロと往年の映画「黒い絨毯」の如くにありとあらゆる水廻りから家の中に進入してくるのです。スーパーに行くと「ゴキブリ・ホイホイ」ならぬ(環境の違いかゴキブリは少ない)数々のアリ撃退グッズが所狭しと並ぶ。シーズン的には晩秋から初冬にかけてで、巣分かれ若しくは婚姻飛翔(おお!ブランド)と関係ありか?春になると、今度はカタツムリとナメクジだ。これがまたデカイ。アリはただゾロゾロと家の中を歩くだけだが、こいつらは庭の花を食べるので被害が甚大。やはり、スーパーでカタツムリとナメクジの絵が描いた箱を見た時は「趣味の悪いキャラクターのシリアルだなあ」と思いましたが、実はこいつらの駆除剤でした。2〜3月は雨季の為に、こいつらの活動も活発で、次から次へと。そしてダンゴムシ!こいつも丹精込めた庭の花を食い荒らしやがってぇ。うう、調子悪いから今日は早く帰ろう。
「行けばわかるさ」は、職場の壁紙マニアがどっかから拾ってきた猪木「闘魂伝承」にあった文句。いない間に、パソコンに入れられていた。俺は、馬場派なんだって。(笑)一度使いたかっただけで、深い意味は、ございません。その後、大兄から連絡がないが・・。
「アメリカのうまい」・・ソウルフードって奴でしょうか。
生活ネタいい感じです。こっちの方もよろしく。蟻はシロアリ?ハイスミスの短編に「かたつむり」が、ホラーで「スラッグス」っていうのもあったよな。「趣味の悪いキャラクターのシリアルだなあ」うへえ。大受け。
4/21 くまかかか(意味なし)
>岩井大兄からメール。近々、少しだけ耳寄り情報を提供できるかも。
おお、何事でしょうか?応募小説が当選でもしたか?雌伏十五年の有珠山大兄が遂に噴火か?早く教えて下さい。
レオ・ブルースを先に読まれて釈然とせず、何となく不満。ビーフ巡査部長は俺の贔屓の一人で(目下はE・フェラーズのジョージ、甘倉真喜郎と双璧)ぐやじい思いです。
HMMの長谷部史親エッセイでルース・レンデル「身代わりの樹」が出てきて、このポケミスの出版時の十四年前に思わずタイム・スリップしてしまいました。当時社会人一年生となった俺は憧れの東京で(その二ヶ月後には小山に飛ばされるのだが)このポケミスを買い、当時住んでいた横浜・磯子の通勤中に読んだものです。前年くらいからの異常なレンデル・ブームはこの後もしばらく続き、小林信彦の「極東セレナーデ」のヒロインもレンデルの文庫を読んでいる設定であったりして、いやはや懐かしいものがあります。
>耳寄り情報
あ、いや、そういう話ではなくて。「行けばわかるさ」(by猪木)。大兄は、その後何も書いていないらしい。大兄のミステリに興味のある方は、光文社文庫「本格推理3」所収「酒亭銀富士の殺人」をお読み下さい。タイトルの元になっている「金富士」は、札幌の金のない酒飲みなら知らない人はいないというお店なんだけど、最近行ってないな。
>レオ・ブルース
昔、レオ・ブルースとレニー・ブルースが好きだといっていた人もいたなあ。「死体のない事件」でも、ビーフだけあって、いい味出しています。パリに出張したりもするんだぜ。ところで、甘倉真喜郎って???
>レンデル
出過ぎて追いきれなくなった。そろそろ、入手が難しいのも出てきてるか。
4/15 ダラスで缶詰め
4/10,11とテキサスはサンアントニオ、ダラスに出張。サンアントニオはアラモ砦とリバー・ウォークで有名ですが、メキシカンの人口が50%と聞き、びっくりしました。翌日ダラスに移って一仕事終え、五時の飛行機に乗り(サンノゼとの時差が2時間あり、身体は既に夜7時)、さてと思ったら突然の天候不良で中々飛ばぬ。もう飛行機に乗って滑走路に出ているのに、一向に飛ばぬ。機長からは時折意味不明の言い訳アナウンスが入るが、雨は益々激しくなり、遂に待機中のまま3時間が経過。これは欠航か、と覚悟した瞬間にやっと離陸。時既に8時半で、サンノゼに着いたらダラス時間で夜中の12時過ぎですよ。へろへろ。しかし、お陰で持参したポケミスを二冊とも読んでしまったのでした。
「血の流れるままに」イアン・ランキン(HPB1675)99.4刊
ご存知、スコットランドを舞台にしたジョン・リーバス警部シリーズ邦訳第二弾。市長の娘誘拐犯のカーチェイスの果ての自殺と、区議員の面前でのムショ帰りの男の自殺を発端に、事件はクイクイ進む。自殺に不信を抱いたリーバスの捜査は警察上層部からの圧力でストップさせられ、自宅待機に負い込まれる。ここからが、リーバスの本領発揮で読ませる。市長の娘の行方、受刑者の刑務所時代の何やらミステリアスな処遇、区議員夫婦の怪しい行動に娘との諍いや警察署内のいざこざが絡み、リーバスが入手した一見無意味な事業計画書が、スコットランド産業開発庁を巻き込む一大汚職に発展する。このスコットランドそのものを影で支配する絶対権力者たちの存在は、何やら「X-ファイル」の政府黒幕連中に相通じ、事件解決の為にビビりながらもこの巨悪と対峙するリーバスが醸し出す臨場感が良い。正義感との板挟みで、巨悪の論理に呑み込まれそうになるリーバスだが、事務次官と警察副本部長に逆襲するラストの展開は爽快。厳寒のエジンバラで歯痛に悩みながら、深酒に浸りつつタフな捜査を続けるリーバスは前作(「黒と青」)より活き活きとしていて、スピーディな展開と共に読みで
で勝る。★★★★直ぐに次の「首吊りの庭」に掛からねば。
「迷路」フィリップ・マクドナルド(HPB1687)00.2刊
HMM掲載時(81.7,8月号)に読んだ筈がスッカリ忘れている。検死法定の証言記録で構成されたこの「推理の練習問題」は、しかし威勢の良いまえがきにあるようなパズラーとしては不満。データは全て与えられている、と豪語されているが、各人の証言の矛盾から消去法で犯人は割り出せても、この特異な動機はとても推理し得ぬものです。かなりの飛躍的発想がないと。作中、ゲスリンの吐く推理のギミックに「動機を持つ者が多過ぎる。動機の無い者の中に犯人がいる」という異常性の事件に対するこのハッタリこそ、作者がやりたかったテーマではないのかな。初読時にはこれをアッサリ読んでしまい、別に印象の無いまま忘れていたものだが、再読しての感想も同じ。眼高手低。★★1/2
ところで、本当に「悪霊の群」を送ってくれるのですか?公開HPでの記述ゆえ努々嘘ではないと思いますが、嬉しい。そう言えば「メール・コーナー」が4/7更新となっているが、3/28分から更新されていないままですぜ。あと、光文社文庫の森英俊編「海外ミステリー作家辞典」(\1,050)って、中身は何ですか?文庫書き下ろしとありましたが、これは欲しい!
「黒いアリス」、昔札幌の古本屋で俺が見つけてあげた本ということ、憶えていますか?積読だったのですね!あんなに興奮して、てっきりすぐに読んだのかと思っていましたが・・・。
次はようやくデイリイ「予期せぬ死」のレビューをば。次回文載のJ・テイ「ロウソクのために一シリング」はグラント警部登場のデビュー作にてヒッチコックの「第三逃亡者」の原作なのですね。渋い。
ポケミス2冊読めたともなれば、へヴィな出張もまた楽しからずや。
>公開HPでの記述ゆえ。
そういや、クイーンの遺作をクリスマス・プレゼントでとか書いていた人もいたけどなあ。『悪霊の群』本日発送しました。航空便で送ったから、7〜10日くらいで届くそうである。おまけの3冊(「もう一人のぼくの殺人」「ぷろふぃる傑作選」「ゲッタウェイ」)も入れておいた。
>「海外ミステリー作家事典」
昨日購入。EQ97.11月号掲載の「現代海外ミステリー作家事典」をたたき台にした作家事典。現代作家120人、巨匠30人が取り上げられている。プロ8名、ワセミス現役12名の分担執筆。顔ぶれは、各ジャンルから万遍なく選ばれているけれど、ドハティー、グェンドリン・バトラー、ロバート・トゥーイなんかも出てきて、趣味性も感じさせます。内容は、また別途。
>メールコーナーアップ忘れ
修正しておきました。御教示感謝。
>黒いアリス
関に拾って貰っていたとは、忘却の彼方。そんなに興奮してたのか。まあ、本は逃げないのでと、言い訳しつつ、ヴィンテージ積読も減らしていかなければ。
4/10 嫉妬の嵐
ぐやじい。今回の本買いは心底ぐやじい。俺がいないと知ってか何てことするんだ!
成田さんはダブッた「悪霊の群れ」を直ちに俺の所に送るように(笑)。住所は知ってますね。しかし、何ですね。本当にビンテージモノの出版に関しては今が最高ですね。一生読めまいと思っていたあの本この本が続々だものなあ。これをリアルタイムで読めるのはそれだけで幸福ですよ。嗚呼、俺はいつこれらを入手出来るやら。
成田さんの文章が最近富みに電脳文体に変わって来ているのが気になります。最早、これは無意識の内に染まっているとしか思えませんが、お気をつけあそばせ(時々気持ちが悪い)。
先日、モントレーに行き(ゴルフコースで有名なペブル・ビーチがある)、海岸沿いの名所を探訪していたら、Spanish
Beachというのがあり、てっきりあの「スペイン岬」かと早合点しましたが、「スペイン岬」はSpanish
Capeであって、手元の資料で確認したら舞台も北大西洋岸ということで、全然違いました。しかし、それは帰宅後しばらくしてから気がついたことで、現場では有頂天になり写真なぞ撮ってしまいました。どうしてくれるのだ。 HMMを摘み食い(ああ、まとめてレビューしたいのお)していたら、3月号掲載の「ネット・メール」(ブレンダン・デュボイス)はそのものズバリの電子メールモノで、ミステリ界でも着実に浸透しているのが嬉しい。田舎で隠遁生活を送るエリックの元に差出人不明の脅迫メールが届く。何故、そいつはエリックのURLを知り得たのか?そして過去の事も知っているのか?地元の子連れ未亡人と淡い恋を育んでいるエリックにとって、決別したい過去を穿り出そうとするこの脅迫者と遂に対決の時が。単なるキー・ワード以上にネットの特性を活かした展開とこの新手の犯罪は今後のミステリ界にも色々と影響しそうだぜ、じいちゃん。ひいひい。読み様によってはエリックを主人公にしたピカレスク物の本編は、ラストの余韻も大人の味で楽しめました。★★★
月曜、火曜とテキサスはサン・アントニオ、ダラスに出張です。E・デイリイ「予期せぬ死」(HMM)とP・マクドナルド「迷路」を片付けるつもりです。
ビンテージ物。仰せのとおり、嬉しい悲鳴をあけでます。読むのがおいつかない。C.D.キングの短編集も本屋に並ぶようでっせ。
悪霊の群。今週中にお送りいたしましょう。
電脳文体。そんなに、変わってきてるかなあ。文章の省略、体言止めの多様とかいったあたりは自分でも使いすぎかなといった感じはあります。ただ、ネット上の文章は、普通の文章と違う特性をまとわざるを得ない部分もあると思う。これについては、いずれネタにしようかな。いずれにしても、関つぁんに時々気持ち悪いといわれるようであれば、自戒せねば。
「ネット・メール」は、まだ読んでないけど、HMMにも、ネットミステリが徐々に登場するようになってきていますね。このあたり、まとめておくと、資料としては、面白いかもしれない。
4/8 死体を消せ
オレゴンはポートランド(グレシャム)に出張して参りました。ポートランドってのは札幌と姉妹都市だったのですね。今は桜が満開で、札幌同様秋には鮭が取れるようです。ホテルに戻ってペイパービューの映画を見ようかなと、メニューにすると早くも現在未だ公開中の「グリーン・マイル」がやっているではありませんか。しかし、上映時間3時間と言う事でとても夜中に見切れるものでもなく、諦めました。
「細工は流々」エリザベス・フェラーズ(創元推理文庫)99.12刊
トビー・ダイク&ジョージのシリーズ邦訳第三弾(シリーズ二作目)。原題 Remove
the Bodiesは「死体を消せ」の意か。であればこの邦題はヒット!殺したいほどのお人好しルー・ケイプルが鼻詰まりの薬「ハナスッキリ」を毒薬と交換されて殺される。曲者だらけの関係者達が集う家には何故か殺人の予行演習の様な仕掛けが随所に。絶妙の掛け合いと、エキセントリックな人々の巧みな描写はクレイグ・ライスの芸の域。いや、杉江松恋の解説にもある「言い捨て」の語り芸は、書き込みの多いライスに比べまた違った名人の妙技と言えよう。中村有希訳も絶好調で、ジョージ以外の登場人物達のセリフも実にもう活き活きとしていて、シリーズ最高の読み応えだ。
さて、肝心のネタの方だけど、今回は事件中盤からのジョージの耳が聞こえなくなる謎の真相が、「猿来りなば」のラストシーンと同格の衝撃を与えてくれる。この人を食った、ある意味抱腹モノの真相には「未だこんな手があったか」と言う驚きと共に、良く考えられた事件の構成にうーむと唸るのみのみ。HMMでの川出正樹評「ため息が出るほどの驚き」正にその通り!このユニークさは「衣装戸棚の女」の真相に一脈通じるとは思いませんか?あの味です。いや、これで全く目が離せなくなった。「自殺の殺人」は乗れなかったけど、残り二作(第一作と最終作!)も読まずにはいられない。★★★★